湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ブルックナー:交響曲第7番~リハーサル風景

2008年06月18日 | ドイツ・オーストリア
○クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1949/4live

1楽章終盤にアナウンスが重なり、メインは30分近くに及ぶ2楽章のほぼ通しリハ。ボストン弦楽セクションの重厚な響きを背景に濃いいロマンチシズムの盛り込まれたクーセヴィツキーらしい演奏で、単体で聴けばワグナーの緩徐楽曲のように聴ける。ルバートな伸縮もすれば音量変化もあざとい(表現主義者のデジタル変化ではなく、弦楽器奏者らしいうねるようになめらかな変化)。力強く速いテンポで音楽は歌われていく。だがこれはブルックナーなのである。このノリが全曲だと疑問に思うかもしれない。クーセヴィツキーの指示は殆どダイナミクス変化にかんするものしかない。ただ音量についていちいち感情的に叫ぶ。あとは歌う・・・ひたすら「旋律だけ」を。たまに表情記号にも言及するが、ロシア訛りの調子で実にボキャブラリーが少ない(陰で揶揄されるわけだ)。怖い頑固爺さんといったふうである。オケは大人の態度でただ鋭敏に従うだけ。異様に指示を理解するのが早く、指示する前に既に準備しているようですらある。そんじょそこらのオケではないので、予めボスの言うようなことはわかるのだろう。リハとはいえ表現に手抜かりはない。クレンペラーが晩年振らなくてもオケが弾いてる状態に至ったのと同じ、これは裸の王様とは違うカリスマ性であり、高度な芸術の世界での老年の奇跡である、としておこうか。

後代の指揮者に引き継がれるこのオケの実力はしかし(政治的なもの含め)全てクーセヴィツキーが培ったものとも言えるから、無骨な指導ぶりもやはりカリスマ性だけでなく、何かの技があってのもの。これは単なる本番前の断章にすぎないかもしれない。まあ、嫌われそうな人だなとも思った。ミュンシュと似てるんだけど、違うんだよなあ。わりと単曲としては感動的なので○。

クーセヴィツキーのブルックナー8番

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ブルックナー:交響曲第8番

2008年06月18日 | ドイツ・オーストリア
○クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1945/4/7live

正直私は好きではない。感情に任せてうねり通したようなブルックナーでカットも多く、特有の均整感が失われている。こじんまりとしてあっさり、中期ロマン派の半端な交響曲のようだ。ただ、ロマンティックな流れは聴きにくいものではなく、オケは非常に充実しているからブルックナーを知らない向きは素直に聴けるかもしれない。じじつ余り慣れていないと思われるボストンの市民は大喝采である。クーセヴィツキーにはもう一枚ライヴ非正規盤があるがほぼ同様。録音状態は悪いが聴けないことはない。DAはだいぶ音質向上して聞きやすくなっている気がする。無印にしたいが聴きやすさを買って○。何と戦争末期の演奏だ。

1947/12/30live・ASdisc盤はこちらのブルックナーのページに記載

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マルティヌー:交響曲第5番

2008年06月18日 | 北欧・東欧

○アンセルメ指揮NBC交響楽団(DA:CD-R)1948/1/24初演live


ルーセル風のエキゾチシズムから派手な新ロマン主義音楽に終わる折衷的作品で、やや把握しづらいところがあるが、20世紀交響曲が好きな向きは楽しめるだろう。アンセルメは最初こそ繊細で綺麗な響きをかなでさせるもののバレエ音楽的というより完全に民族主義的な感興にシフトしていく。ロシア国民楽派を得意としたこの指揮者がライヴで、しかも機能的なオケを使うとどういう演奏ができたのか、終盤のもはやフランス的ではないリズム楽器の強調ぶりに高音楽器の派手な鳴らし方、オケドライヴの流麗さ、煽りに煽るような表現で理解するといい。こんな演奏でなければ冗長で飽きる曲だ。NBCオケはボストンのような西欧風オケに比べ音のキレがよく響きが重くも軽すぎもしないのでアンセルメの性向にもあっている気がする。この人がアメリカ演奏旅行といわずじっくりオケを持って演奏していれば、スイス・ロマンドの印象とは違ったものを残せただろうに。○。録音は時代柄まあまあ。


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(マルティヌーは鬼門なのでwiki参照)
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カバレフスキー:交響曲第2番

2008年06月18日 | カバレフスキー

○クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1946/3/9live


快演で、この若干脇の甘い曲を引き締まったオケによりきびきびと演じている。トスカニーニが比較的よくやった曲だが、なにせオケが違う。ボストンは寄せ集めNBCオケなどと違う。合奏のボリューム、大きなデュナーミク、響きの底深さ、2楽章など曲が緩いのでどうしても弛緩して聴こえてしまうものの、両端楽章の迫力は十分に買える。身の詰まった演奏。冒頭テープヒスが痛ましいなど悪録音だが、○。



カバレフスキーについて>

ソヴィエト社会主義レアリズムの象徴。体制迎合的な作曲家の中でも最も才能に恵まれ、作風は必ずしも伝統的民族主義には留まらないモダニズムの後波も残しているものの、極めて平易な管弦楽曲の数々で世界中の子供の運動会に貢献した。大規模な歌劇や歌曲でも名声を博し「レクイエム」の自作自演録音は有名。ミャスコフスキーの弟子であることは知られているがゴリデンヴァイゼルの弟子でもあり、ピアノ協奏曲は技巧的バランスにすぐれ今も演奏される。

カバレフスキーといえば運動会の定番、道化師のギャロップ。コンドラシンの名盤で。
道化師~ロシア管弦楽名演集
コンドラシン(キリル)
BMG JAPAN

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コラ・ブルニョン序曲。敢えてトスカニーニ盤。
Arturo Toscanini Collection, Volume 51: Overtures

RCA

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トスカニーニのカバ2>
1942/11/18LIVE
協会盤(1942LIVE)
1945/3/25LIVE

その他指揮者のカバ2>
ラフミロビッチ
Glinka: Russlan and Ludmilla; Gliere: Symphony No3

EMI

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ヤルヴィ(ピアノ協奏曲も聞きモノ)
Kabalevsky: Piano Concerto Nos. 1 & 4; Symphony No. 2

Chandos

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チェクナヴォリアン
Kabalevsky: Symphony No2; Symphony No1

ASV

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その他カバレフスキーについてはこちらにも

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