国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ズビグニュー=ブレジンスキーに続いてキッシンジャー元国務長官もイスラエル切り捨て容認か?

2006年08月03日 | イスラエル・ユダヤ・国際金融資本
●リーベン政局オチ - 陳胡痒のWorld view - 楽天広場ブログ(Blog) 7月31日

▼キッシンジャーの提言 その1@ワシントン・ポスト(今日の覚書)
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/26cc50473fa9167e382763d04eaed37b
▼キッシンジャーの提言 その2@ワシントン・ポスト(今日の覚書)
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/9c611b289092c424ff619077669df5ac


国際情勢オチをしている奴は読んでおけ。
だらだらだらと続くキッシンジャー節を一行に纏めると、博士は自身が関与した米中国交回復を例に出して、イランと交渉にあたれと言っている。へぇー。
どういうことかと言えば、ニクソン政権の時、合衆国はベトナム戦争の泥沼化で国力を消耗し、自信を喪失していたため、ソ中を一緒に相手にする自信を完全に喪失してしまっていた。ニクソン・キッシンジャーは共産陣営を分裂させ、主敵であるソビエト連邦を封じ込めるため、台湾との断交を視野にソ連との関係が微妙なものとなりつつあった中共と国交を樹立したのである。結果としてこれは戦略的な成功を納め、ソビエトを大慌てさせることになった。
博士はこれをイランとの関係で応用するべきだと言っているわけだが、さて、アメリカにとっての目下最大の敵は中共でその次ぐらいがロシアであるが、イランと国交を回復するにあたってイランにとってインセンティヴになり、かつアメリカがかつての台湾のようなスケープゴードにする国はどこかなー、と考えてみると、今やフセイン大統領は存在しない以上、それはやはりイスラエル、ということになる。
どういうことかといえば、キッシンジャー博士は明白な言葉で語っていないが、対テロ戦争の泥沼で国力を喪失し、自信をなくしているアメリカ合衆国は、ニクソン政権に倣って、イスラエルを犠牲にする(別に断交しろ、というのではなく、アメリカが責任をもってイスラエルの核を取り上げることを保証する)ことを提言しているわけである。このボケ老人が。寝言は寝てから言え。
まー、食えない博士の提案だからねぇ。どういう「筋」の意向だろうか?これは。

▼No.386 「関心を持たれ始めた新中東地図」2006年07月30日(東京財団)
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20060731_1.shtml

おいおい燃料投下するなよ。トルコではただでさえアメリカのイスラエルとトルコに対するWスタンダードへの怒りが沸騰しつつあるのに。イスラエルがヒズボラを攻撃するのはOkで、武器弾薬もアメリカが供与するのに、イラクから越境してきてトルコでテロしているクルド人武装勢力をトルコが攻撃するのはダメだと。トルコの件はやばいよ。トルコはイスラム諸国では極めて珍しい世俗民主主義国家で、その存在自体が奇跡のような国だが、クルド人に対する怒りはクルド人以外のトルコ国民の大部分と世俗主義の守護者たる軍部の共感を得るものであり、レバノンに対するイスラエルの攻撃はトルコ国内にイスラム原理主義の勢力を助長することにもなる。そこに新中東地図などというものをアメリカの一部が勝手に?作って国境線の引きなおしをしていたことが明らかになった・・・ならどうなるか?
http://plaza.rakuten.co.jp/chinkokaiworld/diary/20060731/



【私のコメント】
 ユダヤ金融資本の世界戦略の最高クラスの参謀の一人であると思われるキッシンジャー元国務長官が、7月31日付けのワシントンポスト紙で対イラン交渉について提言している。「陳胡痒」氏の言うとおり、長い割に中身のない文章である。

 そもそも、イランが現在行っているウラン濃縮で核爆弾を作るのは非常に時間とコストがかかり、あまり合理的でない。核爆弾製造には、原子炉でウランを反応させて作ったプルトニウムを利用するのがより容易であろう。このことから考えても、イランは現時点では原子力発電が目的であり、核爆弾を作る能力を持つのはプルトニウムが貯まる数年先ではないかと思われる。しかし、世界のマスコミではこの視点からの報道がほとんど欠如し、今すぐにでもイランが核武装しそうなニュースが溢れているのは変だ。イランと米ロ中英仏独の間の交渉では、表向きは核問題が話し合われているが、実際には別の問題(イスラエル問題など)が話し合われているのではないかと思う。

 キッシンジャーの文章で注目すべき点は、「ウラン濃縮活動停止が、このプロセスの終着点であるべきではない。次の段階は、ロシアからイランに提案されたような、国際的管理の下で、世界中の指定研究所においてウラン濃縮が実施される、という世界的なシステムを確立する事でなければならない。これはイランに対する差別的な含みを緩和し、原子力分野への各新参者にとって、危機のない原子力開発のひな型を確立するだろう。」という部分である。中東諸国を除くと、イランが将来核武装した場合に最も脅威を受ける国は、ミサイルの射程から考えて第一がロシア、次が欧州諸国であると思われる。そのロシアがイランに提案している案であれば、恐らく欧州諸国も安心できるのではないかと考えられ、破綻しかけた核拡散防止体制の移行先の一つのモデルとなるであろう。そして、そのウラン濃縮計画に関する提案が米国でも欧州でもなくロシアから提案されているのが重要である。私が繰り返し予測している、ロシアを中心とする非ユダヤ世界覇権システムが徐々に姿を現し始めている様に思われる。

 さて、「陳胡痒」氏は「キッシンジャーはイスラエルを犠牲にする」という説を主張しているが私もこれに同意する。米国が泥沼のベトナム戦争から逃れる為に中国との関係改善を必要とし、その為に中国の要求を聞き入れて台湾と断行したことをイランに当てはめてみよう。泥沼のイラク戦争から逃れるために米国はイランとの関係改善を必要としており、その為にはイランの要求を聞き入れる必要がある。イランは「原子力発電の自由」と「パレスチナ問題の解決」を要求し、「ホロコーストは捏造」「ユダヤ人迫害の責任をとってユダヤ人国家の領土を用意すべきなのはイスラム諸国ではなく欧米諸国」と主張している。キッシンジャーは原子力発電についてはロシア提案に賛成しており、この線で決着させて問題ないと思われる。イランがこれだけ声高にイスラエル・パレスチナ問題を世界に叫んでいる以上、何らかの形でイランの主張を聞き入れて解決するしかないと考えられる。それはイスラエルの安全保障に決定的な打撃を与え、永年危機的状態にあるイスラエルを結果的に滅亡に導くことになると予測される。

 米国外交雑誌のフォーリンポリシーの7/8月号ではキッシンジャーに次ぐ米国国際戦略の重鎮であるズビグニュー=ブレジンスキーがイスラエルロビー批判に賛成して、米国のイスラエルへの膨大な援助を問題視している。また、7月18日にはユダヤ系と思われる名前の論説委員がワシントンポスト紙にイスラエルの存在自体を否定する論説を書いている。キッシンジャーが暗殺未遂にあった、米国がイスラエルと秘密戦争を行っている等の未確認情報もある。これらの状況証拠から考えて、米英のユダヤ金融資本はどうやらイスラエル切り捨てに本格的に乗り出したと見て良いのではないだろうか?

 そう考えると、「新中東地図」も、中東地域の人々のイスラエルへの敵意を高める目的で流されている様に思われる。イスラエルがガザとレバノンの二正面作戦を開始し、レバノンで敵地深く進入して長期戦を戦うという自滅的な戦争に突入したのも、ユダヤ金融資本の命令でイスラエルを破滅させることになったからではないかと思われる。


【関連情報】
元米国国家安全保障補佐官のズビグニュー=ブレジンスキーがイスラエルロビーを批判!
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/b2daa17ef4c33437774ff75097881953

米国の代表的なマスコミがイスラエルの存在そのものを否定、イスラエルの切り捨てが決定か?
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/8bdb0db52f663de8ef60bb599a48f9c6

米軍特殊部隊がイスラエルのディモナにある核兵器施設を占領?
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/93a58d9f4ea4a0ace9bcef2e8bf974bf

イスラエルのモサドがキッシンジャー元国務長官を暗殺未遂?
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/b73270201b3726e0c8a0d69aefb126b7

5/26米国議会周辺での銃撃戦は米仏同盟vs英・イスラエル・ブッシュ連合の戦い(未確認情報)
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/b3b9437b04ee542f0d871a01c218afbc

イスラエルはユダヤ金融資本のトカゲの尻尾として切り捨てられのたうち回っている?
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/cf673516da2aa510ec9b921c3a56be8b

パレスチナ紛争と日韓・日朝戦争の同時進行:イスラエルと韓国の滅亡はユダヤ人の世界支配終焉の生贄
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/64358dcfc9db6db4eda4eaffac15b950

第二次大戦後体制の終わりと見せしめの生贄になるイスラエル・韓国
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/fae360a5293cce736a9089a786d95d2a

「バルセロナから愛をこめて」さん投稿のユダヤ関連論文リンク集
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/2e078d6a012a68406c14893bcf01f645

イスラエルロビー批判論文
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/c/1b69900c82ac358bba454e40e83ce46d
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1 コメント

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勉強になりました (Reffi)
2006-08-04 11:23:20
はじめまして



キッシンジャーの提言についての解説、非常に勉強になりました。



目からウロコといいますか、理解の及ばない領域も多くて情報の処理が追いついていませんが、理解してみようと思います。



更新がんばってください。
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