7年前に訪ねた沖縄に住む親友NAKAの実家がある人口1400人強の伊是名島へ、NAKAのお父さんに再会に行こうと企画した今回の旅であったが、なんとこの旅の数週間前にそのお父さんが急逝されるという訃報。
NAKAに相談の結果、お父さんの御霊前に挨拶に行くというそれを旅目的に変えて、沖縄ではなかなか手に入らないであろうと思われる芋焼酎「魔王」と「元老院」の四合瓶をカバンに詰め込み、日の出前の早朝、関空へ向かったのであった。
今回は現在NAKAが住む久米島からも色んな仲間が合流するというぼんやりした話、琉球の空の下、紺碧の海に囲まれ、ナンクルナイサー的な風に吹かれながら、オリオンビールを片手にストレスフリーの時間を持ちたいと唯々楽しみにしてきた。
しかしながら、数日前に沖縄を襲った観測史上最強という空前絶後の台風18号により、釣りの為に2日間チャーターしていたジギング船が破壊され使えないとの連絡あり。
さて一体この旅はどういう風に突き進んでいくのであろうか…
全てはNAKAに委ねる形となった。
那覇空港にてレンタカーに乗り込んだ我々は本島を名護郊外にある運天港に走らせた。
伊是名へは沖縄本島北部にある運天港から1時間ほどの船旅となる。
船に乗りオリオンビールで再会を乾杯!
伊是名島に到着しNAKAの実家へ、そこで先ずは亡きお父さんの遺影に深く頭をさげ再訪の挨拶と感謝を伝えた。
そしてNAKAに伊是名島の観光案内をクルマで連れて行ってもらった。
前回の訪問時に買出しによく使わせてもらっていた島一番の売上を誇るスーパー「吉田ストア」は健在であった。
その当時、NAKAのお兄さん嫁のお腹にいた子供が今やイガグリ頭のヤンチャ坊主になっていた。
伊是名は皆んなで仲良く酒を飲むしきたりがあるようで、知人や友人、誰もが集まってきてそのまま混じって『皆んなで呑めば楽しいさー』的な飲み会になり、その宴会の主旨などはどうでもよくなってしまう流れなのであった。
今回集まった皆んなでBBQしようと滞在しているNAKA実家の軒先で準備をしたりしていると、NAKAの歳が大きく離れた長男と次男のお兄さんがやってきてテーブルで飲み始め、そしてそこにそのお兄さん方の友人らがどんどん増えてきてテーブルを囲み、当の準備をした僕らはお兄さんや見知らぬお兄さんの友人らのために焼いた肉やら、釣った魚をテーブルに並べ、酔っ払って何を話してるのか意味不明の方言に相槌を打ちながら隅っこのブロックなどに腰掛けて飲むという塩梅なのだ。
田舎の島が故、このような年功序列制度が残っているのか、なんだか正直ちと首を傾げる部分もあったのだが、これがここの流儀なのであろうと思うようにした。
そしてこの日も、翌日も、また翌日もみんなヘベレケになるまで泡盛を飲み続けたのであった。
「 早寝早起き朝ごはん〜♩」
朝6時半になると、突然、町営放送でこの曲がかなりの音量で流れ始める。
島民達の朝の合図なのである。
伊是名での釣りは結局2日間、船を出すことが出来たのだが、両日とも秋雨前線の影響により海況には恵まれずかなりのウネリとの戦いでもあった。
そもそもジギングを行う乗合船が島で1隻しかないこの島でチャーターしてもらった船は釣り船ではなく、また伊是名島周辺の地形も決してジギングに向いたものではないようであった。
そんな中、初日は少しジギングを試みてはみるもののなしのつぶて、それから船長のアドバイスによりタイラバに変更すると浅場でアカハタがパタパタと釣れ始めた。大きくても40センチに届かない高級魚である。
それはそれで楽しいのだが、なぜかアカハタしか釣れないのであった。
翌日は仲間6人で同じチャーター船に乗り込んだ。この日はハナからジギングをあきらめて皆んなにはタイラバの仕掛けを作成し釣り方を説明した後、僕は胴突き落とし込みの仕掛けにて釣れたハマフエフキやオジサンを船上で捌いて切り身にしたものを餌に竿を落とした。
やはり活き締めして捌いたばかりの魚の切り身は抜群に強かった。
タックルを落とすとほぼ着底して直ぐに何かが僕の餌を突き始めるのだ。ツンツンとくるこれらのアタリを取るのを我慢してその後のグン!という引きに合わせるとロッドが大きくしなるのである。
この日はナンヨウカイワリや大きなシロダイ、タマンらが僕のオシアジガーのドラグを鳴らしてくれたのであった。
これからは僕のジギング用ドカットケースに必ず一つは落とし込みサビキの仕掛けを用意しておこうと心に決めた。
釣った魚は皆んなで鱗を取って、内臓を取り、三枚におろして刺身にしたり焼いたりして食べた。とても美味かった。
やはり自分達で釣り上げた魚が最高なのである!
僕は皆んなより酒が弱いのであろう、また釣りに注力しすぎたのかいつも誰よりも早く、午後10-11時頃にはひとり先に沈没してしまう今回の旅であった。
夜中ふと目を覚ますと、雑魚寝している皆んなのイビキや寝言の中、僕のそばの網戸を月光に映されたヤモリの影がゆっくりと動きながらギーギーと鳴くのだ。
そして僕はひとり暗い中、皆んなを踏まないように注意して台所へ移動し、家の外にあるクーラーボックスに残ってあるオリオンビールを一缶飲み干してからまた布団に戻るのであった。
ヒージャーと呼ばれる「山羊肉の刺身」を宴会2日目の夜にNAKAの上から3番目のお兄さんが皆んなには振る舞ってくれたのだが、これの美味いこと美味いこと!
釣りに関しては決して満足のいくものではなかったが、伊是名島での皆んなとの時間は最高であった。
那覇からの帰りに予約していたPEACH航空のフライトが突然欠航という事態に焦ったが、どうにかこうにかJALの片道チケットを手にする事が出来て本当にホッとした。
又、久米島に戻るフライト時刻を勘違いしていたNAKAがその後のフライトのキャンセル待ちをする羽目になるというドタバタな旅の結末となった。
その後、NAKAから連絡がありキャンセル待ちは乗れずじまい、更にはエアチケットも紛失、那覇に一泊し翌朝のフェリーで帰らざる得ないとの報。
これもきっと死ぬまで忘れない記憶の一コマとなるであろう… PEACHの呪いとのNAKA言
しかし今回もNAKAには本当に感謝している。
20歳より28年という長いつきあいにてこのように心許せる親友がいてくれるという事、これは僕の人生の宝物といえよう。
たくさんの笑顔と、たくさんの感謝と、たくさんの酔っぱらいと、たくさんの意味のわからない方言と、そしてたくさんのナンクルナイサー的な沖縄の風を胸一杯に吸い込んで、僕はまた明日からカツンと前に向いて歩いていこうと思う。
次の再会を楽しみに〜
伊是名万歳!
TACK
11/10/2016記