夕刻コムオンボ神殿に向かう
ナイル川近くの小高い丘の上にある神殿には歩いていく 行きは上りになるので坂道を登っていく
一気に登るのではなくて折れ曲がりながら行くので あまり急な坂という気はしない
道端には敷物を敷いた程度のお土産売りの店が並んだところがある
3歳くらいの幼子が隅っこの方で 売り物らしいネックレスを両手に持って道行く人を見ていた
持たされていたと言った方が当たっているかもしれない
売り子の人々が大きな声で客寄せの声掛けをする喧騒なこの場で ただ立ち尽くすしか術のないこの子は
親にとってはすでに働き手なのかもしれない
神殿に向かう途中にある クロコダイルヴィレッジという名のこの施設は
ワニに関する遺物やミイラなどを展示してある施設 本物の生きたワニがいるわけではない
ナイル川のナイルワニは1970年代に絶滅してしまったそうだ
アフリカの他の地域やマダガスカルの一部にはまだ生息しているけれど
革目的の乱獲や 開発による環境の変化などで生息数が激減していて今では法的な保護をうけているという
わに革のバッグやベルト、財布などに使われるために捕獲されて絶滅にまで至ってしまったなんて・・・
ナイルワニは4~6メートルもの体長があり 体重は200~600キロ程もあるらしい
動物であれば何でも食べるようで 死肉も食べてしまうらしい
魚や鳥はもちろんバッファロー、シマウマ、ライオン等々
体が大きくなるにつれて当然ながら獲物も大きくなるという
何しろ1回の食事で自分の体重の半分の量を食べるというから食物のえり好みはできないと思う
目の前にあるものは何でも捕まえてしまうというのもうなずける
川で洗濯をしていた人がワニに襲われて亡くなるという事も良くあったらしい
捕らえた獲物は水の中に引きずり込んで 自分の体を回転させて肉を引きちぎるようだ
この行為をデスロールという
だんだん神殿に近づいて来る
この神殿はホルス神(ハヤブサの頭)とセべク神(ワニの頭)の二神を祀った二重構造の神殿となっている
ホルス神はエジプト全土で信仰されていた神 一方セべク神の方はこの土地で信仰されていた神だという
グレコローマン時代 エジプトでいえばプトレマイオス朝時代に造られたのだそうだ
この神殿は 1800年代後半修復の手が入るまでは 半分が砂に埋まっていたそうだ
左右にひとつづつある入り口の上の有翼日輪のレリーフ 彩色がわずかに残っている
二重構造の為入り口も二か所ある
ここからは眼下にナイル川が見える こちらは東岸で向かい側は西岸になる
なのでナイルのその向こうに沈みゆく太陽も見える
柱、壁に刻まれているレリーフはいくらか立体感が増している
神々が集まっている トキの頭のトト神、ライオンの頭のセクメト神、ハヤブサの頭のホルス神等々
左から3人目がファラオで神々から祝福されている場面
近寄ってみると膝やお臍のあたりが立体的になっているのがよくわかる
手には生命のカギと言われているアンクを持っている
太い柱が重たい石の天井を支えている
左から二人目がワニの頭のセベク神