スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典ダイオライト記念&個物の本性

2012-03-14 18:44:07 | 地方競馬
 東日本大震災の影響で昨年は5月に実施された第57回ダイオライト記念
 好発は外の2頭で,フリオーソの逃げになったのは事前に予期された展開のひとつ。1周目の正面に入るとランフォルセが1馬身差の2番手まで追い上げ,さらに1馬身差の3番手にワンダーアキュート。4番手以下が大きく離されての追走となりました。最初の1000mは62秒5で,この距離のレースとしては超ハイペースといっていいでしょう。
 前の3頭は同じ順位で直線に。まずランフォルセがフリオーソを交わして先頭に立つと,フリオーソは一杯。ワンダーアキュートが2番手に上がりましたが,ゴール100mほど手前で一気に脚が上がりました。そこに4番手以下の集団を形成していたピイラニハイウェイとトーセンルーチェが外から並んで襲い掛かると,ワンダーアキュートを交わしランフォルセにも迫りました。しかし一杯に凌いだランフォルセが優勝。ピイラニハイウェイが2着でトーセンルーチェが3着。実力では上位と目された2頭が揃って沈み,大波乱といっていい結果でしょう。
 優勝したランフォルセは昨年9月のエルムステークス以来の重賞2勝目。能力自体は8枠2頭の方が上と思いますが,今日の体調面では明らかにアドバンテージがありました。中距離で戦っていますが,長距離の適性も,おそらくその2頭より上回っていたのでしょう。とはいえライバル2頭を潰して,伏兵の追撃も凌いだのですから,かなり強い内容といってよく,価値ある勝利と思います。父はシンボリクリスエスで,半弟に昨年のアーリントンカップを勝っている現役のノーザンリバー,甥は2009年JRA賞最優秀3歳牡馬で現役のロジユニヴァース。Renforcerは音楽用語で,ますます強く。確かにだんだんと強くなってきている馬です。
 騎乗した横山典弘騎手は第41回以来のダイオライト記念2勝目。管理している萩原清調教師は初勝利です。

 僕が知っている限りでということになりますが,個物res singularisが現実的に存在するといわれるとき,その存在する個物の本性essentiaに,その個物が持続するdurareものであるということが含まれているの否かを最も真正面から探求の切り口にしているのは,ヨベルYirmiyahu Yovelです。ただ,ヨベルがそのことを展開する文脈というのは,現在の僕の考察とは,無関係であるとはいいませんが,はっきりと異なっています。ですからここではそのヨベルの訴訟過程の全体については言及しません。これは『スピノザ 異端の系譜Spinoza and Other Heretics : The Marrano of reason』の第一部の第六章,とりわけ「世俗的な救済としての第三の認識」という項で扱われていますから,関心がある場合にはその部分をお読みください。
                         
 結論だけいえば,ヨベルは現実的に存在する個物の本性には持続duratioが含まれると考えるべきであると主張します。そして僕も,その主張には同意します。ただ,僕が理解する限りでは,ヨベルがそのように主張する根拠というのは,現実的に存在する個物の本性にはその個物の持続が属さないと理解する場合に,『エチカ』の全体,ひいてはスピノザの哲学にもたらす影響と,そうではなくて現実的に存在する個物の本性にその個物の持続が属するとした場合の同種の影響では,後者の影響の方が少ないからそう考えるべきであるというような導き方になっていて,論拠としてはやや消極的な面が否めないと思います。僕も確かにヨベルが主張するように,個物の本性にその個物の持続が属すると考えた場合に,ある難点が生じてしまうということには同意します。しかし僕はこの点に関しては,むしろ積極的な論拠から,現実的に存在する個物の本性にその持続が含まれると考えています。
 その論拠というのが第二部定理四四系二証明の,僕が補足として捕えている部分です。すなわち,共通概念notiones communesは個物の本性を構成しないから,永遠aeterunusという観点から認識cognitioという作用をなすことが理性ratioの本性に属するとスピノザが主張するのであれば,これを逆に考えれば,ある個物の本性の認識という作用には,持続の観点が含まれていなければならないということになると僕は考えます。つまりそれは,個物の本性にはその個物の持続が含まれているという意味だろうと判断するのです。
コメント
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