一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』 ……三船美佳の笑顔……

2016年02月17日 | 映画
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』をご存じだろうか?

簡単に説明すると、
テレビ東京系列の『土曜スペシャル』で、
2007年10月から放送されているレギュラー企画で、
最高視聴率15.3%、
平均視聴率10%を誇る人気旅バラエティ番組。
太川陽介と蛭子能収に、マドンナ1人を加えた3人が、
“路線バス”を乗り継いで、
3泊4日の日程内に目的地への到達を目指す番組で、
普通の旅番組のように、観光を楽しむことに重点が置かれておらず、
制限時間内に目的地への到達を目指すことが第一となっているため、
時間に追われながら行動する3人の姿を楽しむ番組となっている。

“路線バスの旅”ではあるが、
マイカー主流の地方事情ゆえに、
バス路線が各所で寸断されており、
歩かなければならいない場面も多く、
“歩き旅”の要素もあるという“路線バスの旅”なのである。

“旅のルール三箇条”があり、これは必ず守らなければならない。


現在、第22弾まで放送されており、
バックナンバーは以下の通り。

2007 年
10月20日 第1弾「横浜~富山」マドンナ:中島史恵

2008 年
3月22日 第2弾「東京〜京都」マドンナ:相本久美子
10月4日 第3弾「函館~宗谷岬」マドンナ:伊藤かずえ

2009 年
3月28日 第4弾「京都~広島(宮島)」マドンナ:根本りつ子
9月5日 第5弾「栃木・日光~宮城・松島」マドンナ:藤田朋子

2010 年
2月27日 第6弾「宮城県松島~青森県竜飛岬」マドンナ:山田まりや
9月4日 第7弾「青森・青森港~新潟・萬代橋」マドンナ:中山エミリ

2011 年
3月26日 第8弾「京都~出雲大社」マドンナ:川上麻衣子
7月30日 第9弾「島根県出雲~鹿児島県枕崎」マドンナ:芳本美代子
12月3日 第10弾「徳島~高知~愛媛~香川」マドンナ:遠藤久美子

2012 年
4月28日 第11弾「高松~伊勢」マドンナ:いとうまい子
9月1日 第12弾「松阪~松本城」マドンナ:加藤紀子

2013 年
1月5日 第13弾「東京・西新宿~新潟・萬代橋」マドンナ:田中律子
4月27日 第14弾「名古屋~能登半島」マドンナ:森下千里
8月31日 第15弾「米沢~大間崎」マドンナ:さとう珠緒

2014 年
1月4日 第16弾「館山~会津若松」マドンナ:ちはる
4月26日 第17弾「山口市~高知県・室戸岬」マドンナ:宮地真緒
9月13日 第18弾「静岡県・御殿場~新潟県・直江津」マドンナ:野村真美

2015 年
1月3日 第19弾「大阪・大阪城~石川・金沢兼六園」マドンナ:マルシア
6月20日 第20弾「北海道洞爺湖~知床羅臼」マドンナ:森尾由美
9月12日 第21弾「大阪・堺~三重・鳥羽」マドンナ:高橋ひとみ

2016 年
1月2日 第22弾「水戸・階楽園~長野・善光寺」マドンナ:南明奈


私はこの『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』が好きで、
年に2~3回放送されるのを心待ちにしているのだが、
これまで観たなかで最も良かったのが、
第12弾の「松坂~松本城」編。
マドンナとして加藤紀子が出ているのだが、
3人のチームワーク度、
旅のハラハラドキドキ度が最高で、
特に、加藤紀子と蛭子能収とやりとりが面白く、
爆笑しながらも、感動ももらえるという、
好い事づくめの傑作なのである。
「ローカル路線バス乗り継ぎの旅が好き」というサイトが人気投票を実施したとき、
第12弾の「松坂~松本城」編が1位を獲得し、
マドンナの人気投票でも加藤紀子が1位だったことからも、
人気度の高さが知れるだろう。
(詳しくは、コチラをご覧ください)


『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』がDVD化されたときも、
第1弾として発売されたのが、「松坂~松本城」編で、
このDVDは私も購入し、所持している。




前置きが長くなったが、
この『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』がついに映画化されたのだ。
題して『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』。


マドンナに三船美佳を迎え、
まさかの海外(台湾)ロケを行っており、
日本人に人気の台湾を、路線バスだけで縦断している。


言葉の問題、


地理的問題、


分らない路線バス事情……


様々な困難を乗り越え、
路線バスだけで台湾を縦断する中、
まさかまさかの台風21号の直撃に遭い、
バスは全線運休、
史上最大の危機に見舞われる。
はたして3人はゴールできるのか……



映画を見た感想はというと、
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』ファンの私だからかもしれないが、
かなり満足度の高い仕上がりになっていて、
面白く最後まで見ることができた。


太川陽介は、いつもにも増してリーダーシップを発揮し、
随所で好判断をしている。


台風21号が台湾を直撃し、バスが全線運休となったとき、
ジタバタせず、じっと待つ姿にリーダーとしての風格を感じた。
自由奔放な蛭子能収の個性をうまく活かしながら、
ロードムービーの面白さを最大限に引き出し得たのは、
彼の最大の功績だと思った。


海外でも蛭子能収の毒舌(?)は全開で、
各所で問題発言をして太川陽介や三船美佳にたしなめられている。
蛭子本人にすれば、思ったことをただ素直に発しているだけかもしれないが、
見ているこちらもハラハラするような言葉が多く、
それゆえに見る者に笑いももたらしてくれる。


海外でも蛭子さんのマイペースぶりは変わらず、
今回も一番笑いを提供してくれるのは彼であった。


マドンナの三船美佳は、
これまでなんとなく頼りないイメージだったが、
英語が堪能で、太川陽介と蛭子能収を手助けするシーンも多く、
明るいキャラクターと相俟って、
なかなか素敵なマドンナ役であった。


『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』は、
マドンナのキャラクターでイメージが出来上がってしまうところがあり、
暗い感じのマドンナのときは全体的に暗く、
明るい感じのマドンナのときは明るいイメージとして視聴者の心に残る。
そういう意味で、
映画版での三船美佳の起用は成功であったと思われる。


今でも三船美佳の笑顔が脳裏によみがえるほど、
彼女は、私に、好印象を残してくれた。




映画『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』を一言で表現しなさいと言われたら、
私なら「三船美佳の笑顔」と答えるだろう。


映画『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』を見ての不満は、
「歩く場面がほとんどなかった」という一点のみ。
路線バス事情の違いや台風の影響などもあり、
“歩き旅”の要素がほとんどなかったは残念であった。
“路線バスの旅”なので“歩き旅”を求めるのはおかしいとは思うが、
これまでのTV放送の流れから、
どうしても“歩き旅”を求めてしまう。
実際、“歩き旅”の部分が絵になるし面白いからだ。
(バスは、バスに乗っているだけだからね


不満はその一点だけで、
全体的に満足度の高い仕上がりになっている。
エンディングに流れる由紀さおりの歌う「人生という旅」もイイ。
作詞はきたやまおさむ(北山修)。
予告編でも少し流れるので、聴いてみて。


本作は、コアなファン狙いの要素が高いので、
上映館が極端に少ない。
九州では、福岡県3館と、熊本県1館の、計4館のみ。

【福岡県】
ユナイテッド・シネマキャナルシティ13
シネプレックス小倉
T・ジョイ久留米
【熊本県】
シネプレックス熊本


『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』をTVで一度でも観て面白いと感じた方なら、
絶対に楽しめると思います。
ぜひぜひ。

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