湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ブリテン:連作歌曲集「イリュミナシオン」

2017年03月26日 | イギリス
○ダンコ(Sp)アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(CASCAVELLE)CD

ブリテンの代表作のひとつで女声向けに編まれたものだがよく男声でも歌われる。ランボーの詩文に拠り、(ブリテンにその影響が無いわけではないが)象徴主義の香りを好んだフランスの作曲家たちの作品に似た軽い響きに飄としたシニシズムを前面に押し出した曲と思いきや、重く中欧的で、ショスタコに近い。メロディのわかりやすさや職人的な無難な構造を除けば、意味内容的なところも含めて共通点を強く感じる。もっと壮大でロマンティックでマーラー的でもあるが、それらはむしろイギリス伝統の大規模歌唱曲にみられる要素を背景としたものであろう。シニカルなことは確かだがそれも自国ウォルトンよりショスタコに似ている。「出発」はマーラーの「告別」に似た余韻を残すが、あのような幻想的な希望ではなく暗黒の闇である。悲愴に端をはっした手法と思われる心臓の鼓動による終局は、横溢する英国人らしいシニカルな側面がもっと汎世界的なものへ昇華されたような、そして時代の不安を映したと言って恐らく正解であろうもやもやした感情を沸き立たせる。アンセルメはモノラル時代においてはわりと精力的な指揮を行い、これも積極的にアンサンブルを盛り立てて歌唱と拮抗させている。ドイツ的な力強さがあり、またオネゲルの楽曲のようにこの構造をとらえ、表現しているのだなとも思わせた。スイス・ロマンドならではという感じは余り無いが上手い。何とダンコが歌っているのだが、少し余裕があり過ぎ、表層的で単調。但しここは即物的な意味合いの強い詩文として、即物的に歌っているだけなのかもしれない。○。

Britten: Les Illuminations Op.18, War Requiem Op.66; Berg: Sieben fruhe Lieder / Ernest Ansermet, SRO, Suisse Romande Radio Chorus, etc
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

2017年03月26日 | Weblog
ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA)1962live

いささか乱暴な録音だが(全曲からの切り出し?)まとまっていてミュンシュのものとしては聴きやすい。外しがなく、不格好なデフォルメもない。なかなか聴き応えがある。ラスト近くできついノイズが入るのは痛いが、物凄いスピードにもものともせずやりきったオケにブラヴォが飛ぶ。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする