緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

音の出が良くなってきた要因を考えてみた

2023-05-28 22:11:52 | ギター
今日は東京某町で社会人マンドリンクラブの合奏練習があった。
大規模演奏会が終わったものの、7月に母校マンドリンクラブ55周年記念演奏会を控えており、これまでそのための練習を殆どしてこなかったつけがここに来て回ってきたので、社会人マンドリンクラブの練習もなかなか時間を確保出来ない状態だ。
今日の合奏練習は昨日の寝不足が響いたのか、何度か睡魔に襲われた。
ちなみにヨーロッパの国々は平均睡眠時間が7時間半以上なのに、日本は6時間18分だそうだ。
私は5時間弱くらいか。睡眠が短いと健康に悪影響を及ぼすとテレビで言っていたが、そのとおりだ。だけどやめられない。

練習後は反省会でタイ料理を食べた。
タイ料理を食べるのはこれで多分2回目となるが、ちょっと辛いものの、色々な食材を混合して炒めた料理が多いように思う。
単品を重視する日本料理とはかなり異なる趣向であるが、栄養のバランスはいい感じだ。結構おいしい。
ビールを5杯くらい飲んだかな。
今日は会話もはずみ、楽しい反省会だった。またこの店でやろう。

大規模演奏会が終わり、弦(低音弦)をアランフェス・クラシックシルバーに変えたあたりから、楽器の鳴りが良くなってきた。
何故良くなってきたのか、思いつくままに書くことにする。

①楽器と相性のいい弦に替えたから。
②大規模演奏会のための練習期間中、かき鳴らしによる爪の摩耗を軽減するために爪を長めに伸ばしていたが、爪だけのタッチとなっていて、軽いあまり良くない音になっていた。大規模演奏会の本番で爪が無くなるほどかき鳴らしをした後で、短い爪で弾いたら意外にも音が以前のような太く、強い音が出ることに気が付き、その要因がタッチを爪だけでなく、指頭+爪で行うことであることを再認識したことによる。
③楽器を長時間弾くようになったため。
④自分の好みに合う楽器を使っているため。

ざっとこんなものであるが、①と②が大きいと思う。
楽器と弦との相性は必ずあり、20年前にもさまざまな弦を試してベストの弦を探し出したことがあったが、これは重要だと思う。
使っている楽器が最もパフォーマンスを発揮できる弦というものは探せばあるのもので、銘柄にこだわらず、さまざまな弦を試してみるのも良いと思う。
今使っている楽器はイ調が最も響きが良く、次いでニ調も響きやすい。
アランフェス・クラシックシルバーはこの調性によく反応してくれる。
オーガスチン赤のようにパワフルだけど、響きが硬く、弦だけが鳴るという感じではなく、しなやかなのに太く力強い音と響きを楽器から引き出してくれている、という感じだ。
タッチも爪が年齢とともに薄く、弾性が弱まってくると、爪だけのタッチでは軽く、貧弱な音になってしまうのは明らか。
別にそれを補完するという目的ではないが、タッチの基本は指頭+爪で行うことであり、これにより力強い大きな音が引き出せると思っている。
あとは③、楽器を出来るだけ、毎日鳴らしてあげることで、出来れば数時間は弾いてあげたい。
何日も弾かないでケースに入れたままの楽器が、その楽器が本来持っているポテンシャルを発揮できるとは言い難い。
④も結構重要だ。
ギターの場合、製作家によって音の出方が全然違うから、自分の求める音、好きな音がどのようなものなのか、分かっている必要がある。
私の場合は、先に書いた、イ調の音が出やすい楽器(こういうのをレゾナンスがAというのかな)で、力強く、よく歌う楽器だ。
ざっと挙げてみたが、帰りの電車の中でこんなことを考えていた。

帰宅後は隣の家に聴こえるのではないかとちょっとセーブしながら、いつものアンダルーサを弾いてみた。

音の出が良くなって、弾くのが楽しく感じられるようになった楽器で夜更かしにならないように弾いたアンダルーサ 2023年5月28日夜



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明日朝早いけど夜更かしして弾いたアルハンブラ

2023-05-28 00:32:45 | ギター
明日朝早いけど、弾きたくなって夜更かしして弾いたアルハンブラ
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ジュリアン・ブリームのライブ演奏ヴィラ・ロボス作曲「マズルカ・ショーロ」を聴く

2023-05-27 22:59:03 | ギター
2週間前だったと思うが、ジュリアン・ブリームの珍しい、貴重なライブ演奏をYoutubeで見つけた。
ヴィラ・ロボス作曲ブラジル民謡組曲「マズルカ・ショーロ」。

ブリームの演奏を初めて聴いたのは中学2年生の時、今から45年くらい前のことだ。
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮のアランフェス協奏曲のレコードだった。
このレコードを何回聴いただろう。
クラシック・ギターに最も熱狂していた頃だ。

高校2年生のとき、ブリームの2枚目のレコードとして、ヴィラ・ロボスの12の練習曲集とブラジル民謡組曲が収録されたアルバムを買った。



1回目に聴いたときは大きなインパクトを感じなかったが、繰り返し聴くごとにこのブリームの演奏に惹き込まれていった。
このレコードもどれだけ聴いただろうか。
ヴィラ・ロボスの12の練習曲集とブラジル民謡組曲の演奏では他の追随を許さぬ最高レベルの演奏だと思っている。

ブラジル民謡組曲はわりに難易度が高くない曲なので、私は1曲目のマズルカ・ショーロをすぐに弾きたくなって、好楽社に代金の切手を同封して楽譜を注文したのである。
好楽社にこのような方法で注文すると、大体8日目には郵送されてきた。
この間の待ち遠しかったこと。
郵便で届いたら、封筒を急いで破り捨て、中身の楽譜を取り出し、それは粗末な紙質の楽譜(マックス・エシッグ社版)であったが、そんなことはどうでもよく、さっそくギターで弾いたものだった。





ブリームの弾くブラジル民謡組曲はとても暖かいです。
ヒューマニスティックというのだろうか。人間的な暖かみに溢れた演奏なのである。
マズルカ・ショーロだけでなく、他のショーロも是非聴いて欲しい。

これらの曲を聴くと、高校2年生から3年生にかけて、青白い顔をして勉強ばかりしていた高校時代が蘇ってくる。
学校は全然楽しくなかったけど(というか地獄だったが)、ギターを弾いている時間は本当に至福だった。
冬の西日の当たる両親の寝室でこの曲を弾いていた(聴いていた)記憶が思い浮かぶ。

ブリームは意識していたか分からないけど、野心や名誉欲とは全く無縁の、純粋に理屈抜きにギターや音楽が好きでたまらない、といった本当の感情がこの演奏で伝わってくる。

下にマズルカ・ショーロのライブ演奏(観客が隠し録りしたものだと思われる)と1978年のブリームが絶頂期の頃の録音を貼り付けさせていただく。

Bream : Mazurka Choro by Villa Lobos ( Concert )


Suite populaire brésilienne, W020: I. Mazurka - Choro
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毛利蔵人作曲「冬のために」を聴く

2023-05-26 22:45:46 | 現代音楽
久しぶりに、恐ろしく暗く、不気味で荒涼とした現代音楽を聴きたくなり、毛利蔵人の曲で新たに投稿された曲がないかYoutubeを検索してみたら、何と2日前に投稿されたばかりの彼の代表作の一つである「冬のために」を偶然見つけた。
音源は1996年に録音され、デンオンから発売された「海へ」小泉浩~現代日本フルート音楽の諸相~と題するCDである。
演奏者:小泉浩(フルート)、山口 恭範, 吉原 すみれ(パーカッション)。





毛利蔵人の名前を初めて知ったのは学生時代、今から40年くらい前であるが、全音のギターピースの裏表紙の曲目リストの中にあった「アナモルフォーズ」というギター曲の作曲者として目にしたのが最初だった。



今から20年くらい前であるが、東京国際ギターコンクールの本選課題曲で野呂武男作曲「コンポジションⅠ 永遠回帰」を聴いて衝撃を受けたのをきっかけに現代音楽に目覚め、邦人作曲家を中心に現代音楽のギター曲を探し始めた頃であった。
フォンテックから毛利蔵人の作品を集めたCDが発売されているのを知ると、さっそくこのCDの中のギター曲「アナモルフォーズ」を聴きたくなり買って聴いたのが今から20年くらい前だったと記憶している。



「アナモルフォーズ」を初めて聴いたときに感じたのは、音楽面、技巧面共に非常に難解で、まともに弾ける奏者は極めて限られる曲だということだった。





この曲は荘村清志氏のために作曲されたが、残念ながら彼はこの曲を録音しなかったようだ。
毛利氏が渾身の力で作曲したことが感じられるとおり、この曲を手中に収めることのできるギタリストは極めて少ないと思われる。
譜面を見て分かるように、恐ろしく難しい曲である。
CDでのギター演奏は、現代音楽の第1人者である佐藤紀雄氏による。

フォンテックの毛利蔵人作品集の曲目は全てライブ録音であるが、この中で毛利作品の中では比較的理解しやすい曲があった。
「冬のために」という曲。
1984年作曲。録音は1997年6月19日、東京オペラシティホールでのライブ録音で、冒頭のデンオンのスタジオ録音と全く同じ奏者による演奏であった。
この演奏でのフルート奏者、小泉浩氏は「現代音楽の第一人者であり、武満徹が最も信頼したフルート奏者」と評価されている。
なお、意外なことに小泉浩氏は、鈴木静一没後15年記念演奏会にフルート奏者として出演している。



さて「冬のために」という曲であるが、詩人の中村鐵太郎氏の「冬のために」という詩のイメージを元に作曲されたと言われている。
詩の内容は未確認であるが、終始、暗く、不気味さが漂う曲である。
フルートという楽器が一般的に美しく優雅な音を出すという印象を受ける反面、暗く不気味で寒気を感じさせる音も出せるということが分かる。
冒頭からしばらく続く「静」の部分、中間部でせわしなく躍動するような「動」の部分を経て、再び「静」に戻るという構成を取っている。
演奏時間約15分。
現代音楽でも「形式的側面」を前面に出したものとは全く異なる性質の現代音楽だ。
それまで多くの作曲家や音楽家が目を向けてこなかった、人間の深層心理に潜む「闇」の感情に焦点を当てた音楽だと自分には感じられる。
音楽とは「美しく、優雅で、聴く人々の気持ちを豊かにするもの」であるべきであるという暗黙の常識的考え方を打ち破るような音楽の作り方だ。
「冬のために」はそれほどではないが、毛利作品の「待ちながら」や「ディファレンス」という曲を聴くと一層そういう感覚を感じる。
「不安」、「あせり」、「動揺」、「恐怖」、「孤独」といった精神的、心理的な「苦しさ」を、それも意識できずに潜在意識の奥深くに滞留した状態をイメージしているように感じられる。
毛利氏はきっと、自らの内面から聴こえてくるこれらの感情を拾い上げ、対峙する過程でそれらを音楽として構成し、表現したのではないかと思うのである。

毛利氏は1997年1月、46歳の若さで病気で亡くなった。
これからもっと才能を開花させていくというときに早世した。
中学生のときから全くの独学でピアノと作曲を始め、都立高校卒業後、三善晃に師事したという経歴の持ち主であり、天賦の才能を持ちながらも大変な努力をされてきたことが分かる。
毛利氏の作品は映画音楽(「泥の河」)やアニメ音楽(「赤毛のアン」)、などで知られていることが多く、彼の本領としての現代音楽作品を聴く機会を得ることは少ない。
しかしこの「冬のために」だけでも繰り返し聴いて欲しいと思う。
音楽の中に、このような人間的側面、負の側面と言っていいのかもしれないが、光を当てたものがあったということに少なからず感動を覚える。

Youtubeに投稿されていた、デンオンのCDの録音を貼り付けさせていただく。
なお個人的にはフォンテックのライブ録音の方が聴きごたえを感じる。

毛利 蔵人:冬のために / 小泉 浩, 山口 恭範, 吉原 すみれ 1996
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F.モンポウ作曲「歌と踊り第13番」ピアノ編曲版(アントニ・ベセス版)を聴く

2023-05-21 21:40:14 | ギター
今日、久しぶりにマンドリンアンサンブルのコンサートを聴きに神奈川県某町まで行ってきた。
小編成での団体だったが、小編成なりの良さが出たいい演奏だったと思う。
最後の難曲は学生時代に演奏した曲。当時の思い出のシーンの断片がいくつか蘇ってきたのは嬉しい。

さて、寝る前のひとときに、フェデリコ・モンポウの「歌と踊り第13番」を聴いてみた。
モンポウの歌と踊りは15曲あるが、第13番のギター、第15番のオルガンを除き全てピアノ曲である。
1970年代に録音された作曲者自身の自演録音があるが素晴らしい演奏だ。
特に第2番はこれ以上ない究極の演奏だと思っている。

「歌と踊り第13番」はクラシックギターの巨匠、ナルシソ・イエペスの委嘱により1972年に作曲されたと言われているが、グラモフォンにカタロニア民謡やアセンシオの「内なる印象」とともに録音されたその演奏は、彼の膨大な録音の中でも最高レベルの演奏だと私は思っている。
とくに踊り「賢い猟師」の中間部、神秘的な雰囲気を醸し出す部分の演奏は神業としか言いようがない。
物凄い演奏です。これほどの演奏を出来るギタリストは2度と現れないと思う。下にYoutubeの投稿を貼り付けさせてもらったので是非聴いて欲しい。

Mompou: Cançons i dansas - No. 13


この「歌と踊り第13番」のイエペスの演奏は10弦ギターでの演奏となっているが、1986年にマドリッドの出版社から出版された楽譜(ホルディ・コディーナ校訂)は、6弦ギターでの演奏を前提とした内容になっているだけでなく、イエペスの録音での演奏とは随所でかなり異なっている。









単に、10弦ギター特有の低い音域を6弦ギターで演奏できる音域に変換したというような単純な変更ではなく、音楽の構成内容自体が部分的にかなりの箇所で相違している。
1986年に出版された楽譜を見ると、まさにピアノで演奏することを前提とした構成内容になっていることがわかる。
だから、この楽譜をギターで弾くと、シンプルな内容にもかかわらず技巧的に非常に困難を感じることが分かる。
この曲自体が名曲であるにもかかわらず、ギターで演奏するギタリストが極めて少ないのはこのためではないかと思えてくる。

では、出版された楽譜が何故、イエペスが10弦ギターで録音したとおりの内容で出版されなかったのだろうか。
イエペスが1972年にグラモフォンに録音したものがこの曲として正式なものであることは疑いの無いことであろう。
これはあくまで推測であるが、モンポウから最初に提示された譜面があまりにもピアノ的でギターで弾くにはふさわしくないだけでなく、ギターで演奏するには音域面や、音の響きの面などである意味物足りなさをイエペスは感じ取ったのかもしれない。
だから、イエペスは10弦ギターでの表現能力を前提に、モンポウに対し、このように変更できないかと、その独自の案を示したのかもしれない。
録音での「歌と踊り第13番」は、モンポウ独りでは成し遂げられない、イエペス独自のギター的要素が反映されたものとみて間違いないのではないか。
ただ出版に際しては、モンポウは自分のオリジナルティーにこだわったのかもしれない。
だから校訂や運指付けはイエペスが行わなかった。

ところで、この「歌と踊り第13番」のピアノ編曲版が今までCDに録音されたり、Youtubeに投稿されたりしてきたが、作曲者モンポウ自身が許可をしたピアノ編曲版の楽譜が2020年に出版、2022年に発売されていることを知った。

https://www.academia-music.com/products/detail/178919

「編曲者のアントニ・ベセスはモンポウがその演奏を高く評価したピアニストで、この編曲は作曲者の許可、モンポウ財団の協力によって実現した」と紹介されている。
第13番ととも第15番もピアノ版に編曲されている。
ちなみに第15番のオルガンの曲もすごくいい曲です。これもぜひ聴いて欲しい。Youtubeに演奏があります。

編曲者のアントニ・ベセスの演奏がYoutubeにないかと探してみたら、何とライブ(自宅?)での演奏があった。
かなり特異な編曲、演奏だ。
1986年に出版されたギター版の内容ともかなり異なる。

Cançons i dances núm 13 i 15 de Frederic Mompou.


この演奏を聴いた後に感じたのは、この「歌と踊り第13番」の演奏はやはりイエペスのギター演奏でしかありえないということだった。
イエペスの演奏は本当に究極の名演としか言いようがないと確信している。
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