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福岡のバスのことなど・・

see the light of day(5)

2013年01月11日 |    ┣ 思惑と提案
(つづき)
このブログも、開始から既に8年弱が経過しており、過去に書いたことを自分でも忘れていることが多々ある。
あとから読み返してみて、「結構いいこと書いてるじゃん」と思うこともごくたまにある(←完全なる自画自賛ですが(笑))。

年末年始の予約投稿が一段落し、この先、このブログをどうしていこうかという展開がいまいち見えていない状況なので、久々に、過去記事に光を当ててみたい

今回は、過去に書いた記事たちの一部をつなぎ合わせて、福岡の路線バスの短~中期的な展望をしてみたいと思う。
なお、いろんな時点の記事をつなぎ合わせているため、現状に即していない箇所もあると思います(気付いたところは注記しています)。
また、過去記事へのリンクは今回は省略します。

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1.市域の「大きさ」と路線バス

(1)春日市のバス路線網

全国有数の人口密度を誇る春日市だが、バス路線の密度もとても高い。

春日市の西鉄バスの路線網を大まかに見ると、
「2番」が市のほぼ中央部を東西に横断し、
「42番」が市のやや西側を南北に縦貫し、
「45番」が北部をL字型に走り、
「6番」が市の南部を逆L字型に走り、
「1番」が「2番」と「6番」を補完するようなルートで走っている。
(なお、ここでの方角は「福岡仕様」というか「西鉄仕様」なので、実際の方角とはややズレがあります)。

そして、上記の西鉄バスが走っていないエリアにコミュニティバス「やよい」の5路線がくまなく走っている。
これを、例えば福岡市南区に当てはめてみるならば、高宮駅~高宮三丁目・四丁目~大池~寺塚方面【※1】や、南大橋地区や、柏原2~3丁目の丘陵地の住宅地や、老司大池周辺など、現在バスが走っていない地域にも全てバスが通っているようなイメージである。

春日市のように、人口密度が高く、都市部と山間部・農村部のような人口の偏りがなく市のほぼ全域に人が住んでいるような都市だからこそ、このような系統だったシステムが成り立ち得るといえるのかもしれない。

現在、春日市では、上白水のゴルフ場の一部を開発して住宅団地と商業施設が整備中だが、いずれはそこにも「やよい」が乗り入れることになるかもしれない。
ただ、現在の「やよい」は5路線ともに一周の所要時間が同じ(35分)に揃えられていることから、ひとつの路線のルートを変えるだけでも、全線で見直しが必要になりそうだけど。

仮に、福岡市の各区が市の中のひとつの区ではなく、独立した「市」だったとしたら、現在バスが走っていないエリアにも、もっときめ細かにバス路線が通っていたかもしれない。
そう考えると、自治体の「規模」というのは、「大きければいい」というものでもないと言えるのかもしれない。
もちろん、コミュニティバスを走らせるだけの財政基盤を持つという意味では「規模」は必要なのだけど。

(2)福岡市の新局面

「規模」という点では春日市と対極にある福岡市においても、昨年から「コミュニティバス(的なもの)」が運行を始めている。
なお、自治体が運行しなくとも「コミュニティバス」と呼ぶケースも多く、「コミュニティバス」の定義がいまいちよくわからないので、感覚的に「通常はバスが通らないような道路」に「通常よりも小さいサイズのバス」が乗り入れ、都心と郊外を結びつけるのではなく「地域内の移動を助ける」ような動きをするバスのことを「コミュニティバス(的なもの)」と呼ぶことにする。

「橋本駅循環バス」「美和台コミュニティバス」は現状は試行運行のみで終了している状況だが、「長丘~高宮循環バス」については試行期間を延長して、運行が継続されている。

「長丘~高宮循環バス」についてみると、福岡市は、主に北側で海に面しているため、必然的に“北に向かって低い土地”が多くなるのだが、今回「循環バス」が走るエリアには、市内では相対的に希少な“南に向かって低い土地”が多いことから、従来、住宅地として好まれてきた。
ただ、時代は流れ高齢化が進み、坂の上り下りが敬遠されるようになり、また、良好な住宅地であるが故のそれぞれの画地規模の大きさが現在の市場に適合しにくくなり、人の動きや世代交代が停滞気味となっていた面があることは否めない。
今回の「循環バス」の運行により、この地域の移動を手助けして回遊性が高まり、人々の活動が活発化することを期待したいと思う。

また、バス空白地帯、交通弱者…などの問題は何も郊外部だけの問題ではなく、都心部に近いところでも発生していると思うので、例えば、

「ゆめタウン博多~東浜~東区役所前~県立図書館前~網屋町~九大前~箱崎駅東口~筥松小学校前~社領二丁目~社領一丁目~米田団地~吉塚営業所前~吉塚駅前~吉塚駅東口~吉塚小学校~吉塚三丁目~堅粕三丁目~博多駅入口~堅粕三丁目~(往路と同ルートでゆめタウン博多まで)」

…みたいな「コミュニティバス(的なもの)」(あくまで例ですが)も検討の余地があるのではないだろうか。

「バス」という交通手段に目が向き、路線開設の機運が高まるのは良いことだと思うが、一過性のブームのようになって「乱立」してしまうのも非効率であり問題である。
小学校区など「コミュニティ」単独ではなく、複数の「コミュニティ」を跨いだ「調整」が行えるかというのも、今後の課題になってくるのではないだろうか。

こう考えると、福岡市内の路線で廃止が検討されている「賀茂線」についても、「廃止か存続か」の二者択一ではなく、「コミュニティバス(的なもの)」への転換など、車両サイズや運行ルートの変更などにつき、真っ先に議論すべきだったのではないだろうかという思いをより強くする。
例えば、原団地内→原→原往還〔イオン〕→原八丁目→賀茂一丁目→賀茂四角→賀茂二丁目→野芥駅〔グルメシティ・福西会病院〕→城南郵便局→干隈→大坪→星の原団地〔複乗〕→賀茂四角→賀茂一丁目→原八丁目→原往還〔イオン〕→原→原団地内…のような地域密着ルートにするとか。

また、市の補助金が入っている早良区山間部の「椎原~脇山小~陽光台~曲渕」や、東区の「志賀島(勝馬)~西戸崎駅」、また、昭和バスを引き継いだ西区の「三陽高校~下山門団地~姪浜駅」などについても、存続に向けた「ダウンサイジング」についてまずは検討すべきなのではないだろうか。


2.市域の「境」と路線バス

(1)総論

各自治体の中をきめ細かいルートで結んで住民のニーズに応えること自体は決して間違いではなく、それが功を奏している例も多いと思う。
ただ、それによって、自治体を跨ぐ移動が困難になっていくことに対しては、もう少し目を向けてほしい気がする。
「となり町の大型商業施設や病院に行きたいけど、バスがない」ということはよくあることであり、「住民サービス」という観点からも、広域的な移動手段という視点も忘れないでいてほしい。 

春日市の徳洲会病院への「45-1番」の福岡市側からの乗り入れなどは、そのようなニーズに応えるものであるといえ、今後、西鉄バスが生きていくための選択肢のひとつとして、もっと積極的に検討していく余地があるのではないだろうか。

例えば、「72番」の古賀橋トリアス行きを、新宮町の「佐屋」まで延長して、「マリンクス」や「高速立花山」との乗り継ぎを可能にするとか…(「需要」という点では、まず実現は困難そうですが…。あくまで「例えば」です)【※2】。
また、例えば、「まほろば」「まどか」「やよい」「かわせみ」という、隣接する市町を運行するコミュニティバスを横断的に繋ぐ「幹線」的なものが一本あれば、各「支線」の利用ももっと増えるのではないだろうか。

春日市の白水ヶ丘地区と那珂川町の観晴が丘地区を跨いで運行していた「49番」の観晴が丘系統についても、特にこの付近は、白水池と月の浦の間で開発が行われており、人口ももう少し増えそうなので、「撤退」を考え直してもいいのでは?…というのは、あくまで個人的な見解です【※3】。

(2)筑紫野市と筑紫野市の問題

「筑紫駅~JR原田駅~希みが丘~美鈴が丘~三国が丘駅」という筑紫野市と小郡市を結んでいた路線の廃止により、小郡市側については、西鉄のバス停を地元のコミュニティバスが引き継いでいる。

小郡市側のコミュニティバスは、市域内のみの運行で、かつ、便数も非常に少ない。
小郡市内の「美鈴が丘」「希みが丘」などの住宅地から、筑紫野市にある商業施設ベレッサ(旧筑紫野とうきゅうショッピングセンター)やJR原田駅に行くことができなくなり、住民から改善を求める声があがっていた。
それを受け、自治会が独自で運行する住民用のミニバン「ベレッサ号」の運行がスタートしている。
「ベレッサ号」は、「美鈴が丘」「希みが丘」それぞれ週2日ずつ、一日4便が運行されているとのこと(運転手さんはボランティアだそうです)。

小郡・筑紫野ニュータウンは、文字通り、小郡市と筑紫野市に跨る大規模な住宅団地であり、美しが丘、光が丘、希みが丘、美鈴が丘などが一体となって一つのまちを形成している。
筑紫野市側であろうが小郡市側であろうが、住民が利用する駅や商業施設は多くが共通している訳だから、自治体の境界を理由に利便性が損なわれるというのはかなり理不尽なものを感じてしまう。
西鉄が開発した住宅団地が多く含まれる地区であるにもかかわらず、住民の方(かた)がバスのことでここまで苦労しないといけないというのは、なんだかやりきれない感じもする。
まあ、西鉄が開発した住宅団地を走る路線であるにもかかわらず、「利用者が少ないから」という理由でさっさと廃止にしてしまったことのほうが問題なのかもしれないけど。

西鉄の路線バス廃止後の公共交通のあり方については、本来であれば、小郡市と筑紫野市が連携して協議すべき問題ではないかと思う。
ゆくゆくは、「隣接する筑紫野市と共同でコミュニティバスを運行」…みたいになって、この苦労が報われればいいなと思う。

(3)まとめ?

コミュニティバスへの移管は、今後もますます進んでいくと思われるが、その中で、「コミュニティバスでは手が届きにくいところ」には、まだまだ西鉄バスの需要が残っているのではないかと思う。
「国境は人間が勝手にひいたものであって、実際の地球の上には線なんてない」というような内容は、メッセージソングなどにありがちなテーマだが、バスについても同じようなことが言えそうである。

【注】
※1 「長丘~高宮循環バス」として実現
※2 「72番」の古賀橋トリアス行きは現存しません
※3 「49番」の観晴が丘系統も、結局廃止されています
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(つづく)

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