人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

鉄人がやって来た!

2016-04-06 19:15:59 | 回想
人生は何かに夢中になることで開かれてきますね。
夢中になるとは”我を忘れる”という事です。
私の物心ついてからの歴史のフタ開けも夢中になったことから始まりました。
おそらく多くの人にとってもそうであるように、それはマンガとの出会いでした。
初めて夢中になって読んだのは、主に横山光輝先生のロボットマンガの歴史的傑作「鉄人28号」で、昭和39年の今頃でした。その頃私の歴史が一斉に開き初め、記憶が鮮明に浮かび上がってくるのです。(その年の後半は手塚治虫先生の同じく傑作「鉄腕アトム」に興味が移っていきました。)
「鉄人28号」は確かアニメのテレビ放映とほとんど同時進行で読んでいた記憶が有ります。
私の歴史開示は、そのアニメの冒頭の「グリコ」のCMから始まる、テーマ・ミュージックと共にあったと言ってもいいかも知れません。
夜のビル街に”ノッシ、ノッシ”とヤツがキターッ!”Gao!”という感じで…
(しかし…私はグリコより、明治のサイコロキャラメルの方が好きなのでした…ガチョーン!)
鉄人28号は何度かリメイクされているそうですが、これはオリジナル版です。
私が鮮烈に印象に残っているのは、”善か悪か”微妙な立ち位置の天才科学者、不乱拳(フランケン)博士の登場からでした。
そうです。この作品は随所に「フランケンシュタイン」へのオマージュが見られるのです。
まず、博士の”試作品”として、人造人間”モンスター”が登場することからして、もうお約束という感じです。
このモンスター、単独で出現する時こそ、文字通り怪物的存在感を示すものの、鉄人の前ではサイズ不足のため形無しなのです。いつも二回りくらい大きい鉄人に投げ飛ばされてばかりで可哀そうでした…(この毛皮の怪物のモデルとは数か月後、映画「フランケンシュタインの復活」で遭遇するのですが、その年の暮私がまさか怪物ノイローゼに陥ってしまうとはその時は知る由も無かったのでした…”怪物は死なず”の記事参照)
博士は、さらに強力なロボットを作り出していくのですが、今の私でしたらロボットより人造人間の方が人間に近い進化形じゃないかと思うのですが、当時の私にはそんな小賢しい疑問など持ち合わせてなどいません。つまり進化したものとは、より強いものに他ならないのです! 子供は皆独裁者の卵なのです!(もっとも、それも半年ぐらいして鳴りを潜めるのですが…)
そのロボットたち、バッカス、ブラックオックス…ハッキリ言って鉄人とは比べ物にならないくらい高性能だし、動きが速くカッコイイ!(というか、鉄人はかなり、太目だし、背中にボンベ?を背負って実にドンクサそう…)
私は特にブラックオックスの大ファンでした。全身黒ずくめで、夜だと姿は見えず目だけが光る…そこから怪光を発し、相対するロボットを機能マヒさせ、無力化してしまう…(こ、これは一体、何のモデルなのか!牛頭天王、スサノオか?)
バッカスのほうは、自らコントロール不能に陥り、何とか鉄人も空中戦をモノにすることが出来ましたが、オックスにはまともに戦っては勝ち目が有りません。そこで正太郎君は考えた…いや誰だって思いつくだろう…人間が操縦するロボットは操縦器さえ奪ってしまえばこっちのモノになる…かくして夢の最強タッグが実現した…
”何と姑息な!”と私は初めて大人の世界を垣間見た気がしましたが…
それにしてもオックスと並ぶと、どうしても鉄人のスマートさに欠ける部分は拭い去れません。
要するに私が初めて夢中になったマンガというのは主役に対する思い入れはほとんど無いのです。
(いや、よくよく考えてみれば私はずっとマンガに限らず、映画でもドラマでも思い入れを抱いていたのは、ずっとわき役、敵役ばかりです)
そのオックスも考える人工頭脳を持ったロボット、ロビーらによって滅ぼされてしまう…(このロビー誕生の基礎的な部分も不乱拳博士が研究に携わっていました)
ロボット王国樹立を目論むロビーの登場は、今日実に現実性を帯びた問題になってきた感もありますが、当時の私にはオックス亡き後のストーリーはいささか興味半減…オックス・ロス状態になっていたので、あまり印象に無いです。
そして、不死身の不乱拳博士もついに殺されてしまいましたし…
このようにどういうわけか、「鉄人28号」は、私の中では不乱拳博士を中心に動いていた、と言ってもいいのです。
それは、まるで半年後の”怪物事件”を暗示している様でした…。






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