独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

水爆の内部構造

2006年11月10日 09時39分38秒 | 軍事
めずらしい図面を見た。
米国の「Mark15 Mod3 」型熱核爆弾(水素爆弾)の断面図だ。
核兵器の仕組みについて知識があれば核問題についての報道を理解しやすい。そのための参考になればと考えて多少の解説を加える。
なお、このような図面の公開に違法性がないのかどうか私は知らないが、Technobahnに掲載されているのだから大丈夫だろうと考えることにした。

Wikipediaによると、水爆の構造は
「 回転楕円体をした弾殻内の一方の焦点に雷管の原爆が置かれ、もう一方の焦点に熱核材料が置かれる。原爆の爆発により放出された膨大なX線やガンマ線が弾殻の球面に反射して熱核材料に集中し、超高温に加熱すると同時に超高密度に圧縮し、核融合反応が起こって水爆の爆発となるのである。主に核融合のエネルギー源となるのは重水素であり、重水素化リチウムの形で使用される」。

大変わかりにくい解説だが、要するに、原爆が引き金となって水爆を爆発させるわけだ。
図面の上部に球状の物体がある。これが原爆だ。
長崎に投下された原爆はこの部分が単独で用いられた。
北朝鮮の核も原爆であって、水爆ではない。
原爆の下にある円筒状の部分が水爆の本体であり、重水素化リチウムが詰めてある。

以下、原爆について少し詳しく説明する。
原爆の中心部にはプルトニウムの中空の球体が置かれている。大きさはソフトボール程度。その周囲のクリーム色の部分は高性能火薬で、多数の小室に分かれている。各小室には棒状の雷管が挿入されている(図面では6本が見える)。
火薬を爆発させると、中空の球体は圧縮されてピンポン球程度の大きさになる。
この過程を爆縮 implosion と呼ぶ。
ピンポン球に圧縮されたプルトニウムは臨界に達し、核分裂が連鎖的に起き、核爆発にいたる。

爆縮は大変むずかしい技術で、小室に分かれた爆薬を完全に同時に爆発させないと、ゆがんだピンポン球になってしまい、小規模な核爆発で終わる。
北朝鮮の実験は失敗だったと言われているが、たぶんこの爆縮がうまくいかなかったのだろう。
爆縮の技術を確立するには、ダミーの金属球を用いた模擬実験が繰り返し行われる。北朝鮮はこの実験を140回程度行ったとされる。
なお、北朝鮮の核実験が失敗した原因として、火薬の性能が低かったという可能性も考えられる。


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