これは したり ~笹木 砂希~

面白いこと、妙なこと、不思議なことは、み~んな私に近寄ってきます。

稲佐山ノボレ

2017年01月19日 21時31分43秒 | エッセイ
 何とかと煙は高いところに上るというが、私はロープウェイが好きである。
「あっ、稲佐山展望台に行かれるロープウェイがあるよ。ここ行こう」
 類は友を呼ぶから、夫も娘も異論はない。
「いいよ~」
 長崎市はコンパクトにまとまっている。市街地からブラブラ歩くと、20分ほどで乗り場に着いた。時間は午後3時。夜景がウリの場所だから、陽が高いうちは空いているようだ。貸し切り状態で山頂に着いた。展望台に上ると長崎が一望できる。
「おお~」
 見晴らしはいい。



 360度ぐるっと楽しめる景色を、どうやってカメラに収めようかと考えていた。
「そうだ」
 カメラの取扱説明書を見たら、私のミラーレスでもパノラマ写真が撮れると書いてあった。ここで練習してはどうだろう。
「えーと、スタート地点でシャッターを押し、ゆっくり右にカメラを動かしてください、か」
 カシャッ。
 そのままカメラを動かしたら、メッセージが出てきた。
「撮影できませんでした。ゆっくりカメラを動かしてください」
「うーむ」
 ちと早かったようだ。再チャレンジしたら、今度は上手くいった。



「おーし」
 しかし、このアングルはひどい。ワイドに写っているだけの風景写真だ。どこに美があるのかわからない。
「やっぱり、長崎港を入れなくちゃね。さあ、もう一度」
 気を取り直して被写体を変える。さっきは速くて失敗したから、今度はもっと遅く動かさないと。
 しかし、またもやメッセージが表れた。
「撮影できませんでした。もっと早くカメラを動かしてください」
 どっちなんだよッ!
 心の中でクソッと呟きながら、やり直す。できた!



「むううう」
 今度は港だけしか入っていない変な写真になってしまった。どうも、カメラの動きに気を取られ、肝心の被写体がおろそかになるらしい。もっと空に近づけてみよう。



 これも、インパクトがなくて間の抜けた写真になっている。撮影中、何度も「もっと早く」とか「もっとゆっくり」などと罵られた。めげずにトライしてみたが、バッテリーの無駄づかいはご法度だ。「もういいや」とあきらめ、普通の写真を撮り始めた。



 山頂には30分ほどいただろうか。気が済んだところで下りのロープウェイに乗り、ふもとまで下りてきた。
「あっ、あそこで写真を撮ろう」
 撮影スポットがあったので、夫にシャッターを押してもらう。



 この写真は妙に気に入った。看板を作った人に拍手~!
 ホテルに戻り、娘がアイフォンで撮ったパノラマを見せてもらった。





「くうう、私より上手に撮れてる……」
「当たり前じゃん、写真部だもん」
 最初は上手に撮れなくて当たり前か。
 またどこかに上って、しつこくしつこく頑張らなければ。


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長崎で一番大事な場所

2017年01月15日 21時18分34秒 | エッセイ
 美味しい長崎、楽しい長崎。
 それだけで終わってはいけない。長崎に来た理由のひとつは、原爆投下後の惨状を、娘に伝えなければいけないと思っていたからだ。
「原爆? 中学のときに、社会科見学で第五福竜丸を見に行って、核兵器の怖さは勉強したよ。あんな感じかな」
「亡くなった人の数がけた違いに多いから、またちょっと違うけどね」
「ふーん」
 まずは平和公園。



 日本人よりも、外国人のほうが多いかもしれない。これからも、世界中からたくさんの人が見に来てくれればいいのだが。



 公園の奥には有名な像が鎮座する。高く上げた右手は原爆の脅威を、水平に伸ばした左手は世界の平和を示し、静かに閉じた両目は戦争犠牲者の冥福を祈っている。



 次は原爆資料館。



 入口付近に2匹の子猫がちょこんと座っており、入館者に構ってもらいたいようだった。



「お腹すいた」
「終わったらね」
 ちょうど昼時ということもあり、娘が空腹を訴えてきたが、一時間ほどで終わるだろうと見込んで中に入る。一番見てほしい場所なのに、こちらは外国人が少ないのが残念だ。
 冒頭は、原爆投下前の長崎と、投下後の長崎の比較である。黒くすすけた鉄骨が、不自然な場所から曲がり、爆心地に近い浦上天主堂は屋根や壁まで吹き飛ばされていた。首のないキリスト像が痛々しくて、思わず目をそらす。
 娘は私以上に驚いていた。
「何これ。何でこんなになっちゃうの。あの写真、真っ黒になった人間じゃない? 手とか足があるよ」
 答えは次の展示室でわかる。原爆は地上500メートルの高さで爆発し、建物をメチャクチャに破壊する爆風、2500度もの高温となる熱風、がんや白内障、白血病などを引き起こす放射線がさく裂した。爆心地から1km以内では、致死率100%といった恐ろしい数字が心に突き刺さる。
 高温で泡立つ瓦、溶けて固まった瓶、黒焦げになった弁当箱など、通常では考えられない惨状の証拠物件が残っていた。
「ひどいねぇ、信じられないよ。そりゃ、たくさん人が死ぬわけだわ」
 娘がときおり話しかけてくるが、予想を遥かに超えた衝撃に、上手く言葉にならないようだ。原爆での死者は、投下後の12月までで73884人、負傷者は74909人もいたそうだ。当時の人口が約24万人だから、無事な人の方が少ない。
 火傷で耳を失い、穴だけが残った少年や、荷車の下敷きになって息絶えた馬の写真には、ことさら胸が苦しくなった。たった一発の爆弾が、多くの人生を狂わせたのだ。
 出口付近には、核兵器廃絶に向けた展示があった。兵器だけでなく、私は原発も必要ないと思う。経済の発展や生活の利便性よりも、安全に暮らすことのほうがずっとずっと大事だ。
 結局、2時間近くいただろうか。
「お腹は、もうどうでもよくなった……」
 娘がフラフラと、出口に向かって歩き始めた。こちらの肌までピリピリするような悲惨さを、しっかりと受け止めてくれたようだ。若い世代にこそ、知っておいてもらいたい。
 最後に爆心地へ向かう。



 ここには、浦上天主堂の柱が残されていた。



 投下後の写真は、無残極まりない姿である。



 心の拠り所が突然破壊され、信者の方々はさぞ心細い思いをされたことだろう。
 今は、ただただ、世界の平和を祈るばかり……。


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また泊まりたい長崎の宿

2017年01月12日 21時33分05秒 | エッセイ
 長崎に行こうと決めたとき、一番の難問はホテルだった。
 わが家は3人家族なので、ツインの部屋だとエキストラベッドを入れることになる。だったら、なるべく広い部屋がいい。和室や和洋室は便利だが、修学旅行用の殺風景な部屋は御免だ。
「わっ、ここ、53平米って書いてある。広ッ!」
 28平米、32平米などといった部屋が多い中、そのホテルは光っていた。もちろん、それなりのお値段ではあるが、年に片手で足りる回数の旅行をケチることもない。夫に旅行会社のパンフレットを見せると、うんうんと頷いた。
 ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート。



 私たちが泊まった部屋は、一番スタンダードなガーデンスイートというタイプである。別館には、追加料金が必要な、さらにグレードの高い部屋があるらしい。
「えっ、この部屋で十分じゃない。何も問題ないよね」
「ないない」
 フロントと宿泊棟が別なので、ゴルフカートで客室まで送ってもらう。ユニークな発想だと感心した。
 3つめのベッドが入っても、予想通り、きゅうくつな感じがしない。



 洗面台が2つあるところも嬉しい。



 朝は、私と娘で取り合いになるからだ。
 バスタブは意外に大きくて、楽々足が伸ばせる。



 入口付近には机があり、本を読んだり、インターネットをしたりするのに便利だ。ちなみに、パソコンは無料で貸してくれる。



 ミニバー。



 一番気に入ったのは、部屋から長崎港の夜景が見られるテラスである。



 わざわざ、稲佐山に登らなくても、ここから十分夜景観賞ができてありがたい。



 でも、写真が上手く撮れなかった……。
 夕食はついていない。ホテル内のレストランで、フレンチをいただいた。



 ホネホネの鱧(はも)だけ不満だったが、あとは美味しくいただけた。
 部屋に戻り、柔らかすぎないベッドに横になると、すぐ眠りに落ちた。
 朝食が、バイキングではないところも気に入った。
「俺は和定食」
「アタシはエッグベネディクト」
「ミキも~」
 海の見える席でいただく朝食は、海外旅行を思い出させる。味付けは全体的に薄めだが、胡麻ドレッシングは濃いめで好きだった。



 飲み物は長崎ならではの「びわジュース」にした。



 アラカルトで壱岐牛のミニステーキを頼んだら、甘みがあって、しつこくないお肉が出てきた。



 長崎は、肉も魚も果物もイケるし、海も山も夜景もある。
 残念だったのは、雲仙に行かれなかったことだ。
 次回は、雲仙でちゃぷんと温泉に浸かりたい。宿はもう決めてある。


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お若い振袖

2017年01月10日 19時51分37秒 | エッセイ
 冬休み中の3連休は、新学期を前にして最後にくつろげる日だと思っていた。
 しかし、今年は違う。娘が成人式を迎えるからだ。
「お母さん、美容院は7時半だから、6時半に朝ごはん用意してよ。いつも遅いんだから」
「ひいい~」
 6時半に朝食ならば、5時50分に起きなければ間に合わない。
「写真館が10時15分。帰ったらお昼を食べて、12時に待ち合わせだよ」
「ぐえええ~」
 美容院が終わったら、荷物の受け取りをしなくてはならないし、写真館ではポーズの決定や代金の支払いなどを手伝わなければ。その間に食材を買い、食事の支度をするとなると、かなりの重労働だ。
「ミートパイ食べたい」
 これまた、手のかかるものを……。
 しかし、一生に一度のイベントだから、やれることはやってやりたい。翌日から仕事だが、本業のほうが楽かもしれないと、腕を組んで考えた。
 午前9時。街中には、すでに振袖姿の新成人が歩いている。
 ちなみに、娘の振袖はこれ。



 ピンクが映える色彩だが、これはかなりの年代ものである。何しろ、私の姉が成人する際に新調した振袖なのだから。すでに30ウン年経過しており、私も妹もお世話になった。
 これを着た三姉妹は、白髪が増えたり、シミとシワに悩まされたりと、確実に年をとっている。しかし、振袖は「今年でき上がりました」と言われても疑問を持たないくらい、くたびれていない。
 振袖だけではない。帯もピカピカのままだ。



「着付けをしてくれた美容師さんが、しっかりした帯で結べるのが嬉しいって言ってたよ」
 娘の言葉に、おそらくはレンタル品であろうペラペラの帯を想像する。姉が成人する頃は、レンタル業はわずかしかなく、買わなければ振袖は着られなかった。だから、「たった1日のために大枚はたくのはもったいない。私はスーツでいい」という人もいたわけだ。同時期に買われた着物は、まだ現役で頑張っているのだろうか。
 調べてみたら、正絹の和服は保存状態がよければ、3代に渡って使えるという。親から子に受け継ぐだけなら、まだ2代。孫の代まで着てもらえるとは驚きだ。日本の伝統工芸の技術力を思い知らされた。
「すごいですね、とても30年前の着物とは思えません」
 SNSに写真をアップすると、ブロ友たちも揃ってビックリしていた。使い捨て文化に慣れた現代人は、いいものを長く使う経験をすべきである。
「そういえば……」
 結婚して間もなく、義母から帯をもらったことを思い出した。大正14年生まれの義母が使った帯ならば、70~80年前のものなのではないか。元気でいるかしらと気になり、タンスを開けて確認してみた。



 全然問題なーし!
 やはり、高度な技術が光っている。訪問着を着る機会があったら、ぜひ使ってみたい。
「ふう、疲れた……」
 娘が脱ぎ散らかした振袖や襦袢、草履に小物類を片づけていたら、強い疲労感をおぼえた。
 今日は早く寝て、保存状態の向上に努めます!


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グラバー園の貴婦人

2017年01月07日 22時52分27秒 | エッセイ
 新年早々、ブログの更新をサボってばかりいる。
 実は、長崎まで家族で旅行していた。留守中の部屋はほこりだらけだし、膨大な洗濯物と写真の整理に追われ、ちょっとダラダラしていたところである。
 長崎には修学旅行の引率で一度行ったが、いかんせん仕事だから、自分のペースで観光地を回ることができない。今回はプライベート。雲仙や佐世保は遠いからパスして、市内を好き勝手に巡ることにした。
「グラバー園でレトロなドレスをレンタルできるって。行こうよ」
「ええ~、ドレス? 別に着なくたっていいんだけど」
 コスプレ大好きの私は思い切り食いついたが、大学2年の娘はさほど乗り気ではない。しかし、気づかなかったことにして、路面電車にギュギュっと押し込んだ。
 グラバー園の前に大浦天主堂を見る。



 ステンドグラスが美しい。荘厳な雰囲気に気持ちが洗われ、献金をして祈る。決して、「年末ジャンボは残念でしたが、サマージャンボはぜひ」などという内容ではない。
「あ、ここからグラバー園に行かれるよ。近道だ」
 祈りが終わり、ぞろぞろと移動を始めた。動く歩道に乗ると、レトロ写真館はすぐそこだ。
「いらっしゃいませ。こちらにお名前、住所、ご利用人数を書いてください」
 写真館は3名ほどで切り盛りしているようだ。利用客は圧倒的に女性が多く、時間帯によっては待ち時間が長い。私が受付簿に記名している間にも、カップルが1組、母親と女児が1組、着替えて外出するところだった。
 問題は夫だ。おとなしく待っていられるかどうか……。
「あのう、男性用の衣装はあるんですか?」
「はい。龍馬の着流しのみですが、あります」
 女性用のドレスは50着あると聞いた。差がありすぎるとはいえ、需要がないのだから妥当なところか。
「俺はいいよ。着ない」
 夫は漢方薬を飲んだような顔をして、首をブンブンと横に振った。何というノリの悪いヤツ。
 料金は30分600円。新作ドレスは1000円だったり、1500円だったりするけれど、かなり安い。
 しかし、予想外の問題があった。サイズである。50着のうち7割くらいがMなのだが、私はSである。しかも背が低いので、ワンピースではなくツーピースタイプでないと引きずってしまうらしい。赤系を着たいと思っていたが、やむを得ず緑のドレスにした。クソッ。
「えー、どれにしよう」
 幸い娘はMサイズなので、種類が豊富なはずだが、たくさんあるから決められないでいる。
「これがいいんじゃない。さっき、お母さんが着ようと思ったけど、大きくてやめた」
「ふーん。じゃあ、これでいいや」
 ドレスが決まれば話が早い。更衣室に案内され、大きく広がるペチコート、スカート、上衣の順に着つけてもらうだけだ。スカートの下にはズボンをはいている。見えないからといって、こんなに手抜きをしていいものだろうか。
「じゃあ、12時5分までです。ごゆっくりどうぞ」
「はーい」
 貴重品とカメラは、専用の袋を借りて持ち歩く。居眠りしながら待ちくたびれていた夫を呼び、カメラマンを頼む。まずは、グラバー邸前で撮った。



 すでに先客がいたのに、ドレスを着ていたら場所を空けてくれた。もしや、「変なヤツが来た」とか「関わり合いになりたくない」などと思われたのかもしれないが、非常にありがたい。
「お母さん、この服、寒い~」
「えっ、そう?」
「あっ、そのドレス、襟が詰まっているじゃないか。だから寒くないんだな」
「そうかも」
「謀られた」
 そんな基準で選んだわけではないけれど、内心「あっちじゃなくてよかった」と安堵する気持ちもあり、オニババぶりを自覚した。
 ドレスを着て、いくつかわかったことがある。まず、グラマーでないと似合わない。私はSでも胸元がブカブカで貧相だった。逆に、ふくよかな人はよく似合っていて羨ましかった。
 それから、つばのある帽子は撮影場所を考えなければならない。日差しの下だと、顔が影になってしまうからだ。夫は、イヤイヤ撮っていたので何も言わなかったが、でき上がった写真は目元が暗くてガッカリした。自分で、帽子の位置をずらしてもいいだろう。
 最後に、ドレスを着たままレストハウスに行くといい。ここには、プリクラ機があるからだ。500円と強気の価格設定であるが、記念になるに違いない。残念なことに、私はドレスを返却してからそのことに気づいた。
「ねえ、お母さん。ミキは結構似合ってない?」
 ぽっちゃり型の娘は、ドレス姿の自分に満足したようだ。スマホを取り出し、何枚も何枚も自撮りしている。
 たしかに似合っている。
「振袖より似合うかもよ。成人式の写真、こっちにしたら?」
「おかしいだろっ」
「あはは」
 わずか15分ほどでドレスを返却したが、2時間くらい歩き続けたような疲労感が待っていた。コスプレは体力のいるイベントなのである。
「カステラ食べたい」
 待ちくたびれた夫にせがまれ、カフェに行く。



 温かいカフェオレが、疲れた体を駆けめぐる。


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おせち組織論

2017年01月02日 21時18分50秒 | エッセイ
 あけましておめでとうございます。
 みなさまは、どのようなお正月をお迎えでしょうか。
 
 去年、人形町今半ですき焼きを注文したせいか、年末におせちのダイレクトメールが来ました。伊勢海老や鮑、ローストビーフなどが気に入り、即断即決で注文。大晦日に届きました。



 お箸も素敵でしょ。



 重箱のフタを開けると、華やかに彩られたお料理が顔を出します。



 さすがに一の重は、主役級の役者が揃っています。



 煮鮑は柔らかくて濃すぎない味がよかったのですが、伊勢海老は中身がほんのわずかで期待外れ。飾りだと思った方がいいかもしれません。地味な外見に寄らず美味しかったのが、伊勢海老の上に詰められた鶏松風です。人も料理も、見かけで判断してはいけないという教訓でしょうか。
 二の重は、ローストビーフが光っています。適度な脂が載っていて、牛肉本来の味が楽しめました。タレもビーフにマッチしていて、市販のものとは違いました。



 脇役ではありますが、私が目をつけたのは、金箔で飾られた黒豆と



 金柑の甘露煮でした。



 黒豆は薄味で飽きの来ない味です。金箔は私がいただきました。また、母は金柑を煮たことがなかったので、「どんな味がするんだろう」と興味津々です。皮ごといただき、かすかな酸味と邪魔にならない甘味を楽しみました。
 三の重には、普通のおせちが入っています。



 八つ頭の切り方が直方体となっており、感心しました。切り口は、ていねいに面取りしてあります。手の込んだ仕事ぶりに、私も見習わなければと気を引き締めました。
 こんなに美しく、食べごたえのあるおせちを用意したというのに、大学2年の娘がいませんでした。大晦日の夜に、成田山新勝寺まで初詣に行くと言って出かけたきりなのです。昼近くになり、ようやく帰ってきましたが、新勝寺はお詣りまで2時間待ちと言われたため、諦めて屋台で食べ物を買って帰り、都内の神社に戻って初詣をしたと聞きました。一体何をしに行ったのか、理解に苦しみます。しかも、「千葉は遠かったから交通費をくれ」などとほざく始末で呆れました。何が何でも、成田山で順番待ちをしてほしかったです。

 おせちを食べながら、考えたことがあります。重箱の中には、たくさんの食材が入っていますが、すべてが脚光を浴びるわけではありません。これは、職場の組織に通じるものがあると思います。
 田作りのように、派手さはないけれど、しっかりとした歯ごたえを楽しませてくれるような人、高野豆腐のように、柔軟で周りの食材に合わせられる人、栗金団のように、独特な味わいで気持ちを和ませてくれる人など、目立たなくても重要な役割を果たしている人に気づかなければなりません。
 私も一応は、組織の上で人をまとめる立場にいます。成果を上げる人、結果を出す人ばかりに目を奪われることなく、ゆっくりでも着実に他人をサポートする人、声は上げなくても全体を見て行動できる人を正当に評価し、全員がファインプレーをする組織を作りたいです。
 現代人は、ストレスにさらされ生きています。仕事は重労働ですが、「みんなでやれば早く終わる」という意識を高め、「この前は〇〇さんに手伝ってもらったから、今度は私が手伝ってあげよう」という具合に、協力しあって和やかにできないものでしょうか。
 おせちの料理たちは、足りない味を補い合って、全体として完成度の高いものになっていました。
 私はせいぜい、見かけ倒しの伊勢海老です。
 2017年は、他のメンバーに気持ちよく仕事をしてもらえるよう、采配をふるっていければと思います。
 公私ともに、今年もよろしくお願いいたします。


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2016 惜しい人

2016年12月29日 23時15分34秒 | エッセイ
 今年も、たくさんの著名人が亡くなっている。
「根津甚八が死んだって……。ショックだな」
 夫は今日、同年代のスターの死にショックを受けていた。
 7月に、九重親方が亡くなった際には、夫婦して「そんなぁ~」と悲鳴を上げた。ラグビーの平尾誠二氏のときにも、「早すぎるよね」と顔を歪めたものだ。
 年末を迎え、さらに訃報が続いている。
 スターウォーズファンの友人は、キャリー・フィッシャーの悲報に「信じられない」とコメントしていたが、翌日にはキャリーのお母さんまで亡くなったというから驚きだ。遺族の方が気の毒でならない。
 私にとって一番の衝撃は、元ワム! のジョージ・マイケルが、クリスマスに亡くなったことであった。
 ワム! はデビュー当時からよく聴いていた。「WHAM RAP!」「BAD BOYS」「WAKE ME UP BEFORE YOU GO GO」などはノリがいい。「LAST CHRISTMAS」「CARELESS WISPER」などは心に響く。「WHERE DID YOUR HEART GO?」「THE EDGE OF HEAVEN」なんかも、ジョージの伸びのある歌声を生かした曲で好きだった。
 そのジョージがいなくなったとは……。



 ジョージの死を惜しむのは、もうひとつ別の理由がある。
 20代の頃、とても好きだった男性がジョージに似ていたのだ。歴とした日本男児であったが、彫りの深い顔立ちがエキゾチックな雰囲気を漂わせていた。決して、ジョージに似ていたから好きになったわけではないけれど、ワム! の歌を聴くたびに彼の顔が浮かんできて、やたらと幸せな気分になれたことを思い出す。
 まだ若かったせいか、当時はお互いにぶつかることが多くて、違う相手と結婚してしまった。でも、25年経った今でも年賀状のやり取りをしていたり、どこかで会ったときには言葉を交わしたりするのだから、彼の方も悪い気はしなかったようだ。もうちょっと頑張れば、別の人生が待っていたのかもしれない。
 亡くなる命があれば、生まれる命もある。
 3月に、プロゴルファーの東尾理子さんが第2子を出産された。不妊ではなく「妊娠活動をする」と公言された理子さんを、私はずっと応援していた。見事に、仕事との両立を果たされたわけで、直接お会いすることはないだろうが、遅ればせながら「おめでとうございます」と伝えたい。
 何年か前に卒業した生徒も、パパやママになっていて頼もしい。私はもう産めないけれど、若い人にはどんどん新しい命を誕生させてもらいたい。
 2016年も、あと2日で終わる。
 今年もご愛読いただき、本当にありがとうございました。


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2016 クリスマス会

2016年12月25日 22時02分38秒 | エッセイ

 毎年、天皇誕生日には、親族とのクリスマス会が待っている。
「私はケーキとテリーヌ、フルーツを持っていくわね」
 姉と妹には、前もってメールで連絡をしておいた。
「じゃあ、私は泡物とクラッカー、パテにしようかな。そうそう、お客さんから大きなチョコレートをもらったのよ。とても食べきれないから、みんなで食べようよ」
 姉はいつもアルコール係となっている。今年はそれに加えてチョコレートか。
 ん? 待てよ。となると、ケーキの種類が限られるってことね。
「今年はチョコレートケーキにしたのよ。で、こっちはチョコレート」
「えー、他のケーキなかったのぉ?」
 なーんてことになったら悲惨だ。チョコレートケーキは絶対に買っちゃいかん!
 私は気を引き締めて、オーソドックスなイチゴのデコレーションを予約した。
 そして迎えた当日。妹たちは、せっせと料理に励んでいたようだ。
「ミートソースを作ってみたけど、美味しいかどうか……」
 義弟が自信なさげに披露した。



 すかさず、姉が、いたずら心を起こしたような表情で尋ねる。
「セロリ入れたの?」
「入れてない」
「ふっふっふ~」
 どうやら、義弟はセロリが嫌いのようだ。ミートソースに入れるべきところを省略したから、姉にからかわれたのだろう。で、お味のほうは?
「うまっ」
「セロリなくても問題ないんだね」
 さっぱりしていて、挽肉の味が生きているミートソースだったから、大好評。飛ぶように売れた。
 こちらは、妹が作ったナントカジュレ。



 前菜にぴったりの軽さで、イクラでも食べられそうだ。なんて、寒いことを言っている場合ではない。
「キッシュは買ってきたヤツ。大豆を使っているんだって」



 義弟の説明に頷き、一切れ口に運んだ。うーん、ヘルシー。なかなかバランスがいいんでないかい?
「アタシも用意してきたんだよ。ほらこれ」
 母がタッパーを出して、皿に取り分け始めた。だが、それは、見間違いかと思う料理だった。
「ななな、なにそれ?」
「煮卵と茄子」
「はっはっは! だって、クリスマスだよ!?」



 思わぬ珍客もあったが、これが意外に美味しい。茄子は柔らかく煮えていたし、煮卵はしょうゆ味が利いていた。見た目で判断してはいけないと反省する。
 かくして、宴会は進んでいった。今年は料理が充実していたせいか、おしゃべりはそこそこに、食事を楽しんだ気がする。



 お腹がはち切れそうになっても、デザートは別だ。
「これが、白金台のショコラティエ・エリカっていうお店のチョコレートよ」
「うわあ、美味しそう!」



 中にはマシュマロやクルミなどが入っていて、結構なボリュームである。
「で、こっちがクリスマスケーキ」
「へー、可愛いじゃん」



 10等分に切り分けたケーキの隣に、これまた10等分にしたチョコレートを並べると、なかなかの迫力だ。まずは、フワフワのケーキからいただいた。だが、チョコレートの方は、硬くてフォークが刺さらない。少々行儀が悪いが、「エイッ」と手づかみで取り上げ、ガブリといくのが早い。チョコレートには適度な甘みがあるのに、マシュマロは予想に反して淡白だから、全然しつこくなかった。
 誰かに何かを贈るときには、エリカの商品も候補にしてみたい。
 宴会が終わったのは23時を回っていた。今年のカレンダーには感謝をしている。翌日は土曜で仕事がない。毎年、眠い目をこすりながら、早起きして電車に乗っていたことが嘘のようだ。
 天皇陛下が、生前退位をご希望されていることは、今年の10大ニュースのひとつである。
 今後、天皇誕生日がどうなっていくかはわからないが、親族で集まるイベントは続けたい。


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ロイヤルミルクなお飲み物

2016年12月22日 20時05分35秒 | エッセイ
 先月、ドトールに入ったら、ブルーベリー風味のロイヤルミルクティーがあり、なかなか美味しかった。
 でも、季節限定だったので、今月はすでになくなっていた。飲みたかったのに残念だ。
 ないとわかると、かえって欲しくなる。ちょうど、家には牛乳と紅茶の葉があった。
「よしっ、これからロイヤルミルクティーを作るぞ!」
 ドトール並みの飲み物ができるかどうか、自信はない。でも、楽しそうだから、ネットでレシピを確認しながら、見よう見まねで作ってみた。
 まず、茶葉を多めにすくい、耐熱容器に入れる。
 熱湯をかけて茶葉を開き、色が出やすくしておくのだ。
 水と牛乳を、1:3の割合で小鍋に入れて加熱し、沸騰直前で火を止める。
 小鍋に、開いた茶葉を投入し、蓋をして数分待つ。茶こしで濾して、カップに注げばできあがり。



 さて、お味のほうは……。
「なにこれ、うまッ!!」
 アッサムが、一番ロイヤルミルクティーに向いているようだが、私が使ったのはアールグレイ。これでも十分イケた。砂糖を入れていないのに、牛乳の甘みで十分こと足りる。紅茶の渋みは完全に中和され、実にまろやかだ。これなら、イライラしたときでも、気持ちが落ち着くに違いない。自家製だと、何でも美味しくできる気がする。
 しかし、そこで調子に乗ってしまうのが、私の悪いところである。
「日本茶を使ったら、どんな味になるんだろう……」
 もっぱら、私が好きなのは狭山茶だ。アールグレイの代わりに狭山茶を使い、ロイヤルミルク狭山ティーを作ってみることにした。
「抹茶ミルクみたいになるのかな?」
 好奇心を抑えられず、茶筒を開けて作り始めた。
 茶さじで3杯葉を入れる。でも、緑の色が濃くならない。ホットミルクのような仕上がりに、少々不安を感じた。



 果たして、お味の方は?
 牛乳にまみれながらも、一応、狭山茶の風味は残っている。しかし、抹茶ミルクのように調和がとれているわけではなく、お互いに「アンタ、邪魔なのよ!」「そっちこそ!」と罵り合っているような雰囲気だ。不味くはないが、美味しいともいえない。ひとつのカップの中で、狭山茶とホットミルクの不協和音が鳴り続けている味とでもいえばいいのか。
「これは、最初で最後にしよう……」
 かくして、ロイヤルミルク狭山ティーは、あっけなく消え去った。
 今度は、ロイヤルミルクジャスミンティーでも作ってみようかな?


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2016 忘年会

2016年12月18日 21時27分33秒 | エッセイ
 先週、通っているエッセイ教室での忘年会があった。
「そういえば、このメンバーで中華は食べていないじゃない? 今年は中華にしましょうよ」
「そうね、そうしようか」
 熟女たちは、ロケーションにもこだわる。丸ビル36階の、見晴らし抜群の家全七福酒家というお店に連れて行かれた。



 お料理も上品な味でよかったが、私には量が足りない。



 帰り道、虎屋東京でこんなプレートや



 コメダ珈琲で2人分はあろうというソフトクリームをいただき、ようやくお腹が満足した。



 胃拡張かもしれぬ……。
 さて、忘年会では、リーダーが毎回余興を考えてきてくれる。今年の余興は、「短所を長所に変えたいやき」というカードであった。
「はい、みなさん。これからカードを3枚引いてください。それがあなたの短所です」
「ええ~」
 メンバーから、どよめきが起きる。さて、どんなことが書いてあるのやら。
「じゃあ、笹木さん」
「はい」
 まずは1枚目。



 見た目はリアルなたい焼きだが、こんな辛辣なことが書いてあるとは! キイッ!!
 2枚目。



 これは当たっている。ドキッ!
 3枚目。



 これは違うんじゃね?
 一番心に突き刺さったのは「のろま」カードであった。実は、このとき、『本当は脳にいい習慣 やっぱり脳に悪い習慣』という本を読んでいる途中だった。



 認知症にならないための生活について書かれていたため、ぜひとも実行せねばと思っていたのだが、まったくできる自信のない項目があった。「十分な睡眠をとる」である。6時間半眠れば十分と書かれていたけれど、私の平均睡眠時間は5時間半。全然足りていない。
 風呂から出たあと、ふくらはぎのマッサージやストレッチ、目の体操などをしていると、知らぬ間に1時間経っている。だったら、風呂に入る時間を早めればいいのに、それができない。何とのろまなのか。
 かくして、ズルズルと就寝時間が遅くなり、毎日、寝不足のまま出勤している。こんなことの繰り返しでは、脳が萎縮していくのではないか。何とかせねば。
「じゃあ、今度はカードを裏返してください。先ほどの短所が、あなたの長所に変わります」
「へー」
 のろまの裏は



 行き当たりばったりは



 ミーハーは



「あはは、面白いわねぇ、これ」
 熟女たちにはウケていた。私も笑っていたが、頭の中では真剣に、風呂上がりのあとのことを考えていた。

「マッサージやストレッチを始める時間が遅いのよね。あと、ひとつが終わると座ってのんびりしちゃうところがいけない」
 その夜、私は、就寝前の時間の使い方を改善しようと試みた。モタモタから、キビキビに動作を変えると、無駄な時間が排除される。決して難しくはないのに、どうして今までやらなかったのか。
「やった~、今日は40分しかかからなかった!」
 いつも1時間かかっていた就寝前の儀式が、おかげで3分の2に短縮できた。これで20分多く睡眠を確保できる。もしかすると、他の作業も短時間でできるのではないか。
「よしっ、6時間半寝られるように、頑張ってみよう」
 思わぬところから、生活スタイルが変わっていく。
 今年の忘年会は、大きな成果があったなぁ。


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2016 今年の漢字

2016年12月15日 22時05分05秒 | エッセイ
 2016年の漢字は「金」。
 またかよ……。
 漢字は星の数ほどあるのだから、もっとバリエーションを豊富にしてほしい。
 さて、私にとっての今年の漢字は何だろう。
 うーん。
 「文」ではないだろうか。
 教員の世界では、文章が書けないと損をする。昇進試験には大概論文がつきものだし、「私はこんな取り組みをして、こんな成果を上げた」と申告するのも文章でだ。熱心で面倒見のいい先生なのに、文章力がないため、過小評価されている同僚を知っている。
 逆に、5時にはさっさと帰り、授業は手抜きの連続でも、それなりの論文を書けば昇進試験の合格率は高い。いや、決して私のことではないが。
 今年は4月から12月まで、論文や会議録、計画書などの提出に悩まされた。昨日も、大きな会議の記録を整理したばかりである。エッセイであれば、「〇〇は自分の発表が終わると、すぐさま寝に入った」とか、「××は、メモを取るふりをして内職を続けた」などと茶化すこともできるが、会議録ではそうもいかない。面白くない内容を淡々と書き連ね、キーボードの一部になった気持ちで進めないと、とてもやっていられない。
「やっと終わった!」と解放感を味わっても、何日か後には次の作文が待っていて、エンドレスである。
 書いている本人が「つまんね~」と思っているのだから、他人が読んだら「クソつまんね~」となるに違いない。モノ書きのはしくれとして、屈辱以外の何物でもないが、仕事だからやるしかない。
 


 そういえば、3月に卒業生を送り出して以来、学級だよりを書く機会がなくなった。
 月ごとの予定や日常の気づきに加えて、余ったスペースには作った料理や、出かけた場所を写真つきで書き込んでいた。毎日の学級日誌でも、生徒の感想にコメントを返したりして、自由度が高かった気がする。読んだ生徒が「クスクス」と笑ってくれると、「また明日も頑張ろう」と思ったものだ。
 もう担任を持つことはないかもしれないな……。
 ちょっぴり淋しいけれど、ますます増える「文」の攻勢に耐えていかなければ。


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ボーナスが出た~!

2016年12月11日 21時48分14秒 | エッセイ
 期末のボーナスが出た。新しい服を買いたい。
「年明けには服も値下がりするけれど、クリーニング代を考えると高くつきますね」
 同僚女性が嘆きが聴こえてきたが、もっともである。
 まずはクローゼットの整理をする。丈の短いスカートや、5年以上着ていない服は捨て、新しい衣装の場所を作らねば。
 それから店に行く。着心地も大事だが、私は断然デザイン重視。無難なものではなく、人目を引くようなインパクトが欲しい。フロアを隅から隅までうろついて、気の合いそうな服を探した。
 
 ほお、これはこれは。

 去年に引き続き、イッセイミヤケで足が止まる。
「プリーツ プリーズ」というブランドらしい。



 とても着られない奇抜なデザインもあるけれど、誰にでも似合いそうなデザインもある。店員さんとおしゃべりを交わしながら、欲しい服のイメージや色を伝え、商品を用意してもらった。
「パンツスーツであれば、こちらが4色揃っています」
「あら素敵」
「軽くて暖かい素材を使っています。ご試着いかがですか」
「はい」
 ペラペラで薄手の生地だから、とにかく軽い。身につけていないような感触だ。それなのに暖かいのが不思議である。残念なことに、パンツの裾が長くて、「殿中でござる」のようだった。
 キイッ!
「これは2号ですから、1号を持ってまいります。1号は少し裾が短いんです」
 店員さんが、ササッと小さなサイズを差し出した。再度チャレンジすると、今度はちょうどよかった。
 でも、メチャクチャ高かったら困るなと値札を見たら、上下で税込み5万円ほど。これなら手が届く。
「お洗濯はどうしたらいいですか?」
「ネットに入れて洗濯機で洗えます。逆に、ドライクリーニングはできません」
「へえ、便利ですね、これ、いただきます」
 冒頭の同僚女性ではないが、クリーニング代ゼロなら、かなりお得なのではないか。デザインも着心地も維持費も花丸で、もはや言うことがない。
「そういえば、10月頃にコートが出ていましたね。もうないんですか」
 ふと思い出し、店員さんに尋ねてみた。
「10月頃の商品は、もう残っていませんね。2週間に一度くらいで新商品が入ってくるんですが、売れても補充されないんです。また、別のデザインが出てくる感じなので、気に入っていただいたら、そのときお買い求めいただくのが一番ですよ」
「なるほど」
 お会計を終え、家に帰る。思わず笑顔になって、商品の入った袋を開けると、花丸の服がジャジャーンと登場した。



 うふふふふ~♪

 いつまでも若くはない。これからは、年相応の装いを目指そう。
 決して安くはないが、2週間に一度は、プリーツ プリーズを覗いてみたい。


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3年白組

2016年12月08日 20時43分40秒 | エッセイ
 今時分は、期末テストの終わった高校が多いのかもしれない。
 私の勤務校は、今日が最終日であった。試験監督のため、3年生のあるクラスに行くと、教室内に白が目立っていた。マスクの白である。このクラスは、他のクラスに比べて、マスクをつけている生徒がやたらと多い。
 いち、にい、さん、しい……。
 数えてみると、32人中18人がマスクをしていた。半数以上である。これでは、白く見えるはずだ。

 真面目な子が多いクラスだからかしら。風邪をうつされないように、予防しているみたい。
 
 一概にそうとは言い切れない。教室の暖房は20度に設定するよう決められているから、教室内は結構寒い。マスクで暖をとろうと考える生徒がいてもおかしくない。
 対人コミュニケーションが苦手で、他人との距離を作るためにマスクをする生徒もいる。つけているだけで、落ち着くのだと聞く。ストレスの多い試験期間中は、なおさらだろう。
 個人的は、息苦しくならない立体マスクが好きだが、主流は安価なプリーツ型である。



 このクラスでも、全員がプリーツ型を使用していた。毎日使うものだから安定した需要があるとはいえ、激しい価格競争の結果、適正な利益が出ているのか謎である。
 私も、通勤電車の中ではマスクをしている。仕事に疲れたときなどは、「熱が出たら休めるから、風邪ひかないかな~」と思うこともあるのだが、インフルエンザなんぞをもらった日には目も当てられない。イケメンからもらった菌なら許せる可能性はある。しかし、目つきのおかしい変質者っぽいオヤジからうつされたら、しばらく立ち直れない気がする。やはり、マスクは大事なのだ。
 試験中は暇で、そんなくだらないことを考えていた。
「失礼します」
 ノックの音とともに、出題者の20代女性教諭がドアを開けた。
 彼女もまた、プリーツ型のマスクをしている。

 19人目~!

 シンと静まった教室で噴き出しそうになり、私はグッとこらえた。


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ついでの幸運「ダリ展」

2016年12月04日 21時52分24秒 | エッセイ
 秋から冬にかけて、観たい展示が目白押しだ。
 デトロイト美術館展、ラスコー展、モードとインテリアの20世紀展などなど、せっせと美術館・博物館通いをしている。それなのに、職場の同僚と情報交換をしたものだから、ますます増えてしまった。
「シマダ先生、何かおススメの展覧会はありますか」
 シマダさんは、59歳の紳士で英語科教員である。若冲展のよさを教えてくれたのは彼だったので、感性が似ているのかもしれない。
「ダリ。ダリ展がよかったです」
「へ、ダリですか? あれって、シュルレアリスムでしたよね。マグリットがダメだったので、好きになれないかも」
「いやいや、マグリットよりもずっと上手いですよ。わけわかんないのもありましたが、そうじゃないのも多いですから、時間があれば行ってみてください」
「はーい」
 ダリ展は国立新美術館で12日まで公開している。行くなら早い方がいいだろう。
 2日の金曜日は、大きな会議が終了して肩の荷が下りたので、どこかに出かけたくなった。
「よしっ、ダリ展に行ってこようっと」
 そんな勢いで、乃木坂までひとっ飛び。行け行け~!
 ダリは1904年にスペインに生まれ、1989年に亡くなっている。つい27年前まで生きていたのだから、若い画家である。てっきり、19世紀に活躍したのかと勘違いしていた。構図や色彩に、モダンな印象を受けるのは当たり前だ。
 ピカソに影響を受け、キュビスム風の自画像などを残していることは知らなかった。1929年にはシュルレアリスムの仲間入りをするが、ヒトラーへの共感を公言したことから、1938年には除名されている。空気の読めないヤツだったのだろう。
 でも、ダリの人気は相当高いものだったらしい。除名後も、国際シュールレアリスム展などには必ず招待されていたというから恐れ入る。
 1929年には妻となるガラに出会い、互いに強く惹かれて、1934年には結婚している。ガラをモデルに描いた作品も多く、運命の人に出会えたダリを羨ましく思う。
 第二次大戦中は、戦禍を避けてアメリカに亡命するが、ヒッチコックの「白い恐怖」の舞台装置を手掛けるなど、活動範囲が広がっていく。1949年には宝飾品のデザインも始め、いくつかの作品が展示されていた。私は「トリスタンとイゾルテ」というタイトルの作品に心惹かれた。
 作品全般から、ダリの魅力は、安定感のある構図と卓越した色彩感覚なのではという印象を受けた。デッサン自体は、どの画家も上手い。しかし、色の塗り方が雑だったり、「ここにこの色?」と疑問を持ったりすることがある。でも、ダリにはそれがまったくない。完璧なグラデーションから生み出される立体感も、質感も、写真以上に表現されている。この画家は、自分で名乗ったように「天才」なのである。
 気に入った作品のポストカードを購入した。
「謎めいた要素のある風景」
 小さく描かれている画家は、ダリが敬愛したフェルメールだそうだ。



 この空の大きさがうれしい。生きている限り、人間関係の悩みは尽きないが、この絵の広大さに比べたら、人の一生なんぞ米粒のようなもの。「あんたが思い悩んでいることなんて、耳垢程度のもんさぁ」と軽くいなされた気分になれる。お守り代わりに飾っておこう。
「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」
 これは、1945年の広島、長崎への原爆投下を受けて描いた絵だという。「あの爆発の知らせが私に与えた大きな恐怖」と説明されていた。



 混乱、破壊、喪失、虚無……。
 そういった単語が次々に浮かんできた。ピカソの「ゲルニカ」に通じるものを感じたのは、私だけではないだろう。日本人として、この絵は手元に置いておきたい。
「素早く動いている静物」
 一番気に入ったのがこの作品だ。



 意味はまったくわからないけれど、テーブルクロスやボトルの質感が素晴らしい。



 こぼれる水が、上に流れていくところも好きだ。ツバメも飛んできて、何やらワクワクしてしまう。
 シマダさんに教えてもらわなかったら、こんなに素晴らしい絵を見逃すところだった。
 危ない、危ない。
 明日、出勤したら、真っ先にお礼を言わなくちゃ。


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切り紙の神様

2016年12月01日 21時58分58秒 | エッセイ
 進路の決まった高校3年生はやる気がない。
 授業をしていても、寝てしまったり、しゃべってしまったりで、集中力もない。
 私の科目は美術系。課題を仕上げるだけで、期末テストを実施しないから、余計に勉強モードにならないのかもしれない。ないないづくしである。
「ううーん、何かもっと、モチベーションの上がる教材はないかなぁ」
 ヒントを求めて図書室に行ってみた。
「ややっ、これはこれは!」
 すぐに、いいものが見つかった。



 切り紙というアートは知っているが、難しくて見るだけのものかと思っていた。
 でも、そうではなかった。
 この本に載っている型を使えば、簡単に素敵な切り紙が完成する。
 たとえばこれ。



 折り紙を半分に折り、ハサミで絵の外側を切れば天使が登場する。



「おお~」
 ちょうど、12月になったことだし、テーマはクリスマスにした。
 さて、これは?



 ろうそくでした。



 これは、おわかりになるだろう。



 クリスマスツリーでした。



 ちなみに、星の部分を切り取るのが難しく、下手するとこうなる。



「キエ~ッ!」
 星のもげたツリーにショックを受け、思わずキジのように、けたたましい悲鳴をあげた。
 じゃあ、これは?



 リボン!



 ふむふむ。今度は難しいですよ。
 紙は6つ折りにします。



 ????



 はい、雪の結晶です。
 最後に、8つ折りにした、これはわかりますか。



 いや、全然。



 薄氷です。難易度高いっす。
 すっかり気に入り、型紙を作って折り紙に印刷する。折り目と切り取り線がわかれば、ハサミを使って、誰でも切り紙を楽しむことができるからだ。
 さて、だらけた3年生にウケるかな?
「先生、何これ?」
 生徒は目新しいことが好きだ。教材を並べておいたら、すぐに近寄ってきた。
「点線で折って、実線のところを切るの。いろいろな絵ができて面白いよ」
「ふーん」
 多くの生徒が「全種類制覇する」と意気込んで折り紙を取っている。席に着き、ハサミを動かし始めると無言になる。
「できた」
 完成した図案を広げるときの期待感といったらない。予想を遥かに超える作品が出来上がるので、生徒の顔にも笑顔が広がる。
「すごい」
「やばい」
 今の子どもは、ゲームなどのバーチャルな遊びで育ってきたから、紙を切るなどのアナログ作業は経験が浅い。手先を動かせば、次々と美しい絵柄を生み出せることに驚いているようだ。
「面白いね、これ」
 次々と折り紙が減っていく。居眠りやおしゃべりもなく、彼らはひたすらハサミを走らせていた。できた作品は紙に貼り、クリスマスらしくデザインする。中には、切り取り線をアレンジして、オリジナルの絵柄を作り出す者もいる。「やっぱりプレゼントがないとね」などとつぶやきながら。
 もしかすると、今までで一番集中した授業だったかもしれない。
 何しろ、チャイムが鳴っても、まだ作業を続けている生徒がいたくらいだから。
「先生、余った折り紙、もらってもいい?」
 家でやりたいのか、持ち帰る生徒もいて、かなりビックリする。
 今日の授業はハナマルだ。
 こんなに高度な作業を、わかりやすく本にまとめ、誰にでもできるようにしてくれた作家さんに感謝感謝。
 すっかり、イワミ カイさんのファンになった。
 紙さま、もとい、切り紙の神様と呼ばせていただきます!


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