湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

2018年02月22日 | Weblog
デュ・プレ(Vc)バレンボイム指揮ロンドン交響楽団(SLS)1968/9/2ロイヤルアルバートホールlive

驚いた、これは良い買い物だった。バレンボイムとのエルガー、ドヴォルザークの組み合わせで、SLSなので音は悪い。だがとにかくこの二人の相性が当たり前だがピッタリで、オケとソリストの融合具合がまず素晴らしいし、現代的な「格調高い」客観性に、悠々としたテンポをとっているが、それはデュプレに朗々と歌わせるためであり、美しいボウイングや細かなヴィヴラートからは威厳に加え色気が醸し出される。これは例えばロストロ先生のような完璧主義からは出てこない音だ。じっさい一楽章終盤細かな音符がごちゃっと壊れたり三楽章前半高音が取れず音程が狂ったり、完成度を犠牲にしている部分もあるが、完成度などはそれ専門の人の演奏を聴けば良い。この人にしか出せない音、弾けない旋律、実直なようで自在な揺らぎ、それらはデュ・プレをデュ・プレたらしめる、唯一無二のものである。くれぐれも録音は悪いが、盛大な拍手からもこの二人と素晴らしい機能性を発揮したオケがかなりの感動をもたらしたことは想像にかたくない。SLSはなかなか当たりが無いが、これは買いだった。既出だったらすいません。
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☆ムソルグスキー:展覧会の絵(ラヴェル管弦楽編)

2018年02月22日 | ロシア・ソヴィエト
○ゴロワノフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(Arlecchino)1947・CD

派手だが筋肉質の演奏で頭初こそ乱れはみられるもののこの録音状態では気にならない。やはり放送エアチェックものとちゃんとした録音は時代が旧くても安定感が違う・・・なんてことも思いつつだが、ラヴェル編曲といいつつ自分でどんどん手を入れる世代というのはあって、ゴロワノフなども(ストコのように全部ではないが)ブラス増強パーカス追加なんてバンバンやってしまう感じではあるのだが、ニュートラルに譜面も思い浮かべずに聞くと全く違和感はない。チャイコ寄り(最後などはプロコ晩年的でもあるが)にいじったというか、曲によってはラヴェルのリリシズムをはっきり表現しつつも、きほん「バレエ音楽」として、つまりチャイコのバレエ音楽を意識したような響きの輪郭の明瞭でリズムを強く打ち出すような作りをしており、この曲が拡散的で苦手な私でもその音楽にゴロワノフなりの求心力が注ぎ込まれていることにより最後まで飽きずに聞きとおすことができた(じっさい短いのでは?)。そういえば「クラシックの奥のほそ道」にはまり込む前はよく聞いてたものだが、そのときの遠いイメージを思い出すと、確かに同曲に聞きなれた人には違和感があるかもしれないなーとは思う。だって最後なんて序曲1812年だし。○。三回くらい録れているはずだが手元にはこれとあと有名な最晩年の録音がある。それはまたいずれ。

※2007-03-01 09:35:49の記事です
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☆グラズノフ:組曲「中世より」

2018年02月22日 | グラズノフ
○ゴロワノフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(melodiya)1952/3・LP

冒頭から強引な発音のゴロワノフ節全開で拒否反応もやむなし。「これゴロワノフじゃない?」とレーベル面を見なくても言える人が世界中に19人はいると思う(ゴロワノフを知ってる人は20人くらいだろうが)。前期作品でもとくに有名な「海」冒頭を思わせる序奏からもう大荒れ三角波状態で、物凄いぶっぱなしかたにまるきり中世の雰囲気は無い(ショスタコに言わせるまでもなく)。そもそも中世ロシアに祖先のしるべを見出した民族主義的態度を煽る音楽を想定しているわけで西欧なんか意識してはいないが、壮大な叙事詩が4楽章構成で明確に性格別けされ展開されるさまはまるでしっかりした交響曲。曲感は前期交響詩群の極めて完成度の高い西欧のエッセンスを取り入れた一種印象派的な音楽で、ロシア国民楽派の行き着く先が結局折衷派とたいしてかわらないという印象もあたえる曲でもある。終始リムスキーなど(一部その弟子のレスピーギすら思わせる)聴き易いものなので、曲的にもおすすめ。おすすめな曲をゴロワノフにいじられるとくどい。○。面白い転調が繰り返される場面など完成期前のグラズノフならではの変幻自在ぶりだ。

※2006-12-01 20:51:08の記事です
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☆スヴィリードフ:悲愴オラトリオ

2018年02月22日 | ロシア・ソヴィエト
◎ヴェデルニコフ(b)イサコワ(msp)コンドラシン指揮モスクワ・フィル、ロシア室内合唱団(melodiya他)1975・CD

極めて美しい叙情的な歌で、ヴォーン・ウィリアムズやアメリカ・ネオロマンチシズムの作曲家を思わせる平易さとカッコよさのバランスのとれた素晴らしい作品に仕上がっている。また演奏がいい。録音も何度かの復刻の末かなりよくなっていて申し分ない。ディーリアスのオラトリオを思い浮かべる人も多いであろう。主題がレーニン賛歌であれどうであれ作曲技法的に目新しいものが見当たらなかろうが作品の美しさにはいささかの曇りにもならない。初曲の暗さでショスタコを思い浮かべたらぜんぜん違うことに驚かされるだろう。いい曲にいい演奏。◎にします。

※2005-03-19 19:48:50の記事です
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