湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)〜4つの抜粋

2018年02月18日 | Weblog
作曲家指揮NHK交響楽団(KING,NHK)1959/5/3日比谷公会堂LIVE・CD

これは完全初出となる。同CDはこれまでバラバラに出ていた来日公演記録音源をまとめたうえで初出音源を加え、公演プログラム再現(三回全て同じこの組み合わせ(うぐいすの歌、火の鳥組曲、花火、ペトルーシュカ抜粋)だったそう)としてまとめている。ペトルーシュカは簡素化された、面白いというより純音楽としての魅力を強調した新しい版に、現場に即してさらに手を加えているという。いきなり「手品師の芸」から始まるのもシニカルというか、「ロシアの踊り」「ペトルーシュカの部屋」「謝肉祭の日の夕方」と続くにつれペトルーシュカの「当初の」魅力が浮いてくるのだが、演奏も終曲前まで事故が目立つ。これが奏者の問題とも言えないのはライナーにもあるとおり、つい即興的なドライヴをかけてしまう、ポリシーと矛盾したストラヴィンスキーの棒のせいでもあるのだろうが、もともとスローなインテンポで楽器の重なり響きをより純粋に原意に沿った正しいものに整えていくうえで、和音の強調がリズムの強調となり、またN響そのものもドイツ的な重心の低さをまだ持っていたからだろう、色彩はロシアより明るいフランスふうのものをよく出してはいるが、それでも鈍重さを感じさせるところがある。偶然にその重さがストラヴィンスキーの指揮スタイルをより克明にさせているとも言える。音は良いので、管の事故の連発が目立ちまくっているのはいただけないが、黛敏郎、岩城宏之氏の参加したパーカスはいけており、弦楽器はよくつけており、面白いものには仕上がっていると思う。観客は冷静な拍手。クラフトの下振り、ゲネ本のみストラヴィンスキーといういつものやり方だそうで、譜読み段階では岩城宏之氏がやったとのこと。黛敏郎氏も岩城宏之氏もそしてクラフト氏すら、彼岸の人となってしまった。クラフト氏の回想録でストラヴィンスキーがこのとき日本の演芸に触れ専ら音要素だけ評価したようなことが書いてあったか。そのとき同行したのが、兼高かおる氏だったか。
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ストラヴィンスキー:幻想曲「花火」

2018年02月18日 | Weblog
作曲家指揮NHK交響楽団(KING,NHK)1959/5/3日比谷公会堂LIVE・CD

後半の映像が既出。これは全曲とあるが冒頭?拍手も入っていない。音は極めてよく、晩年ストラヴィンスキーの骨と皮…その骨は野太く皮は分厚い…の音楽をじつによく伝えてくれる。基本的に四角四面でやけに大作りで、緩慢なインテンポにオケが合わせていくのはとても窮屈というか大変そうだが、色彩感とリズムの重みは別種の熱気をはこぶ。ソヴィエト公演記録同様、下振りのクラフトの方が上手にストラヴィンスキーを再現できそうなものだが、これはやはりストラヴィンスキーの即興性(演奏会の度事前準備された現場改変含め)や奥底に眠る作曲時の情熱がそこに生まれてくるところが面白く、花火は短いので演奏上の軋みもすくないから、ストラヴィンスキーの演奏スタイルを知るには良い例だとおもう。
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