○パレナン四重奏団(EMI)CD
パレナンの演奏録音スタイルには二種類あり、完全に鋼鉄機械のように磨き抜かれた現代的な演奏スタイルをとるときと、情緒的な音色を駆使して旋律に重点を置く古風な演奏スタイルをとるときがある。必ずしも録音時期に左右されるものでもなく、曲によって使い分けている。ただ、後者であっても全体のフォルムを崩さず整った演奏に仕上げようという客観的な感性が通底しており、そこがまたフランス的な品のいい情緒をかもす場合が多い。そしてこのどうやっても感情的になりがちな悲しくも美しい曲にあっては後者のスタイルがとられている。この曲の今や古典的名録音となっているものだけにそこにとどまらず、2楽章アンダンテの印象的な第二主題にあってもスピードを維持し、盛り上がってもしかし安定感あるボウイングを維持して激しないことによって・・・けしてハーモニーに重点を置いた演奏ではないのだが(フォーレだから厚いハーモニーの自在な変幻ぶりを描き出すことは重要ではあるのだがそこは敢えてさほど重視しないふうでもある)・・・ついていけないほど突っ走ることも飽きてしまうほど冷たいこともない中庸のよさを示している。終楽章もさほど激しないため全体の強烈さはないが漂う香気にはフランス派得意のお国ものというメリットが生かされているように思う。個人的にかつてのヴィア・ノヴァのスタイルに近いものを感じた。○。
※2007/7/10の記事です
パレナンの演奏録音スタイルには二種類あり、完全に鋼鉄機械のように磨き抜かれた現代的な演奏スタイルをとるときと、情緒的な音色を駆使して旋律に重点を置く古風な演奏スタイルをとるときがある。必ずしも録音時期に左右されるものでもなく、曲によって使い分けている。ただ、後者であっても全体のフォルムを崩さず整った演奏に仕上げようという客観的な感性が通底しており、そこがまたフランス的な品のいい情緒をかもす場合が多い。そしてこのどうやっても感情的になりがちな悲しくも美しい曲にあっては後者のスタイルがとられている。この曲の今や古典的名録音となっているものだけにそこにとどまらず、2楽章アンダンテの印象的な第二主題にあってもスピードを維持し、盛り上がってもしかし安定感あるボウイングを維持して激しないことによって・・・けしてハーモニーに重点を置いた演奏ではないのだが(フォーレだから厚いハーモニーの自在な変幻ぶりを描き出すことは重要ではあるのだがそこは敢えてさほど重視しないふうでもある)・・・ついていけないほど突っ走ることも飽きてしまうほど冷たいこともない中庸のよさを示している。終楽章もさほど激しないため全体の強烈さはないが漂う香気にはフランス派得意のお国ものというメリットが生かされているように思う。個人的にかつてのヴィア・ノヴァのスタイルに近いものを感じた。○。
※2007/7/10の記事です