新宿バルト9の前夜祭に参加してきました。
00時上映でも異様な感じだったのに、今や前日夜に放映される時代なのか…。
この台詞を何度書いたかもはや分かりませんが、改めて、10年前はこんなことになるなんて思わなかったな。。
■映画「ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ」
今日もまたサイアーク現る!
楽しい楽しい、ふなっしーショーに乱入したサイアークを、ラブリーさんたちは迎え撃ちます。
行け行けプリキュア!がんばれプリキュア!
皆様の声援を背に、殴る蹴るの大活躍!ふなっしーが飛び跳ね、観客は総立ちで大声援!
敵は強靭でしたが、ミラクルライトの声援を力に変えて、華麗なバンクで一撃必殺。
こうして今日も平和は守られたのでした。めでたしめでたし。
ラブリーさん:
「いぇい!!みんな幸せハピネス!」
…。
……。
………。
で?
それが何なの?
………。
……。
…。
ぷつん。
テレビを消せば、そこにあるのは暗い暗い自分の部屋。
先ほどまでの大歓声は、遠い遠い世界のこと。
プリキュアだか何だかが敵を倒そうが倒すまいが、この現実は何も変わらない。
つむぎさん:
「みんな、幸せ?」
「私は」
「全然、幸せなんかじゃない」
涙と共に呟く少女の元に、何者かが声をかけてきて…。
あくる日。
愛乃さんらは園児相手に操り人形劇をしていました。
虚構世界のプリキュアさんが、虚構の人形劇をやる皮肉。
楽しい楽しい人形劇でしたが、根っからの不器用な愛乃さん、ふとした弾みに操り糸が絡まってしまいました。
よし、引っ張ろう。ぶつん。切れた。
その途端、人形たちはだらりと倒れこむ。先ほどまで生き生きと動いていた人形が、ただの物体に戻った瞬間。
まるでプリキュアさんを暗示するような嫌な空気は、大森さんの機転でどうにか切り抜けましたが…。
不穏な気持ちが消えぬまま、後片付けをしていると、見慣れぬ人形が見つかりました。あらこんな人形あったっけ?
そしていきなり喋り始めました。ぬいぐるみが喋った!!
聞けばこの人形さんこと、つむぎさんはドール王国の住人だそうで。
そのドール王国は、現在、幻影帝国の侵略を受けてるそうで。
練馬の防衛プリキュアに助けを求めに来たそうです。
よろしい。ならば助けて進ぜよう。何でも私に任せてよ!!
愛乃さんらは二つ返事で、謎の国・ドール王国へ。
ドール王国はその名の通り、楽しい人形の国。
愛乃さんらは全力で楽しみます。ひゃっほう!!
そして現れたサイアークを撃破。ちょろいぜ!!
平和を取り戻した功労者として、愛乃さんらは国賓待遇で盛大な歓待を受けます。
なんて楽しい素敵な国なんでしょう。
しかもこの国の王子・ジーク様が最高に格好いいのです。やったぜ姫さん。今こそ女子力の全てを使って戦う時!
お祝いに開いてもらった舞踏会も、まるでファンタジーのように楽しくて。
姫さんはもちろんのこと、愛乃さんや大森さん、氷川さんも満喫。
嗚呼、誠司くんもドレスアップした幼馴染にときめいておられる。ていうかあれは反則ですよ。愛乃さんが凶悪すぎる。
でもそんな楽しい楽しい世界は。
結局のところ、ただの虚構なわけで。
書割1枚隔てた向こうには、残酷なまでに過酷な現実が広がっている。
つむぎさんに連れられて、愛乃さんが向かった扉の先には、正体不明の黒々とした不幸が渦巻いていました。
状況の分からぬまま立ち尽くす愛乃さんの前に、最悪の化身が現れる。
何が起こってるのか分からない。分からないけど、変身して立ち向かう。だけど…。
つむぎさん:
「私は踊ることが好き」
「だけど急に足が動かなくなって」
「私はもう踊れない」
愛乃さんは応戦します。
だけど最悪は止まらない。
何をどうやっても、この現実は変えられない。
つむぎさん:
「あの人は私を踊れるようにしてくれた」
「ドール王国は、私のための世界」
「でもあの人が倒されたら、この世界は消えてしまう」
「あなたは、罠にかけられたんだよ」
同時刻。
姫さんも大森さん&氷川さんも、それぞれ姿を現した最悪と交戦を開始しました。
ドール王国の人たちの正体は、つむぎさんが大事にしていた人形たち。
大切な主を守るため、人形たちはプリキュアさんに敵対する。
幻影帝国と手を組んで、最悪をけしかける。
カーテンの1枚先には、どうにもならない現実が潜んでいる。
荒れ狂う必殺技バンク。猛烈な攻防。
だけれど。それが何の役に立つのか。
つむぎさん:
「幻影帝国は悪い人」
「でも、あの人は私を踊れるようにしてくれた」
「だからあの人が、幻影帝国の幹部でも関係ない」
子供の遊びが、残酷なまでの現実に打ちのめされる。
必殺のはずのバンクは、やればやるほど、薄っぺらいただの紙切れに。
そりゃそうです。プリキュアさんが敵を倒して、それが何になるの?
動かない足は変わらない。辛い現実は何も変わらない。
プリキュアたちは、所詮は子供の描いたただの夢物語。
つむぎさん:
「私を助けてくれるって、言ったよね?」
「あなたは私を歩けるように、してくれるの?」
「プリキュアにも、できないことがあるんだよ」
プリキュアは、役に立たない。
つむぎさん:
「できもしないのに」
「簡単に助けるとか言わないで」
あまりに当たり前で、あまりに残酷な現実に、愛乃さんの膝が折れる。
詰んだ。
これは本当にもうどうしようもない。
ひとまずこの窮地こそ、どうにか撤退して逃げられましたが。
打開策が本気でありません。
状況は、強いて言えば「フレッシュ」の玩具の国に近いですが、あれは桃園さんが当事者だった。
今回の敵は、名もなき一視聴者の女児様です。
どうにもならん。打つ手が丸っきり思いつかない。
だけどそこに、姫さんの叫びが木霊しました。
姫さん:
「そんなの全然、ラブリーらしくない!!」
お、おう…。
えぇと、完全に勢いで誤魔化しましたよね?ほとんど逆ギレですよね?
あのですね姫さん。ここはもうちょっと、気の利いた機転というか、「なるほど!その発想があったか!」的なものを期待してですね…
姫さん:
「そんなの全然、ラブリーらしくない!!!!」
ああ、はい。やけくそですね。もういいです。それで。
大森さん:
「具体的にどうしようか?」
愛乃さん:
「全力で殴ろう」
こうして、自暴自棄の全力パンチで挑むことになりました。
すみません。色々と小難しいことを気取って書きすぎました。
プリキュアさんは、基本、殴るのが仕事でした。よし、殴ろう。殴ればなんとかなるさ。
一方のつむぎさん。
プリキュアさんが単純腕力の結論に達したことなど露知らず、大好きな人形たちと涙を流していました。
彼女だって分かってる。自分のやってることが間違ってると。
でも、現実は辛いんです。足は動かない。もう踊れない。友達も去って行った。
目を覚ましても、待っているのは薄暗い孤独な部屋だけ。
と、そこに。ふと見上げれば、空から接近する4つの光点が。
プリキュアだ。奴らの空爆が始まった。
即、迎撃するかと思われましたが、つむぎさんの動きは鈍く…。
主の想いを、ジーク王子以下人形たちは敏感に察知しました。
つむぎを真に傷つけているのは誰なのか。
大切な主を唆した黒幕・ブラックファングに、敵意の視線を向け始める。
そこにプリキュアさんたちが舞い降りる。
そしてブラックファングに拘束されました。
えぇと、何をしに来たんでしょうか。
プリキュアさんを捕らえた安心感からか、ブラックファングさんは種明かしをしてくれました。
曰く、つむぎさんが踊れなくなったのは、彼の仕業だったそうです。
夢を断たれたことにより、つむぎさんが発する不幸が彼をパワーアップさせるとかだそうで。
…うむ。ありがとう。
思わず感謝の言葉が沸き上がりました。いやもう本当に。
そうか、あんたが悪いのか。良かった。殴る相手がいた。なんかもう本当に良かった。本気でスタッフ様の良心を感じましたよ。
よし、奴を殴ろう。多分、それで解決する。ぶっちゃけ解決しないことは分かってるんですが、今はとにかく殴ろう。殴らせてくれ。
ですが、敵が分かったところで、現実の重さは変わらず。
拘束されたプリキュアさんは身動き取れず。
所詮はただのマリオネット。糸が絡まれば動けない。
無理に引きちぎれば倒れてしまう。保育園での人形劇のように。
己の招いた事態に、つむぎさんの不幸は更に深まり。
結果、つむぎさんは謎の繭に捕らわれてしまいました。
彼女の不幸を糧にして、ブラックファングの力は増すばかり。
今や世界滅亡の危機にまで至ってしまいました。その事実に、つむぎさんの不幸は際限なく高まっていく。
私たちは操り人形。プリキュアさんも人形たちも。
作られた虚構は、過酷な現実の前に脆くも崩れた。
ジーク王子:
「つむぎが幸せになるならとお前に従ってきたが…」
「剣を向けるべきは、貴様だった」
「ブラックファング…!!」
捕えられた主を救うべく、ジーク王子は立ち向かいます。
ですが、彼の正体は所詮は人形。つむぎさんが幼いころから大切にしていた人形。
すなわち、ただのガラクタ。
ブラックファングの反撃の前に、ジーク王子はただの一太刀を浴びせることすらできず、崩れ落ちます。
子供時代の夢が、現実の前に屈した瞬間。
だけどその最後の瞬間に、王子は決死の行動に出ました。
ジーク王子:
「僕たちは無力だ」
ジーク王子:
「だけど、プリキュアなら」
最後の力を振り絞った一撃は、プリキュアさんを拘束する謎の糸へ。
その思いは届き、一房の糸は断ち切られました。
そう。たった、一房。
プリキュアさんの拘束は破れない。
現実は。ただひたすらに、重くのしかかる。
ジーク王子:
「頼む。プリキュア」
その言葉と共にブラックファングの攻撃を受け、王子はただの人形に元通り。
無力なガラクタの現実を見せながら、彼は懸命に言葉を紡ぎます。
ずっとずっと自分を大切にしてくれた、大切な大切なつむぎさんへ。過酷な現実の前に沈む、大好きなご主人様へ。
世界の全てが君を忌み嫌ったとしても。僕たちはずっと君が大好きだ。
だからどうか辛い現実に負けないで。
ジーク王子:
「つむぎ。がんばって」
残された人形たちも、絶望的な特攻を開始。
そして容赦なく打ち砕かれる。拘束され、動けぬプリキュアさんの目の前で。捕えられた、つむぎさんの想いの前で。
子供時代の夢が。大切にしてきた宝物が。何の役にも立たず、ただただ一方的に蹂躙されていく。
ただ一言の言葉を残して。
「頼む。プリキュア」
深まる絶望の中、何が起こったか。
もはや理解の範疇の外ですが、プリキュアさんは拘束を打ち破り、猛然とブラックファングの前に立ち塞がりました。
操り人形の糸を振り切って、プリキュアさんが己の足で立ち上がる。
もう言葉で表現できる何かではない。ぶん殴る。ただそれだけだ。お子様の夢の全てをかけて。
たとえ通じない、ゴミのようなバンクであっても。
たとえ現実を何も変えられないと分かっていても。
策も糞もない勢い任せの特攻の末、愛乃さんは繭に捕らわれた、つぐみさんの元に辿り着きました。
私たちはつむぎさんが大好き。だから彼女のために頑張る。
でも本当に彼女を救えるのは彼女自身だけ。プリキュアさんや人形に出来るのは、傍に寄り添い励ますことだけ。
だからがつんと良いこと言って勇気づけよう。
さて、何を言おうか。うん、何も言葉が浮かばないな。
愛乃さん:
「………。」
「………えぇと?」
何せ根本的な問題である「歩けない」を治す手段がありません。
黒幕は判明しましたが、ブラックファングを倒せば歩けるようになるとか、そんな単純な話ではないようです。
う、うむ。かける言葉がない。幸せハピネス!
だけど、つむぎさんは納得してくれました。キセキって起きるんだな…。
何ができるか分からないけれど、今できる何かを考えよう。
愛乃さんだけじゃ頼りなくても、姫さんも大森さんも氷川さんもいます。
良く分からんが、確かに何とかなる気がした。だってこんなに見守ってくれる存在がいるんだから。
ほぼ勢い任せだけど、勢いが大事なのも事実。これ、愛乃さんだからこそどうにかなった気がする。。
こうしてどうにか、つむぎさんは救出しましたが。
彼女の放った絶大な不幸は、既にして世界を滅ぼす域に達していました。
視聴者の女児様おそろしい。正真正銘、ただの民間人なのに世界が破滅しかけてる。
でもそんな時こそ、ミラクルライトの出番です。
さあ振ろう。今、振ろう。
世界各地でライトが振られ、愛乃さんは仲間と共に立ち向かいます。唸れ、必殺バンク!!
だけど。
プリキュアさんの応援は力になる。
同じように、応援はプリキュアさんの力になる。
プリキュアさんは無力だ。
同じように、応援は、無力だ。
各地で老若男女が振ったミラクルライトは、現実の不幸の壁に阻まれて、愛乃さんの元には届かず。
バンクは無意味で、仲間は倒れ、ライトの応援は何の効果も発揮せず。
孤立無援の中、愛乃さんは懸命にブラックファングに挑みます。
持ちうるありったけの武器を総動員して。それらが砕かれても、それでも立ちあがって。
プリキュアは、無力だ。この現実は変わらない。変えられない。
絶望的な状況で、だけど。
どうにもならないのに、懸命に特攻を繰り返す愛乃さんの姿に。
つむぎさんは思わず声が出ました。
つむぎさん:
「頑張れ」
「ラブリー!!」
過酷な現実に直面したお子様の、必死の願い。
あの子たちはいつだって傍にいてくれた。
私たちが信じたあの子供時代の夢に、今一度、希望を託そう。
その想いは、張り巡らされた不幸を和らげていく。
ほんの一瞬のその隙間に、お子様の願いを託したミラクルライトが、愛乃さんの元に届く。
愛乃さん:
「みんな、ありがとう!」
「スーパーハピネスラブリー…!!」
ポニーテールがツインテールに。馬鹿でかい羽を翻して、愛乃さんは高らかに宣言。
嗚呼、愛乃さんが身長ではなく体長で語られる生物に変貌してしまった。
よし、これで勝った……
……気はしないな。うん。
スペシャルフォームを発動した愛乃さんですが、戦況は依然苦しいまま。
重くのしかかる、結局のところ「つむぎさんの足は治せない」現実。
それでも愛乃さんは叫ぶ。もはやこれは意地だ。
壮大な決め技が放たれ、ブラックファングを猛襲。
と、同時に。
愛乃さん:
「うおぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉおおおおぉお!!!!!」
主砲を追いかけ、愛乃さん、特攻。
続いて、姫さんらも突撃。
ホントもうどうしようもないんです。だからもうヤケクソしかないんです。
スーパープリキュアになれば解決する時代は終わった。
どうにもならないから、とにかくもう殴るしかないじゃないか。
愛乃さん:
「うりゃああぁあぁぁああぁぁぁぁぁああぁあ!!!!!」
主砲の一撃の上から、更に拳の一撃。
なりふり構わぬ、自暴自棄の攻撃。
ああそうさ。現実はどうにもならない。生きていれば辛いことだってある。でも放っておけるかこんちくしょう。
かくしてブラックファングは倒されました。
これがただの幻影帝国の一幹部だというのが恐ろしい。
そして、彼が倒された以上、つむぎさんの夢は、終わりを迎えました。
…。
……。
………。
つむぎさんが目覚めたそこは、相も変らぬ、薄暗い孤独な部屋。
何も変わりません。
カーテンの隙間から差し込む光の中、ベッドの上で、大事な人形を抱きしめて。
つむぎさんは涙を流す。
足を引きずりながら。どうにもならない現実に直面しながら。
………。
……。
…。
ラストシーン。
愛乃さんはバレエの発表会に出席していました。
姫さんの膝には、ジーク王子のお人形。
大事なお人形と、プリキュアさんらに見守られる中、発表会の幕が上がる。
現れたつむぎさんは、ステージ中央まで『歩いて』行き…。
強い笑顔の彼女のダンスの始まりと共に、終劇。
彼女が踊れたのかどうか。
ブラックファングの仕掛けた術は、彼を倒せば解決するものなのか、それともリハビリして克服する必要があるものなのか。
それは何とも分からない。でも…。
【感想】
この映画はおかしい。声を大にして叫びたい。本当におかしい。
つむぎさんが不幸を背にプリキュアに対峙するシーンとか、狂ってますよ。
思わずこれまでのプリキュアシリーズを脳内総検索して、回答をもってるプリキュアがいないことに絶望。なんなんだこれ。
今回の映画は、プリキュアさんを見て、理想と現実のギャップに苦しんでいた人には強くお勧めしたいです。
やってることは、基本的には「NS3」と同じ。
ただユメタくんが、「ただの民間人女子」に置き換わってるせいで、事態の深刻さが半端ない。吐き気がするほどのドストレートな展開。
なんといっても、情報量がとんでもないんですよ。
舞台挨拶で藩さんもおっしゃってましたが、一つ一つの瞳の動きや髪の描写が物凄い。
そしてそれに加えて、描写外の演出が、ずしりと重い。
なんかもう、Yahooさんでも公開されてる冒頭5分の破壊力が狂ってますね。
これのせいで、その後のギャグシーンも舞踏会も、「ただの虚構」の空気が漂って、怖くて怖くて堪りません。
やたらめったらに連打される必殺技バンクも、おそらく演出でやってるんだろうな。
多いのになると、全く同じバンクを2、3回使ってるんです。そして回を重ねるごとに、「単なる記号」「単なる虚構」の要素が深まっていく。
描写が細かいが故に、「あ。これ、ただの紙だ」と薄っぺらく思える。その瞬間の恐怖。
たとえば、リボンやぐらさんが敵に捕らわれ、ただのぬいぐるみになる瞬間。
「元々ぬいぐるみじゃん」というギャグなのは分かる。実際、笑い声も起きてた。
でもこれ、物凄く怖くて残酷ですよね…。結局のところ、ただのぬいぐるみなんですよ。。
ゲスト出演の、ふなっしーもいい味出してます。
「所詮は虚構」の問題提起を、馬鹿みたいに高めてくれてます。
歴代のゲストキャラの中でも、最も意味ある出演だったんじゃないかしら。
【感想2】
ハピネスさんの陥ってる苦境に、改めて眩暈がしそうです。
冒頭5分のバトルも、なんか意味深に犠牲者の指輪が光ったりしてるんですよね。
しかも、とっておきのはずのミラクルライトを使って、ようやく倒してる。
そのくせ、背景の説明も特にはない通常戦闘扱いなんだよな…。
せめて何かのゲスト出演とかであって欲しい。。
つむぎさんも、ただの民間人。
毎週テレビでやってる「通りすがりの犠牲者を助ける」展開と、実は変わってません。
どんだけ過酷な日常なんだ、愛乃さん。。
【感想3】
前半で流れる「保育園で人形劇」のシーンが意味深です。
途中で止まってしまい、無機物の現実を見せてしまった人形劇。
それが、劇外の大森さんの機転で生き返る…。
大森さん:
「物語は変わってしまったけど」
「みんな笑顔だからいいじゃない」
最初の予定と変わることなんて珍しくないし、突然のアクシデントだってある。
でもそれは不幸なのか?
結果的に楽しくなれればそれでいいじゃない。想ってくれる人がいるのなら、全然不幸じゃない。
【感想4】
姫さんの恋愛ネタも良かった。
あれがなかったら、シリアス具合が止まらなかった。
今回の映画は、4人がそれぞれちゃんと役割果たしてるのが、見ていて気持ちいいです。
テーマ的にも「お子様が夢見る理想的恋愛」と現実のギャップで繋がってます。
最後に「自分から王子様を探しに行く」とアクティブに切り替えたのも良い。
閉じこもって子供時代の空想に浸って現実から目を背けるのではなく、現実は現実として受け入れた上で、一歩進んでいきたい。
【感想5】
「どうして、つむぎさんは歩けるようになったのか」は意見の分かれるところ。
ブラックファングを倒したので解決したのか、あの後何らかの努力があったのか、劇中では明言されていません。
個人的には後者だと思いたい。
・ブラックファングの仕業だと判明した後も、「プリキュアでは治せない」のスタンスのまま。
・目覚めのシーンは、無条件に喜んでいるようには見えない。
・実際、目覚めた直後に立っていない。
・テーマの一貫性のため。
ブラックファングさんが仕掛けたのは「筋力をゼロにし続ける」みたいな術で、「破壊してもゼロになったまま」「但し鍛え直せば筋力は付く」なのかなと。
みんなで筋トレメニュー考えて頑張ったり、栄養あるもの食べて体作ったりしたんですよ、きっと。
その甲斐あって歩けるようにはなったけど、バレエは以前と同じようにはまだ踊れないんじゃないかな。
まぁ、含みを持たせてる描写に対して、無粋ですけれど。
【感想6】
スペシャルフォームの発動は、挿入歌に乗せて。
今までありそうでなかった展開ですね。
「スーパープリキュアになった!勝った!」感よりも「これから戦いに赴く」感が出ててとても良いです。
『声がかれるほど叫んでる』
『君の痛みを救うために』
『何ができるのか分からない』
『だけど心は一緒だよ』
歌詞もすこぶる熱いです。いつか大人になった時も、忘れないでね、愛と勇気。
プリキュアさんは何の役にも立たない、子供だましの遊びに過ぎないけれど。。
大人になった今こそ、胸にずしんと響きますね…。
【感想7】
パンフレットに載ってる技名と、実際に叫んでた技名が違い過ぎるのですが、これは何の罠ですか。
【感想8】
虚構の世界のドール王国の惨事が、現実世界にも黒い不幸の糸を伸ばす。
それを防いだのは、ドール王国で戦った夢の存在のプリキュアさん。
現実世界とドール王国の関係は、私たちのこの世界と「プリキュア」コンテンツのそれと同じ。
「NS3」でも「悪夢から守る」という形で現実世界に寄与してたけど、もっと直接的になった感じです。
気になるのはエンエンやグレルに相当する、お見舞いに来てくれたお友達の存在。
ユメタくんが立ち上がった直接の動機は、友人たちを守ることでしたが、つむぎさんはそういったわけではなく。
お友達がミラクルライトを振ってくれたのも、つむぎさんの存在に気付いたからとか、そんなんじゃなし。
この違いは何か意味があるのかしら。もうちょっと落ち着いて考えてみたいかも。
【エンディング】
ED曲はいつもの「ハピカム」。
一通りいつもの展開を終えた後。
突然に舞台の壁が割れると、そこに広がるのは広い世界。
普段踊ってるあのセットは、空中船の中だったようで。
壁一枚隔てた先には、広大な現実世界が広がってました。
そこに勢い良く飛び出していくプリキュアさん達。
これ、素直に凄い演出ですね。
今までの映画の中でも一番じゃないかしら。
虚構の世界の外には、はるかに広い現実が広がってる。そしてその現実は、とても素敵な世界なんです。意地でもそう叫びたい。
【蛇足】
パンフレットのキャラクター紹介より抜粋。
『ブルー
地球のせいれい。
「神さま」とよばれることも。』
要するにただの精霊か!よくもまぁ今まで「神」とか堂々と名乗ってたな…。
ブラックファングはあからさまに糸を操ってたけど、クイーンミラージュ様やプリキュアさんも、ディープミラーや神の操り人形なんだろうな。
ハピネスさんは、神たちによる「人形ごっこ」の戦いなのか。
こうなるとコスプレ着せ替えアイテムで戦ってるのが、随分と残酷ですね。そのまんま、お子様の着せ替えごっこの人形遊び。
そのお人形たる愛乃さんが、操り糸を振り切ってどう動くかが、クライマックスの見せ場になる…のかなぁ。
【蛇足2】
パンフレットのプリカード紹介コーナーで取り上げられてるのは、みんな大好き「人魚」のカード。
編集された方はよく分かっておいでですね。やっぱり人魚さんですよ!人魚さん!
もう季節は寒い時期になってますけど、今からでも愛乃さんや氷川さんや大森さんも人魚になるべきなんですよ。何ならそのまま一生水の中から出なくてもいいですから!
【来春のプリキュアさん】
予告によれば、来年もオールスターズ映画が開催されるようです。良かったですね、美翔さん。
そして、そのまんま予告を受け取れば、ダンス映画のようです。やばいですね、美翔さん。
絶望的な顔してレッスンに励むMH・SS・GoGo組と、オーディションに「ダンス必須」の項目が加わったフレッシュ以降の命運別れる。
先日の3Dムービーは確かに凄かったです。単に技術的な凄さ以前に、「フレッシュ組がソロ」とか「GoGo以前のチームは微妙に簡単な振り付け」とか「6人以上が同時に別の動きをするところを見せつける」(カメラが6台しかないので同時撮影は無理だ、との説明が以前あった)とか、そういうのが凄かった。
来春のがどういうのになるか分かりませんが、この方向性は面白そう。
00時上映でも異様な感じだったのに、今や前日夜に放映される時代なのか…。
この台詞を何度書いたかもはや分かりませんが、改めて、10年前はこんなことになるなんて思わなかったな。。
■映画「ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ」
今日もまたサイアーク現る!
楽しい楽しい、ふなっしーショーに乱入したサイアークを、ラブリーさんたちは迎え撃ちます。
行け行けプリキュア!がんばれプリキュア!
皆様の声援を背に、殴る蹴るの大活躍!ふなっしーが飛び跳ね、観客は総立ちで大声援!
敵は強靭でしたが、ミラクルライトの声援を力に変えて、華麗なバンクで一撃必殺。
こうして今日も平和は守られたのでした。めでたしめでたし。
ラブリーさん:
「いぇい!!みんな幸せハピネス!」
…。
……。
………。
で?
それが何なの?
………。
……。
…。
ぷつん。
テレビを消せば、そこにあるのは暗い暗い自分の部屋。
先ほどまでの大歓声は、遠い遠い世界のこと。
プリキュアだか何だかが敵を倒そうが倒すまいが、この現実は何も変わらない。
つむぎさん:
「みんな、幸せ?」
「私は」
「全然、幸せなんかじゃない」
涙と共に呟く少女の元に、何者かが声をかけてきて…。
あくる日。
愛乃さんらは園児相手に操り人形劇をしていました。
虚構世界のプリキュアさんが、虚構の人形劇をやる皮肉。
楽しい楽しい人形劇でしたが、根っからの不器用な愛乃さん、ふとした弾みに操り糸が絡まってしまいました。
よし、引っ張ろう。ぶつん。切れた。
その途端、人形たちはだらりと倒れこむ。先ほどまで生き生きと動いていた人形が、ただの物体に戻った瞬間。
まるでプリキュアさんを暗示するような嫌な空気は、大森さんの機転でどうにか切り抜けましたが…。
不穏な気持ちが消えぬまま、後片付けをしていると、見慣れぬ人形が見つかりました。あらこんな人形あったっけ?
そしていきなり喋り始めました。ぬいぐるみが喋った!!
聞けばこの人形さんこと、つむぎさんはドール王国の住人だそうで。
そのドール王国は、現在、幻影帝国の侵略を受けてるそうで。
練馬の防衛プリキュアに助けを求めに来たそうです。
よろしい。ならば助けて進ぜよう。何でも私に任せてよ!!
愛乃さんらは二つ返事で、謎の国・ドール王国へ。
ドール王国はその名の通り、楽しい人形の国。
愛乃さんらは全力で楽しみます。ひゃっほう!!
そして現れたサイアークを撃破。ちょろいぜ!!
平和を取り戻した功労者として、愛乃さんらは国賓待遇で盛大な歓待を受けます。
なんて楽しい素敵な国なんでしょう。
しかもこの国の王子・ジーク様が最高に格好いいのです。やったぜ姫さん。今こそ女子力の全てを使って戦う時!
お祝いに開いてもらった舞踏会も、まるでファンタジーのように楽しくて。
姫さんはもちろんのこと、愛乃さんや大森さん、氷川さんも満喫。
嗚呼、誠司くんもドレスアップした幼馴染にときめいておられる。ていうかあれは反則ですよ。愛乃さんが凶悪すぎる。
でもそんな楽しい楽しい世界は。
結局のところ、ただの虚構なわけで。
書割1枚隔てた向こうには、残酷なまでに過酷な現実が広がっている。
つむぎさんに連れられて、愛乃さんが向かった扉の先には、正体不明の黒々とした不幸が渦巻いていました。
状況の分からぬまま立ち尽くす愛乃さんの前に、最悪の化身が現れる。
何が起こってるのか分からない。分からないけど、変身して立ち向かう。だけど…。
つむぎさん:
「私は踊ることが好き」
「だけど急に足が動かなくなって」
「私はもう踊れない」
愛乃さんは応戦します。
だけど最悪は止まらない。
何をどうやっても、この現実は変えられない。
つむぎさん:
「あの人は私を踊れるようにしてくれた」
「ドール王国は、私のための世界」
「でもあの人が倒されたら、この世界は消えてしまう」
「あなたは、罠にかけられたんだよ」
同時刻。
姫さんも大森さん&氷川さんも、それぞれ姿を現した最悪と交戦を開始しました。
ドール王国の人たちの正体は、つむぎさんが大事にしていた人形たち。
大切な主を守るため、人形たちはプリキュアさんに敵対する。
幻影帝国と手を組んで、最悪をけしかける。
カーテンの1枚先には、どうにもならない現実が潜んでいる。
荒れ狂う必殺技バンク。猛烈な攻防。
だけれど。それが何の役に立つのか。
つむぎさん:
「幻影帝国は悪い人」
「でも、あの人は私を踊れるようにしてくれた」
「だからあの人が、幻影帝国の幹部でも関係ない」
子供の遊びが、残酷なまでの現実に打ちのめされる。
必殺のはずのバンクは、やればやるほど、薄っぺらいただの紙切れに。
そりゃそうです。プリキュアさんが敵を倒して、それが何になるの?
動かない足は変わらない。辛い現実は何も変わらない。
プリキュアたちは、所詮は子供の描いたただの夢物語。
つむぎさん:
「私を助けてくれるって、言ったよね?」
「あなたは私を歩けるように、してくれるの?」
「プリキュアにも、できないことがあるんだよ」
プリキュアは、役に立たない。
つむぎさん:
「できもしないのに」
「簡単に助けるとか言わないで」
あまりに当たり前で、あまりに残酷な現実に、愛乃さんの膝が折れる。
詰んだ。
これは本当にもうどうしようもない。
ひとまずこの窮地こそ、どうにか撤退して逃げられましたが。
打開策が本気でありません。
状況は、強いて言えば「フレッシュ」の玩具の国に近いですが、あれは桃園さんが当事者だった。
今回の敵は、名もなき一視聴者の女児様です。
どうにもならん。打つ手が丸っきり思いつかない。
だけどそこに、姫さんの叫びが木霊しました。
姫さん:
「そんなの全然、ラブリーらしくない!!」
お、おう…。
えぇと、完全に勢いで誤魔化しましたよね?ほとんど逆ギレですよね?
あのですね姫さん。ここはもうちょっと、気の利いた機転というか、「なるほど!その発想があったか!」的なものを期待してですね…
姫さん:
「そんなの全然、ラブリーらしくない!!!!」
ああ、はい。やけくそですね。もういいです。それで。
大森さん:
「具体的にどうしようか?」
愛乃さん:
「全力で殴ろう」
こうして、自暴自棄の全力パンチで挑むことになりました。
すみません。色々と小難しいことを気取って書きすぎました。
プリキュアさんは、基本、殴るのが仕事でした。よし、殴ろう。殴ればなんとかなるさ。
一方のつむぎさん。
プリキュアさんが単純腕力の結論に達したことなど露知らず、大好きな人形たちと涙を流していました。
彼女だって分かってる。自分のやってることが間違ってると。
でも、現実は辛いんです。足は動かない。もう踊れない。友達も去って行った。
目を覚ましても、待っているのは薄暗い孤独な部屋だけ。
と、そこに。ふと見上げれば、空から接近する4つの光点が。
プリキュアだ。奴らの空爆が始まった。
即、迎撃するかと思われましたが、つむぎさんの動きは鈍く…。
主の想いを、ジーク王子以下人形たちは敏感に察知しました。
つむぎを真に傷つけているのは誰なのか。
大切な主を唆した黒幕・ブラックファングに、敵意の視線を向け始める。
そこにプリキュアさんたちが舞い降りる。
そしてブラックファングに拘束されました。
えぇと、何をしに来たんでしょうか。
プリキュアさんを捕らえた安心感からか、ブラックファングさんは種明かしをしてくれました。
曰く、つむぎさんが踊れなくなったのは、彼の仕業だったそうです。
夢を断たれたことにより、つむぎさんが発する不幸が彼をパワーアップさせるとかだそうで。
…うむ。ありがとう。
思わず感謝の言葉が沸き上がりました。いやもう本当に。
そうか、あんたが悪いのか。良かった。殴る相手がいた。なんかもう本当に良かった。本気でスタッフ様の良心を感じましたよ。
よし、奴を殴ろう。多分、それで解決する。ぶっちゃけ解決しないことは分かってるんですが、今はとにかく殴ろう。殴らせてくれ。
ですが、敵が分かったところで、現実の重さは変わらず。
拘束されたプリキュアさんは身動き取れず。
所詮はただのマリオネット。糸が絡まれば動けない。
無理に引きちぎれば倒れてしまう。保育園での人形劇のように。
己の招いた事態に、つむぎさんの不幸は更に深まり。
結果、つむぎさんは謎の繭に捕らわれてしまいました。
彼女の不幸を糧にして、ブラックファングの力は増すばかり。
今や世界滅亡の危機にまで至ってしまいました。その事実に、つむぎさんの不幸は際限なく高まっていく。
私たちは操り人形。プリキュアさんも人形たちも。
作られた虚構は、過酷な現実の前に脆くも崩れた。
ジーク王子:
「つむぎが幸せになるならとお前に従ってきたが…」
「剣を向けるべきは、貴様だった」
「ブラックファング…!!」
捕えられた主を救うべく、ジーク王子は立ち向かいます。
ですが、彼の正体は所詮は人形。つむぎさんが幼いころから大切にしていた人形。
すなわち、ただのガラクタ。
ブラックファングの反撃の前に、ジーク王子はただの一太刀を浴びせることすらできず、崩れ落ちます。
子供時代の夢が、現実の前に屈した瞬間。
だけどその最後の瞬間に、王子は決死の行動に出ました。
ジーク王子:
「僕たちは無力だ」
ジーク王子:
「だけど、プリキュアなら」
最後の力を振り絞った一撃は、プリキュアさんを拘束する謎の糸へ。
その思いは届き、一房の糸は断ち切られました。
そう。たった、一房。
プリキュアさんの拘束は破れない。
現実は。ただひたすらに、重くのしかかる。
ジーク王子:
「頼む。プリキュア」
その言葉と共にブラックファングの攻撃を受け、王子はただの人形に元通り。
無力なガラクタの現実を見せながら、彼は懸命に言葉を紡ぎます。
ずっとずっと自分を大切にしてくれた、大切な大切なつむぎさんへ。過酷な現実の前に沈む、大好きなご主人様へ。
世界の全てが君を忌み嫌ったとしても。僕たちはずっと君が大好きだ。
だからどうか辛い現実に負けないで。
ジーク王子:
「つむぎ。がんばって」
残された人形たちも、絶望的な特攻を開始。
そして容赦なく打ち砕かれる。拘束され、動けぬプリキュアさんの目の前で。捕えられた、つむぎさんの想いの前で。
子供時代の夢が。大切にしてきた宝物が。何の役にも立たず、ただただ一方的に蹂躙されていく。
ただ一言の言葉を残して。
「頼む。プリキュア」
深まる絶望の中、何が起こったか。
もはや理解の範疇の外ですが、プリキュアさんは拘束を打ち破り、猛然とブラックファングの前に立ち塞がりました。
操り人形の糸を振り切って、プリキュアさんが己の足で立ち上がる。
もう言葉で表現できる何かではない。ぶん殴る。ただそれだけだ。お子様の夢の全てをかけて。
たとえ通じない、ゴミのようなバンクであっても。
たとえ現実を何も変えられないと分かっていても。
策も糞もない勢い任せの特攻の末、愛乃さんは繭に捕らわれた、つぐみさんの元に辿り着きました。
私たちはつむぎさんが大好き。だから彼女のために頑張る。
でも本当に彼女を救えるのは彼女自身だけ。プリキュアさんや人形に出来るのは、傍に寄り添い励ますことだけ。
だからがつんと良いこと言って勇気づけよう。
さて、何を言おうか。うん、何も言葉が浮かばないな。
愛乃さん:
「………。」
「………えぇと?」
何せ根本的な問題である「歩けない」を治す手段がありません。
黒幕は判明しましたが、ブラックファングを倒せば歩けるようになるとか、そんな単純な話ではないようです。
う、うむ。かける言葉がない。幸せハピネス!
だけど、つむぎさんは納得してくれました。キセキって起きるんだな…。
何ができるか分からないけれど、今できる何かを考えよう。
愛乃さんだけじゃ頼りなくても、姫さんも大森さんも氷川さんもいます。
良く分からんが、確かに何とかなる気がした。だってこんなに見守ってくれる存在がいるんだから。
ほぼ勢い任せだけど、勢いが大事なのも事実。これ、愛乃さんだからこそどうにかなった気がする。。
こうしてどうにか、つむぎさんは救出しましたが。
彼女の放った絶大な不幸は、既にして世界を滅ぼす域に達していました。
視聴者の女児様おそろしい。正真正銘、ただの民間人なのに世界が破滅しかけてる。
でもそんな時こそ、ミラクルライトの出番です。
さあ振ろう。今、振ろう。
世界各地でライトが振られ、愛乃さんは仲間と共に立ち向かいます。唸れ、必殺バンク!!
だけど。
プリキュアさんの応援は力になる。
同じように、応援はプリキュアさんの力になる。
プリキュアさんは無力だ。
同じように、応援は、無力だ。
各地で老若男女が振ったミラクルライトは、現実の不幸の壁に阻まれて、愛乃さんの元には届かず。
バンクは無意味で、仲間は倒れ、ライトの応援は何の効果も発揮せず。
孤立無援の中、愛乃さんは懸命にブラックファングに挑みます。
持ちうるありったけの武器を総動員して。それらが砕かれても、それでも立ちあがって。
プリキュアは、無力だ。この現実は変わらない。変えられない。
絶望的な状況で、だけど。
どうにもならないのに、懸命に特攻を繰り返す愛乃さんの姿に。
つむぎさんは思わず声が出ました。
つむぎさん:
「頑張れ」
「ラブリー!!」
過酷な現実に直面したお子様の、必死の願い。
あの子たちはいつだって傍にいてくれた。
私たちが信じたあの子供時代の夢に、今一度、希望を託そう。
その想いは、張り巡らされた不幸を和らげていく。
ほんの一瞬のその隙間に、お子様の願いを託したミラクルライトが、愛乃さんの元に届く。
愛乃さん:
「みんな、ありがとう!」
「スーパーハピネスラブリー…!!」
ポニーテールがツインテールに。馬鹿でかい羽を翻して、愛乃さんは高らかに宣言。
嗚呼、愛乃さんが身長ではなく体長で語られる生物に変貌してしまった。
よし、これで勝った……
……気はしないな。うん。
スペシャルフォームを発動した愛乃さんですが、戦況は依然苦しいまま。
重くのしかかる、結局のところ「つむぎさんの足は治せない」現実。
それでも愛乃さんは叫ぶ。もはやこれは意地だ。
壮大な決め技が放たれ、ブラックファングを猛襲。
と、同時に。
愛乃さん:
「うおぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉおおおおぉお!!!!!」
主砲を追いかけ、愛乃さん、特攻。
続いて、姫さんらも突撃。
ホントもうどうしようもないんです。だからもうヤケクソしかないんです。
スーパープリキュアになれば解決する時代は終わった。
どうにもならないから、とにかくもう殴るしかないじゃないか。
愛乃さん:
「うりゃああぁあぁぁああぁぁぁぁぁああぁあ!!!!!」
主砲の一撃の上から、更に拳の一撃。
なりふり構わぬ、自暴自棄の攻撃。
ああそうさ。現実はどうにもならない。生きていれば辛いことだってある。でも放っておけるかこんちくしょう。
かくしてブラックファングは倒されました。
これがただの幻影帝国の一幹部だというのが恐ろしい。
そして、彼が倒された以上、つむぎさんの夢は、終わりを迎えました。
…。
……。
………。
つむぎさんが目覚めたそこは、相も変らぬ、薄暗い孤独な部屋。
何も変わりません。
カーテンの隙間から差し込む光の中、ベッドの上で、大事な人形を抱きしめて。
つむぎさんは涙を流す。
足を引きずりながら。どうにもならない現実に直面しながら。
………。
……。
…。
ラストシーン。
愛乃さんはバレエの発表会に出席していました。
姫さんの膝には、ジーク王子のお人形。
大事なお人形と、プリキュアさんらに見守られる中、発表会の幕が上がる。
現れたつむぎさんは、ステージ中央まで『歩いて』行き…。
強い笑顔の彼女のダンスの始まりと共に、終劇。
彼女が踊れたのかどうか。
ブラックファングの仕掛けた術は、彼を倒せば解決するものなのか、それともリハビリして克服する必要があるものなのか。
それは何とも分からない。でも…。
(左画像)映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ 挿入歌シングル (右画像)映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ サウンドトラック Twitterアカウント:http://twitter.com/RubyGillis |
【感想】
この映画はおかしい。声を大にして叫びたい。本当におかしい。
つむぎさんが不幸を背にプリキュアに対峙するシーンとか、狂ってますよ。
思わずこれまでのプリキュアシリーズを脳内総検索して、回答をもってるプリキュアがいないことに絶望。なんなんだこれ。
今回の映画は、プリキュアさんを見て、理想と現実のギャップに苦しんでいた人には強くお勧めしたいです。
やってることは、基本的には「NS3」と同じ。
ただユメタくんが、「ただの民間人女子」に置き換わってるせいで、事態の深刻さが半端ない。吐き気がするほどのドストレートな展開。
なんといっても、情報量がとんでもないんですよ。
舞台挨拶で藩さんもおっしゃってましたが、一つ一つの瞳の動きや髪の描写が物凄い。
そしてそれに加えて、描写外の演出が、ずしりと重い。
なんかもう、Yahooさんでも公開されてる冒頭5分の破壊力が狂ってますね。
これのせいで、その後のギャグシーンも舞踏会も、「ただの虚構」の空気が漂って、怖くて怖くて堪りません。
やたらめったらに連打される必殺技バンクも、おそらく演出でやってるんだろうな。
多いのになると、全く同じバンクを2、3回使ってるんです。そして回を重ねるごとに、「単なる記号」「単なる虚構」の要素が深まっていく。
描写が細かいが故に、「あ。これ、ただの紙だ」と薄っぺらく思える。その瞬間の恐怖。
たとえば、リボンやぐらさんが敵に捕らわれ、ただのぬいぐるみになる瞬間。
「元々ぬいぐるみじゃん」というギャグなのは分かる。実際、笑い声も起きてた。
でもこれ、物凄く怖くて残酷ですよね…。結局のところ、ただのぬいぐるみなんですよ。。
ゲスト出演の、ふなっしーもいい味出してます。
「所詮は虚構」の問題提起を、馬鹿みたいに高めてくれてます。
歴代のゲストキャラの中でも、最も意味ある出演だったんじゃないかしら。
【感想2】
ハピネスさんの陥ってる苦境に、改めて眩暈がしそうです。
冒頭5分のバトルも、なんか意味深に犠牲者の指輪が光ったりしてるんですよね。
しかも、とっておきのはずのミラクルライトを使って、ようやく倒してる。
そのくせ、背景の説明も特にはない通常戦闘扱いなんだよな…。
せめて何かのゲスト出演とかであって欲しい。。
つむぎさんも、ただの民間人。
毎週テレビでやってる「通りすがりの犠牲者を助ける」展開と、実は変わってません。
どんだけ過酷な日常なんだ、愛乃さん。。
【感想3】
前半で流れる「保育園で人形劇」のシーンが意味深です。
途中で止まってしまい、無機物の現実を見せてしまった人形劇。
それが、劇外の大森さんの機転で生き返る…。
大森さん:
「物語は変わってしまったけど」
「みんな笑顔だからいいじゃない」
最初の予定と変わることなんて珍しくないし、突然のアクシデントだってある。
でもそれは不幸なのか?
結果的に楽しくなれればそれでいいじゃない。想ってくれる人がいるのなら、全然不幸じゃない。
【感想4】
姫さんの恋愛ネタも良かった。
あれがなかったら、シリアス具合が止まらなかった。
今回の映画は、4人がそれぞれちゃんと役割果たしてるのが、見ていて気持ちいいです。
テーマ的にも「お子様が夢見る理想的恋愛」と現実のギャップで繋がってます。
最後に「自分から王子様を探しに行く」とアクティブに切り替えたのも良い。
閉じこもって子供時代の空想に浸って現実から目を背けるのではなく、現実は現実として受け入れた上で、一歩進んでいきたい。
【感想5】
「どうして、つむぎさんは歩けるようになったのか」は意見の分かれるところ。
ブラックファングを倒したので解決したのか、あの後何らかの努力があったのか、劇中では明言されていません。
個人的には後者だと思いたい。
・ブラックファングの仕業だと判明した後も、「プリキュアでは治せない」のスタンスのまま。
・目覚めのシーンは、無条件に喜んでいるようには見えない。
・実際、目覚めた直後に立っていない。
・テーマの一貫性のため。
ブラックファングさんが仕掛けたのは「筋力をゼロにし続ける」みたいな術で、「破壊してもゼロになったまま」「但し鍛え直せば筋力は付く」なのかなと。
みんなで筋トレメニュー考えて頑張ったり、栄養あるもの食べて体作ったりしたんですよ、きっと。
その甲斐あって歩けるようにはなったけど、バレエは以前と同じようにはまだ踊れないんじゃないかな。
まぁ、含みを持たせてる描写に対して、無粋ですけれど。
【感想6】
スペシャルフォームの発動は、挿入歌に乗せて。
今までありそうでなかった展開ですね。
「スーパープリキュアになった!勝った!」感よりも「これから戦いに赴く」感が出ててとても良いです。
『声がかれるほど叫んでる』
『君の痛みを救うために』
『何ができるのか分からない』
『だけど心は一緒だよ』
歌詞もすこぶる熱いです。いつか大人になった時も、忘れないでね、愛と勇気。
プリキュアさんは何の役にも立たない、子供だましの遊びに過ぎないけれど。。
大人になった今こそ、胸にずしんと響きますね…。
【感想7】
パンフレットに載ってる技名と、実際に叫んでた技名が違い過ぎるのですが、これは何の罠ですか。
【感想8】
虚構の世界のドール王国の惨事が、現実世界にも黒い不幸の糸を伸ばす。
それを防いだのは、ドール王国で戦った夢の存在のプリキュアさん。
現実世界とドール王国の関係は、私たちのこの世界と「プリキュア」コンテンツのそれと同じ。
「NS3」でも「悪夢から守る」という形で現実世界に寄与してたけど、もっと直接的になった感じです。
気になるのはエンエンやグレルに相当する、お見舞いに来てくれたお友達の存在。
ユメタくんが立ち上がった直接の動機は、友人たちを守ることでしたが、つむぎさんはそういったわけではなく。
お友達がミラクルライトを振ってくれたのも、つむぎさんの存在に気付いたからとか、そんなんじゃなし。
この違いは何か意味があるのかしら。もうちょっと落ち着いて考えてみたいかも。
【エンディング】
ED曲はいつもの「ハピカム」。
一通りいつもの展開を終えた後。
突然に舞台の壁が割れると、そこに広がるのは広い世界。
普段踊ってるあのセットは、空中船の中だったようで。
壁一枚隔てた先には、広大な現実世界が広がってました。
そこに勢い良く飛び出していくプリキュアさん達。
これ、素直に凄い演出ですね。
今までの映画の中でも一番じゃないかしら。
虚構の世界の外には、はるかに広い現実が広がってる。そしてその現実は、とても素敵な世界なんです。意地でもそう叫びたい。
【蛇足】
パンフレットのキャラクター紹介より抜粋。
『ブルー
地球のせいれい。
「神さま」とよばれることも。』
要するにただの精霊か!よくもまぁ今まで「神」とか堂々と名乗ってたな…。
ブラックファングはあからさまに糸を操ってたけど、クイーンミラージュ様やプリキュアさんも、ディープミラーや神の操り人形なんだろうな。
ハピネスさんは、神たちによる「人形ごっこ」の戦いなのか。
こうなるとコスプレ着せ替えアイテムで戦ってるのが、随分と残酷ですね。そのまんま、お子様の着せ替えごっこの人形遊び。
そのお人形たる愛乃さんが、操り糸を振り切ってどう動くかが、クライマックスの見せ場になる…のかなぁ。
【蛇足2】
パンフレットのプリカード紹介コーナーで取り上げられてるのは、みんな大好き「人魚」のカード。
編集された方はよく分かっておいでですね。やっぱり人魚さんですよ!人魚さん!
もう季節は寒い時期になってますけど、今からでも愛乃さんや氷川さんや大森さんも人魚になるべきなんですよ。何ならそのまま一生水の中から出なくてもいいですから!
【来春のプリキュアさん】
予告によれば、来年もオールスターズ映画が開催されるようです。良かったですね、美翔さん。
そして、そのまんま予告を受け取れば、ダンス映画のようです。やばいですね、美翔さん。
絶望的な顔してレッスンに励むMH・SS・GoGo組と、オーディションに「ダンス必須」の項目が加わったフレッシュ以降の命運別れる。
先日の3Dムービーは確かに凄かったです。単に技術的な凄さ以前に、「フレッシュ組がソロ」とか「GoGo以前のチームは微妙に簡単な振り付け」とか「6人以上が同時に別の動きをするところを見せつける」(カメラが6台しかないので同時撮影は無理だ、との説明が以前あった)とか、そういうのが凄かった。
来春のがどういうのになるか分かりませんが、この方向性は面白そう。