湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ドビュッシー:管弦楽のための映像〜Ⅲ.春のロンド

2017年06月20日 | Weblog
ツィピーヌ指揮ORTF(ina配信)1968/07/28放送 live

華やかでヒステリックですらある発音が楽曲の瑞々しさを際立たせて秀逸である。オケとの相性はすこぶるよい。ツィピーヌはこういういかにもフランス近現代の音楽の聴かせどころを押さえた演奏をする。初期的な楽想(歌曲の素材がつかわれているといわれる)ではあるが時期的にはイベリアなど他の曲と同じ最盛期のもので、なぜ小組曲ぽい無邪気さが響きの彩り方に出るかと言って、カプレにオーケストレーションを任せたとも言われている。確かにカプレの得意な管弦楽の響きのようにも聴こえる。映像第三集(管弦楽のための)の中では一番マイナーな三曲目ではあるものの、ツィピーヌの手にかかるととにかく楽しくもスマート。(ina.fr PHF07009293)
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オネゲル:交響曲第5番「三つのレ」

2017年06月20日 | Weblog
ツィピーヌ指揮ORTF(ina配信)1971/2/14放送

不可解な音源。ナレーションもなく、いきなり始まり、尻切れ気味(というかほとんどぶつ切り)に終わる。ライヴではなさそうで、音質は放送ノイズのわずかに入るレベルの普通の音場の狭いステレオ。つまり数年前の放送録音とは雲泥の差といってよい音源価値で、下手をすると同じものを別日に放送しただけかもしれない。音の良すぎるステレオを好まず慎ましくまとまった音響が好きならこちらを取ってもよかろうが、地味な印象は演奏の印象にまで波及する。これは悪い演奏とはいわない。しかし、どうせ聴くなら数年前の放送録音をどうぞ。とにかく尻切れは気に入らない。(ina.fr PHF07009568)
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オネゲル:交響曲第5番「三つのレ」

2017年06月20日 | Weblog
ツィピーヌ指揮ORTF(ina配信)1968/7/28放送

極めてクリアなステレオ録音。ライヴではない。ツィピーヌの統率力はまったくもって素晴らしい。勢いこそミュンシュに負けるが、音符を切り詰めてリズミカルに引き締めて、だが管弦楽の響きはかなりカラフルに盛大に、ロザンタールとの中間のような感じと言ったら伝わるだろうか。オネゲルの晦渋な面を映画音楽的に明るく開放的な音響と合奏の「強靭さ」によって覆い隠し、終楽章はすこし遅く客観的に整えた感もあるにはあるが、クライマックスへのわかりやすい持っていきかたは、ツィピーヌがマニア受けしたゆえんでもあろう。極端なものが好きな人はミュンシュへいくし、無難なものならもっと最近の録音へいくのだろうが、この演奏、とにかく録音がクリアで迫力があり完璧。素晴らしく突き抜けた音楽として楽しめるから、デジタル配信に抵抗がなければぜひ聴いてみてほしい。もちろん、オネゲル耐性がないなら無理は言わぬ。ツィピーヌにはモノラル録音もあったか。これはひょっとするとセッション録音として音盤化しているか、その目論見で録音されたものと思われる。別日の録音もina.frにはある。さて、謎めいたレ音でポツリ終わるところまでがオネゲルです。(ina.fr PHF07009291)
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ベルク:ヴァイオリン協奏曲

2017年06月20日 | Weblog
オドノポソフ(Vn)ギブソン指揮ORTF(ina配信)録音日不明

非常に落ち着いている。猛烈さや迫力はもはやなくボウイングも滑らかでないところがあるが、無為の中に思索的な雰囲気を漂わせ響きは厚いものの抽象的な美しさを志向している(とはいえしっかり十二音音楽として聴かせることはしておらずそこは独特)。ギブソンORTFは納得だがオドノポソフとしては意外なところもある。敢えてウィーン風にかかれたワルツも抽象度が高く、平板で力強さのないのが残念ではあるが、ドイツ的な重く堅苦しい響きにも、ロマンティックな情念の蟠りから開放されたかのような、音楽そのものの魅力のみ提示していく、時に教会音楽(パイプオルガン)のような響きの中に断片的な感傷を投げていく。時代的にもまだまだ主観的演奏の範疇であるとは思うが、ベルクの同曲を客観視して聴ける点で面白いバランスをもっており、オドノポソフとギブソンのイギリス音楽的なセッションというような、浮遊感ある柔らかい世界に魅了された。ロマンティックはロマンティックだが、雰囲気音楽的なロマンだ。ステレオでおおむね良好な録音。ブラヴォなしの拍手のみ、温かい雰囲気。
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☆ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲

2017年06月20日 | Weblog
○クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(EMI)1962/3,5・CD

フィルハーモニアの精妙なひびきが楽しめる。1楽章、3楽章のリズムの饗宴がクレンペラーにしては明瞭で前進性が有り耳を惹くが、2楽章の木管、ハープの幻想的なひびきがすばらしい。ドビュッシーを思い起こす、もしくは初期ストラヴィンスキーを。音響操作のすばらしさは特筆しておくべきだろう。クレンペラーの響きの感覚は確かだ。重みの有る音響も重ったるくはならず迫力がある。クレンペラーのストラヴィンスキーにはあまりいい印象はなかったが、水準以上のものにはなっている。機会があればお試しあれ。○ひとつ。

※2004年以前の記事です
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バラキレフ:交響詩「タマーラ」

2017年06月20日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信)1958/11/20シャンゼリゼlive 放送

ディアギレフがバレエに取り上げたことからこの日のフランス・プログラムのメインとして演奏されたもの。20分以上の大作である。カフカスの民謡採取からオリエンタリズムの香り高い音楽に至る、五人組の宗主として代表作のひとつとなりリムスキーらへの影響を与えたとされている。一夜の物語として緩急緩の構成をもち、そのあたりも五人組とその側に位置したリストとは、書法上のこともふくめ近いところにあり、グラズノフに隔世的に受け継がれた西欧折衷派的ながっちりした構成感、洗練された(手堅い)管弦楽法は、東洋的あるいは民族的主題の導入の影にかくれて見えづらいが、グリンカから後代の橋渡しともなったと思われる。そういう曲にアンゲルブレシュトは適性を示す。派手にシンバルを打ち鳴らしドカンドカンとやる一方で木管、弦の波打つ音形をしめやかに雰囲気作りとして流し、どぎつい音色を避け技巧的瑕疵を生じさせることなく美観を保つ。一本調子なところはあり、楽想的にコントラストを強くつけてシェヘラザード的な旋律は際立って艶かしく聴かせるとか、構造的なところはドイツ的に重く聴かせるのではなく、全体としてひたすら変化しない派手な音楽に仕立てているから、フランスの演奏だなあ、クーチカの音楽の肝心な魅力は損なわれてると思うところもある。アンゲルブレシュトはロシア音楽も得意としていたがプログラムとしてはめずらしい。リムスキーというよりは、むしろボロディンのイーゴリ公的な音楽になっている。モノラル良録音。(ina.fr PHD89036093)
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ドビュッシー:スコットランド行進曲(管弦楽編)

2017年06月20日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信)1958/11/20シャンゼリゼlive 放送

とにかく元気な演奏。ドビュッシーの前期作品なので筋肉質に、ドガシャーンとやって良いのだ。アンゲルブレシュトは曲の意図にしたがい、行進曲らしい行進曲ではないのだが、民謡主題による管弦楽曲としてよく盛り立てて、正攻法にくみたてている。モノラル良録音。(ina.fr PHD89036093)
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