医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

自分で胃ガンのリスクが評価できるキット

2014年02月03日 | 消化器
前回、自分の胃ガンのリスクが、ピロリ菌感染の有無と、ペプシノーゲンⅠとペプシノーゲンIIの値で評価できることをお伝えしました。

ところが、ピロリ菌感染の有無は胃カメラをして胃潰瘍か十二指腸潰瘍か慢性胃炎と診断されなければ検査することができませんし、ペプシノーゲンⅠとペプシノーゲンIIも保険適応ではありません。症状がなければ、病院に行って自費で検査することになります。

最近、画期的な商品が発売されました。値段は8,300円で、病院で自費で検査する場合と同じぐらいの値段で、アマゾンなどで手に入れることができます。病院に行かなくても検査ができるのですから素晴らしいです。

DEMECAL(デメカル)胃がんリスクチェックABC分類

まず、レビュアーとして私が試してみました。Amazonに同様のレビューも提出しておきました。

糖尿病の患者が自宅で血糖を検査する時に使用する、パシッと一瞬だけ針が1mmほど皮膚に刺さる採血方法と同様の採血方法で、小豆大ほどの血液を採取します。小豆大ほどの血液が必要ですので、それより少なければ指を先端側に絞るようにして血液を出します。この段階ではほとんど痛みはないです。

絞り出した血液を先端にスポンジのようなものが付いた専用の器具で吸い取ります。血液がスポンジ一杯にならなければもう一度指を絞り血液を集めます。

それを、おそらく血清分離薬(血液の赤い成分と透明な成分を分け、透明な成分ごと血液が固まることがないようにします。血中フィブリノゲンを吸着除去して脱フィブリノゲン血漿(血清)になるのだと思います)が入った容器に接続し、ボタンを押します。そうすると血液を含んだスポンジが容器の中に入ります。容器を50~60回細かく振って血清分離液をなじませます。

この容器に最終的なフタをして、専用のケースに入れ、検査会社に郵送するのです。結果はメールと郵送で知らされます。私の場合、郵送して72時間で結果のメールが届きました。素晴らしいキットです。自宅で採血し検査が可能なだけの血液量を凝固させることなく郵送させる技術は、もちろん特許申請してあるそうです。無断で中国がマネをしそうですので、会社の皆さん、気をつけてください。

検体を郵送するのですから、原則として屋外のポストではなく郵便局のポストに投函するように注意書きがあります。病院では採取した血液は冷蔵庫で保存しますから、真夏の30度以上の気温では郵送は難しいと思われますので、今の季節がチャンスです。私は、この前の夏に腫瘍マーカーキットを使用しましたが、郵便局のポストに投函したのですが、「測定不能でした」と、もう一度同じキットが送られてきました。やはり、真夏は検体の輸送には厳しい季節だと思います。

結果は、というと、
ペプシノーゲンⅠ 57.8 ng/ml
ペプシノーゲンII 7.6 ng/ml
I/II比 7.6
ピロリ菌 0.0 U/ml(陰性)
でした。
前々回お伝えした胃ガンのリスク評価の論文では、グループAで16年間のリスクは1%以下です。

私の妻も検査しました。結果は
ペプシノーゲンⅠ 126.2 ng/ml
ペプシノーゲンII 32.3 ng/ml
I/II比 3.9
ピロリ菌 105.1 U/ml(陽性)
でした。
前々回お伝えした胃ガンのリスク評価の論文では、グループBで16年間のリスクは3%です。
グループBですから、細分化したリスク評価ができます。
前回お伝えしたように、ペプシノーゲンI/II比が3.0より多く、ペプシノーゲンIが70ng/dlより多いベータβ群です。
ペプシノーゲンIIが30ng/dl以上で、良くないII-30群です。
ピロリの抗体は500未満のlow-titer群です。
リスクは上からそれぞれ、16年間で0.8%、2.3%、1.5%です。総合すると、このままで行けば16年間の胃ガンのリスクは0.8%~3.0%というところです。

妻は早速、病院でピロリ菌除菌用の内服薬を購入してきました。健康保険がききましたが(この辺はビミョーなので、あまりつっこまないようにします)、それは、胃カメラをしたのかしていないのか、本人の「自白」に頼るわけにもいかず、この段階の医療機関や公的機関では知るすべがないからだと推測されます。

内訳は
初診料 2,700円
処方箋料 680円
病床数200床未満の医療機関が月に2回加算できる 180円
薬局で
調剤技術料 1,040円
薬剤管理料  410円
薬代(ランサップ) 6,020円
医療機関と薬局の合計 11,030円 の3割 3,310円です。

私はこの会社の回し者ではないですが、この商品、かなりのお勧め商品だと思います。腫瘍マーカーセットや、生活習慣病セットなど他にもいろいろあります。採血に慣れてしまうとやみつきになってしまうぐらいです。

≪デメカル血液検査キット≫「男性用ガン総合」セルフチェック
女性用がん総合検査リスクチェック
血液検査キット「DEMECAL」 生活習慣病・糖尿病セルフチェック

腫瘍マーカーセットは男性用が大腸ガンなどのCEA、肝ガンなどのAFP、前立腺ガンのPSAです。肝ガンのリスクは特定の状況の人だけが負いますので、それほど必要ないかなぁ~と感じますし、前立腺ガンは私の年齢にはまだ早いです。ただし、腫瘍マーカーは正常でも完全にガンを否定できませんので、日頃の健康診断は欠かさない方がいいです。

女性用は大腸ガンなどのCEA、卵巣ガンなどのCA125,膵ガンなどのCA19-9です。ちなみにわたしの妻はCA19-9がひっかかって病院で精密検査をしましたが、大丈夫でした。こういう場合の精密検査は健康保険でできます。本来は無症状で精密検査に健康保険を適応できないのが、健康保険で精密検査をしてもらえるようになるのです。何か別の異常も見つけてもらえる可能性もあります。私はひっかかりませんでしたが、やはり男性用にもAFPの代わりにCA19-9を入れてもらいたいところです。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、応援よろしくお願いいたします。
「ブログランキング」
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自分の、胃ガンのリスクがわかる(その2)

2014年01月29日 | 消化器
前回、自分の胃ガンのリスクを評価するのに、グループBとグループCはさらに細かくリスクが示されているとお伝えしました。今回はその詳細です。

Cancer development based on chronic active gastritis and resulting gastric atrophy as assessed by serum levels of pepsinogen and Helicobacter pylori antibody titer.
Yoshida T, Kato J, Inoue I, et al.
Int J Cancer. 2014 Mar 15;134(6):1445-57
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

ペプシノーゲンⅠが70ng/dl以下かつペプシノーゲンI/II比が3.0以下がペプシノーゲン陽性ですから、ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲンが70ng/dlより多い、かつペプシノーゲンI/II比が3.0より多いのがグループBでした。

ここで感覚的に整理してみましょう。
ペプシノーゲンⅠは多い方がいいのです。
逆にペプシノーゲンIIは少ない方がいいのです。
そうすると、ペプシノーゲンI/II比は多い方がいいのです。


そのグループBは、
ペプシノーゲンI/II比が3.0より多いけれど、ペプシノーゲンⅠが70ng/dl以下しかないアルファα群、ペプシノーゲンI/II比が3.0より多く、ペプシノーゲンが70ng/dlより多いベータβ群、ペプシノーゲンIが70ng/dlより多いけれど、ペプシノーゲンI/II比が3.0以下しかないガンマγ群に分けられました。

その結果が上の図のaです。ガンマγ群が一番胃ガンの発症率が高いです。16年間で約2.6%です。

グループBは、ペプシノーゲンII(高いとダメ)が30以上か(II-30)、30未満か(II-0)で分けられました。図bを見るとII-30群が胃ガンの発症率が高いです。

グループBは、ピロリの抗体の値でも分けられました。500より高いhigh-titer群と500未満のlow-titer群です。図cを見るとhigh-titer群が胃ガンの発症率が高いです。

グループCは、ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲンⅠが70ng/dl以下かつペプシノーゲンI/II比が3.0以下ですが、ペプシノーゲンIが70~50がCI-50群、50~30がCI-30群、30~0がCI-0群に分けられました。図dを見るとCI-0群が胃ガンの発症率が高いです。

しかしながら、自分がピロリ陽性なのか、ペプシノーゲンⅠの値やペプシノーゲンIIの値はどれだけなのかがわからないと、こんな記事は意味がないと思われている方が大勢いると思います。

それを測定する方法は、次回1週間後にお伝えします。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、応援よろしくお願いいたします。
「ブログランキング」
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自分の、胃ガンのリスクがわかる

2014年01月27日 | 消化器
前回、ピロリ菌に感染していると、将来的な胃ガンのリスクが上昇することをお伝えしました。それを前回お伝えしたのは、今回お伝えすることと関連があるからです。

今年のある医学雑誌の3月号(まだ3月ではないですが)に、そのリスクを細分化して知ることができる素晴らしい疫学研究の結果が日本から報告されましたのでお伝えしたいと思います。

Cancer development based on chronic active gastritis and resulting gastric atrophy as assessed by serum levels of pepsinogen and Helicobacter pylori antibody titer.
Yoshida T, Kato J, Inoue I, et al.
Int J Cancer. 2014 Mar 15;134(6):1445-57
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

和歌山県において、1994年から1995年の間に、症状のない健康な男性4,655人(50±5歳)、論文内ではこんな表現です「Participants were essentially asymptomatic and could be considered representative of healthy middle-aged men in the general population.(male employees of a certain workplace)」のピロリ感染の有無と血液中のペプシノーゲンを調べて、その後16年間(平均11年間)に渡って胃ガンの発症率が調査されました。一定の会社に勤めていればその後の検診が容易だから脱落例が少なくなり研究の信頼性が高まるため、調査対象者をそういう「男性」に絞ったのだと推測できます。

以前に報告されている定義を利用して、ペプシノーゲンⅠが70ng/dl以下かつペプシノーゲンI/II比が3.0以下がペプシノーゲン陽性とされ、対象者はつぎの4群に分けられました。

Group A:ピロリ陰性、かつ、ペプシノーゲン陰性
Group B:ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲン陰性
Group C:ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲン陽性
Group D:ピロリ陰性、かつ、ペプシノーゲン陽性

上から段々と悪くなっています。一見、グループCとグループDが逆のように感じますが、グループDはペプシノーゲン陽性状態が悪すぎてピロリさえ生息できないという意味らしいです。

ペプシノーゲンは胃粘膜から分泌される物質のことで、血液中に含まれています。胃のどの辺りで分泌されるかにより、ペプシノーゲンⅠとⅡに分類されます。血液中のペプシノーゲンのⅡに対するⅠの割合を調べると、胃粘膜の萎縮の広がりとその程度、胃液の分泌機能、胃粘膜の炎症の有無が分かるほか、胃がんのスクリーニング検査として有用であることが明らかとなっています。

結果は、上の右の図に示されているように、
グループAで16年間で1%以下、
グループBで約3%、
グループCで約5%
グループDで約16%でした。

これらの結果を見ると、ピロリ陽性の人は、除菌した方がいいですし、胃カメラをしていなくてもピロリ菌の検査が健康保険でできるようにするのが正しい理論だということがおわかりいただけたと思います。このブログは厚生労働省の方にもご覧いただいていると思います。厚生労働省の皆さん、胃カメラをしていなくてもピロリ菌の検査が健康保険でできるようにして下さい。それにペプシノーゲン検査も保健適応にすることが必要です。

自分の胃ガンのリスクを評価できるようになった、素晴らしい研究でした。

グループBとグループCはさらに細かくリスクが求められているのですが、その結果については次回お伝えします。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、応援よろしくお願いいたします。
「ブログランキング」
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃ガンのリスク

2014年01月22日 | 消化器
8年ほど前に、ヘリコバクター・ピロリ菌の保菌と胃ガンの発症率についてお伝えしました。

この研究では、約8年間追跡してヘリコバクター・ピロリ保菌者は2.9%が胃ガンを発症しましたが、非保菌者からは胃ガンは発症しませんでした。

私もガン年齢になっていますので、自分は保菌者かどうか調べてみることにしました。

奇妙なことに、ピロリ菌を保菌しているかどうかの検査は胃カメラをして胃潰瘍か十二指腸潰瘍か慢性胃炎と診断されていなければ健康保険が効きません。

検査法は
(1) 血液検査
(2) 便検査
(3) 呼気検査
(4) 胃カメラ時の組織検査
です。

血液検査の場合は自費では800円です。


保菌者と判明した場合も、胃カメラをして胃潰瘍か十二指腸潰瘍か慢性胃炎と診断されていなければ、除菌のための薬に対しても健康保険が効きません。ランサップという薬代6,011円は自費で支払わなければなりません。

私はここであることに気がつきました。

私が「奇妙」と表現したわけは、

NNT(Number Needed to Treat)とは
でお伝えしたように、一人の心筋梗塞や脳梗塞を予防するのに悪玉コレステロール低下薬には3,000万円をかけても健康保険が効く、あるいは「メタボリック症候群撲滅だ!」と盛んにコレステロール値や糖尿病の指標が測定されているのに、保有している人がしていない人と比較して約3%も胃ガンの発症率が上昇するピロリ菌の検査は、胃潰瘍か十二指腸潰瘍か慢性胃炎と診断されていなければ健康保険では補てんしてもらえないことです。

百歩譲って、保菌者の胃ガンの発症率を調査した研究は、症状がある患者を対象としたものであるからという理由は理解できます。しかし、それほど大きな金額ではないのです。

最近、日本人を対象とした以下のような研究が報告されています。
The effect of eradicating helicobacter pylori on the development of gastric cancer in patients with peptic ulcer disease.
Am J Gastroenterol. 2005;100:1037.
この研究では5年間の調査で、ピロリ菌保菌者の胃ガン発症率は3.8%、除菌に成功した者の発症率は1.2%と報告されています。

Helicobacter pylori eradication reduced the incidence of gastric cancer, especially of the intestinal type.
Aliment Pharmacol Ther. 2007;25:805.
この研究では3年間の調査で、ピロリ菌保菌者の胃ガン発症率は1.7%、除菌に成功した者の発症率は0.4%と報告されています。

The effect of Helicobacter pylori eradication on reducing the incidence of gastric cancer.
J Clin Gastroenterol. 2008;42:279.
この研究では3.2年間の調査で、ピロリ菌保菌者の胃ガン発症率は4.3%、除菌に成功した者の発症率は1.5%と報告されています。

つまり、ピロリ菌保菌者は除菌すると胃ガンの発症率が3~5年で約2%ほど低下するのです。2%の改善ということは、50人に一人が有効ということですから、ランサップという薬代6,011円に50を乗して約30万円で1人の胃ガンの発症が予防できることになります。

厚生労働省は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らす薬は1人の予防に3,000万円を費やしてでも健康保険の対象とする一方、胃ガンのリスクを減らす薬は1人の予防に30万円で済むのに、胃カメラを行わなければ健康保険の対象としていません。約8年間追跡してヘリコバクター・ピロリ保菌者は2.9%が胃ガンを発症したけれど、非保菌者からは胃ガンは発症しなかった報告があるのだから、「ヘリコバクター・ピロリ保菌者」はもはや完全に「患者」でしょう。

これは明らかに製薬会社の厚生労働省に対するロビー活動の差と考えられます。ピロリ菌を除菌する薬は相対的に薬価が安く、もうけにならないのです。逆に言えば、悪玉コレステロール低下薬の会社は、このように芸能人を次々に投入して国民をあざむいて儲けようと必死です。「物を売りたかったら、まず不安感を煽れ」と言われます(このままで老後の生活費は大丈夫ですか?あなたの抜け毛大丈夫ですか?目尻のしわが気になりませんか?などこの手の商法は巷にあふれています)。、このサイトって凄く不安感を煽っているでしょう。

このブログは厚生労働省の方にもご覧いただいていると思います。そんなロビー活動に騙されないで、内視鏡検査なしでもピロリ菌検査、ピロリ菌除菌にも健康保険が効くようにして下さい。健康保険は予防には適応されないという考え方は理解できますが、それなら悪玉コレステロールが高いのは「疾患」で(心筋梗塞を発症するのはその中のごく一部です)、ピロリ菌の保菌は「疾患」でない理由が説明がつきません。

まとめ
一般の「悪玉コレステロールが高い人」→心筋梗塞の発症率は6年間で2.7%→「悪玉コレステロールが高い人」は疾患と見なされる→1人の発症予防に3,000万円必要→悪玉コレステロールを改善させるのに健康保険が効く

一般の「ピロリ保菌者」→胃ガンの発症率は5~8年間で平均3%→「ピロリ保菌者」は疾患とみなされない→1人の発症予防に30万円でよい→しかし胃潰瘍か十二指腸潰瘍か慢性胃炎でないと保菌を改善させるのに健康保険が効かない


↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、応援よろしくお願いいたします。一日一善!
「ブログランキング」


その後の記事もご覧下さい

自分の、胃ガンのリスクがわかる
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大腸カプセル内視鏡

2013年10月16日 | 消化器
         ↑(注意:実物大ではありません)

今年7月、国内初の大腸用カプセル内視鏡(商品名PillCam COLON2/ギブン・イメージング社)が薬事承認されました。早ければ年内にも保険収載され、発売される見通しです。

これまで、小腸用のカプセル内視鏡は臨床で使用されていましたが、小腸にガンが発生する率は低く、有用性は限定的でした。以前、それに紐を付けて、食道だけを診るのに利用したらどうかということをお伝えしました。


一方、大腸ガン検診で便潜血が陽性だった人のスクリーニングに使われることが期待されています。承認された適応は、大腸内視鏡検査を必要とするものの施行困難な患者です。カプセル内視鏡検査は鎮静剤の投与も不要で、検査時に苦痛を伴わないほか、恥ずかしさなどの精神的な負担もないため、大腸内視鏡検査を受診したがらない女性などに使われると考えられます。

消化管の閉塞や狭窄、瘻孔が分かっている患者や疑われる患者は、カプセルが滞留する恐れがあるため禁忌となるほか、クローン病と診断された患者、ペースメーカーなどが埋め込まれた患者、嚥下障害の患者などにも使えません。

前処置は、検査前日から低残渣食を摂り、下剤を服用し、検査当日にはポリエチレングリコール電解質液(PEG)を1.5~2Lを飲用するというこれまでの大腸内視鏡検査と同じです。ただし、通常の内視鏡のように検査中に便汁の吸引ができるわけではないので、前処置できちっと洗浄されるように気を付けることが必要です。承認された大腸用カプセル内視鏡のサイズは横3.1cm、幅1.16cm、重さ2.9g。全周を撮影できるよう、カプセルの両端についている2台の各小型カメラ(小腸用は1台でした)が172℃の視野角を有し、大腸を中心に移動速度に合わせて毎秒4~35枚の画像を撮影します。その画像データは電波で送信され、患者の体表に付けたセンサーアレイが受信してレコーダーが記録します。画像データをコンピューターに取り込み、専用のソフトウェアを使って医者が画像を解析します。大腸用カプセル内視鏡を服用してから撮影が終わるまでは約4~5時間(大腸の撮影は2時間程度)で、読影に要するのは1時間程度です。

内視鏡的もしくは外科的治療が必要な病変を有し、それを示す3カ月以内の内視鏡検査異常がある18歳以上の66人を対象とし、国内3施設が参加して行われた治験では、大腸用カプセル内視鏡でも病変を検出できた割合は94%(62人)でした。検出できなかった6%(4人)は、前処置が十分でなかったり、バッテリーが切れたりした症例。治験で認められた有害事象は、軽度嘔吐の1症例だけでした。

現在、便潜血検査で陽性となっても、検査時の苦痛や羞恥心から、大腸内視鏡検査を受診するのは約60%にとどまっています。便潜血陽性者にカプセル内視鏡検査を受けてもらえれば、大腸癌の検出率を高めることができます。

問題点は、教育を受けていない医師や技師が読影すれば、見落としにつながることです。読影者に学会の講習会などに参加して自主的に勉強していただく対策が求められます。

↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
今は何位かな?「ブログランキング」

竹島は日本の領土であることに関する外務省の新しい動画

【F1 韓国】 GP最悪評価・・・解説者「最低ですよ」
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高齢者に対する大腸内視鏡検査・治療

2012年11月03日 | 消化器
先日、大腸ポリープの予後をお伝えしましたが、高齢者に対する治療戦略は少し違うので、その根拠となっている論文をお伝えします。

50歳を越えると年々大腸ガンの発症率は上昇していくので、もちろん便潜血検査は不可欠ですが、便に血液が混ざっていた場合の精密検査(注腸検査:おしりからバリウムを浣腸してX線写真を撮る検査)で大腸ガンの前駆状態といわれるポリープが見つかった場合に、何歳の高齢者まで大腸内視鏡でポリープを切除するのがよいのかは、これまで検証されていませんでした。

Screening colonoscopy in very elderly patients. Prevalence of neoplasia and estimated impact on life expectancy.
The Journal of the American Medical Association. 2006:295;2357.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

対象は何の症状もない、50~54歳のグループ1,034人、75~79歳のグループ147人、80歳以上のグループ63人で、まず大腸内視鏡検査が行われました。

ポリープが見つかった割合は、50~54歳のグループで13.8%、75~79歳のグループで26.5%、80歳以上のグループで28.6%と年齢が高くなるにつれて有病率も高くなりました。

ポリープの発見によりそれを切除した場合の寿命が、切除しなかった場合の寿命と比較してどれくらい長くなるかをシミュレーションで計算したところ、50~54歳のグループで0.85年、75~79歳のグループで0.17年、80歳以上のグループで0.13年でした。

80歳以上の患者さんではポリープ(大腸ガンではない)が見つかってそれを切除しても、寿命はほとんど変わらず、大腸内視鏡治療による合併症の発症率の方が高くなるので、十分な考慮が必要だと結論づけています。

著者らはこのような結果がでた原因として以下のことを上げています。

大腸ガンの前駆状態といわれる小さなポリープが実際に大腸ガンになるのに11年かかる
Premalignancy of the mucosal polyp in the large intestine, II: estimation of the periods required for malignant transformation of mucosal polyp.
Dis Colon Rectum. 1975;18:494.

6~10mmのポリープが大腸ガンになるのに7.75年、1cm以上のポリープが大腸ガンになるのに5.27年かかる
A case-cohot study for the disease natural history of adenoma-carcinoma and de novo carcinoma and surveillance of colon and rectum after polypectomy: implication for efficacy of colonscopy.
Br J Cancer. 2003;88:1866.

ポリープが大腸癌になる進行は遅く、5年で2.5%、10年で8%、20年で24%である
Natural history of untreated colonic polyps.
Gastroenterology. 1987;93:1009.

大腸内視鏡治療の合併症(腸に穴があく、出血が止まらない)の発生率は0.1%~0.5%で、高齢者では5倍である
Procedual success and complications of large-scale screening colonscopy.
Gastrointest Endosc. 2002;55:307.

頻回の大腸内視鏡検査は必要ないという事ですね。でも便潜血検査は必ず受けましょう。

なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!

コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

便潜血検査は大腸・直腸ガンによる死亡を減らせる

2012年10月22日 | 消化器
秋の健康診断の季節ですので、前回、大腸ポリープが見つかった場合のその後の経過についてお伝えしました。
便潜血検査の有用性に関しては、以下のような否定的な意見もありますが、
http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/gan048.htm
今ではその有用性は確立しています。

その根拠となる論文のうちの1編をご紹介します。

Randomised controlled trial of faecal-occult-blood screening for colorectal cancer
Lancet 1996;348:1472
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

1981年から1991年まで、イギリスのノッティンガム地方の45歳~74歳の住民のうち研究への参加を同意した約15万人が、隔年で便潜血検査を受ける群と、便潜血検査を全く受けない群に分けられ、平均約8年間追跡調査されました。

結果は、上の右図のように、全ての理由による死亡は両群で12,624人対12,515人と差がなかったのに、大腸・直腸ガンによる死亡は、便潜血検査を受けた群で360人、受けなかった群で420人と、便潜血検査を受けた群で有意に少なくなりました。その比は0.85(95%信頼区間:0.74~0.98)でした。

左の図は便潜血検査を受けないコントロール群と検査を受けたスクリーニング群の経時変化による死亡率のグラフです。便潜血検査を受けた群では15年間で大腸・直腸ガンによる死亡は1000人あたり約4.5人(約0.45%)で、受けない群では約5.5人(約0.55%)ですから、便潜血検査は15年で大腸・直腸ガンによる死亡を1000人に1人減らすことになります。

便潜血検査のコストが1000円と仮定すると、2年に1回1000円がかかるので、15年で1人8000円、8000円x1000人=80万円で1人の大腸・直腸ガンによる死亡を減らせることができます。

便潜血検査のコストを2000円としても、160万円で1人の大腸・直腸ガンによる死亡を減らせることができます。悪玉コレステロールを低下させる薬では数千万円かけないと1人の心筋梗塞の発症を減らせないのに比べ、低い費用で効果があることがわかります。

なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大腸ポリープの予後

2012年10月15日 | 消化器
秋の健康診断の季節です。

大腸ガン検診では、まず便潜血といって便に血液が混ざっていないかが調べられます。血液が混ざっていた場合、つぎに大腸ファイバーやバリウムを浣腸してレントゲン写真を撮ることになります。

現在、大腸ポリープが見つかった場合の次の大腸ファイバーまでの間隔は1年がいいのか3年がいいのか、日本で大規模試験が行われ、2012年に完了する予定です。

大腸ポリープのその後の経過はどうなのか。私はこのブログの副題のように、外来ではできるだけ具体的な確率を患者に伝えるように心がけていますが、大腸ポリープに関して、後ろ向きの調査ではありますが、以下の日本人における大規模臨床研究の結果を参考にして患者にお伝えしています。

Five–year incidence of advanced neoplasia after initial colonoscopy in Japan: A multicenter retrospective cohort study.
Jpn J Clin Oncol 2009;39:435.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

調査の対象は40歳以上の、初回の大腸ファイバー検査を受けた5,309人で、大腸ポリープの有無や大きさにより以下のように群分けされ、10mm以上のポリープや粘膜下まで浸潤したガンと進行ガンの発生が、後ろ向きに(過去にさかのぼって)平均5年間、最長10年間調べられました。

A群:ポリープを認めない
B群:大きさが6mm未満のガン細胞を伴わないポリープ
C群:大きさが6mm以上のガン細胞を伴わないポリープ
D群:粘膜の表面に留まっているガン細胞

結果は、上の図にあるように、A+B群では粘膜下まで浸潤したガンと進行ガンの発生は9年後までは10%に留まっているのに対して、C+D群では約50%まで上昇しています。

私は、大きさが6mm以上のポリープが発見された患者には上の図を見ていただき、その後の経過観察・治療の方針をイメージしていただくようにしています。

ただし、A+B群でも2年後ぐらいから、黒色の矢印、すなわち進行ガンも発見されています。

6mm以上のポリープが見つかったら、その後注意深く、観察・治療することが必要である根拠となっている論文ですし、A+B群でも2年以内にもう一度大腸ファイバーを施行したほうがいいのか、3年に1回でよいのか、研究が始まった基になった論文でもあります。

なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

潰瘍性大腸炎

2012年09月29日 | 消化器
潰瘍性大腸炎は、主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の非特異性炎症性疾患で、厚生労働省より特定疾患に指定されています。わが国の潰瘍性大腸炎の患者数は、113.306人(平成21年度特定疾患医療受給者証交付件数より)と報告されており、毎年おおよそ8,000人増加しています。

難病情報センター

難病とは、治療が難しく、厚生労働省から難治性疾患克服研究事業の対象とされている疾患です。「難病」は、(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が 慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と定義されています。

先日、自民党総裁に選出された安倍晋三氏がこの難病、潰瘍性大腸に罹患していることは皆さんもご存じだと思います。安倍氏は、政治家を志してからは病気があると知られるのはマイナスと考え、潰瘍性大腸炎であることを伏せてきましたが、2007年に内閣総理大臣を務めていた時には、疲労とストレスで症状が悪化し、病状を告白して辞任せざるを得ませんでした。

ところが、2年前に「アサコール」という薬剤が発売され、その薬剤を使用することで、安倍氏自身が特効薬と呼んでいるように、病状は劇的に改善しました。

この5年間で、免疫の機能不全が原因と思われる「潰瘍性大腸炎」や「関節リウマチ」などの疾患の治療が、薬剤の進歩で劇的に改善されつつあります。

さて、その安倍氏のことを、フジテレビの番組『とくダネ!』のコメンテーター田中雅子「1年でお腹が痛くてやめちゃった」と言うと、メインキャスターの小倉智昭もこれに合わせて「子どもみたいだったもんね」と発言しました。

ウジテレビのウジもなかなか駆除されないようです。潰瘍性大腸炎で苦しむ患者は全て「子どもみたいだったもんね」なのでしょうか!これは、全国で難病、特に潰瘍性大腸炎で苦しむ方々への暴言であり、公共の電波を使ってコメントするのに全く相応しくない発言です。加えて、病気と政局を結びつけて、気に入らない相手の病気のことを取り上げて批判することを、私は決して許すことはできませんでした。

この人たちは、難病に罹患している人々がどれだけ苦しんでいるか知っているのでしょうか

田中雅子への抗議はこちらです。

http://tanaka-souken.com/tanakamasako/contact/

偏向報道では動かない放送倫理・番組向上機構(BPO)も差別発言には敏感ですので、黙認することはないと思いますが、皆さんも抗議のメールを送りましょう。私は既に送っておきました。

https://www.bpo.gr.jp/audience/send/form.html

なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!

コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

早期胃ガン発症後のヘリコバクター・ピロリ除菌の有用性

2011年03月28日 | 消化器
以前、8年間の調査で、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃過形成ポリープ、潰瘍はないけれど「もたれ」「不快」「胸焼け」などの消化障害を認めるヘリコバクター・ピロリ保菌者の2.9%が胃ガンを発症しましたが、非保菌者からは胃ガンは発症しなかったことをお伝えしました。

また、別の調査では5年間でピロリ菌保菌者の胃ガン発症率は3.8%、除菌に成功した者の発症率は1.2%であったとお伝えしました。

それでは一度早期胃ガンに罹患した場合、再発率の差はどうなのかということで、論文を調べてみました。超一流誌に日本人の研究が載っていました。素晴らしいです。


Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an open-label, randomised controlled trial.
Lancet 2008;372:392.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★☆)

ヘリコバクター・ピロリ保菌者で早期胃ガンと診断され、内視鏡手術で治療された544人を、ヘリコバクター・ピロリ除菌群(272人)と非除菌群(272人)に分けて(この研究は除菌が胃ガンの発症率を減少させることがまだ確立されていなかった頃のものです)、その後の胃ガンの発症を内視鏡で定期的に注意深く検査されました。

除菌群では203人が除菌に成功し、非除菌群と比較されました。一度早期胃ガンに罹患した患者の3年間の胃ガンの再発率は、除菌群で4.4%非除菌群で8.8%でした。



なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルコール性肝硬変の予後

2010年10月28日 | 消化器
「彼氏が25歳という若さでアルコール性肝硬変になってしまいました。今30歳です。
お酒を断酒すれば、長生きできるんでしょうか?これから、結婚とか考えると不安でしかたありません。せめて50歳いや60歳くらいまではもちこたえてほしいです。若い症例はあまりないみたいなので、投稿しました。肝臓は、他の臓器に比べたら、回復するといわれてるので、少しでも希望が持ちたいのです。30年生存することは可能なんでしょうか?」とアルコール性肝硬変の予後についてセカンドオピニオンのリクエストをいただきましたので、調べてみました。

欧米人は日本人に比べて脂肪の摂取率が多く欧米のデータを日本人に当てはめることができないそうですので、日本人の研究を調べてみました。

「肝硬変の自然経過」 臨床と研究 平成8年73巻4号 825-830ページ
上の図はこの論文からの引用ですが、アルコール性肝硬変の場合、断酒できるかどうかが、寿命を左右することになります。5年後の生存率は断酒できた群で90%、断酒できないと40%です。

別の日本人の報告で、5年後の生存率は断酒できた群で85%、断酒できないと35%という結果もありますので、この割合は信頼性があると考えられます。

ところで、どれくらい飲酒するとアルコール性肝硬変になるかというと、エタノール換算で男性で1,000kg、女性で500kgと研究されています。

エタノール換算の仕方ですが、1日350mLで7%の酎ハイ2本を飲酒した場合、350mL x 2本 x 0.07 = 49gと計算します。エタノールの比重は約0.8ですから、これに0.8をかけます。約40gが1日の飲酒量です。

これを毎日20年間続けると、40g x 365日 x 20年 = 292,000g = 292kgです。この飲酒割合では約30年続けると肝硬変になると計算できます(個人差があります)。

男性の場合、上記の酎ハイを毎日4本飲酒し続けると30年で肝硬変になると計算できます(個人差があります)。

とにかく、断酒が重要です。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、!
「ブログランキング」に参加しています


尖閣諸島が昔から日本の領土である根拠を英語で世界に発信しましょう。ことあるごとにごコピペして自分のサイトに貼ってください。↓外務省から公表されています。

From 1885 on, surveys of the Senkaku Islands had been thoroughly made by the Government of Japan through the agencies of Okinawa Prefecture and by way of other methods. Through these surveys, it was confirmed that the Senkaku Islands had been uninhabited and showed no trace of having been under the control of China. Based on this confirmation, the Government of Japan made a Cabinet Decision on 14 January 1895 to erect a marker on the Islands to formally incorporate the Senkaku Islands into the territory of Japan.
Since then, the Senkaku Islands have continuously remained as an integral part of the Nansei Shoto Islands which are the territory of Japan. These islands were neither part of Taiwan nor part of the Pescadores Islands which were ceded to Japan from the Qing Dynasty of China in accordance with Article II of the Treaty of Shimonoseki which came into effect in May of 1895.
Accordingly, the Senkaku Islands are not included in the territory which Japan renounced under Article II of the San Francisco Peace Treaty. The Senkaku Islands have been placed under the administration of the United States of America as part of the Nansei Shoto Islands, in accordance with Article III of the said treaty, and are included in the area, the administrative rights over which were reverted to Japan in accordance with the Agreement Between Japan and the United States of America Concerning the Ryukyu Islands and the Daito Islands signed on 17 June 1971. The facts outlined herein clearly indicate the status of the Senkaku Islands being part of the territory of Japan.
The fact that China expressed no objection to the status of the Islands being under the administration of the United States under Article III of the San Francisco Peace Treaty clearly indicates that China did not consider the Senkaku Islands as part of Taiwan. It was not until the latter half of 1970, when the question of the development of petroleum resources on the continental shelf of the East China Sea came to the surface, that the Government of China and Taiwan authorities began to raise questions regarding the Senkaku Islands.
Furthermore, none of the points raised by the Government of China as "historic, geographic or geological" evidence provide valid grounds, in light of international law, to support China's arguments regarding the Senkaku Islands.

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘリコバクター・ピロリ除菌に自費診療が広がっている

2010年09月08日 | 消化器
以前、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法と、私自身も感染者かどうか自費で検査したことをお伝えしました。

私は、自分が陽性であれば、自費で除菌しようと考えていて、その場合は具体的な費用についてお伝えしようと思ってたのですが、感染していませんでしたので、別の記事を引用してお伝えします。

(以下、m3より引用)
ヘリコバクター・ピロリ菌(Hp)の除菌療法を自費診療で行う動きが広がりを見せ始めている。日本ヘリコバクター学会が最新ガイドラインで全感染者へ除菌療法を強く推奨したことが背景にあるが、保険診療の枠組みで除菌できるのは胃、十二指腸潰瘍など限られた疾患のみ。保険診療を受けられない多くのHp感染者に自由診療で対応する各施設の料金設定、対象患者、除菌の考え方はさまざまだ。

香川県立がん検診センターが「ピロリ外来」を開設したのは昨年4月。週2回受け付ける専門外来の受診者は現在までに600人を超える。Hp感染の診断、除菌、判定などの各過程での料金は一律6300円に設定。ピロリ外来開設から半年間での全成功率は97.1%で、自費診療による専門外来は軌道に乗りつつある。

同センターは、地域の総合がん検診拠点であるため、以前から胃内視鏡で慢性胃炎、Hp感染が確認される患者が多かった。ピロリ外来開設以前は、こうした患者の除菌希望に応える体制はなかったが、昨年4月からは胃がん施設検診を受けた除菌希望者を中心に、後日あらためてピロリ外来で受け付ける体制を敷いた。完全予約制の専門外来では、Hp感染症認定医の医師2人で対応する。1日当たりの受診者数は初診、再診含めて10人弱で、現在は約1カ月待ちの状況だ。

ピロリ外来の流れは、まず胸焼けの症状や、アレルギーの有無、既往歴、家族歴、胃がん検診の有無などを確認する。その後の感染診断では、尿素呼気試験、血清Hp抗体、ペプシノゲン法を用いてチェックし、陽性患者には除菌のメリット、デメリットを慎重に説明し、同意書を作成してから投与を開始する。除菌は、プロトンポンプ阻害剤と、2種類の抗生物質を組み合わせた3剤併用療法を7日間行う。内服2カ月後に尿素呼気試験で判定し、除菌不成功であれば2次除菌に進むステップだ。

患者の自費診療だが、診断から治療、判定などの各過程ごとに6300円を設定。1次除菌で成功すれば合計1万8900円となるが、2次除菌まで進めば6300円×2が上乗せされて合計3万1500円となる。2次除菌も失敗し、3次除菌に進むケースは薬剤代が高くなるため個別事例ごとに相談する仕組みだ。

開設半年間に受診した314人のうち、胃・十二指腸潰瘍が確認されて保険診療になったのが11人で、Hp陰性だったのが70人、除菌を希望しなかったのが9人で、実際に除菌療法を行ったのは224人だった。1次除菌は220人が受け、判定に訪れなかった12人を除いた208人のうち、約8割に当たる168人が除菌成功。残る40人のうち1人は皮疹で中止、グレー判定が2人で、失敗した37人が2次除菌に進む。2次除菌の成功率は88.6%で、3次除菌の3人、4次除菌1人はいずれも成功した。除菌療法を受けた患者のうち、判定に訪れなかった14人を除いた210人のうち204人が成功し、全成功率は97.1%となった。
(以上、引用)


1回で除菌に成功する8割の人は約合計1万8900円、2回目で除菌できる場合は合計3万1500円だそうです。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、!
「ブログランキング」に参加しています

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

免疫学的な定量的便潜血検査は高リスク群の大腸ガン検出に有用

2007年08月05日 | 消化器
仕事が忙しく、ブログの更新が遅れまして申し訳ありません。
医者って、シベリアンハスキーと同じで、カッコはいいけど所詮は労働犬なんです。
これを書き終わったら病棟に行ってきます。



さて、大腸ガンの検診に便潜血検査が行われますが、陽性であっても大腸ガンである可能性は低く、スクリーニング法としての効率は決してよくありません。

そこで、便潜血が陽性か陰性かではなく、便の中にヒトのヘモグロビンがどれだけ含まれているかという定量的な方法で効率を上げようという論文が発表されました。

A quantitative immunochemical fecal occult blood test for colorectal neoplasia.
Ann Intern Med. 2007;146::244.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)



大腸ファイバー検査を受ける予定があり、ヒトのヘモグロビン量を調べる免疫学的便潜血検査に同意した連続する外来患者1,000人が対象とされました。

3回の排便で得た便検体のヘモグロビン量を測定し、もっとも高い値を大腸ファイバー検査の結果と比較しました。

1,000人のうち91人に大腸ガン(17人)と進行腺腫(74人)が発見されました。ヘモグロビン量の閾値を75ng/mLに設定した場合、大腸ガンを発見できる感度は94.1%、特異度(ガンではない場合にヘモグロビン量75ng/mL以下である確率)は87.5%%でした。大腸ガンや進行腺腫(を含めた全ての悪性新生物を発見できる感度は67%、特異度は91.4%%でした。

研究の限界として、便検体の採取法は統一されているものの、検体量は便の性状に依存すること、研究対象者が大腸ファイバー検査を受ける予定があるという、大腸ガンのリスクが高い人であることが挙げられています。


研究の限界に示されているように、1,000人のうち91人に大腸ガンと進行腺腫が見つかるというのは、研究の対象が非常に高リスクな群であったことは間違いないでしょう。大腸ガンを発見できる感度は94.1%、、特異度は87.5%%というのはすばらしいのですが、高リスク群でない場合の結果が必要だと思います。



皆さん!ここをぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!


↓こちらは便利なツールです。ご協力お願いいたします。

なかのひと

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胃カメラの前にガスターを飲んで症状を和らげても食道および胃ガンの発見は遅れない

2007年06月04日 | 消化器
「ガスター10」のコマーシャルに「使用上の注意をよく読んでお使いください」という文句がありますね。

ガスターはH2ブロッカーといって胃酸の分泌を抑える薬で、胃潰瘍の多くは過剰に分泌された胃酸が胃粘膜を攻撃することにより発症しますので、胃潰瘍の治療に用いられています。またプロトンポンプ・インヒビター(PPI)と呼ばれる薬剤はH2ブロッカーよりもさらに強力な胃酸分泌抑制作用があり、同様の目的で使用されています。

さて、「使用上の注意をよく読んでお使いください」というただし書きは、胃の痛みの原因が胃潰瘍ではなく食道ガンや胃ガンの場合、医者にかかって胃カメラをする前にこの薬を個人的に購入して内服し、一時的に痛みがなくなったり表面が治癒したように見えることで食道ガンや胃ガンの発見が遅れる、あるいはガンを見落とすかもしれないという注意でもあります。

本当にそうなのでしょうか。、今回は胃の痛みがある場合、胃カメラを施行する前に胃酸分泌抑制剤で胃痛を治すと食道ガンや胃ガンの発見が遅れて寿命が短くなるのかを大規模な調査で示した論文をご紹介します。

The risk of missed gastroesophageal cancer diagnoses in users and nonusers of antisecretory medication.
Gastroenterology. 2005;129:1179.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

1993年から2002年までデンマークで41,577人(平均年齢56歳)に69,674回の胃カメラが施行され全員が調査対象となりました。

なんらかの症状があり最初に施行された胃カメラで461人が食道ガン(220人)あるいは胃ガン(241人)と診断されました。

ガンと診断されなかった方はその後平均4.1年間(0年~10年)引き続き調査されました。調査期間に52人がさらに食道ガン(26人)あるいは胃ガン(26人)と診断されました。

1年間で食道ガンや胃ガンになる確率は10万人あたり45人で、男性であるほど高齢であるほど確率は高くなりました。年齢別にみると50歳以下では7人、50~69歳では63人、70歳以上では103人、男性57人、女性34人でした。

さて、初回の胃カメラでガンと診断されなかった27,368人のうち9,390人は初回の胃カメラの6カ月前までにH2ブロッカーやプロトンポンプ・インヒビター(PPI)が処方されていました。

これらの群と処方されていなかった群を比較したところ、胃カメラの前に処方されていた群では1年間で食道ガンや胃ガンになる確率は10万人あたり46人、処方されていなかった群で44人と差は認められませんでした。この結果は両群間の年齢や男性の割合の違いを考慮して補正したあとでも同様でした。また、H2ブロッカーとプロトンポンプ・インヒビターを分けて解析しても差は認められませんでした。

つまり、「胃の痛みがある場合など、胃カメラを施行する前に胃酸分泌抑制剤で胃痛を治しても食道ガンや胃ガンの発見が遅れることはない」ということです。

いいかえれば、胃酸分泌抑制剤で治癒したようにみえるガンの表面を胃カメラが見落とすことはないし、潰瘍のように治るものは治り、ガンの場合は胃酸分泌抑制剤を内服しても痛みなどのサインは消えず最終的には診断に至るということです。


皆さん!ここをぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!



コメント (3)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘリコバクター・ピロリの保菌と胃ガンの発症率

2006年10月11日 | 消化器
胃の中はとても強い酸性なので、菌は短時間しか生きられないのではないかと考えられてきましたが、15年ほど前に酸の影響が及ばない粘液の下にヘリコバクター・ピロリとよばれる細菌が生息していることが明らかになりました。ヘリコバクター・ピロリは潰瘍や胃ガンと関連があるとされ、日本人の4割は保菌者であるといわれています.

ピロリ菌がどれぐらい胃ガンの発症と関係があるかを調べた日本で調査された有名な論文があります。
Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer.
Uemura N, Okamoto S, Yamamoto S, Matsumura N, et al.
New England Journal of Medicine. 2001;345:784.

(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃過形成ポリープ、潰瘍はないけれど「もたれ」「不快」「胸焼け」などの消化障害を認める(non-ulcer dyspepsia) 1,526人を対象に7.8年間追跡して、胃カメラで調査されました。1,246人(82%)がヘリコバクター・ピロリを保菌していると確認されました。

ヘリコバクター・ピロリ保菌者のうち36人(2.9%)が胃ガンを発症しましたが、非保菌者からは胃ガンは発症しませんでした。

胃ガンの発症は、潰瘍はないけれど「もたれ」「不快」「胸焼け」などの消化障害を認める445人のうち21人(4.7%)、胃潰瘍を認める297人のうち10人(3.4%)、胃過形成ポリープを認める229人のうち5人(2.2%)に認められましたが、十二指腸潰瘍を認める275人から認められませんでした。

日本人は、ヘリコバクター・ピロリを保菌していると2.9%もの胃ガンのリスクに曝されるというショッキングなデータでした。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、!
「ブログランキング」に参加しています

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする