これは したり ~笹木 砂希~

面白いこと、妙なこと、不思議なことは、み~んな私に近寄ってきます。

雪の富士急ハイランド

2017年03月27日 22時24分27秒 | エッセイ
 春休みを利用して、20歳の娘と富士急ハイランドに行った。目当てはもちろん絶叫マシーン。ドドンパは動いていないけれど、フジヤマ、ええじゃないかには何度も乗りたい。せっかくだから、高飛車にも乗ってやるか。高速バス、フリーパス、宿泊がセットになったお得なプランに申し込んでみたが、直前になって、天気予報では「山梨県は雪」などと言っている。
「雪? 嘘でしょ。3月も終わるっていうときに」
 天気予報は外れるときもある。家にいても暇だし、キャンセルの手続きも面倒だし、ひとまず行ってみることにした。
 高速バスは楽だ。乗り換えもなく、ただ座っていればいいのだから、いつの間にやら眠っていた。停留所のアナウンスで目覚め、窓の外を見て驚いた。



「うわ……。本当に雪だ」
 目的地に到着した。思った通り、乗りたかったフジヤマやええじゃないかは運行していない。客はまばらで活気はないが、ひとまずホテルでフリーパスを受け取った。



「ははっ、なんだこれ。『超大大吉。人生最高日だよ!』って書いてある」
 富士急特有のおふざけは好きだ。絶叫系が全滅でも、ここで遊んでいこうという気になるから不思議である。
「お母さん、スケートができるみたいだよ。やったことないから行ってみよう」
 そういえば、娘を連れてスケートリンクということはなかった。私は何度かやったことがあるが、転ばずに滑れる程度のレベルだ。久々に練習するのもいいだろう。



 雪は遠慮なく降り続き、髪もマフラーもコートも濡れてしまった。加えて、リンクにも雪が積もり、予期せぬ場所でブレーキがかかる。でも、滑り方の基本は忘れないものらしい。膝を軽く曲げる、右に左に体重移動させて進むなどの動作が、自然に思い出せた。
「ひいい~、先に行かないでよ」
 一方、娘はときどきドテッと転んで雪だらけになっている。手袋もびしょ濡れだ。それでも、1時間もすればそれなりに上達し、形にはなってきた。真央ちゃんや、高橋大輔の偉大さがわかったらしい。
「さて、お昼にしよう」
 富士宮やきそばと



 FUJIYAMAカレーをいただく。



 これはライスボールになっており、山肌の部分がカリカリでイケた。
 食後は観覧車である。
 明らかに親子連れなのに、私たちはカップル用に案内された。ハートの電飾と、並んで座るシートに苦笑いする。悪天候のせいか、フジヤマのレールが霞んで見えた。



 スケートリンクの人口は徐々に増えている。考えることは皆同じだ。
 ホテルのチェックインが始まる15時には上がり、温泉に直行した。富士急ハイランドリゾートホテル&スパは、温泉やレストランが充実しているし、館内にカラオケやボウリングも楽しめるところがいい。
 翌朝。
 12階で朝食をとる。ここから見える景色はなかなかのものだ。





 また絶叫系は運休だろうと高をくくっていたら、高飛車だけは動いたらしい。偉い!
 パークの反対側には富士山が見えるはず……。



 ……いませんね。



 ちなみに、部屋から見えるバスステーションはこんな感じ。雪に埋もれた車は、どうやって脱出するのだろうか。



 宿泊者には、隣接している美術館「フジヤマミュージアム」の入場券がもらえる。ここで、たくさんの富士山の絵に出会えた。フラッシュを使わなければ撮影も可能だ。
 私が、一番素晴らしいと思ったのは、草間彌生さんの「七色の富士」である。



 絶叫マシーンがなくても、富士山が見えなくても、何とかなっちゃう富士急ハイランドでした。


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昔の仲間

2017年03月23日 22時26分24秒 | 過剰エッセイ
 その日は最高気温が18度まで上がった。とても3月とは思えない暑さだ。
 私は日傘を差して、西新宿のビル街を歩いていた。昼すぎの日差しは強い。



 目指すはカジュアルなイタリアンレストラン。今日は久々に、大学時代の友人たちに会うことになっている。店の入り口が見えてきた。ウインドウの前には、人待ち顔で立っている男が一人。
「おーい、大熊くーん! ひっさしぶりぃ~」
「あっ、砂希ちゃん。ご無沙汰」
 やはり、今回の企画を立ててくれた大熊であった。サークルの同期は10人以上いる。とりあえず、連絡先のわかる8人に声をかけてくれたのだが、仕事があるだの返事がこないだので、4人で小ぢんまりと集まることになった。まずは幹事をねぎらう。
「お店の予約、ありがとね」
「いやいや」
 大熊はまめな男で、8年前にも同窓会を開いてくれた。待っている間、その話を振ってみる。
「んー、俺は途中でサークルやめたから、本当はそういう立場じゃないんだけどね」
「えっ、そうだっけ? 全然おぼえてないよ」
 大熊の告白は衝撃的だった。卒業して27年も経つと、自分のこと以外は忘れるものらしい。
「おーい」
 声のする方を振り返る。今度は、四宮が手を振りながら登場した。四宮とも、8年前の同窓会で会っている。そのあとも、別件で顔を合わせているから、全然久しぶりという気がしない。相変わらず背が高い。
「お待たせ~」
 最後に、美怜がやってきた。今回、集まるきっかけを作ったのは彼女である。岡山に住んでいることは知っていたが、息子くんが東京の大学に通うことになり、引っ越しを手伝うために上京してきた。大熊がそれを見逃すはずはなく、「美怜ちゃんが来るから集まろう」となったのだ。
「卒業以来だね」
「うんうん」
 27年経っても、見た目は変わっていなかった。ごく自然な様子で歳をとっている。
 美怜が言葉を続けた。
「アタシは途中でサークルやめてるから、悪いかなって気もしたんだけど」
「えっ、そうだったっけ?」
 打ち合わせたわけでもないのに、3人揃って同じリアクションをする。やはり、人のことは忘れるものなのだ。いや、もしかして、自分のことも忘れているかもしれない。
 心配になり、四宮に聞いてみた。
「ねえ、アタシも途中でやめてる?」
「ううん。最後までいたと思う」
「よかった」
 逆にいえば、途中でやめてもやめていなくても、分け隔てなくつき合える間柄なのはすごい。一緒にいる時間が長かったせいか、私たちの結びつきは強いようだ。
「じゃあ、中に入ろう」
 飲み放題と料理を注文し、しばし歓談する。仕事、家族、先輩、後輩、子ども、来られなかった仲間の近況報告などなど、話のネタはつきない。
「最初は林も来るはずだったんだよ。でも仕事が入ったからダメだって」
「林くんは、ひとり社長だって言ってたけど」
「そう。全国各地に飛んでいって、イベントで商品売ってるよ」
「自由人だなぁ」
「あいつは自由だよ」
 そこで、隣に座っていた大熊が、ニヤリと笑って話しかけてきた。
「砂希ちゃんだって、気に入らないことがあれば、好き勝手言って自由でしょ」
「え?」
 そこで思い出した。20代の私は、文句たれでケンカばかりしていた。カチンときたら、ガーッと噛みつき、あとさき考えずに言いたい放題。心をえぐるような暴言も、平気で口にした。見かねた先輩から、「怒りたくなったら、まず深呼吸しなさい」とたしなめられたこともある。
「あの頃は、力で押し切るやり方しか知らなかったんだよね。痛い眼も見たし、言われる方の気持ちもわかったから、今は大人になったよ」
「本当に? 信じられないな」
 強行突破するより、協力しながら進んだ方が、よい結果が得られる。そのことに気づいてからは、言葉に気をつけるようになったし、腹も立たなくなった。怒りの感情は、気質からではなく、習慣から生まれるものらしい。今では、怒り方を忘れてしまったくらいだ。
「俺はね、怒りたくなることがあっても、笑いに変えちゃえばいいと思う。怒りと笑いは、結構近いところにあるから」
 大熊は、哲学を好むだけあって、実にいいことを言う。私も、信じられないことが起きたときは、ブログに書いてネタにする。そうすれば、「なぜ私がこんな目にあうのか」などと、マイナス思考に陥らずにすむのだ。この点は一致した。
 美怜は、息子くんの一人暮らしを心配しつつも、成長の機会ととらえている。中には、「淋しくなるから遠くに行かないでほしい」と子どもを手放さない親もいるけれど、美怜は強い。頼もしい。
 四宮は転勤で単身赴任中。家事も仕事も背負って忙しそうだが、決して弱音を吐かないし、いつも前向きに生きている。ちゃっかり趣味の時間も確保する要領のよさは、私も見習いたい。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「本当に楽しかった。ありがとう」
「また集まろう。連絡する」
「元気でね」
 また会えるという前提なら、さらりとお別れできる。仲間に挨拶し、私は都庁前駅に向かった。



 27年は長い。私も仲間も、みんな成長した。
 でも、昔の自分も嫌いじゃないな。


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心臓に悪いプリン

2017年03月19日 21時15分17秒 | エッセイ
 玉子が余っている。火曜になれば、生協からさらに2パック届けられるので、何かに使わねばと考えた。
「そうだ、プリンを作ろう」
 簡単に作れて美味しいレシピを探してみた。
「これはどうだ?」
 以前、娘に買ってやったお菓子作りの本に、「とろとろプリン」なるレシピが載っていた。



 作り方は簡単だ。このときは、そう思った。
 まず、Mサイズの玉子1個と牛乳150ml、グラニュー糖大さじ2を用意する。



 グラニュー糖を牛乳に入れ、人肌に温めて溶かす。これを、ほぐした玉子に少しずつ加え、泡立て器で混ぜたらザルで濾す。



 3つの容器に注ぎ、キッチンペーパーで泡を取る。



 天板にお湯を注ぎ、160度に温めたオーブンで10~12分蒸し焼きにすれば出来上がりだ。
「うわあ、もう完成? 早ッ!」
 しかし、プリンがとろとろ過ぎる。竹串を刺してみたら、液体がドローとついてきたので、再びオーブンに戻した。
「あと5分やってみよう」
 5分はすぐ経つ。ブザーに呼ばれて中を見たが、さっきと変わっていない。
「ええい、もう10分でどうだ」
 押し込むように、オーブンの扉を閉めた。
 玉子には、熱を加えると固まる性質がある。とろとろプリンは、牛乳の比率を大きくすることで、口の中でとろける柔らかさに仕上げる反面、玉子の力は弱くなっている。
 待ち時間では、ひたすら心細い。余計なことを、あれこれ考えてしまった。
「本当に固まるんだろうか」
「もしや、牛乳の量を間違えたのでは」
「失敗したら、私が責任とって片づけるしかない」
「この無駄な時間、どうしてくれるのよ、キイイ~」
 ピッピッピと終了の音がして、ドキドキしながら扉を開ける。



 端が焦げてしまったが、今度は大丈夫そうだ。竹串を刺したときの手ごたえが違う。周りが液体だと「スカッ」という空疎な反応となるが、固体ならではの抵抗感があった。器を傾けても、プリンは流れない。あとは冷まして冷蔵庫に入れるだけだ。
 オーブンの性能の違いか、容器の素材や形状の違いか、わが家の場合は160度で25分かかるらしい。
「ふう~、今度はカラメルを……」
 小鍋にグラニュー糖50gと水小さじ1を入れて火にかける。



 砂糖は加熱によって液体と化し、ドロドログツグツ煮え立ってきた。縁から色がついてくるので、木べらでかきまぜる。やがて、茶色になってきた。
「そういえば、べっこう飴もこうやって作ったな」
 小学生のとき、理科の実験でべっこう飴を作った。熱いうちに、茶色の液体をアルミホイルにあけて冷ますと、美味しい飴に早変わり。ただし、今作っているのはカラメルだから、火を止めたらて大さじ1の湯を加えなければならない。小鍋は「ジューッ」と怒ったような音を立て、沸騰するのをやめた。こちらもでき上がり。



 プリンが冷えた。あとは、上からカラメルをかけるだけだ。
 ここでも一抹の不安がある。
「まさか、べっこう飴になっているんじゃ……」
 おそるおそる小鍋をのぞいてみたが、こちらは固まっていない。「はあ~」と胸をなで下ろした。
 やっと完成。



 お腹をすかせた夫に食べさせた。



「うん、美味しい。でも、カラメルが甘すぎるな。砂糖を減らした方がいいんじゃない」
「へいへい」
 あー、できてよかった……。


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2017 ホワイトデー

2017年03月16日 20時49分50秒 | エッセイ
 出勤すると、プレゼントの包みが置いてあった。
「あら、誰からかしら」
「ゴッド先生です」
 近くにいたフラワー先生が、そっと耳打ちする。
 そうか、今日はホワイトデー。バレンタインデーに安物の義理チョコをバラまいたので、お返しをいただいたわけだ。箱の大きさからして、本当に倍返しで気が引けた。
「私も」
 そのフラワー先生からは、カントリーマアムのレアな「ずんだ味」を、シャネル先生からもチョコおかきなんぞをいただいた。ちょうど、通勤ラッシュをくぐり抜けてきたところだから、ティータイムにはもってこいである。
「おはようございます」
 ニューマン先生が出勤してきて、こちらからもチョコが、タッキー先生からは「僕は和菓子にしたよ」と包みを渡される。これは大漁。バレンタインの威力は絶大である。しばし、お菓子談議に花が咲いた。
 そういえば、学生時代に、バレンタインのお返しを拒否する男子がいた。「製菓会社の陰謀にはまるものか」と抵抗していたわけだが、イベントと割り切って楽しめばよかったのに。やがて、彼にチョコレートをあげる女の子はいなくなった。
「ただいまぁ」
 帰宅して、食べ切れなかった戦利品をバッグから出していると、夫がゴディバの箱を持ってきた。
「はいこれ」
「ありがとう」
 山盛りになり、食べきれるか心配になってきた。



 以前に、ゴディバのチョコが美味しかったと言ったせいか、夫はゴディバ以外のチョコを買わない。男性には保守的な傾向がある。たまには冒険してもいいんだけど。
 娘が23時にバイトから帰ってきた。大きな紙袋を持っている。
「バイト先のオジさんにチョコあげたら、今日、お返しもらった」
「へー」
「バウムクーヘンにしようと思ったら、店がつぶれていたからケーキにしたって。消費期限が今日なんだよ。どうしよう」
「げっ」



 おそらく、そのオジさんの好きなケーキなのだろう。バレンタインに、20歳の女の子からチョコをもらったのが嬉しくて嬉しくて、飛び上がって足の裏で拍手したくなるくらい嬉しくて、喜んでもらいたい一心からお返しを選んだに違いない。
 可愛いなぁ。
「図書カードも入ってた」
 中身を見たら、2000円と書いてある。そこまで念入れる?
「明日、仕事行く前に食べていってよ。3分の1ずつね」
「ひー」
 思いがけないノルマが課されたが、「図書カードを使って」というノルマはないらしい。
 チッ。
 翌朝、弁当を作り終えると、血糖値を上げないためにキャベツの千切りを食べる。このあとはケーキだ。
 消費期限は過ぎたけど、一日くらいどうってことない。
 カスタードクリームに載った甘いフルーツと、歯ごたえのある香ばしいタルト生地のコンビネーションを楽しんだ。バリバリバリ。
 娘はすました顔で「美味しかったです」と伝えたらしい。


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ひと足先に墓参り

2017年03月12日 21時34分13秒 | エッセイ
 来週の3連休は混むだろうと予測して、今日、母と墓参りをすることにした。
 高尾にある某霊園には、偶然にも、母の両親たちと私の義父が、少々離れたところに眠っている。一度で2世帯分の墓参りができるから、こちらにとっても都合がいいのだ。
「えっ、行くなら言ってくれればいいのに。俺だって都合つくから」
 影響を受けてか、一回しか父親の墓参りをしたことのない夫まで、参加するようになったのが面白い。要介護の義母がいるから、夫の兄弟は墓参りどころではない。自分がやらねばと思っているなら、ちょっとは大人になったと言えるだろう。とっくに、還暦過ぎているけど……。
 墓参りのあとは、母と中華を食べた。夫は出かける用事があるようで、恨めしそうな顔をしていたが、先に出発していった。
 アワビやズワイガニ、和牛などはもちろん美味しかった。だが、一番期待していたのはフカヒレの姿煮である。



 関東地方の冬は、かなり乾燥する。静電気パチパチ、お肌ボロボロなのが悩みの種だ。フカヒレでコラーゲンを補充できれば、ボロボロからプルプルになるかもしれない。
「うっま~い♪」
 デザートは金箔つきのマンゴープリン。一説によると、金箔にはコラーゲンの生成機能をアップさせたり、肌のターンオーバーを整える作用があるという。わずかこれだけの量で、そんな効果があるかは疑問とはいえ、ゼロよりましであろう。



 こちらも美味しくいただいた。
 ゆっくり食事をしたので、終わったら4時になっていた。急いで電車に乗り、地元の駅で食材を買う。早歩きで帰ると、すぐに夕飯の支度だ。私はお腹が苦しいので、夫の分だけでよい。
 台所に立っていたら、足に違和感をおぼえた。
「あれ? なんか左の膝が痛いなぁ……」
 気のせいではない。たしかに、お皿の真ん中あたりがシクシクする。これはどうしたことか。
「フカヒレ食べたのに」
 コラーゲンは美容だけでなく、関節痛などを和らげる効果もある。気休めに屈伸運動をしてみた。かがんだところで、問題の膝から「ポキ」という小さな音が聞こえ、笑いそうになった。
 おそらく、昨日、準備運動もせずに40分間スカッシュを続けたのがいけなかったのだろう。
 これからは、ウォーミンブアップとクールダウンをセットにして、ケガを予防せねばと反省した。
「さて、この膝どうしよう」
 そうそう、ひな祭りのとき、座敷に座ると膝が痛むからと、母が持参したイスがあったっけ。



 まさか、私が使うことになるとは!


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インターネットがつながらない!

2017年03月09日 22時18分29秒 | エッセイ
 職場から帰宅し、パソコンに向かった。夕食までの待ち時間を使って、ネットサーフィンをしたかった。
 ところが、インターネットエクスプローラーのアイコンをクリックしても、「ネットワークに接続されていません」のメッセージが出て、一向につながらない。無線LANのルーターは起動しているのに、どうしてだろう。
 夫のPCで挑戦しても同じだった。無線がダメなら有線でと考え、ケーブルをつないでみた。それでも結果は同じだ。となると、昨日まで元気に活躍していたルーターが壊れたのかもしれない。
「しょうがないな。エッセイでも書くか……」
 だいぶ前に、マッカーサー記念室に行ったときのエッセイがまだだった。写真はあるから、あとは文を書くだけ。でも、どこを切り取って、どう膨らませるかで悩んでいた。加えて、姉からのひと言が大きく影響している。
「マッカーサールーム? 私も行ったことあるな。……あそこは出るんだってよ」
 一般公開されていない施設だから、普段は明かりが消えている。何かが潜んでいると言われれば、そうかもしれないと頷いてしまう雰囲気だった。
「夜に書くのは怖いな。今日はやめよう」
 そんな具合で延ばし延ばしにした結果、すでに1カ月以上経過している。ネットがつながらないのなら、思い切って書くしかないだろう。
「ん? もしや……」
 私にこれを書かせるために、通信障害を起こした者がいるのではないか。
 その前の夜、夫がテレビで、芸能人の恐怖体験を見ていた。私もついつい見てしまい、番組が終わった後も、その話題で盛り上がったのだが……。
「あれ、キッチンからパチッパチッて音がする」
 普段は聞いたことのない軽い音だ。まさか、ラップ音?
 音はすぐにやんだ。すっかり忘れていたが、これが原因でネットがつながらなかったりして。
 何の根拠もないけれど、マッカーサー記念室のエッセイを書いたら、インターネットが復旧するような気がした。交渉する相手がどこにいるかもわからないまま、念を飛ばしてみる。
-わかった。あなたのことを書いてほしいから、邪魔しているんでしょ。
 もちろん返事はない。でも、きっと間違っていない。
-そりゃ、ずっと放置していて悪かったけどさ。書いたら直してよ。
 私はワードを立ち上げ、文章を入力し始めた。
「君は、マッカーサーを知っているか」
 3行くらい書いたところで手が止まる。
「うーん、何か違うかも……。君じゃなくて、おまえさんにしてみるか」
 誰かに誘導されているのか、自分の文章に違和感をおぼえて書き直した。
「彼は、ってのもおかしいよね。そうだ、奴さんがピッタリかも」
 普段は絶対に使わない言葉が、次々と浮かんでくる。感じるまま、ひらめくままに続けていったら、「どう書こうか」と悩んでいたのが嘘のようにまとまった。
(完成したエッセイ「マッカーサーのいた部屋」はこちらから)
 再び、念を送ってみる。
-できたよ。ネットをつなげてちょうだい。
 やっぱり返事はないが、ルーターのコンセントを差し込み、さっきと同じ動作を繰り返す。
「おおっ、つながった~!」
 思った通り、インターネットが復旧した。ブログにアップしたあと、「気に入った?」と問いかけてみた。実のところ、結構自分好みの作品に仕上がったと思う。
 それから、おあずけになっていたネットサーフィンを始めた。さっきまで「ネットワークに接続されていません。接続されていないんだってばよ!」と表示されていたとは思えない滑らかさだ。
 やはり、邪魔されていたのではないか。
 さらに、図々しく念を送った。
-頑張ったんだから、何かご褒美ちょうだいね。
 その成果があったのか、今日は職場に卒業生が3人やってきた。全員イケメンの男子だ。
「久しぶりにみんなで会おうって話になって、ついでに先生にも会いに来た」
「わ~、ありがとう!」
 警察官になり、巡査として派出所勤務をしているコウジは、給料がものすごくいいと喜び、首から下げたバッジを見せてくれた。美容師を目指して専門学校に通うアツシは、クラスで2位、学年で6位の成績をとったとか。機械技師になりたかったはずのレイヤは、全科目追試で「頑張らないとヤベー」と叫んでばかり。
「仕事が終わったら、カズヤとダイキも来るんだよ」
「先生も元気でね」
「うん。さようなら」
 しばらく話して、彼らは去っていった。まさかまさかの再会で、ご褒美にふさわしいシチュエーションだった。また念を送ってみる。
-ありがとう。
 今日はいい日だ。


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高齢者と祝うひな祭り

2017年03月05日 22時04分49秒 | エッセイ
 今年もひな祭りパーティーをした。



 3月は何かと忙しいこともあり、集まったのは7人だけ。退院して10日経過した母が、元気に来られただけでもよしとしよう。
「床に座るのがつらくなってね。椅子を持ってきたよ」



 我が家では、もっぱら座卓を使用する。75歳を迎えた母には厳しいようで、申し訳なく思った。
 料理のイチ押しはすき焼き小鍋。去年も食べたから、ひな祭り定番にしたいものだ。フタに「割下を直接肉に10ccほどかけ、残りは鍋全体に回し入れる」などと書かれた紙がセットされているので、この通りにやればいい。
「もう火をつけていいの?」
 母が小鍋をのぞき込んで尋ねたが、まだ割下が入っていない。
「作り方が書かれた紙があったでしょ。読んだの?」
「読んでない」
 何と、ジジババ夫の高齢者トリオは説明を読んでいなかった。しかも、さっさと捨てていた。年寄りには難しかったか。
「あ、僕も読んでなかった……」
 高校生の甥も、恥ずかしそうに申し出た。スマホ老眼にはまだ早いのだが。



 6分後にはグツグツ沸騰し、甘辛いあの匂いが充満してきた。肉の柔らかさに舌鼓を打ち、いやいや舌ドラムのほうが賑やかでピッタリだよと思い直す。
 うま~い。
 ローストビーフに



 オードブルも用意したが、量が多かったようだ。



 これに寿司も加わったから、最後にはお腹いっぱいで動けなくなった。
「ごちそうさま。椅子は置いていっていいかな」
「いいよ」
 次は身軽で来られるように、母の椅子を預かる。ゲストを見送り、椅子を片づけようとしたら、目立つところに貼ってある注意書きのシールが目に入った。
「ご使用の際には、必ずカバーをはがしてください」
「…………」
 思い切り、ビニールのカバーがついたままではないか。やれやれ、全然書いてある通りにしないんだから、と天を仰ぐ。カバーを破き、埃よけの袋に入れて収納した。
 そして今日はお雛様をしまった。
 今年はしゃれた菱餅を用意したので、お雛様も喜んでくれただろうか。



 友人の娘は、毎年お雛様に手紙を書いているのだという。小さなメモに、ひと言ふた言書いて、お道具の箪笥にしまう。この引き出しは飾りではなく、ちゃんと開閉できるところが偉い。



 メルヘンチックな発想がいたく気に入って、私も娘に勧めたことがある。でも、「手紙って何を書けばいいの?」と聞かれ、「好きなことを自由に」と答えたら、「特にないからいいや」と断られた気がする。現実主義者には、魅力のないセレモニーなのかもしれない。
 今だったら、どう答えるかな?
「おじいちゃんとおばあちゃんが、ボケずに元気でいられますようにって書いてごらん」などと言いそうだ。
 私もまた、まぎれもない現実主義者……。
 お雛様、来年またみんなで集まることができますように。


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のろいの昼食

2017年03月02日 20時43分36秒 | エッセイ
 小学生の私は、給食の時間がストレスだった。「いただきます」から「ごちそうさま」までの時間の短いこと短いこと。おしゃべりもせず、せっせと口を動かしているのに、食べ終わるのはいつも最後。ふざけながら食べている子の容器が先に空っぽになる。なぜ?
 全員が食べ終わるまで「ごちそうさま」にはならず、席に座って待たなければならない。早く遊びに行きたい子たちが私に向かって、「まだ?」「いつまでかかるの?」という視線を送ってくる。これが苦痛で仕方なかった。
 ある日、先生が「九九をおぼえられた人から順に給食にしましょう」と言った。これはチャンス。九九など簡単だ。さっさとクリアして、給食を食べ始めた。今日は慌てなくても平気だろう。
 一番遅かったのは近所の男の子。勉強が苦手で、何度やっても途中でつっかかる。その子以外はみんな給食にありついているから、とうとう先生も折れた。
「給食の時間が終わっちゃうから、続きはまた今度にしましょう。さあ食べちゃって」
 時計を見るとあと5分しかない。まず、彼はコッペパンを右手でつぶし、ゴルフボールくらいの大きさに縮めた。2回に分けて口の中に放り込み高速で咀嚼する。ポークビーンズは容器に口をつけて一気に流し込んだ。それからスプーンを左に一回転。せわしなく動く唇の中に野菜が吸い込まれた。最後にもう一回転。シュッと果物も消えた。まるで手品だ。
「すげえ、1分しか経ってない」
 九九の失敗はどこへやら、クラス中の児童が一斉に尊敬のまなざしを向けた。そして、ポカンと見ていた私は、またビリッケツ……。



 大人になった私は高校教師をしている。給食はないから、専ら弁当を持っていく。弁当は自分でメニューや量を調整できるところがいい。食べるのに時間のかかる豆類や硬いものは避け、パッパと片づく唐揚げや煮物などを弁当箱に詰める。
 しかし学校の昼休みは40分と短い。担任を受け持っていたときは、ときどき昼食時に保護者から穏やかでない電話がかかってきた。
「あのう、江原の父です。」
「ああ、朝方、欠席連絡をいただきましたね」
「はい、発熱と言いましたが、あれは嘘です」
「えっ」
「実は、子どもが学校に行きたくないと言いまして、どうしたらいいんでしょう」
 この手の相談は多い。親は子に振り回されて悩み、助けを求めてくる。解決策うんぬんよりも、まずは話を聞いてほしいようだ。親子の会話はなく、子が何を考えているのかわからず不安になっている。
「お話はわかりました。仲良しの子たちに、学校においでよとラインしてもらいますね」
「ああよかった。それなら安心です」
 電話を切ると、急いで弁当の残りを平らげる。急げ、あと7分だ! フルーツを飲み込んだところで予鈴が鳴った。歯磨きしている時間はない。教材を抱え出席簿を引っつかんで教室に向かう。
 走れ! 走れば間に合う!


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人生のピーク

2017年02月26日 21時51分31秒 | エッセイ
 ブロ友さんのブログに「人生のピークは中学一年生のとき。勉強は一切せず、ただただ授業中、先生を含め、みんなを笑わすことに徹していた」とあった。彼のいうピークとは、人気のことなのだろう。
 さて、人気を基準とするなら、私のピークは就職後の数年間である。職場の平均年齢は50歳前後だし、オジさんの多い職場だったから、22歳の女性というだけでちやほやされる。若ければ、特に美人でなくてもいいのだ。〇〇委員の選挙があれば、何もできないのに2~3票は入り、誰かとぶつかっても「今日はいいことあった~」と喜ばれる始末。誰かに何かを尋ねれば、ニコニコしながら「やっておくからいいよ」と言われたりして、ずいぶん甘やかされていたような気がする。
 やがて結婚し、子どもを生んで復帰すると、普通の職員になる。こちらの主張を通すために戦い、失敗すれば文句を言われるけれど、そのほうが気楽だ。私より若い女性には、露骨に態度を変える男性もいるが、自分も通った道だと思えば腹も立たない。
 人生の尺度は人気だけではない。もし経済力だったら、ピークはこれから来るはずだ。毎年4月にベースアップするから、定年退職を迎える60歳までは上昇し続ける。そこがピークになるだろう。年金生活者になったら、贅沢せずに質素に暮らしを楽しみたい。
 もし文章力だったら今はダメだ。底辺レベル。ろくに勉強していないし、本も読めていない。書く時間も不足しているから、似たような作品ばかりになってしまう。でも、退職後は時間がたっぷりある。小説は難しそうなので、ぜひ紀行文に挑戦してみたい。日本各地の絶景を言葉で表現したり、郷土料理の個性を描写したりと、考えただけでワクワクする。70歳くらいでピークを迎えられるといいのだが。
 最後に体力。これは今がピークかもしれない。若いときから体が弱かった。すぐに風邪をひき、熱を出したりお腹が痛くなったりする。週に一度は休息日を設け、ゆっくり休む必要があった。ところが、蒸しショウガに出会ってから変わった。風邪って何? というくらい丈夫になったし、毎日出ずっぱりでも疲れない。母の見舞いで那須に行き、帰りはジムに寄って汗を流し、月曜から金曜まで勤務したあと、入試の採点で土日がつぶれても平気だ。頭のてっぺんから指先、つま先に至るまでエネルギーが満タンで、自分でも驚いている。
 明日は振替休業日で仕事なし。午後からエッセイ教室に行く。さて、午前中は何をしよう。
 そうだ、お台場のガンダムは? 撤去前に、もう一度見なくては。



 3月5日までですよ、みなさん!


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安さのからくり

2017年02月23日 20時30分38秒 | エッセイ
 友人の凛が、よく予約サイトの一休を使って、ホテルやレストランを利用している。
「安くてお得よ。定価で払うのがバカバカしくなっちゃう」
 それは知らなかった。
 ちょうど銀座方面に行く用事がある。オシャレなホテルの贅沢ランチを、割引価格でいただきたいとスケベ心が働いた。そうだ! 一休を試してみよう。
「どこがいいかな」
 たまには帝国ホテル以外にしたい。たとえば、ペ〇ンシュラはどうだろう。検索すると、いくつかのプランがヒットした。
「なになに、ダブルメイン豪華4品コースランチのドリンク付7245円が5700円? よし、これでいこう」
 たしかに凛の言う通り、お得な料金だ。どうやったら、1500円の値引きができるのか気になった。
 からくりは、行けばわかる。
「いらっしゃいませ」
 キラキラした笑顔のベルガールに迎えられ、気分よく豪華な館内に足を踏み入れた。席に案内され、娘と2人でメニューの説明を受ける。おしゃべりしていたら、グラスにスパークリングワインが注がれて、素敵なランチの始まりだ。店内はそこそこ混んでいるが、前菜がすぐに運ばれてくる。



 ピアノとヴァイオリンの演奏も始まった。繊細な旋律が心に響く。絵画の修復のように、ハートにへばりついた汚れが、はがれ落ちていく気がする。
「あの高いところで弾いているんだね。やっぱり生演奏は違うわぁ」
「うんうん。メロディーの中に聴かせたいって想いがこもった感じ」
すべり出しは上々だった。
 突然、背後でガチャガチャというカトラリーのぶつかる音が響く。驚いて振り返ると、私の背中から1mほどの場所に食器棚らしきものがあった。これでは、やかましいはずだ。
「なんかうるさいと思ったら……。設計ミスじゃないの?」
「こっちもうるさい。耳元にスピーカーがあるよ」
 ピンときた。ここはハズレの席だから安いのだ。そういうわけか。
 2皿目はアイナメを使った魚料理。



 見た目が美しく、ソースもなめらか、まろやかで、実に美味しかった。ソースをパンですくい取ると、バターをつけるよりイケる。娘が先に食べ終わり、フォークとナイフを4時の方向に揃えて置いたせいか、ウエイトレスが皿を下げに来た。
「おすみですか?」
「えっ、まだです」
 私はカトラリーをハの字に置いているのに、何を考えているのか。まだに決まっておろう。
「失礼しました」と彼女は手を引っ込めたが、どうにも納得いかない。
 そのあとは、もっといけない。待っても待っても、メインの肉料理が来ないのだ。隣のテーブルも、そのまた隣のテーブルも、食事を終えて空になったのに、こちらは「おあずけ!」と言いつけられた犬のようにじっと待つ。相変わらず、背中ではガチャガチャ、スピーカーはブーブー騒いでいた。
 ピアノとヴァイオリンの演奏がまた始まった。待ち時間が長くて、2クール目に入ったらしい。2曲、3曲と流れても、肉料理は来ない。25分経過後に、ようやくウエイトレスが「お待たせしました」と近づいてきた。



 バイトか派遣か知らないが、安さの理由その2は、教育されていないスタッフが担当するところにあるらしい。待ちくたびれて、食欲がうせた。
 値段が安ければ気にしない、という人にはいいだろう。多少安いくらいで、悪い席に座らされ、4流のサービスを受けるなら、私はお断りだな……。
 ピアノの旋律が、ビリー・ジョエルの名曲を奏でる。「オネスティ」だ。
 うーん、このタイミングでオネスティ(誠実)か……。
 皮肉な偶然に苦笑いをした。


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マスクの新しい使い道

2017年02月19日 21時39分42秒 | エッセイ
 決して暇人ではないが、週2回はジムに行くことを目標にしている。スカッシュで汗を流し、スパでリラックスするのが至福のひとときなのだ。
 仕事帰りに寄ることもある。前の日に持ち物を準備するが、一度、トレパンを忘れてしまった。更衣室で着替えの最中に気づいたものだから、「今日はやめよう」という気になれなかった。
「今日はチノパンを履いてきたから、これでやればいいんじゃない?」
 かくして、Tシャツにチノパンを組み合わせた、いい加減な格好の女がスカッシュコートに立ったというわけだ。裏起毛だから暑かったこと、暑かったこと。
 今日はトレパンこそ忘れなかったものの、髪をまとめるゴムが見当たらなかった。
「あれっ、昨日はあったのに。どこに行ったんだろう」
 おそらく、ロッカーに置き忘れたのだ。これには参った。ゴムがないと、髪が邪魔で球が見えない。卓球の愛ちゃんも美誠ちゃんも、「これでもか、これでもか」というくらい黒ピンで前髪をとめているのは、視界を最高の状態に保つためと思われる。スポーツ刈りにする気はないが、ときに髪は疎ましい存在となる。
「うーん、何かないかなぁ」
 バッグの中を探してみた。輪ゴムの一つくらい見つからないものか。
「ややっ、これはどうだ?」
 使い捨てのプリーツマスクが目に入った。感染症を防ぐため、満員電車でつけるようにしているが、ジムのあとは自転車で帰るだけ。役に立ちそうな気がした。
「えーと、ゴムのところを切り取って……」
 耳にかけるソフトなゴムを引っ張ると、少々抵抗されたあとに「ベリッ」と剥がれた。反対側も同じようにしてもぎ取る。これを輪にしてみたら、髪くらいとめられるのではないか。



「おっ、大丈夫、大丈夫」
 グルグル巻きにし、髪をまとめてコートに向かった。またもや変な女の登場である。だが、40分間動き回っても、ゴムはびくともしなかった。ボールを追って、運動不足の体が右に左に動く。髪が邪魔だとこうはいかない。急場をしのぐにはいい判断だったと思う。
 残された可哀想なマスク……。



 マスクは、感染症やアレルギーの予防という本来の目的以外に、いろいろな使い道がある。防寒、すっぴん隠し、照れ隠し……。
 女子生徒の皆さん。
 体育の時間に、髪をゆわくゴムを忘れたときには、ぜひ思い出してくださいね。


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ひんやり「秩父氷柱アート」

2017年02月16日 20時59分10秒 | エッセイ
 冬は寒い。だが、その寒さが観光資源になることもある。
「わっ、なにこれ。つららだって」
 ネットサーフィンをしていたら、「秩父三大氷柱」というフレーズに出会った。私は埼玉県出身なので、秩父には何度か行ったことがある。山があって、夏は暑く冬は寒い場所だ。だが、その寒さを逆手にとって、氷柱で観光客を集めることができるとは。アッタマい~い!
「よしっ、面白そうだ。行ってみよう」
 チャチャッとバスツアーに申し込む。土曜のライトアップコースはすでに満員だったが、日曜の平常コースには空きがあった。ウホウホ、間に合った。
 集合は午前11時に西武秩父線の芦ヶ久保だ。ここからすぐの場所に、あしがくぼの氷柱がある。観光の目玉として人工的に作っていると聞いたが、果たしてどのようなものか。
「へええ」



 鍾乳洞の石筍が雪に代わったような盛り上がり方だ。



 ぷくぷくしていてラブリー。クラゲに見えないこともない。
 ここの氷柱は、始めてから4年目というから、この先洗練されることだろう。斜面の頂上では甘酒や紅茶をふるまっていた。紅茶をいただきながら、陽光に反射するクラゲたちを鑑賞した。
 すぐにお昼の時間になる。バスツアーには、昼食と温泉がついていてウレシイ。
「えっ、豪華」



 参加費用は7000円である。昼食代だけで結構いっちゃうのでは? と感じるメニューだった。糖質がやや過剰であるものの、アツアツの切り込みうどんで体が温まる。
 美味し!



 昼食後は尾ノ内の氷柱を見に行く。ここも人工的に作られたものであるが、道路が渋滞していて、予想以上に時間がかかった。
 渓谷にかかった吊り橋が、歩くたびに揺れるので、高所恐怖症の方には無理だろう。



 ポストカードの写真と比べてみると、今年は基準の5割程度の氷柱しかないとわかる。日中が暖かいので、氷が溶けてしまうのだとか。



 ちなみに、暖冬だった去年は、もっと少なかったそうだ。
 でも、光の加減で、「氷柱の国のアリス」みたいな写真が撮れたから満足だ。









 ライトアップ時のポストカード。これが見られる時間帯は、駐車場が2時間待ちというから凄まじい。



 ラストは三十槌(みそつち)の氷柱である。
「ここには天然の氷柱と、人工の氷柱があります。天然の方はつらら、人工のほうはひょうちゅうと呼んでいます。比較してどうぞお楽しみください」
 バスガイドの説明に、うんうんと頷いた。



 これは天然ゾーンであるが、たしかにつらら……。



 繊細な姿が水に映り、自然の生み出した芸術にうっとり見とれた。



 私はここが一番好きだ。



 まあ、糸のようなつららが春雨に見えないこともないが……。
 人工ゾーンは、先の氷柱と大差ないので割愛しちゃおっと。
 秩父のシンボル、武甲山。



 最後に、武甲温泉で汗が出るまで温まり、18:40頃芦ヶ久保で解散した。
 コスパもよく、退屈しなかったバスツアーに感謝する。
 今度は、凍死しそうなくらい寒い年に参加したい。


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三度目の正直 赤坂迎賓館和風別館

2017年02月12日 22時37分32秒 | エッセイ
 めでたく、迎賓館和風別館の参観証が送られてきた。3度目にしてようやくである。「やりぃ~」と大きな音で指パッチンをしたくなった。
 いつも留守番ばかりの夫も誘い、家族3人で出かけることにした。
 和風別館の定員は20名。しかし、数えてみると13人しかいない。7人はキャンセルということなのだろうか。どうしても見たい人だけが申し込めばいいのに。
 係員の男性がスタンバイして見学が始まった。
「おや、今日は子どもがいますね。中学生かな」
「大学生ですっ!」
 娘が子ども扱いされたことに怒り、目を吊り上げていたが、そもそも若い人がいない。文化財には興味がないのか。それは残念なことである。
 和風別館は昭和49年に建てられたもので、エリザベス女王が最初の客だったとか。
「女王自ら植えた木がこれです」



 イギリス勢としては、サッチャー首相やダイアナ妃も滞在したそうだ。ちなみに、ゴルビーことゴルバチョフ大統領も植樹をしたという。
 木の隣に生えている、キノコのようなものは外灯か?



 何でこんな形にしたのかしらと笑いがこみ上げてきた。
 細い道を抜けると、別館が見えてくる。



 空も青くて何より。派手さはないが、落ち着いた佇まいに、日本らしいおもてなしの姿勢が感じられる。
 庭の池には鯉が93匹いるそうだ。



 別館公開前は、人の出入りがないのをいいことに、稚魚を狙った鳥が飛んできては食べ放題をしていたらしい。だから、自然繁殖することはなかった。
 だが、一般公開されるようになって、狩場に人間という邪魔者が入り込んでくる。鳥たちは警戒し、池に来る回数が減ったものだから、子どもの鯉が育つようになったのだとか。何が幸いするのかわからない。
「皆さま、こちらにお進みください」
 最初は靴を履いたまま、黒い床に敷かれた赤いカーペットの上を歩く。
「賓客が来るときは、このカーペットを取りますが、皆さまはカーペットの上をお歩きください」
 見学者が、賓客と同じ場所を歩かないように工夫をしているのだろう。夫は説明の意図が十分理解できなかったようで、靴のつま先がカーペットからはみ出していた。すかさず、係員がそれを指摘する。
「あのう、カーペットの上でお願いします」
 手のかかるオヤジで申し訳ない……。
 次に入口で靴を脱ぎ、館内に上がる。
「皆さま、スリッパに履き替えてください」
 ここでもやはり、見学者とVIPは区別される。賓客はスリッパを履かないが、見学者はスリッパを履くから、水虫持ちであろうが、足の臭い人であろうが、床を汚す心配はない。一国の指導者やその家族を招待する場所では、細部まで気配りをしないといけないのだろう。
 主和室は、18人までが食事をとれる部屋である。
「あれが通訳の椅子です。賓客は食事をしながら話しますが、通訳に席はありません。彼らは食事もせずに2時間話しっぱなしです。実にハードなお仕事ですね」
 ごちそうを前にして、自分の分はなしというのは哀しい。そうか、通訳にならなくてよかった。というか、なりたくてもなれなかったけど。
 このあと、食堂や茶室なども見て、見学は45分程度で終了した。
 少人数で説明つきのツアーは楽しい。家族3人、満足して本館に向かった。
 係員が「京都迎賓館はもっと広くて豪華です」と説明したことを思い出す。
「じゃあ、次は京都まで行かなくちゃ」と新たな目標ができたことがうれしい。


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食い逃げ御免

2017年02月09日 22時08分03秒 | エッセイ
 ちょっとした用事で、某大企業に行った。
「お昼は社員食堂で召し上がりませんか? 皇居が見えてキレイなんですよ」
 この会社からはペニンシュラが近い。たまには、落ち着く場所で贅沢なランチをと思ったが、すぐに考え直す。ペニンシュラにはいつでも行かれるが、この機を逃したら、社員食堂にはもう行かれないだろう。希少価値では勝負にならない。
「どのメニューも、だいたい500円くらいです」
「じゃあ、ぜひお願いします」
 そんなわけで、女性社員に連れられて昼時の食堂に入り込んだ。
「学食と同じスタイルです。麺類はあちら、一品料理はこちら、定食は左手にあります」
「わあ、どれにしようかしら」
 私は基本的に定食が好きだ。鶏の照り焼きがメインになっているセットを選んだ。ご飯は大盛り、普通、少なめがある。少なめは70円と書かれているのが目についた。
 それにしても、人の多いこと、多いこと。席数も多いが、ときには満席になることもあるらしい。どの社員も慣れた手つきでお料理を取り、トレイを持ってスイスイ歩いていく。
「あれ? 箸……」
 初めての場所は勝手がわからない。周りを見ると、みんな箸や水を載せているのだが、一体どこにあったのだろう。
「大丈夫ですか?」
 さきほどの社員が戻ってきてくれた。彼女は蕎麦にしたので、場所が離れていたのだ。
「お箸はここです。お茶もありますよ。取りましょうか」
「ありがとうございます」
 彼女に手伝ってもらい、窓際の席に移動する。



「おお~」
 言われた通り、窓の外にはいい景色が広がっている。
 私が選んだ定食はこんな感じであった。



「いただきま~す」
 見た目は質素だが味はいい。欲をいえば、鶏肉はもうちょい小さく切ったほうが食べやすい。みそ汁も無難な仕上がりだ。好みで小鉢などを追加して、もっと豪華にすることもできる。
「ん? そういえば……」
 ワタシ、お金を払ったかしら? 払ってないよ。
 血の気が引くようだった。まさか、レジに気づかなかったのだろうか。いくら初めての場所だからといってレジをスルー? それって無銭飲食でしょ。犯罪だよ、マズい!
「そちらの学級数はいくつあるんですか?」
 私の焦りに気づくこともなく、女性社員はにこやかに話しかけてくる。すっかり、うわの空で返事をした。情けないけれど、こうなったら彼女に相談して、レジまでお金を払いに行こう。
「〇〇ちゃん、ここいい?」
「いいよ、空いてるから」
 間の悪いことに、女性の同僚が隣に座ってしまった。とても相談できる雰囲気ではない。困った。
 無銭飲食が、こんなに居心地の悪いものとは知らなかった。今では、定食の味もわからないくらい動揺している。世の犯罪者たちは、相当頑丈な心臓を持っているのだろう。私には無理だ。
 一気に口数が少なくなってしまった。女性も隣の同僚も食べ終わり、席を立つ。
「出口で清算しますので、現金のご用意をお願いします」
 彼女の視線の先を見ると、レジが3つ並んでいた。
「なるほど、食後に支払いをするシステムなんですね」
「はいそうです」
 こういう情報はもっと早く教えてほしかった。犯罪者にならなかったことは嬉しいが、そんなこんなでお昼を食べた気がしない。
「460円です」
 清算後は、やたらとすがすがしかった。使用済みの容器とトレイは、ベルトコンベアーに載せる。洗い場につながっているのだろう。なんと合理的な。前払い制度しかないと思いこんでた自分が恥ずかしい。
 まあ、これも社会勉強だ。
 懲りずに、他の社員食堂にも行ってみたい。


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開かずの踏切

2017年02月05日 21時35分00秒 | エッセイ
 9月からスポーツクラブに入会したので、今月で5カ月目になる。
 最初の頃は、スカッシュの前に準備体操をして、スカッシュのあとはプールに入ったり、自転車こぎやジョーバなどのマシンにまたがったりしていた。しかし、今では何の準備もせずにスカッシュを始め、終わったらスパで温まって終わり。筋肉痛を防ぐため、多少はマッサージをしてごまかす。手抜きしている自覚は十分あった。
 今日は娘がいないため一人で出かけた。雨が降りそうな雲行きだったが、自転車で行った。一人だと、スカッシュは20分で汗だくになる。あとは汗を流してスパにドボン。1時間以内に戻ってこられるところが魅力だ。
 着替えてクラブを出る。自転車のサドルは濡れているが、雨はやんでいる。ラッキー!
 また降り出さないうちに帰らねば。家に帰るには、私鉄の踏切を越えなければならない。踏切が開いているときと、閉まっているときの確率は五分五分だ。今日はどうかなと自転車を走らせ、異変に気づいた。
「カーンカーンカーン」
 踏切は閉まっていたのだが、通過するはずの場所で、なぜか電車が止まっている。上り電車が通り過ぎるための警報なのに、それが駅でもない場所で立ち往生するとは尋常でない。事故か?


 (写真は本文と関係ありません)
 私は迂回路を探した。右に細い路地があるから、そこに入って別の踏切を探そう。ここから多少離れれば、開いている踏切があるはずだ。だが、周りの歩行者や自転車を見ると、Uターンするのは私しかいない。
 マジ?
 明らかに異常事態が起きているのに、なぜ、この人たちは黙って待つことができるのか。5分待っても踏切が開く保証はない。10分なのか30分なのか、復旧作業が終わる時間はわからない。
 若いカップルが、ニヤニヤしながら遮断機をくぐり抜けてきた。小学生が母親に「危ないからいけないんだよね」と言いつけている。気持ちはわからなくもないが、私は真似しない。渡れる踏切を探せばいいだけの話だ。
 走ってからわかったことだが、すでに電車は上りも下りも運転を見合わせていたらしい。あちこちに電車が止まり、すべての踏切が騒がしくシャットアウトされていた。
 クソ~、踏切がダメなら立体交差まで走る!
 ここは地元だ。どこに何があるかはわかっている。何が何でも雨が降る前に帰る。ペダルをこぐ速度を上げ、立体交差にたどり着いた。線路の下を走り抜ける。上りがキツかったけれど、「これで家に帰れる」という安心感が勢いを取り戻した。
 15分遅れで家に到着した。強制的に、自転車こぎの運動をさせられたから、コートの中には熱気がこもっている。こんなときに限ってフリースを着ていた。暑い暑い、汗だくだ。
「今日はついていなかった」などとは思わない。
 サボりがちの運動ができたし、エッセイのネタもゲットした。雨にも濡れなかった。
 夕飯は麻婆豆腐。さあ、ハイネケンで乾杯しよう。


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