一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

九州オルレ(嬉野コース)……茶畑の大海原を抜けて、湯にけむる美肌の郷へ……

2014年03月01日 | 九州オルレ
これまで、九州オルレの、
武雄コース(2013年01月31日完歩)、
天草松島コース(2014年01月05日完歩)、
唐津コース(2014年02月09日完歩)、
平戸コース(2014年02月16日完歩)
を歩いた。
次はどのコースを歩こうかと考えていたところ、
嬉野コースで、3月1日(土)に、
コースオープン記念イベントが開催されることを知った。


嬉野コースを調べたところ、
スタート地点とゴール地点がかなり離れている。
普通の日に一人で行くと、これが最大のネックになるのだが、
3月1日のコースオープン記念イベント当日は、
嬉野市役所嬉野庁舎前駐車場(ゴール地点から7~8分)から、
スタート地点の肥前吉田焼窯元会館まで、
無料送迎バスが運行されるという。
それに、コース途中では、嬉野茶のふるまいがあり、
ゴール地点では、温泉湯豆腐も用意されているとのこと。
そして、なにより、まだ誰も歩いていないコースを歩ける喜びもある。
大勢で歩くのは苦手だが、
それ以上のメリットがある気がして、参加してみることにした。

午前8時から送迎バスが運行するとのことで、
嬉野市役所嬉野庁舎前駐車場へは7時45分頃に着いた。
準備をして、マイクロバスに乗り込む。
発車したバスは、町から離れると、坂道を上って行く。
スタート地点の肥前吉田焼窯元会館は、
かなり標高の高い場所にあった。

周囲には小高い山々があり、雰囲気が良い。


受付で、
地図が載ったパンフレットや、ミネラルウォーター(500ml)、
嬉野茶、入浴剤(嬉野の湯)などが入ったビニール袋を戴いた。
パンフレットの地図を見てみると、
予想した通り、かなりアバウトなものであった。
これでは、コースの高低差などがまったく分からない。


GPSの軌跡と比較すると、一目瞭然。


これは、どのオルレコースにも言えることだが、
地形図や、立体的に見えるイラストにするかして、
もっと分かり易い地図を作成してもらいたいと思う。

人は、まだ、まばらで、
<参加者は50人くらいだろうか……>
と考えていた。


セレモニーが行われるであろうステージで、
カカポくんの記念撮影。


時間の経過とともに、参加者が増えてきた。
ファッショナブルな若い女性も多い。


大型バスも到着し、
参加者が益々増えてくる。
※佐賀新聞によると、最終的な参加者は、約300人であった。
 韓国からの参加者も約100人に上った。


韓国から参加の1グループ。
記念写真撮影時も元気いっぱいだった。


嬉野市市長、済州島オルレの関係者、
それにシンガポールからの参加者なども登壇してテープカットが行われた。


9:35
スタート地点の肥前吉田焼窯元会館を出発。




やきものの里、吉田皿屋地区を抜けると、


大定寺が見えてきた。


9:40
お地蔵さんと風車のカラフルな色合いが印象的な境内であった。


そこから先は、ちょっと山登りの雰囲気の道。


森を抜け、見えてきたのは、


茶畑であった。


「うわ~」って、思わず声が出る。


今日の天気予報は、曇りのち雨。
午後から雨が降り出すとのこと。
遠くはガスっているが、pm2.5の影響もあるのかな。


道の先に、茶畑の段々畑が見えてきた。


すごい、すごい。


西吉田の茶園へ登って行く。


嬉野の町を車で抜けるときに見かける茶畑もスゴイと思っていたが、
あれは、ほんの一部であったのだ。
奥には、ものすごく広大な茶畑が広がっていたのだ。


ただ広いだけではない。
とにかく美しいのだ。


まるで日本庭園ではないか。


感動で、私はしばらくそこに佇んでいた。


ここからさらに急坂が待っている。
杖が用意してあった。


急登が続く。
ゆっくり登って行く。


10:18
西吉田権現さん・十三仏に到着。
神秘的なスポット。
急坂を登り切った後なので、
ここで休憩している人が多かった。


列が渋滞することがあったりするので、
私は、少しでも前に行きたくて、
写真を撮って、すぐに出発。
すると、そこからしばらく歩いたところに、休憩所があった。(笑)


10:24
温かい嬉野茶が用意してあったので、ありがたく戴く。
美味しい~


そこから先は、「坊主原パイロット茶園」と呼ばれている広大な茶畑。


とにかく広い。


九州オルレ(嬉野コース)の見所の第一は、
やはり、「茶畑」であることを再認識した。




10:45
「22世紀アジアの森」へ入って行く。


ここで、参加者を先導されていた嬉野市観光課の人に追いつく。
この後は、ゴールまで、この方と一緒に歩いた。


10:58
メタセコイア展望台に到着。


ここから眺めるメタセコイアが素晴らしかった。
約400本あるとのこと。


まるで東山魁夷の日本画のよう……
美しい~


11:04
坂道を下りきった所にある総合作業施設に到着。




ここが第2の休憩所になっていた。
ここでは、冷たい嬉野茶とお菓子を戴いた。
美味しかった~


メタセコイアの林を抜けて行く。
見上げると……
「なんて美しいんだろう!」


嬉野に、こんな場所、こんな道があったなんて、知らなかった。


そこかしこに、地蔵さんや史跡のようなものがある。


一緒に歩いている嬉野市観光課の人と、他の九州オルレの話になり、
「天草や唐津や平戸のコースは、海岸線や海が美しかったですね~」
と言うと、
「オルレ発祥の地が済州島ですから、オルレと海は密接な関係があるんですね。残念ながら、
嬉野にはその‟海”がないんですよ。でも嬉野には、広大な茶畑がある。だから、我々は、緑なす茶畑を‟海”に見立てているんです。茶畑の大海原を見てもらいたいと思っているんですよ」
と答えられた。
<なるほど>と思った。


そう言われて茶畑を眺めると、本当に‟海”に見えてくる。


押し寄せる波が幾重にも見える。


茶畑の脇に、散水機のようなものがあった。
これが、オルレの道標である「カンセ」にソックリ。
観光課の人は、ここを何度か歩いているけれど、
そのことにはまったく気づかなかったとのこと。
あまりに似ているので、二人して笑ってしまった。


下界に降りてくる。
木々の間から、茶畑と田圃がミックスされた風景が見えてくる。


「こんな風景は、嬉野ではちょっと珍しいんですよ」


これは、イノシシ防護ゲート。
放牧地の近くに登山口がある場合など、
牛用のものは時々見かけるけれど、
イノシシ用のものは珍しいと思う。


コース上の広大な茶畑は、これで見納め。
茶畑の大海原の航海を終えた気分。(笑)


11:56
嬉野温泉の奥座敷とも言える名宿「椎葉山荘」前を通過。


かなり下ってきた。


嬉野川沿いの道。
桜並木なので、満開の頃は美しいことだろう。


12:18
轟の滝が見えてきた。




この滝には何度か来ているが、
こちら側から見るのは初めてだ。


瀧の下は、一枚岩になっている。
本当に美しい。


嬉野川の遊歩道を歩いて温泉街へと入って行く。


川から上がった所に、おしゃれな店がある。
やすらぎ四季の宿・吉田屋さんがプロデュースした、
インテリア雑貨ショップ&カフェ・KiHaKo「嬉箱」。
若い女性に人気のお店だそうだ。


ゴールが近くなってきた。


「シーボルトの湯」の横を通過。


12:39
本日のゴール「温泉公園」に到着。


9:35に出発したので、約3時間で歩いたことになる。
4~5時間のコースであるが、
渋滞を避けたくて先頭へ出て、
少し速足で歩いたこともあって、
かなり早くゴールしてしまったようだ。
本来のゴール地点は、「シーボルトの足湯」なのであるが、


川に架かる橋が工事中とのことで、
今回は「温泉公園」がゴールとなったとのこと。


ゴール地点では、
温泉湯豆腐とサイダーを戴いた。

とろける温泉湯豆腐、
とても美味しかった。


特筆すべきは、サイダー。(笑)
なんと、「103(テンザン)サイダー」だったのだ。
佐賀の代表的な清酒「天山」に使われている“仕込み水”を原料にしたサイダーで、
酒造りに使われる選び抜かれた伏流水に、
フレーバーには地元相知産のすだち果汁を使用している。


なによりも、そのラベルが秀逸。
天山山系のイメージに、103(テンザン)のロゴを配置した無駄のないデザイン。
なんだか、アルプスの山のようで、カッコイイ。(笑)


ネットで調べてみると、
●ほたるの郷(佐賀県小城市小城町岩蔵81-1)
●しゃくなげの里(佐賀県佐賀市富士町畑瀬1-31)
●長崎自動車道川登SA(上り線)売店(佐賀県武雄市東川登町永野3962-1)
などで「103(テンザン)サイダー」が買えるようだ。
天山など、佐賀や長崎の山に登りに来たときに、ぜひぜひ……

九州オルレ(嬉野コース)は、
やきものの里を出発し、
茶畑の大海原を見ながら歩き、
嬉野川遊歩道と轟の滝をへて、
日本三大美肌の湯の温泉街にゴールするという、
とても魅力的なコースであった。
嬉野茶は、全国茶品評会で、
最高賞の「農林水産大臣賞」と「産地賞」を、
5年連続で獲得し、
5年連続で日本一を続けている高級ブランドだ。
九州オルレの嬉野コースを歩いて、
そして、その手入れの行き届いた美しい茶畑を見て、
なるほどと思った。
優れたお茶を生み出す嬉野の人々の努力と底力を感じた。
良き旅であった。
今日も「一日の王」になれました~

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