湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

オルウィン:交響曲第1番

2008年06月04日 | イギリス
○作曲家指揮ロンドン・フィル(lyrita)CD

非常に美しい音楽を描く人。イギリス20世紀に咲いた密やかな花。シベリウスやウォルトンなどを彷彿とさせるこの曲において、オルウィンは映画音楽的な耳馴染みが良い音楽を展開している。ロマンティックな性向は保守的なイギリスらしい。管弦楽の扱いが手慣れたもので、個性は薄いが技術的には高度だ。勇壮でオケがよく鳴る曲だけれども、旋律は決して明瞭でなく、ただ響きの美しさに浸るのがよい。この演奏はロンドン・フィルの好演が光る。オルウィンの指揮も慣れたもの。同曲はバルビローリに献呈・初演された。1949年作品と遅まきのシンフォニー。 (1993記)

LP時代のLYRITAに全集録音を残しているが、CDでは長らく廃盤となっていた。しかし最近復刻されている。これは1,4の組み合わせ。
Alwyn conducts Alwyn

Lyrita

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オルウィン(アルウィン)交響曲第3番他まとめ

自作自演はまだまだ復刻されている。
Alwyn: Symphonies 2, 3 & 5

Lyrita

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Alwyn Conducts Alwyn

Lyrita

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Concerto Grosso 2
Alwyn,Lpo
Lyrita

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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」1947年版

2008年06月04日 | ストラヴィンスキー

○ロヴィツキ指揮ワルシャワ・フィル(lys他)1960-67・CD

美しいのだがどこか生硬で、客観的に整えたような感じが否めない。とくに前半だ(切り貼り録音のようだが)。復刻状態にもよるのだろうが冒頭からしばらく音量的に平板でどのパートもただ自分の役割を硬く守っているだけのような感じがし、この指揮者らしくない。技術的な理由がありそうだ。曲半ばにはソロ楽器を中心としてだんだんそれらしさが加わり、繊細な響きが明確に再現される。シマノフスキ的な高精細の怜悧さが美しい。だが、やはりどうも、盛り上がりどころで節度を守りすぎている。テンポは前に向かわずドイツ的な縦を守る表現に終始する。もちろんこのリズムの作曲家にはそのやり方は正しいのかもしれないけれど、もっと弾けるような野卑た躍動感がほしかった。綺麗なんだけど、爆発的なところとか、感情を揺り動かすまでに心にリーチする迫力がない。強音の出だしのアタックでことごとくアクセントが弱く、上品すぎるかな。ソロピアノのリズム処理は少しずらしライヴ性を持ち込んで、他にも音量的に他を凌駕するバランスでかっこよく、例外的によかった。もともと協奏曲的に扱われるピアノが引き立った演奏は締まっていい。最後は一応盛り上がるが、どうも前へ向かわないのは一緒。楽想変化の描き分けもイマイチだが、響きは美しいので○にはしておく。



<ペトルーシュカについて>
このグロテスクだが美しいポリトナリティに貫かれた三大バレエの真ん中の曲、ストラヴィンスキーの曲中でもひときわ自身による編曲や演奏者による変更が加えられたものとして知られややこしい。サマリーはwikiでわかるが、主として4管の初演期の1911年版(厳密には初演版とも違うらしい)と一般的な派手で新古典的な3管の1947年版がある。特に同時代の指揮者による細かい変更は知られており、初演者モントゥやアンセルメなどそれぞれの見識で組み合わせや部分的に「版」(恐らく改変ではなく作曲家も絡んだ演奏上のものである可能性が高いので版としておく)を変えている。またひとつの方法だけを堅持したわけでもなくオケの編成上の問題やバレエ伴奏上の事情などでそのつど変えたり録音でだけ変えたりということもしばしばあった。これは現在も同様である。組曲版でも曲順曲選にかなりの変更が加わっている。この演奏は組曲とされている場合があるが全曲だったのでそう書いておく。
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
モントゥー(ピエール)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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これはハルサイも入った初録音スタジオ盤。ストラヴィンスキーも言っているとおり初演をまかされたとはいえ不器用さの指摘されるモントゥだが、要求されるままつとに演奏してきたために現在ライヴ録音が非常に多く出回っている。しかし考証的興味から仔細を比べる楽しみはあるとはいえ演奏的にはおのおのにそれほど強く個性を訴えるたぐいのものはなく、ひとつの録音で楽しめば十分である。ニジンスキー主演のパリ初演を思い浮かべながら聞きましょう。この時代の人の作品はやはり、いい録音でどうぞ。
フランク:交響曲二短調
モントゥー(ピエール)
BMG JAPAN

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オルウィン:交響曲第3番

2008年06月04日 | イギリス

○ビーチャム指揮BBC交響楽団(DA:CD-R/SOMM)1956/10/10ロンドン・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール初演live・CD

シャープでダイナミック、しかし中欧伝統の管弦楽のしっかりした土台を踏まえたうえでネオ・ロマンチシズム的な平易さを打ち出すオルウィンの代表作のひとつ。映画音楽家らしい一般へのアピール力のある曲で、管弦楽効果も素晴らしく、構成的にも無駄がない(ウォルトンの1番に似るが凝縮度では真逆)。焦燥感に満ちた雰囲気が終始維持されるが、ルーセルやホルストのようなわかりやすい音楽でカタルシスもきちんと与えてくれる。1、3楽章は中欧的なダイナミズム(音響的にはホルストに近い)、静謐な2楽章はフランス的な繊細さが特に目立ち、また終幕近くの静謐さなどRVWを思わせる思索性がある(書法的にRVWを思わせる部分は他にもあるが表現が違うので気が付かない)。最後はいきなりジャンジャンでややあっさりしすぎているが。オルウィンは終幕に向かい凪ぐ曲を書くのも特徴である。前衛手法をさりげなく取り入れるのが持ち味だが、ここではインド音楽が導入されている。

この演奏はビーチャムの手際よさがひときわで、求心力のある凝縮された表現が、派手な音響によって拡散的になりかねない音楽をしっかり取りまとめ、また中欧やイタリアの指揮者には無いまさにイギリス的な柔らかな叙情をフランス的な理知的な譜面に加えて充実した聴感を与えてくれる。ビーチャムでなければこんな曲感にはならなかったかもしれない。DAは雑音まみれ。荒いがゆえにダイナミズムのみはしっかり聞き取れる。○。SOMMは2008年4月発売。

SOMM-BEECHAM 23 The Beecham Collection

Beecham in Concert
Mozart,Grieg,BBC So,Rpo,Beecham
Somm

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オルウィンの交響曲>オルウィンは音楽にとどまらない多芸多才の人で、作曲家としても未だに非常に人気があるが(秘曲好きは皆知っている)、「邪魔者は殺せ」など映画音楽を多く手がけたのち戦後本格的に純クラシック音楽を作曲し始め、前衛的手法も意欲的に取り入れているが殆ど気にならない。腕であろう。同時代の前衛過ぎない作曲家から多くインスパイアされており、マーラーやプロコなどなど20世紀のそのての音楽が好きな向きは「元ネタ」探しも興の一つ。バルビローリと親交が篤く交響曲は殆ど初演を任せているが、3番のみ急病の代役でビーチャムに任された。現在バルビローリ協会が(レーベルとしてもう機能して無いようだが)DUTTONから数年前に出したCDに収録された1,2番やオルウィン自身の出自を物語るフルート曲(ルーセルのフルーティストたちを英国初演したのはLSO主席時代のオルウィンである)をまずは聴くべきだろうか。LYRITAには自作自演も残されている。一時期レーベルとして消えかかったが、CD-R時代をへて最近何とかCD再発を始めている。
Alwyn: Symphonies 2, 3 & 5

Lyrita

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5番はバルビの死後発表されたものだが、これも人気があるようだ。副題もUrn Burial or Hydriotaphiaというマニアックな「葬送」に関する考察書から。いかにもイギリスのシニシズムだが、音楽はダイナミック。
William Alwyn: Symphonies Nos. 1 & 2

Dutton

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交響曲集成ではこれ。シンフォニエッタも有名。
Alwyn: Complete Symphonies; Sinfonietta for Strings

Chandos

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