AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

アキシブprojectファン暴力事件は、サルの本能による制御能力が人間には不十分だから?(KC)

2014-02-15 20:55:54 | アイドル論
アキシブprojectファン暴力事件は、サルの本能による制御能力が人間には不十分だから?(KC)

濱野氏の文章で、サルが共存するための本能の話は面白かった。
アキシブprojectのワンマンライブで、2列目のファンが1列目のファンになぐられて、警察に届けて、
2列目のファンは出禁、1列目のファンは観戦許可なのだとネット情報を読んだが、人間はサルと違って、本能で暴力をさけることはできないということか。KC

http://realsound.jp/2014/02/post-301.html より引用

 気鋭の批評家/情報環境研究者でありながら、重度のアイドルヲタクとしても知られる濱野智史氏が、自ら総合プロデュースをする新規結成アイドルグループと、現在のアイドルシーンについて語るインタビュー後編。前編【批評家・濱野智史がアイドルプロデューサー宣言!】では、新グループの目指す方向性や、現在温めている計画について語った。後編では、ライブの現場での経験を通して得た知見から、現アイドルシーンの情勢について、独自の切り口で語り尽くす。

――AKB48論者としても知られる濱野さんは、一昨年末の『前田敦子はキリストを超えた』出版以降のアイドル界の流れをどのように捉えていますか。

濱野智史(以下、濱野):AKB48に関しては、前回お話した「夢の行き詰まり」の話ともリンクしていて、やはり今の状況は決して楽観的に語れない部分もあるのかと思います。2月24日に行われる「大組閣祭り」には、ファンだけではなく、メンバーからもかなり厳しい批判が寄せられています。これまで一丸となっていたチームもバラバラになってしまうのですから、それも仕方ないですよね。もっともAKB48グループの組閣は、毎回批判があっても強行されてきたもので、そうでもして引っ掻き回さないといけない状況にあるから行われるのでしょうけど。僕はAKB48が好きなので批判はしたくありませんが、「行き詰まり感」は少なからず感じます。

――なぜAKB48はそういった状況に至ったのでしょう?

濱野:規模が大きくなりすぎて、16人でチームを作って、劇場に出て、ファンが付いてっていうサイクルが回らなくなってきているのは、ひとつの要因かもしれません。僕がAKB48にハマった頃は、チーム4公演の倍率はそれほど高くなくて、まだギリギリ劇場に行ってハマることができたんですけど、今はほとんど入れない。握手会もCDを予約してから開催が8ヶ月先とかになっていて、これでは応援したくてもなかなか難しい。要するに、どんどん「会いに行けるアイドル」じゃなくなっているんですよね。とはいえ、これはあくまで僕のように「現場」にハマりすぎた「接触厨」的なヲタの肌感覚なので、なんとも言えません。しかし、同じフォーマットを続ける中で、ファンとの距離がどんどん遠ざかってしまっているのは間違いないのではないでしょうか。

――いっぽうで乃木坂46のように、メディアを通じての活動を軸とするアイドルグループの人気が高まっているように感じます。

濱野:いわゆる在宅ヲタ――つまり、アイドルは大好きだけど、握手会やライブにはほとんど足を運ばないというファンにとっては、乃木坂46のように基本的にテレビやネットを見ているだけでシーンを追えるアイドルグループは、親しみを持ちやすいのではないでしょうか。たまに握手会に参加するくらいが丁度良いというファンにとっては、良いグループなのだと思います。もしかしたら、それくらいの距離感のほうが、メンバーもヲタにとっても疲弊も少ないのかもしれませんし。

――濱野さんほどの方でも疲弊しますか。

濱野:いや、もちろんしますよ(笑)。実は去年の12月から1月くらいは、疲弊どころか、ある子にこじらせすぎて、「病ん」ですらいたんですよね。推していたグループのメンバーの卒業が発表されて、「なんでこんなに素晴らしいグループなのに、卒業してしまうんだ!」「結局アイドルを推すってなんなんだろう?」とか考えてしまって、鬱っぽくなって……。「あー、これがよくヲタが言ってる“病む”ってヤツか」と、妙に病みながら自分でも納得してました(笑)。もっとこじらせたら、アイドルに対するやりきれない思いを抱えたまま、もっと「厄介ヲタ」になっていたかもしれません。自分の身でもって、アイドルヲタの「闇(やみ)」の世界を垣間見ることができたのは、すごくいい経験になりました。

 で、そういうピンチのときって、やっぱり「頑張って俺が買い支えないと」って思うわけじゃないですか。でも、ふと「自分がするべきことは〈買い支え〉だけかよ?」って我に返ったんです。今回、自分でアイドルグループを作ろうと決心したのは、実はそういう経験も踏まえてのことなんですよ。もちろん買い支えるのも大事だけど、それだけじゃなくて、アイドルにとっても、ファンにとっても、疲弊しきらない「環境」を作るのに、微力ながら貢献したいと思っているんです。

――「厄介ヲタ」になると、どんな風に?

濱野:最近だと2ちゃんねるで38歳の岩田華怜ヲタクの訴訟が話題となりましたが、この人はそうとうこじらせていましたね。彼は2011年くらいからAKB48にハマって、劇場やモニター観覧に通い、握手会であだ名とか付けてもらって舞い上がっちゃって、そのうち手紙で岩田華怜にアドバイスとかするようになっていくんですよ。そして、彼女がステージとかでそのアドバイスを実践していたりすることに「推している手応え」を感じるようになる。ここまでのプロセスは、実はけっこう(AKBヲタとしては)「普通」なんですよ。自分もほぼ全く同じでしたから(笑)。

 でも、そこからこの人は次第に「説教厨」になっていく。握手会とかでメンバーへの思いが強すぎる結果、説教とかしちゃう人もわりかしいるんですね。で、それを見かねたスタッフに、「岩田がお前のことを嫌いって言ったら、もう出禁ね」と言われてしまうのですが、岩田華怜は「あの人は怖いけど、嫌いじゃない」と答えたそうなんです。そこで彼は「やはり俺は嫌われてはいない」という確信を得てしまう。そして紆余曲折あって久しぶりに握手会に行き、「8年後か10年後かわからないけど、結婚してください」と(本人曰く「ネタ」で)告白した。そしたら「ホントそういうのやめてください。迷惑なんで…」って言われてしまい、出禁になってしまった。手紙も届かない、握手会もいけない、Google+もブロックされている。彼はもう推しへのコミュニケーション・チャネルを全て絶たれてしまった。そこでどうしたかというと、なんと裁判を起こそうとしたわけです。そうすれば、2chまとめにものって推しメンにも届くだろうと考えたんでしょうね。

 もちろんこれはウルトラ極端な例ですし、僕ももちろん、そこまでこじらせてたわけではないです。でも、アイドルへの一方的な思いが暴走しすぎて、究極のコミュニケーションを求めて行ってしまう心理的な回路は、僕はすごくわかってしまうんですよ(笑)。とても人ごととは思えない話でした。ネットではもちろん単なるネタとして消費されていましたが、熟読すればあれは立派な「ヲタ活レポ」になっていたなと思いますね。

――なるほど。ところで最近、佐村河内守氏の別人作曲問題が大きな話題となっていました。作品にまつわる物語を含めて評価すべきか、それとも純粋に音楽そのものを評価すべきかというところで意見が別れているケースが多いようですが、アイドルカルチャーに即した場合、この問題はどのように捉えられますか。

濱野:「物語」とセットで「作品」を消費するというのは、アイドルの世界だとあまりに当たり前すぎることですよね。アイドルがスターへの階段を登っていく「高揚感」とか、アイドルへの高まる「恋心」といったストーリー込みで楽曲に感情移入するからこそ、それはヲタにとっての「神曲」になるというのは、よくあることです。もちろんアイドルの世界にも、音楽そのものを楽しむ「楽曲派」と呼ばれるファンもいますし、一方ではとにかくMIX入れてヲタ芸して騒げればいいというヲタもいる。しかし僕は、そういった異なる見解のファンが集まるからこそ、現場は盛り上がるんじゃないかと考えています。

 というのも、この話で思い出す光景があります。ちょうど一年半前くらいにBELLRING少女ハートのファーストワンマンに行ったのですが、そのとき僕がざっと見た感じだと、観客は楽曲派が約2割、アイドルヲタクが約4割、サブカル層が約4割くらいだったんですね(数字は適当ですが)。で、この中で一番熱心だったのが、実はサブカル層だった。もともとアイドルにそれほど興味がなかった層なのかなと思うんですが、免疫がなかったがゆえに「ガチ恋」的に高まっていて、自己紹介のときにガチ恋口上(「俺が~生まれてきた理由~」的なやつ)を入れている。で、いっぽうのアイドルヲタク集団はそんな彼らを冷めた目で見ていて、すごくアイロニカル。斜に構えているから、もともとちゃんと見る気もないし、背面ケチャしまくったり、メンバーをいじったりして遊んでいる。で、楽曲派に関しては、両方から距離を取ってひたすら曲に集中して体を揺らす、と。で、最後に定番のモッシュ曲が始まると、その全員がもみ合いになるんですね。まあ、おたがい派閥が違って敵視しているからなのか、これがとにかく激しくぶつかり合うんです。しかしながら、結果としてその現場は異様なほど盛り上がるわけですよ。つまり、立場や価値観が異なるもの同士がぶつかり合うことでこそ、一体感や熱気が生まれることもあるんですよね。まさに「祝祭状態」というか。もちろん、それが暴力沙汰になってはだめですが、アイドル現場においてはどちらの立場が「正しい」とかではなく、現場が「面白く」なればそれで良いと思います。

――興味深い現象ですね。

濱野:これは余談なのですが、サル学で有名な京都大学霊長類研究所の山極寿一先生と先日対談するきっかけがあり、著書の『暴力はどこから来たか』を読んだんですが、これが面白いことに、そこで書かれているゴリラの生態観察レポが、アイドルの現場で起こっていることとすごく似ていたんですよね。ゴリラたちは、食事や生殖相手といった「資源」の奪い合いが起こらないように、うまく暴力が発生しないようなコミュニケーションの作法を身につけている。たとえば小競り合いが起きた時にどうするかとか、これ以上近づかないでって威嚇しあうとか、群れの20頭くらいで一体感を感じる「共鳴集団」を形成したりとかなんですが、ほんとにゴリラとドルヲタってほとんど完全に一致していて(笑)。だってヲタも現場で、「良ポジ」や「レス」といった希少な資源をめぐってまさに小競り合いが起こるわけですからね。いや、冗談でなくあまりの一致ぶりに驚いてしまいました。

 でも、これって考えてみればこれは当たり前のことで、だってアイドル現場のライブ中って、大音量の音楽が鳴ってて互いに言葉がほとんど使えないから、人間がサルだった頃の、非言語的なコミュニケーションの形式に頼らざるを得ないわけですよ。アフリカとかまで行かなくても、地下現場にいけば人間がもともと本源的にもっていたサルとしての生態は観察できるわけです。

 そう考えると、やっぱりアイドルの現場ってつくづく奥が深いなって思います。ヒトがサルに戻るという意味で「動物化」は快調に進んでいるとも言えるんだけど、それは決して退化とか退行ではなくて、もともとヒトがサルだった頃のコミュニケーションの可能性を再び掘り直しているって感じがします。なんだか妙にでかい話になってしまいましたが(笑)、僕がアイドルを作るからには、こういったアイドル現場特有の「生態」をもっと突き詰めた上で、プロデュースもやっていきたいなと思っています。
(取材・文=神谷弘一)


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