風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

がんばれ熊本・5か月後の町 1-1(9.3-6)

2017-04-03 | 九州
● prologue

6月に、1年ぶりに熊本を訪れました(→「がんばれ熊本・島原渡航」)。
震災後の、がらりと変わってしまった熊本の町に立って呆然としましたが、その時は仕事で訪れていたため、あまり自由時間はありませんでした。
それから3か月後の。今度はプライベート旅行で、再び来熊(らいくま、じゃなくて、らいゆう)。
市内に暮らす、友人さっちゃんとヒロポンに会いに行きました。

● テイクオフ

5時起きして、空港に向かいました。
半分以上眠りながら。
向かいの乗客たちも、みんなこんな感じ。土曜日早朝の電車の中はとっても静かです。



搭乗手続きの列に並んでいる時、前の男性がやけにそわそわしていると思ったら、係員を呼び止めて「放送で走れって言われたんですけど大丈夫でしょうか。35分発のフライトです」と言いました。
この時、時間は30分。ええっ、平気なの?
係員はすぐにその人を列から出し、二人一緒にどこかに走って行きました。
搭乗口までけっこう距離がある場所だったけれど、彼は無事飛行機に乗れたのかしら。

私の乗った飛行機は、予定通りに離陸しました。目下、九州地方には台風12号が接近中。
かなり心配ですが、東京方面は問題なし。
通路側の座席なので、眠っていくことにします。
眠りに落ちる前、隣席の女性がメイクセットを取り出して、熱心にお化粧しはじめました。
途中で起きたときにも、まだメイクは続いていました。
着陸近くなって目覚めたとき、私の横には見知らぬ美人が座っていました。オォ~(゚〇゚)



● まずはいきなり団子

予定通りに熊本到着。さっちゃんがお迎えに来てくれました。
「去年も来た空港なので、大丈夫だよ」と言いましたが、「大嵐になるかもしれないので、会えなくなったら心配だから。天候次第で空港からタクシーに乗ろう」ということで、ご厚意に甘えて来てもらいました。

前回、熊本名物「いきなり団子」のおいしさを知った私。
(熊本に行ったら、まずはいきなり団子を食べたーい!)と思っていたので、さっそく買おうと出口前のANAショップに寄りましたが、売られているのはお土産用の冷凍品ばかりで、いますぐ食べられるものはありません。
ゲットできずに、手ぶらで到着ロビーに出たら、手を振るさっちゃんの手には、ホカホカのいきなり団子が。
「買ってきたよ~。」さすがさっちゃん、わかってるねー!



まださほど雨はひどくないため、最寄り駅までシャトルタクシーに乗りました。
空港から広がる景色。やはりこの辺りは美しいです。
2ヶ月前から、少しは復興が進んでいるといいのですが。



がんばるけん!くまもとけん!
駅前でシャトルタクシーを降り、車体に描かれたくまモンの写真を撮ったら、ドライバーが「どうぞどうぞこれも撮って」と勧めてくれました。
ではお言葉に甘えて、パシャリ。かわいい!



前回の出張の時には、復興支援ということで、トランクにお土産をパンパンに詰めて帰りましたが、今回は身軽なボストンバックで来ました。
だから移動も楽々。

電車に乗り換えると、車両内にゴミ箱がついていました。ビックリー!
「そういえばそうだね」もう見慣れているさっちゃんは、驚きません。
今では都心の駅のホームのゴミ箱さえ、テロ対策で撤去されてしまっています。いわんや車両内をや。
(久しぶりの古語。使い方合ってるかな?)



● さっちゃん宅

今回の旅行の計画後に、突然さっちゃん家の神奈川転勤が決まりました。
中止も考えながらも「こちらもまだ行っていないところがあるから、一緒に行こう」と言ってもらい、引っ越し作業中のおうちにお邪魔することに。
「手伝うよ!」とやってきたのに、部屋の中にはきちんと段ボールが積まれていました。
完璧~。私の出番はありません。
地震でできたひびが、壁のあちこちに入っていて、被害の大きさを語っていました。
古い木造家屋ならもちこたえられなかったかもしれないと思うと、本当に命の危険があったんだと、ひやりとした気持ちになります。

東京では、台風は少し先の話と言われていましたが、九州に来ると、もう台風は直前まで迫ってきています。
TVでは、台風情報をずっと流しています。
予想図を見ると、ちょうど12号が九州に上陸したところで、鹿児島から北上して熊本を直撃するという予報。
大きな被害が出ませんように。

お喋りをしながら、ランチをいただきました。
食後の腹ごなしに、出張中のヒロポンのバイクを2人がかりで移動することにします。
台風にあおられて倒れないように、風の影響を受けない場所に避難させたいのですが、とても大きく重いバイクで、動かすのが大変。
車通りの多い道を渡らなくてはなりませんが、全く機敏に動けません。
車に停まってもらって道を譲ってもらいながら、うんせうんせと動かして、なんとか移動させました。

● 嵐の前の外出

台風状況が気になりますが、雨はまだそんなにひどくないため、お城まで行ってみることにしました。
この辺りは菊陽町。だから菊のマンホール。



車道沿いに目立っているモヒカンラーメン。
店員全員がモヒカン頭という、なかなかすごいラーメン店です。
久留米が本店だそうですが、ここも震災後、モヒカン頭は二の次で、がんばって営業していたそうです。



バスに乗っていたら、万石(まんごく)というバス停がありました。
「十万石まんじゅう」のCMを思い出します。
"~風が吹いている。うまい、うますぎる。" というちょっと謎のナレーションの、あれです。

「肥後の国は五十四万石よ」とさっちゃんのツッコミが入りました。
おっと失礼。熊本銘菓にありますね。

● 崩れた石垣

まずは熊本城に向かいます。
石垣に面した熊本城稲荷神社の前で、立ち尽くしました。
入口の鳥居に「崩壊注意」の札が下がっています。
鳥居を見ると、ぐるりと一周してひびが入っており、早く修復をしないと時間の問題で倒れてしまいそうな危険を感じます。



意を決して中に入ると、去年訪れた時とは境内の雰囲気ががらりと違っていました。
あちこちに見られる、崩れた鳥居や石像。
ひどい状態です。直すゆとりもないのでしょう。
崩れていたりずれていたりする小さなほこらを見ると、切なくなります。



お城の石垣はあちこちが崩れており、カメラを向けるのもためらわれるほどです。



衝撃的な光景に、声も出ません。心がつぶれてしまいそう。
熊本城を心のよりどころにしている地元の人々のショックは計り知れなかったことでしょう。



城内で、石垣が並べられている場所があり、石の一つ一つに番号が振られていました。
修復作業が始まっています。



気の遠くなるような大変な作業ですが、一つ一つ丁寧に直していくのでしょう。



坂を上って場内に入ると、広場には人がたくさんいました。
中に入っても、櫓を支える石垣は崩壊しているところ多数。
思ったよりもひどい被害状態を前に、言葉を失います。



● ふなっしーのエール

遠くから甲高い声が聞こえてきました。
「もしや、ふなっしー?」
周りのみんなも「あれ、ふなっしーじゃない?」と口々に言っています。



この日は「元気ばい!熊本ご当地キャラフェス」で、九州近隣のゆるキャラがお城広場に大集合していました。
ふなっしーも参加して、自分の武道館ライブ(気になる)などで集めた義援金を持ってきてくれたそうです。
すばらしいわ、ふなっしー!

くまもんや熊本市長もいたようですが、城内は広く、私たちが会場の二の丸公園にたどり着いたときには、彼らはもうステージを降りていました。
ふなっしーの声しか聞けなかったわ!
マイクを通していたので、なにをしゃべっていたのかはわかりませんでしたが、いつものハイテンションで歌も歌っていました。



ゆるキャラたちが最後にステージ上に勢ぞろいしました。
ああ、もうふなっしーもくまもんもいなくなっていたのが、残念。
地元キャラが多いのか、知らない面々ばかり。でも、佐野市の「さのまる」がいました。

青い胴体にメロンの頭の、目立つキャラがいました。「きくち君」という菊池市のキャラ。名前は普通でした。
ちなみに菊池は市と郡があるそう。
菊陽町もあるし、この辺り一帯には菊の花がさぞたくさん咲いていたんでしょう。
「さなせなぼな」という「やななちゃん」みたいな3人組もいました。(マイナーすぎるかも)

● 熊本でねぶた

公園には特設のねぶた小屋がありました。
ねぶたは子供の頃、何度か見ていますが、久しぶりなので、心躍ります。
うーん、大きい!
この日と翌日に、青森復興ねぶたの練り歩きがある予定でしたが、明日は台風が直撃するとの予報のため、今日のみになったとのこと。



さっちゃんは、前に青森旅行をしたときに、駅前のワ・ラッセで展示ねぶたを見たとのこと。
でも熊本で、ねぶたを見た人は少なそう。ねぶたの周りには黒山の人だかりができており、まるで、ガリバーとリリパットのようでした。

ねぶたといったら勇壮な武者絵が売りですが、このねぶたは「に組」の纏と唐獅子牡丹の図。
火消しを見るのは初めて。珍しい構図だなと思います。
後ろ側に回ってみると、連獅子がいました。



見ているうちに、ねぶたを覆う巨大なテントの幌が、みるみるクレーンで取り除かれていきました。
そばにはハネトもいました。
そういえば子供の頃、この格好をして踊るのが憧れだったなあ。

● 加藤神社へ



私のリクエストで、まだ訪れたことのなかった加藤神社へ行ってみました。
お城が一番きれいに見えるというスポット(マスコットがいる場所)から見上げます。



勇壮な城郭ですが、あちこちに崩れてしまった石垣があり、胸塞がれる気持ちになります。
上が崩れ落ちないのが不思議なくらい、ギリギリ保っている箇所も。どこを向いても、被害甚大です。



ここに祀られている清正公にお祈り。
とにもかくにも(熊本城がこれ以上壊れませんように護ってください。)というのが、彼への一番緊急のお願いです。
ここでまた大地震が起きれば、さらに石垣は崩れ、その上に建つ櫓も倒壊してしまいかねません。
どうかそんなことにはなりませんように。



境内に「清正公を大河ドラマに!」の署名コーナーがあったので、名前を書いてきました。
真田幸村の時も上田城の真田神社で署名しましたし、清正公なら大河の主人公になっても、いいですよね。



巨大なお守りが売られていました。えっ、これなに?
ふつうサイズの20倍くらい。見るのも初めてです。
こわくて聞けませんでしたが、おいくらなんでしょうね?
バッグに下げても、お守りの方が圧倒的に目立ちそう。



● 陣太鼓ソフト

それから、おみやげ処・城彩館へ行きました。



お目当ては、ここ香梅庵の陣太鼓ソフト。
前回さっちゃんと来た時には、もう販売が終わっており、食べ損ねてしまったのです。
今回は、時間も大丈夫。

このソフトクリームは、熊本銘菓・陣太鼓をまるごと一個入れています。
ほら、包みを開けて、中身を取り出して、これをアイス機に混ぜるんですよ。
ぜいたくー!



とうとう手にしたこのソフトクリーム。
和洋折衷味で、コクがあって、おいしーい。
あんずの味がきいていました。



お店の外のベンチに腰かけて食べていたら、道の向こうから何かゆるキャラがやってきました。
水色で4色のカラフルな尻尾。
そばに来たらよく見ようと思っていたのに、横の小道を曲がって見えなくなってしまいました。



あれはなんだったろう?
調べてみたら、九州産交バスの産太くんという、タヌキのキャラクターでした。
さっきのキャラフェスに参加した後、こちらにも顔を出したようです。



黄昏が近づいてきて、ぼんぼりに明かりが灯った城彩館。
その2に続きます。



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