これは2013年9月頃、ヤフーオークションで手に入れた「御先祖御由来・全」の表紙裏に書かれていた和歌である。
この冊子には「I家蔵書」なる朱印が押されているが、亡くなられたDr・T先生の奥様のご実家がI家、今般I家にお返ししようと思い立った。
冊子の筆者は図書と書かれているが、細川刑部家八代・興礼(信次郎)であろうと思われる。
三十六葉にわたって細川宗家をはじめ、一族の家系・由来が記されている。
そして表紙の裏に朱書きされているのがこの和歌である。
者類堂川といふ計にや
三吉野ゝやま毛
霞帝今朝ハ
見ゆら舞
調べてみると拾遺和歌集・巻一の壬生忠岑の歌であることが判明した。
はるたつといふ計にや
三吉野の山も霞て
今朝はみゆらむ
お返しするにあたって改めて眺めてみると、この和歌の文字をを読み解き、その出典や作者を見出した時の感動が思い出された。
時まさに春 、うってつけの歌ではないか。