その1からの続きです。
● タヌキだらけ
陣太鼓ソフトを食べた後、熊本城をいったん出ます。
さっちゃんが「この前の『ブラタモリ』熊本版で登場した白いタヌキが今でも無事か、気になっているの」と言います。
白いタヌキって、なんでしょう?
熊本城沿いを流れる坪井川を渡ります。
洗馬橋の欄干に、海老ゾリをした海老の像がありました。
なぜエビ?と見つめていたら、さっちゃんが「いたー!白いタヌキ」と声を上げます。
文林堂という小洒落たお店の前に立っているのは、確かに白いタヌキ!
全身真っ白で、幽霊みたい。タヌキの幽霊って、見たことないけど。
そして等身大、というか、人間サイズの大きさです。
台座の上に立っているため、並んでみると、私たちよりも大柄です。
つまり熊サイズですね。
横浜人の私にとって、真っ白なものを見ると、ドキン!と緊張します。
なぜかというと、ハマには「メリーさん」がいたからですね~。
一度彼女と鉢合わせした時のことが、今でも忘れられません~。
(知らない人は調べてね)
そしてなぜ白いのかというと、石膏でできているからのようです。
ユーモラスな顔つきで、一見かわいらしいのですが、ガラス瓶でできた大きな目は、何も写さず、底知れぬ暗黒感を宿しています。
「ギャー、よく見ればこわいー!」
2人で目を覗き込んでは、キャーキャーと怯えました。
背中側に説明書きがあり、1950年代に店主にプレゼントされたものだとわかりました。
道の向こうのポストにもタヌキがついているのが見えます。
郵便局前のポストの上に座る、タヌキの像。
いろんなマスコットがついていて、こちらはカラフル。
ねじり鉢巻きをして、元気な感じです。
なぜこの辺りにはタヌキが多いのか、ブラタモリでも採り上げられたそう。
この辺りは船場という地名。
「あんたがたどこさ、肥後さ、肥後どこさ、熊本さ、熊本どこさ、船場さ」
「船場山にはタヌキがおってさ」
それがここなんですね!
市電の駅前にもタヌキの親子がいました。
船場には、今でもタヌキがいっぱい。
● 熊本の武蔵
車体に大きく「武蔵」と書かれたタクシーが通りかかりました。
「なぜ武蔵?」
「宮本武蔵ゆかりの地だから」
「そうなんだ!」
東京には、あちらこちらに「武蔵」という地名や駅名が多いため、「武蔵=東京」というイメージが出来上がっていますが、そういえば剣士宮本さんがいましたね。
彼は、晩年細川家に仕えて、ここ熊本で過ごしています。
● 洗馬橋停留場
突然「あんたがたどこさ」のメロディーが流れてきたので、キョロキョロしていると、市電がガタゴトとやってきました。
ここは市電のせんば駅前。正式には洗馬橋停留場といいます。
旧市街地にあり、なかなかレトロな光景です。
通りかかった市電は、夏目漱石記念パッケージ列車でした。
「来熊」って書いてある~。らいゆう、らいゆう。(なかなか覚えられない響き)
● 長崎次郎書店
少し歩いて長崎次郎書店に行きました。
ステキな外観。明治7年創業の、熊本最古級の書店だそう。
建物は保岡勝也の設計による国登録有形文化財だそうです。
たそがれ時がよく似合う、レトロないい雰囲気。
さっちゃんから、ここの本屋さんで見つけたという、イギリス製のキノコの図鑑をプレゼントしてもらいました。
不思議の国のアリスの世界に入り込めそうな図柄です。
● こわれた石橋、蛇口から湧き水
石橋を渡ると、欄干が半分、川に落ちていました。
このように倒壊した場所は町のあちこちに見られるため、一つ一つが厳重に立ち入り禁止にしきれていません。
三角コーンは置かれているけれど、子供が近寄ったら落ちてしまいそう。要注意です。
そばにある水飲み場からは湧き水が出ていました。
「蛇口ひねればミネラルウォーター」と書いてあります。
100%湧き水の熊本。
大地震にあってもなお水の豊かな場所というのは、救われる気持ちになります。
● ふたたび城内へ
散策をしているうちに暮れなずんできたので、再びお城へと向かいました。
日が沈んだ頃に、纏組の青森復興ねぶたが城内を練り歩くので、それを見ようと思ってのことです。
夕方になり、普段なら閉城になって人が出ていく頃ですが、この日は私たちと同じようにお城へ向かう人々がたくさん。
いつしか、列を作って続々と向かう大きな流れになっています。
そもそも(熊本の人たちは、ねぶたって知っているの?)と思っていたので、びっくり。
本州北端の青森のものなので、反応する人も少なく、もっとマイナーなのかと思いました。
● 夜の復興ねぶた運行
会場は先ほどのゆるキャラフェスと同じ二の丸公園。
大勢の人々が、夕暮れに沈んで黒い影になり、時間がくるのを待っています。
いよいよ日が暮れて、ねぶた運行がはじまりました。
いつしかふくれあがった黒山の人だかり、ねぶたは遠くに光っています。
運行が始まってもなお、人はどんどん増え続けます。
暗闇の中で群衆に混ざっているのがちょっと怖くて、木のそばを定位置にしました。
親子連れが入れ代わり立ち代わり、木のところにやってきては、子供に「ここに登りなさい」と木に上らせようとします。
(なぜなぜどうして~?)
良く見えると思ってなのか、なぜかみんな、自分の子を木に上らせたがります。
でも、誰一人うまくいきません。
木を見れば(これは手も足もかけられないから上れない)とわかりそうですが、おそらく親も、木上りをしたことがないんでしょうね。
(私?結構得意ですよ!エヘン)
ねぶたは、広々とした公園内をぐるっと練り歩き始めました。ハネトのすがたも見えてきました。
3台の太鼓のリズムが、ズシン、ズシンとおなかに響きます。
こちらに近づいてくると、太鼓と笛の拍子バヤシも聞こえてきます。
「ラッセーラ、ラッセーラ」というかけ声も。
ハネトたちが、ねぶたの近くで舞っています。
彼らの熱気を受けて、観ている側もブワッと血がわき踊るような、興奮の渦に巻き込まれます。
立体的なので、ちょっと角度が違うだけで、表情が変わるねぶた。
いくら眺めても、見飽きません。
裏側にいるのは連獅子。
「白い方、ビニールをかぶってない?」
「それとも白い衣装なのかな?」
羽衣のような服を着ている表現かと思いましたが、白い人形だけ、どこかの学校に設置されるそうです。
だから汚れないように、きれいにしているのね。
● ハーメルンの笛吹きのよう
本場で見ている私は、ところ変わっても勇壮なねぶたを前に大興奮。
熊本では、初めて見る人がほとんどでしょうし、ねぶたで盛り上がれるのかなあと、初めは心配していましたが、ワーワー大歓声が上がって、もうみんなが興奮のるつぼの中。
ねぶたが前を通り過ぎると、みんな夢中でその後を追っていきました。
まるで、ハーメルンの笛吹きみたい!
暗がりの中、さっきまで大混雑していた私たちの周りから、人々がサーッといなくなり、すっかりすいて、風が吹いてきました。
ねぶたを見たことで満足して、すぐに帰ったのかなとも思いましたが、ねぶたが2巡目に再び近づいてきたら、その後に人々もぞろぞろとついてきて、再び人混みであっぷあっぷ。
やっぱりみんな、ねぶたとともに動いていたようです。
青森では場所取りをしたところからは動かないため、見たことのない光景に、あっけにとられました。
ねぶたは広場を大きく2周して、でいったん休憩。
先ほどからマイクを通して説明をしている、ねぶた会の長から「□□さん、いらっしゃいますかー? 7歳のお子さんが迷子です。ねぶた小屋まできてください」との放送がかかります。
なかなか保護者が現れないようで、何度も何度も放送がかかり、□□さんの名前は公園中に響きわたります。
最後には「□□さーん、ねぶたを見ている場合ではありませんよー。
もし迎えに来られなければ、この子は青森に連れていきます!」と言い出したので、聞いていたみんなで笑っちゃいました。
これぞ、リアル・ハーメルンの笛吹き!
ねぶた職人は跡継ぎ難だと聞いているので、後進の育成にいいかも(笑)!
休憩時間にねぶたの下にいたのは、おそろいのTシャツ姿で山車を押している若い衆たち。
地元の学生さんでした。
休憩後、再び出発することになり、マイクで「皆さん下がってください」とアラートがかかりました。
それを聞いたら、普通はみんな、ねぶた山車から離れて、出発のスタンバイを見守るものですが、熊本の人たちはまったく下がりません。
ハイパートランス状態になっているのでしょうか。
次第にマイクの声はいらついてきて、
「青森の人間は下がれと言ったら下がるのに、熊本の人間は下がらない」と、津軽弁でぼやいています。
最後には「いいから下がれヤー!」と、ドスの効いたシャウトが、マイクを通して響き渡りました。
青森人が、そんな風に声を上げるなんて珍しいんですよ、熊本の方々。
ようやく人々がねぶたから離れたので、再度の練り歩きが始まりました。
さっちゃんは「こっちの人は、南国気質というかか、我こそはという気持ちが強くて、自分の心のままに行動するのよ。
だから、ねぶたの後についていって、ぐるぐる一緒に動いたんじゃないかしら」と言いました。
70年の歴史があるというこのねぶた会ですが、熊本に来たのはこれが始めてだとのこと。
会の中心人物が熊本で被災したのが、この復興イベントのきっかけとなったそうです。
消防団に所属しているとのことなので、今回のねぶたも火消しの「に組」なんですね。
ねぶたからパワーをもらって、みんなが元気を出してくれればいいけれど。
帰り道はもうとっぷりと夜が暮れていました。
石垣をライトアップしている熊本城ですが、崩れた後もやはりライトアップしていました。
先ほど撮った場所を、またパチリ。
陰影をはらんで更に迫力があります。
● 紅蘭亭の太平燕
それから、熊本の繁華街、上通り・下通りを通って、夕食へ。
太平燕(タイピーエン)の本家だという紅蘭亭(こうらんてい)に行ったら、本館が混んでいたので、別館の方へ移動。
ここも列ができていましたが、それほど待たずに入れました。
太平燕と、さっちゃんお勧めの乾燥梅干しエキス入りウーロン茶にしました。
● 金龍堂のカッパ像
帰りに、金龍堂という書店の前を通ります。
去年通った時には、この書店の前には泉があり、難しそうな顔をしたカッパの像が3匹座っていました。
とても気になっていましたが、震災でお店を締めたままになっています。
2か月前と変わらず、シャッターが下りたままでしたが、その時よりもメッセージの紙が増えていました。
目を通すさっちゃんを、遠くからパチリ。
シャッターに貼られたメッセージの数々。くまモンもいます。
これが、ここにいるカッパ像。かなり優しげに描かれています。
みんながお店の再開を心から待っているのが伝わってきました。
● がまだすばい!
アーケードの上には、「がまだすばい!」のメッセージ。
がまだすばい・・・ハトが出ますよ、的な? ガマが出ますよ(違う)
余韻冷めやらぬまま、さっちゃん宅に帰宅。
この日は、心配していた台風雨は降らずに済みました。
風も特に強くなく、心地いい夜。
さっちゃんと「明日も台風が来ませんように!」と祈りつつ、枕を並べて寝ました。
2日目に続きます。
● タヌキだらけ
陣太鼓ソフトを食べた後、熊本城をいったん出ます。
さっちゃんが「この前の『ブラタモリ』熊本版で登場した白いタヌキが今でも無事か、気になっているの」と言います。
白いタヌキって、なんでしょう?
熊本城沿いを流れる坪井川を渡ります。
洗馬橋の欄干に、海老ゾリをした海老の像がありました。
なぜエビ?と見つめていたら、さっちゃんが「いたー!白いタヌキ」と声を上げます。
文林堂という小洒落たお店の前に立っているのは、確かに白いタヌキ!
全身真っ白で、幽霊みたい。タヌキの幽霊って、見たことないけど。
そして等身大、というか、人間サイズの大きさです。
台座の上に立っているため、並んでみると、私たちよりも大柄です。
つまり熊サイズですね。
横浜人の私にとって、真っ白なものを見ると、ドキン!と緊張します。
なぜかというと、ハマには「メリーさん」がいたからですね~。
一度彼女と鉢合わせした時のことが、今でも忘れられません~。
(知らない人は調べてね)
そしてなぜ白いのかというと、石膏でできているからのようです。
ユーモラスな顔つきで、一見かわいらしいのですが、ガラス瓶でできた大きな目は、何も写さず、底知れぬ暗黒感を宿しています。
「ギャー、よく見ればこわいー!」
2人で目を覗き込んでは、キャーキャーと怯えました。
背中側に説明書きがあり、1950年代に店主にプレゼントされたものだとわかりました。
道の向こうのポストにもタヌキがついているのが見えます。
郵便局前のポストの上に座る、タヌキの像。
いろんなマスコットがついていて、こちらはカラフル。
ねじり鉢巻きをして、元気な感じです。
なぜこの辺りにはタヌキが多いのか、ブラタモリでも採り上げられたそう。
この辺りは船場という地名。
「あんたがたどこさ、肥後さ、肥後どこさ、熊本さ、熊本どこさ、船場さ」
「船場山にはタヌキがおってさ」
それがここなんですね!
市電の駅前にもタヌキの親子がいました。
船場には、今でもタヌキがいっぱい。
● 熊本の武蔵
車体に大きく「武蔵」と書かれたタクシーが通りかかりました。
「なぜ武蔵?」
「宮本武蔵ゆかりの地だから」
「そうなんだ!」
東京には、あちらこちらに「武蔵」という地名や駅名が多いため、「武蔵=東京」というイメージが出来上がっていますが、そういえば剣士宮本さんがいましたね。
彼は、晩年細川家に仕えて、ここ熊本で過ごしています。
● 洗馬橋停留場
突然「あんたがたどこさ」のメロディーが流れてきたので、キョロキョロしていると、市電がガタゴトとやってきました。
ここは市電のせんば駅前。正式には洗馬橋停留場といいます。
旧市街地にあり、なかなかレトロな光景です。
通りかかった市電は、夏目漱石記念パッケージ列車でした。
「来熊」って書いてある~。らいゆう、らいゆう。(なかなか覚えられない響き)
● 長崎次郎書店
少し歩いて長崎次郎書店に行きました。
ステキな外観。明治7年創業の、熊本最古級の書店だそう。
建物は保岡勝也の設計による国登録有形文化財だそうです。
たそがれ時がよく似合う、レトロないい雰囲気。
さっちゃんから、ここの本屋さんで見つけたという、イギリス製のキノコの図鑑をプレゼントしてもらいました。
不思議の国のアリスの世界に入り込めそうな図柄です。
● こわれた石橋、蛇口から湧き水
石橋を渡ると、欄干が半分、川に落ちていました。
このように倒壊した場所は町のあちこちに見られるため、一つ一つが厳重に立ち入り禁止にしきれていません。
三角コーンは置かれているけれど、子供が近寄ったら落ちてしまいそう。要注意です。
そばにある水飲み場からは湧き水が出ていました。
「蛇口ひねればミネラルウォーター」と書いてあります。
100%湧き水の熊本。
大地震にあってもなお水の豊かな場所というのは、救われる気持ちになります。
● ふたたび城内へ
散策をしているうちに暮れなずんできたので、再びお城へと向かいました。
日が沈んだ頃に、纏組の青森復興ねぶたが城内を練り歩くので、それを見ようと思ってのことです。
夕方になり、普段なら閉城になって人が出ていく頃ですが、この日は私たちと同じようにお城へ向かう人々がたくさん。
いつしか、列を作って続々と向かう大きな流れになっています。
そもそも(熊本の人たちは、ねぶたって知っているの?)と思っていたので、びっくり。
本州北端の青森のものなので、反応する人も少なく、もっとマイナーなのかと思いました。
● 夜の復興ねぶた運行
会場は先ほどのゆるキャラフェスと同じ二の丸公園。
大勢の人々が、夕暮れに沈んで黒い影になり、時間がくるのを待っています。
いよいよ日が暮れて、ねぶた運行がはじまりました。
いつしかふくれあがった黒山の人だかり、ねぶたは遠くに光っています。
運行が始まってもなお、人はどんどん増え続けます。
暗闇の中で群衆に混ざっているのがちょっと怖くて、木のそばを定位置にしました。
親子連れが入れ代わり立ち代わり、木のところにやってきては、子供に「ここに登りなさい」と木に上らせようとします。
(なぜなぜどうして~?)
良く見えると思ってなのか、なぜかみんな、自分の子を木に上らせたがります。
でも、誰一人うまくいきません。
木を見れば(これは手も足もかけられないから上れない)とわかりそうですが、おそらく親も、木上りをしたことがないんでしょうね。
(私?結構得意ですよ!エヘン)
ねぶたは、広々とした公園内をぐるっと練り歩き始めました。ハネトのすがたも見えてきました。
3台の太鼓のリズムが、ズシン、ズシンとおなかに響きます。
こちらに近づいてくると、太鼓と笛の拍子バヤシも聞こえてきます。
「ラッセーラ、ラッセーラ」というかけ声も。
ハネトたちが、ねぶたの近くで舞っています。
彼らの熱気を受けて、観ている側もブワッと血がわき踊るような、興奮の渦に巻き込まれます。
立体的なので、ちょっと角度が違うだけで、表情が変わるねぶた。
いくら眺めても、見飽きません。
裏側にいるのは連獅子。
「白い方、ビニールをかぶってない?」
「それとも白い衣装なのかな?」
羽衣のような服を着ている表現かと思いましたが、白い人形だけ、どこかの学校に設置されるそうです。
だから汚れないように、きれいにしているのね。
● ハーメルンの笛吹きのよう
本場で見ている私は、ところ変わっても勇壮なねぶたを前に大興奮。
熊本では、初めて見る人がほとんどでしょうし、ねぶたで盛り上がれるのかなあと、初めは心配していましたが、ワーワー大歓声が上がって、もうみんなが興奮のるつぼの中。
ねぶたが前を通り過ぎると、みんな夢中でその後を追っていきました。
まるで、ハーメルンの笛吹きみたい!
暗がりの中、さっきまで大混雑していた私たちの周りから、人々がサーッといなくなり、すっかりすいて、風が吹いてきました。
ねぶたを見たことで満足して、すぐに帰ったのかなとも思いましたが、ねぶたが2巡目に再び近づいてきたら、その後に人々もぞろぞろとついてきて、再び人混みであっぷあっぷ。
やっぱりみんな、ねぶたとともに動いていたようです。
青森では場所取りをしたところからは動かないため、見たことのない光景に、あっけにとられました。
ねぶたは広場を大きく2周して、でいったん休憩。
先ほどからマイクを通して説明をしている、ねぶた会の長から「□□さん、いらっしゃいますかー? 7歳のお子さんが迷子です。ねぶた小屋まできてください」との放送がかかります。
なかなか保護者が現れないようで、何度も何度も放送がかかり、□□さんの名前は公園中に響きわたります。
最後には「□□さーん、ねぶたを見ている場合ではありませんよー。
もし迎えに来られなければ、この子は青森に連れていきます!」と言い出したので、聞いていたみんなで笑っちゃいました。
これぞ、リアル・ハーメルンの笛吹き!
ねぶた職人は跡継ぎ難だと聞いているので、後進の育成にいいかも(笑)!
休憩時間にねぶたの下にいたのは、おそろいのTシャツ姿で山車を押している若い衆たち。
地元の学生さんでした。
休憩後、再び出発することになり、マイクで「皆さん下がってください」とアラートがかかりました。
それを聞いたら、普通はみんな、ねぶた山車から離れて、出発のスタンバイを見守るものですが、熊本の人たちはまったく下がりません。
ハイパートランス状態になっているのでしょうか。
次第にマイクの声はいらついてきて、
「青森の人間は下がれと言ったら下がるのに、熊本の人間は下がらない」と、津軽弁でぼやいています。
最後には「いいから下がれヤー!」と、ドスの効いたシャウトが、マイクを通して響き渡りました。
青森人が、そんな風に声を上げるなんて珍しいんですよ、熊本の方々。
ようやく人々がねぶたから離れたので、再度の練り歩きが始まりました。
さっちゃんは「こっちの人は、南国気質というかか、我こそはという気持ちが強くて、自分の心のままに行動するのよ。
だから、ねぶたの後についていって、ぐるぐる一緒に動いたんじゃないかしら」と言いました。
70年の歴史があるというこのねぶた会ですが、熊本に来たのはこれが始めてだとのこと。
会の中心人物が熊本で被災したのが、この復興イベントのきっかけとなったそうです。
消防団に所属しているとのことなので、今回のねぶたも火消しの「に組」なんですね。
ねぶたからパワーをもらって、みんなが元気を出してくれればいいけれど。
帰り道はもうとっぷりと夜が暮れていました。
石垣をライトアップしている熊本城ですが、崩れた後もやはりライトアップしていました。
先ほど撮った場所を、またパチリ。
陰影をはらんで更に迫力があります。
● 紅蘭亭の太平燕
それから、熊本の繁華街、上通り・下通りを通って、夕食へ。
太平燕(タイピーエン)の本家だという紅蘭亭(こうらんてい)に行ったら、本館が混んでいたので、別館の方へ移動。
ここも列ができていましたが、それほど待たずに入れました。
太平燕と、さっちゃんお勧めの乾燥梅干しエキス入りウーロン茶にしました。
● 金龍堂のカッパ像
帰りに、金龍堂という書店の前を通ります。
去年通った時には、この書店の前には泉があり、難しそうな顔をしたカッパの像が3匹座っていました。
とても気になっていましたが、震災でお店を締めたままになっています。
2か月前と変わらず、シャッターが下りたままでしたが、その時よりもメッセージの紙が増えていました。
目を通すさっちゃんを、遠くからパチリ。
シャッターに貼られたメッセージの数々。くまモンもいます。
これが、ここにいるカッパ像。かなり優しげに描かれています。
みんながお店の再開を心から待っているのが伝わってきました。
● がまだすばい!
アーケードの上には、「がまだすばい!」のメッセージ。
がまだすばい・・・ハトが出ますよ、的な? ガマが出ますよ(違う)
余韻冷めやらぬまま、さっちゃん宅に帰宅。
この日は、心配していた台風雨は降らずに済みました。
風も特に強くなく、心地いい夜。
さっちゃんと「明日も台風が来ませんように!」と祈りつつ、枕を並べて寝ました。
2日目に続きます。
熊本の船場なんですね。
「あんたがたどこさ」に出てきましたね。
リカさんよくご存じで。
ねぶたの「ラッセラー」が聞こえてきそうですよ。
迫力あるだろうな。青森かテレビでしか見られないかと思っていたのに
熊本で見られたのは、みなさんいい思い出でしたね。
崩れた石垣をみると悲しくなりますね。
「あんたがたどこさ」が熊本の歌とは知らず、熊本の友人に教えてもらったんです。
子供の頃は、肥後の国といっても全然ピンと来なくって。
復興ねぶたは、今年も熊本にやってくるようです。たしかに、あれを近くで見て元気を出さない人はいないかも。
みんなを励ます、一つの復興の形ですね。
日本の仕事のち密さで、石垣も少しずつ元に近づいていくことを願っています(^ ^)