一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

【シエマ】に、映画『善き人のためのソナタ』を見に行った

2008年01月14日 | 映画
【シエマ】に映画を見に行った。
【シエマ】に行くのは『パンズ・ラビリンス』に続いて二度目。
見たのは、2007年度のアカデミー外国語映画賞を受賞した『善き人のためのソナタ』だ。
見たい見たいと思いながら、ミニシアター系の映画のため、これまで佐賀では見る機会がなかった。
(正確には一度だけあった。昨年7月12日にチネチッタで一回だけ上映されている。この日は用事があって見に行けなかった)
そうこうしてるうち、昨年8月にはDVDも発売されたことから、映画館ではもう見られないものと諦めていた。
そこへ吉報が届いた。
昨年12月に佐賀にオープンした【シエマ】で、1月12日から(1月25日まで)上映されるとのこと。
良い映画は、DVDで見るより、やはり映画館のスクリーンで見たい。
さっそく【シエマ】に見に行ってきた。


1984年、東西冷戦下の東ベルリン。
国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
成功すれば出世が待っていた。
しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。
国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。
ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。(goo映画解説より)

この映画のことを、ヴェルナー・ヘルツォーク(映画監督)は、「ドイツ映画史上、最も素晴らしい作品である」とまで述べている。
私も「噂に違わぬ素晴らしい作品だった」と思う。
ただ、そう認めながらも、ただ手放しで絶賛することはできなかった。
それは何故か?

盗聴器から流れてくるドライマンの弾くピアノソナタ(←ここをクリックしたら音楽が聞こえてきますよ♪)を聴き、涙を流して感動するヴィースラー。
「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」と語るドライマン。


「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」
これは、この映画を象徴する素晴らしい言葉なのだが、「本当にそうだろうか?」と思ってしまったのだ。
なぜなら、人類の永い営みの中で、音楽に対する理解と愛情が、卑劣な殺意や憎悪と共存してきた歴史を知っているからだ。

「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」
この言葉をそのまま信じることができれば、どんなに素敵なことだろう。
だが、私はそれほど素直ではなかった。
ひねくれている。
それが、私自身のことながら、何とも哀しい!

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 映画『パンズ・ラビリンス』... | トップ | 魅惑的な冬の井原山 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
善き人のためのソナタ (CJN)
2008-02-01 18:36:13
こんにちは タクさん
始めまして、
私も映画実には時々行っています。この作品は見逃しています。というより単館上映でした。WOWOWで法会していましたが、録画を忘れました。レンタルで見なければ゜というところです。メインは低山「そうつ記」です。最近の映画は「母べえ」でした。
では・・・また!!
返信する
登山、映画、読書…… (タク)
2008-02-01 22:06:29
CJNさんへ
CJNさんの映画鑑賞本数もスゴイですね。
HPんも方もきちんとまとめられていて驚いています。
私のブログは昨年の10月から始めたので、過去の分は、今後、思い出しながら追加していきたいと思っています。
読書の方もレビューを書きたいのだすが、そちらまではなかなか手が回りません。
CJNさんを見習って、私ももっとこまめにブログを更新していきたいと思っています。
返信する