直腸癌を宣告されて、真っ先に思い出したのは10年ほど前に読んだ志良堂仁さんの「癌を超えて」の闘病記。必死で自宅の書庫を探し見つけ、入院ベッドの脇に置いて捲っています。
当時の琉球新報夕刊に連載されていた琉球新報記者・志良堂さんの直腸腫瘍、人工肛門手術を受ける記者の癌闘病ドキュメンタリは反響を呼び、私も“よくもまあ自分の闘病をこうも生々しく書くものだ”とその記者魂には息を飲んだものです。
“もう、そろそろいいか!”の古稀過ぎ罹病の私に対し、当時の著者は新婚間もないでお子さんが出来たばかりの27歳。同じ体験とは言え、人生の黎明期、行く末を思う著者の心境はいかばかりだったか!爾来20余年、人工肛門ながら記者として活動を続け、今も整理部の要職にある著書の体験は同じガン罹病者にいかばかりの指針と希望をもたらすか!最初に本書に接した当時は他人事、物語として読みましたが、今回は“うんうん!そうかそうか!”とわが身を思いつつ、さながら聖書のようにページを捲っています。
実はこの本との出合いは別の偶然もありました。当時、在京の沖縄出身の女性グループと時たま交流する機会があり、その中にこの闘病著者と同名の女性に「あなた同じ名前の人が凄い本かいているよ」と内容を話したところ、じーっと聞いた彼女がやおら「それ私の兄です!」と。
「えー!それではあの本に書かれている看病、世話した妹とは、貴女のこと?」という問いに“そうよ!”という返事にはびっくりしたこと、未だに忘れられません。長くイタリアに滞在していた彼女はそこで知り合ったイタリアン料理チーフの大和フィアンセを沖縄に連れて帰り、今首里の観音堂向かいに素敵なイタリアンレストランを経営、私は訪沖2度に一度は在沖の知人、友人を誘いお訪ねしており、このBlogでも度々紹介しています。 本書が出版された時、早速著者の妹さんから贈られ、改めて通読したものです。実はこの著者の志良堂さんは私と同じ大学・学部で、卒業後同じく琉球新報社に記者として入社、世代を超えた奇縁を感じました。
私はガン宣告を受け、直ぐ妹さんに「お兄さんと同じ肛門ガンになった!」と電話したら、直ぐお兄さんの志良堂さんから激励の電話を頂きました。志良堂兄妹さんとの“出会いと契“に感謝です。
(お見舞い有難う!)