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独占! 北朝鮮高官の証言「我々は日本海側の原発を狙う」

2017-10-17 12:09:40 | Weblog
(10/16 『週刊現代』特別編集委員 現代ビジネス)

    日本政界の混乱の合間に、米朝がにわかに一触即発にな
    ってきた。北朝鮮の次なる一手は、太平洋上でのミサイル
    水爆実験だという。朝鮮労働党幹部の生々しい声を、独占
    でお伝えする。
    「トランプは一線を超えた」
    先月9月は、アメリカと北朝鮮の対立が最高潮に達した「悪
    夢の月」だった。
    3日に北朝鮮が、6度目の核実験(水爆実験)を強行。15日
    には、北海道上空を通過する「火星12型」中距離弾道ミサ
    イルを発射した。
    こうした事態に、トランプ米大統領が19日の国連総会で、
    金正恩委員長を「ロケットマン」と呼び、「完全破壊する」と
    警告。2日後の21日には、今度は金正恩委員長が前例のな
    い声明文を発表し、「超強硬的対抗措置」を予告した。さら
    に、国連総会出席のためニューヨークを訪れた北朝鮮の
    李容浩外相が、「太平洋で水爆実験を行う」ことに言及―。
    そんな中、本誌は北京と平壌を往復する人物に託す形で、
    朝鮮労働党幹部のホンネを聞いた。
    以下は、その一問一答である。

Q.エスカレートする一方の米朝対立だが、金正恩政権の内部で
  は、アメリカとの対立の激化を、どう捉えているのか?
 <A> これまでわれわれは、アメリカがわが国に対して、国連
   安保理を通じて、もしくは独自に経済制裁を科すたびに、怒り
   にかられてきた。だがそれでも、最後の一線は保ってきた。
   だからこそ、8月(14日)に元帥様(金正恩委員長)が(朝鮮人
   民軍)戦略軍司令部を視察された際、『(アメリカの)行動をも
   う少し見守ることにしよう』と仰ったのだ。 だが、トランプが国
   連総会で行った、あの憎むべき演説で、すべてが変わった。
   あの演説は、わが国に対する『宣戦布告』に等しい。 あの日
   を機に平壌は、もはや米帝との戦争しか道はないという雰囲
   気に一変した。 共和国(北朝鮮)の国民は、全員が準軍人と
   言ってもよく、戦争の準備は常に整っている。たとえ中国に逃
   亡する国民が少々いたとしても、その者たちは思想が固まっ
   ていない連中なので、勝手に出て行けばよい。

Q.具体的には、トランプ大統領の国連演説のどの部分が、北朝鮮
  をして「宣戦布告」と思わしめたのか?
 <A> それは2点ある。第一に、元帥様の声明の通りだ。すなわ
   ち、『わが国の完全破壊という、歴代のどのアメリカ大統領の
   口からも聞いたことがない、前代未聞の無知蒙昧かつ狂人的
   な言葉を吐き続けた』ことだ。
   もう一つは、(23日に)李容浩外相が国連総会の演説で述べ
   たように、『わが国家の最高尊厳(金正恩委員長)を、ロケット
   になぞらえて冒涜した』ことだ。 このような最高尊厳に対する
   冒涜も、これまで歴代のどのアメリカ大統領の口からも、聞い
   たことがない。
   トランプは、わが国家及び国家の最高尊厳を、国連総会とい
   う世界最高の公の外交舞台で踏みにじったのだ。 これは、
   それまでのようにトランプが、自分のオフィスで即興的に、周
   囲に向かって吐き捨てていたものとは、根本的に意味合いが
   異なる。まさにわが国に対する宣戦布告だ。

Q.それで北朝鮮としても、前代未聞の金正恩委員長の声明という
  形を取ったのか?
 <A> あのトランプ発言を聞いて、怒り心頭に発した元帥様の
   ご心情は、察して余りある。 それで元帥様は、直ちに最高幹
   部たちを招集して、トランプ演説に対抗する声明文の作成に取
   りかかった。草稿が完成してからも、元帥様ご本人が入念に
   推敲されたと聞いている。

Q.その声明文には、「われわれは史上最高の超強硬的対応措置
  の断行を、慎重に考慮していく」と書かれている。
  金正恩委員長が言う「超強硬的対応措置」とは、具体的には何
  を意味するのか?
 <A> それは李容浩外相が、(9月22日に)ニューヨークで発言
   しているではないか。『過去最大の水爆実験を太平洋上で行
   うことになる』と。李外相の発言の通りだ。

Q.水爆実験は、今年中に行うのか?
 <A> すべては元帥様のお心次第だが、早期に実施するよう
   準備を進めている。これは、宣戦布告されたわが国のトランプ
   への報復であり、自衛の権利なのだ。 水爆は、ロケットに搭
   載して太平洋上に飛ばす。わが国が、核を搭載したロケットを
   長距離飛ばせることを、米帝と世界に示す。
   この最大規模の水爆実験は、正々堂々と行う。わが国の然る
   べき場所にロケットの発射台を設けて、発射の準備を進める。
   (ロンドンにある)国際海事機関にも、ロケットを発射する期間
   と区域を、きちんと申告する。

Q.「太平洋上」とは、どこになるのか?8月9日、朝鮮中央通信は、
  「日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過して、グアムま
  で到達する中距離弾道ミサイル4発を、グアムに向けて発射す
  る計画を立てる」と発表している。狙いはグアムなのか?
 <A> われわれのロケット発射計画は、常に緻密な計算のもと
   に行われている。ロケットがグアムまで届くことは、すでに証明
   しているので、もう十分だろう。 われわれの目標は、アメリカ
   本土まで到達する核ロケットを、実戦配備することだ。だから
   これから行う水爆実験は、ハワイとアメリカ西海岸を見定めた
   北太平洋に向けて発射する。

Q.ハワイやアメリカ本土を攻撃するつもりなのか?
 <A> 攻撃ではない。あくまでも、攻撃できる能力を示すための
   発射実験だ。 われわれは、米帝を攻撃したいのではなく、先
   軍政治(軍事最優先の政治)によって強盛大国(軍事大国)に
   なったことを証明し、対等の立場で米帝と交渉したいのだ。
   一連の実験は、米帝によるわが国の体制転覆や、米帝が言う
   ところの『斬首作戦』(金正恩委員長の暗殺)を抑止するため
   の手段だ。

Q.そうは言っても、北朝鮮がハワイや西海岸近くに水爆を搭載し
  たICBM(大陸間弾道ミサイル)を撃ち込めば、アメリカは黙って
  いないだろう。そもそも発射前に、北朝鮮国内に設置された発
  射台を空爆する可能性がある。
<A> もしわが国のロケット発射台が米帝に空爆されたなら、即
  刻、米帝との全面戦争に打って出るまでだ。
  まずは、ソウルを火の海にしてやる。無数の砲門がソウルを向
  いて国境付近に配備されていることを忘れてはならない。
  続いて、南(韓国)や日本にある米軍基地を、一斉に攻撃する。
  もちろん、米西海岸の大都市に向けても、ロケットを放つ。たと
  え一発であっても、米大陸に届かせてやろうというのが、元帥
  様の一貫したお考えだ。

Q.日本に対しては、どこに狙いを定めているのか?
 <A> 第一に首都圏の横須賀基地、第二にわが国への攻撃に
   利用される在日米軍基地、そして第三に、日本海側に広がる
   原発だ。
   日本が、全面的に米帝と一心同体だと言って加担するなら、
   われわれは日本を米帝の一部とみなし、日本にもミサイルの
   雨を降らせるだろう。

Q.北朝鮮が開戦したら、アメリカ軍が北朝鮮全土を一斉砲撃し、
  たちまち金正恩政権が消滅するのは確実だが。
 <A> 最終的な結末が、どうなるかは知らない。だがそうなる前
   に、全面的な反撃を行い、わが国の尊厳を世界に顕示する。
   ともかく、トランプの国連演説によって、わが国の最高尊厳の
   メンツが汚されたのだ。 お返しに、われわれが誇り高くロケッ
   トの発射台を設置して、果たしてトランプが引き続き強気のホ
   ラを吹き続けられるかどうかを、見定めてやろうではないか。

Q.このまま米朝の対立がエスカレートしていけば、北朝鮮と深い
  関係にある2大国、すなわち中国とロシアが、仲介に乗り出すの
  ではないか?
 <A> 中ロの仲介は、さほど期待していない。 なぜなら、まず
   わが国と中国の習近平政権との関係は、将軍様(金正日総書
   記)と胡錦濤政権の蜜月時代とは隔世の感がある。 中国の
   国有銀行は最近、中国各地にあるわが国の大口預金を、何
   の予告もなく一斉に凍結してしまった。もしわが国が米帝と開
   戦したら、(中朝)軍事同盟を口実に、鴨緑江を渡って侵略し
   てくるかもしれない。 そんな信用ならない国に、わが国の浮
   沈がかかった重要事を託せるはずもない。
   また、ロシアのプーチン政権とは、このところ大変良好な関係
   を築いていて、プーチン大統領の年内の訪朝を、重ねて要請
   している。 だが問題は、ロシアと米帝との関係が悪いことだ。
   いまのロ米関係を考えると、やはりプーチン政権に調停役を
   求めるのは、荷が重いだろう。
   その他、南(韓国)の文在寅政権は、話にならない。
   日本の安倍晋三政権も同様だ。日本はかつて、米帝に追い
   詰められて米帝と戦争した過去があるというのに、いまや米
   帝の手先となって、わが国を圧殺しようとしている。日本はま
   ったく歴史を教訓としていない。
   ともかく、いま起こっている問題は、わが国と米帝とが、2国間
   で向かい合って解決していくしか方法はないのだ。

Q.1994年の第一次北朝鮮核危機の時は、最終盤でカーター元大
  統領が、クリントン大統領特使として訪朝し、間一髪で米朝開戦
  を回避した。 今回も、トランプ大統領が特使を派遣することは
  考えられるか? 派遣するとしたら誰になるのか?
 <A> 平壌に特使が来るとしたら、おそらくティラーソン国務長
   官になるだろう。いまのトランプの周辺で、わが国が受け入れ
   可能な高官は、ティラーソンしか見当たらないからだ。
   その際には、わが国はリ・スヨン外交委員長が中心になって、
   応対することになるだろう。 だが、これは米帝に強調しておき
   たいが、ティラーソンが平壌へ来るとしても、チャンスはたった
   一回だけだ。

Q.ティラーソン国務長官が訪朝した際には、北朝鮮はアメリカに
  何を求めるのか?
 <A> 求めることは、主に2点だ。
   第一に、わが国を核保有国と認定すること。米帝やロシア、中
   国、フランス、イギリスのいわゆる5大国、それにインドやパキ
   スタンまで核保有国と認められているのに、わが国だけダメと
   いうのは、どうしても納得できない。
   わが国は自衛の手段として、どうあっても核保有国として生き
   ていく。そのことを認めてもらわねばならない。
   もう一点は、わが国と米帝とで、朝鮮戦争の休戦協定に代わ
   る平和協定を締結することだ。平和協定の締結に向けて当事
   者同士が行動を起こすことこそが、朝鮮半島の平和への早道
   なのだ。


     近藤大介: アジア取材をライフワークとする。
     新著『大国の暴走』(渡部恒雄氏、小泉悠氏との共著)他
     24冊の著書がある。