医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

精神・人格異常(その4) 江東マンション神隠し殺人犯の場合

2018年05月31日 | 神経
私は最近、「人格や性格の異常」に関しての本を30冊ほど読みましたので、それをまとめたシリーズの4回目です。

2008年4月に江東区のマンションで会社員の女性が殺害され、バラバラにされた遺体がトイレから流された事件がありました。この犯人は翌日、警察がマンション全室に行った任意の家宅捜索の際には事件とは関係のない段ボール箱を捜査員に見せて中身を確認させたうえ、捜査員が中身を詳しく調べないだろうと、遺体の一部が入っていた段ボール箱をあえて指し示し、中身確認を促すなど大胆に振る舞いました。結局、遺体が入った段ボール箱は見逃すことになり犯人逮捕が遅れることになりました。

東大卒の中川信子さんの著書サイコパス (文春新書)では、この犯人をサイコパスと断定しています。私もそう思います。通常の脳の持ち主であれば、「恐怖心」が心を抑制し、こんな犯罪を行うは到底不可能です。

最近、脳におけるファンクショナルMRIの研究がかなり進んできました。ファンクショナルMRIを用いると、どういう感情の時に脳のどの部分がどういう活動状態なのかということが明らかになります。

これにより、サイコパスでは「恐怖」を感じる扁桃体という部分が小さいか活動が弱く、「恐怖」を感じにくいこともわかってきました。逆に扁桃体の活動が強いと、通常は恐怖を感じない場面で恐怖を感じてしまう「社会不安障害」を引き起こすこともわかってきました。

ファンクショナルMRI

私はこのファンクショナルMRIの進歩は「フロイトの精神分析」を、原始時代の物と同じほど過去の物とか、完全に「フィクションの世界」にしたと思っています。

扁桃体に関しては

ここの「扁桃体の活動の神経心理学的関連」に詳細に示されています。
まとめてみると、
1、境界性パーソナリティ障害の患者は感情の表情表現に対して左扁桃体の活動が有意に増加する。
2、境界性パーソナリティ障害の患者は中立の表情を分類することが困難であるか、または恐怖表情をしていると回答した。
3、境界性パーソナリティ障害の患者が恐怖表情や恐ろしい場面に直面した際に扁桃体の過剰な活動が見られる。
4、より重症な社交不安障害の患者ほど、扁桃体の反応が大きい。
5、うつ病の患者は特に恐ろしい表情を処理する際に過剰な左扁桃体の活動を示し、抗うつ薬を服用すると正常化する。
6、成人および青年期の双極性障害の患者では、扁桃体と海馬の体積が有意に小さくなっている。
7、正常な参加者に対して恐怖表情や異なる人種の顔の画像を呈示した際、その呈示が無意識的であったとしても、扁桃体の活動を増加させる。

2017年10月に神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件が起きたのを覚えている方は多いと思います。批判にさらされやすい私のブログをあえてここまで我慢して読んで下さった方々は、この白石隆浩容疑者サイコパスだと確信したのではないでしょうか。

以前も書きましたが、私は決してこんな本を書いているホリエモンや井川のことを批判しているわけではありません。

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)
これだけアマゾンの評価が低い本は珍しいです。

精神・人格異常について(その2)堀江氏の場合

ファンクショナルMRIによる医学研究の進歩により、将来「自己愛性人格障害」の脳の異常がもっと解明されるでしょう。
この人たちは刑務所に行くのではなく、病院に行くべきであると。

ホリエモンや井川は「自己愛性人格障害」だ、小保方氏は「演技性人格障害」だと皆が早くわかっていれば、ホリエモンにダン・アリエリーの「ずる」という著書の帯で、「人は誰でもズルをする。厳罰なんて意味はない」というコメントを書かせたり、井川氏を「日本にカジノを作ることをどう検証する」という番組に出演させ、突拍子のないコメントで他のコメンテーターを唖然とさせたりすることはなかったということです。

私たちは、ブドウ糖75gという一定量のブドウ糖ジュースを飲んだ際に、ある一定以上の血糖値になってしまう人を「耐糖能異常」と診断して、本人やその周りの人に今後不利益が生じないように留意します。精神や人格の異常も同じです。

最近もサイコパスによる犯罪が多発しています。

皆が早くそういう人たちを「自己愛性人格障害」とか「演技性人格障害」とか「サイコパス」と診断してあげて、何らかの対策をとらないと、本人にそして特に周りの人々にも不利益が広がるばかりなのです。

続く

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