医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

軽症なのに救急外来…123病院で「加算金」徴収

2008年12月27日 | 総合
緊急性がないのに夜間・休日に救急外来を受診する軽症患者から、全額自費の時間外加算金を徴収することを地方厚生局に届け出ている病院が、123施設に上ることが読売新聞の調査で分かった。

制度は1992年に始まったが、最近5年間で76施設も増加。このうち最も多かった理由は軽症患者の抑制で、44施設と6割近くに上る。

医師不足などで患者の「たらい回し」が相次いでいるほか、軽症患者が安易に病院に行く「コンビニ受診」が問題になっているが、勤務医の負担を軽減するための“自衛策”が広まりつつある。

時間外加算金は、例外として保険適用外が認められた制度。医療機関は、管轄の地方厚生局に届け出れば、緊急性がないと判断した患者から徴収できる。

本社が12月1日時点で調べた。過去5年間に届け出た病院の設定額は8400円~300円。7施設は徴収を始めていない。

夜間・休日の軽症患者の受け皿としては、地域の夜間診療所や当番医がある。時間外加算金を徴収している複数の病院によると、軽症患者が「病院の方が安心でき、夜だと待ち時間が短い」「当番医は毎日変わるので、分かりにくい」などとして、病院に来るという。

最高額8400円を徴収しているのは、山形大医学部付属病院(山形市)。今年5月には840人いた時間外の患者は、徴収を始めた6月以降、毎月600人台に減少。一方で、このうち入院した重症患者は、5月の119人から128~156人と増加した。

同大は「金額は、大学病院としての役割、医師の人件費などを勘案した。入院患者が増えたのは、医師に余力が生まれたからではないか」(医事課)としている。

静岡県の志太榛原(しだはいばら)地域では、焼津市立総合病院など4自治体病院が、足並みをそろえて今年4~6月にかけて導入。いずれの病院も時間外の受診者数が前年比で1~3割減った。
(読売新聞より引用)


やっとこういうことに市民権が与えられようとしています。10年以上前、私が勤めていた私立の三次救急病院でも、夜中に軽症のカゼなどの患者が30分おきに来院し、重症患者の治療に時間がとれなくなることに医者たちが疲弊・憤慨し、軽症の患者が夜間受診した場合は、診察料金にある金額を上乗せして徴収することを医者たちが事務と交渉し決定させました。

重症か軽症(例えば、熱が37.4度のカゼの患者で、明日は仕事を休めないからと夜中の3時に来院)かは医者が決めカルテに記載していました。しかし病院側は、患者の負担増で来院数が減るのを嫌って、医者が「軽症」とカルテに書いても事務員が上乗せ分を徴収していないことが発覚し、形骸化していきました。当然、当直の次の日も夜遅くまで仕事が続きます。医者は事務員に雇われる奴隷のようでした。


先日、私の外来に「先生、三次救急病院に血圧の薬だけをもらいに来る私のような患者が受診していてもいいのですか?先生たちも忙しいのでしょう?なんだかお気の毒で・・」とおっしゃった患者さんがいました。

こういう患者さんもいるのだなぁと、少しだけ救われた気分になりました。



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インフルエンザワクチンの副作用による死亡率

2008年12月16日 | インフルエンザ
インフルエンザ予防接種は小中学生らを対象に行われていましたが、副作用が問題化して1994年の予防接種法改正で任意接種となりました。接種者数は一時激減しましたが、高齢者施設で集団感染が相次ぎ、重症化を防ぐ効果が見直され2001年の法改正で65歳以上は一部公費助成する「勧奨接種」となりました。厚労省は正確に接種者数を集計しているわけではないですが、2003年度は65歳以上だけで1,000万人前後が接種しました。副作用はほかのワクチンより少ないとされますが、発熱やじんましん、ショック症状などです。

厚労省の統計によると、2003年の1年間にインフルエンザで死亡した人は概数で1,171人。特にお年寄りが命を落としやすく、厚労省は高齢者が接種を受けるメリットは副作用の危険を上回るとして「勧奨」しています。2003年度に厚生労働省に報告された中で、ワクチンの副作用と疑われる死亡例報告は、集計を始めた2000年度が3人、01年度は4人、02年度5人、03年度は9人と接種者増に合わせて増加しています。03年度に死亡した9人は50-90歳代で、接種との因果関係は未確定ですが、内訳は男性が8人、女性1人です。接種後に呼吸困難になり肝障害を起こした男性(当時84歳)や、高熱で急性心不全になった男性(当時66歳)など主治医が「接種と関連あり」としたケースもありますが、接種後に自宅で急死していて「因果関係不明」とされた事例もありました。

大半がお年寄りですが、02年度には1歳女児の死亡例も報告され、厚労相は全年代を通じた副作用の監視体制を指示しました。厚労省は予防接種法に基づいて、接種を勧奨している65歳以上の高齢者については副作用報告書を年1回公表しています。しかし、ほかの年代は本人の希望による任意接種で、薬事法に基づく副作用報告は同省に届くのですが年報は作っていません。03年度の冬はSARSとの同時感染に備える人らが接種に殺到し、全国で3000万人分に相当する約1460万本のワクチンが使用されました。ワクチン接種人口は厚労省の高齢者への推奨もあって近年急増しています。

インフルエンザワクチンの副作用による具体的な死亡人数は医師でも把握していません。「インフルエンザワクチンの副作用による死亡は交通事故で死ぬ確率より少ないですよ」程度の情報は伝えられるかもしれません。インフルエンザワクチンによる死亡率は3/1,000万ですし、交通事故の死亡率は1/2万6千です。

さて、2003年の1年間にインフルエンザで死亡した人は1,171人で、そのうちのワクチン摂取率など詳しい事はわかりませんが、仮に半分がワクチンを接種していて、していなかった人の1割が死なずに済んだとすればそれは58人、副作用と「疑われる」死亡例が9人ですから、全体とすればインフルエンザワクチンは勧奨されるべきなのでしょう。医学って難しいですね。

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風邪の予防には水でうがいを イソジンでは予防効果なし

2008年12月04日 | 感染症
風邪の季節になりました。

以前、風邪の予防には水でうがいすることが効果的であることを、京都大保健管理センターの川村孝教授(内科学・疫学)らが全国調査で確かめています。水のうがいで風邪の発症率が4割低くなったが、ヨード液のうがいには明確な予防効果はなかったそうです。

この研究では、18歳から65歳の男女384人を、(1)1日3回以上水でうがい(2)同様にヨード液でうがい(3)うがいしない-の3集団に無作為で分け、冬(12月から翌年3月)に風邪をひくか調べました。うがいの効果を無作為で選んだ集団の比較で調べたのは世界で初めてです。

1カ月の発症率は、うがいをしない人の26%に対し、水うがいは17%と低く、年齢構成などを考慮して補正すると発症率はちょうど4割低く、水うがいのかぜの予防効果が認められました。一方、ヨード液うがいの発症率は24%で、うがいなしと統計的に明確な違いはありませんでした。

川村教授は「古くから言われてきた水うがいに予防効果が確かにあった。海外にはうがいの習慣はあまりないようだが、その予防効果を世界に発信したい」とコメントを出しています。一方、ヨード液のうがいについて「風邪をひいたあとの消毒効果は否定していないが、予防効果が認められなかったのは意外。粘膜細胞への作用なども考えないといけないのかも知れない」といっています。

また、風邪をひいた人への抗炎症薬(ロキソプロフェン)の効果も別の集団で調査。初期の重い症状を和らげる効果は認められましたが、投薬しない人に比べ治癒が遅くなる傾向も見られ、「早く風邪を治したいから薬を飲み続けるのは考え直した方がいいのでは」とコメントしています。

そういえば、こういう結果の影響もあってか、明治製菓のこの製品、最近はテレビコマーシャルも見られなくなりましたね。



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