スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ちぎり賞争奪戦&『知の教科書 スピノザ』

2016-08-28 19:31:12 | 競輪
 被災地支援競輪として実施された豊橋記念の決勝。並びは金子‐吉沢‐神山の栃木茨城,山賀‐江守‐望月の南関東,三谷‐松岡‐大坪の西日本。
 山賀がスタートを取って前受け。4番手に三谷,7番手に金子の周回。残り3周のバックから三谷が前との車間を開け始め,コーナーから金子が発進。三谷は飛びつかず,ホームで金子が山賀を叩き,4番手に三谷,7番手に山賀の一列棒状に。この隊列が打鐘,ホーム,バックと変わらず,最終コーナーの手前で吉沢が番手捲り。展開絶好となった吉沢がそのまま優勝。三谷の後ろからコーナーでインを回り,直線で神山と三谷の間を割った松岡が1車身半差の2着。吉沢マークの神山はつきバテで外を回った三谷が1車身半差の3着。
 優勝した茨城の吉沢純平選手は記念競輪初優勝。この開催のシリーズリーダーは地元の深谷と金子貴志でしたが準決勝で共倒れ。この結果,金子の番手を得た吉沢に大きなチャンスが到来しました。金子と吉沢は年齢は離れていますが同期。3番手で折り合った神山が金子と同県。三谷や山賀は先行を得意とするタイプではありませんから,今日のような展開は大いに予想されたところ。それにしても残り1周のバックの時点でまだ一列棒状だったのですから,少し恵まれ過ぎたような感はあります。101期の新鋭とはいえ31歳ですから,そんなにゆっくり構えている時間はないかもしれません。ひとつの目標を達成し,次はビッグで決勝進出,そして優勝ということになるでしょう。

 『知の教科書 スピノザ』は2007年にチャールズ・ジャレットによって書かれたもの。石垣憲一という翻訳家により昨年1月に講談社選書として日本語版が出版されました。
                                    
 すでに指摘した第七章の中で,第四部定理一五証明であるべき部分が第五部とされている部分のほかに,もうひとつ注意しなければならない部分があります。第五章で第一部定理三二および第一部定理三二系一について説明されている部分で,スピノザが神Deusが自由意志によって行動すると主張していると解せる部分があります。ですがこれらの定理Propositioと系Corollariumから明白なように,実際にスピノザが主張しているのは逆です。これは誤植か誤訳でしょう。
 この本は帯とは違い,『エチカ』に限定されたものではありません。ただ全11章のうち6章は『エチカ』に与えられているので,『エチカ』を中心とした解説書といっていいでしょう。序文の冒頭部分で,この本はスピノザの哲学の入門書であると書いてあります。ですが僕はこの本は入門書としてはまったく推薦できません。単純に内容に難しいところが含まれているのは事実ですが,それを別としても,ふたつほど問題があると考えるからです。
 ひとつは,ジャレットは少し変わった観点を含めて解説書を書こうとしています。ですがこうした観点というのは,スピノザの哲学においては不可能なことを可能にしようとしているように僕には思えるからです。
 もうひとつは訳語上の問題です。訳者はたぶんスピノザの哲学にはさほど詳しくないのではないかと思うのですが,もしかしたらその影響で,この本を入門書として読んでスピノザの哲学を学ぼうとする場合には,戸惑うことになると思われる訳が含まれています。これらふたつの点については,後で詳しく説明していきましょう。
 著作として全面的に否定しているわけではありません。入門書としては推薦できないだけです。『人と思想 スピノザ』とか『スピノザの世界』など,日本人が書いた優れた入門書がありますから,初心者はそちらを読んだ方がよいでしょう。ですがある程度までスピノザの哲学の知識を得たら,読んで損をすることはない内容のものだと思います。
コメント
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