※ オランダ ‐ アムステルダム/ライクスミュージアム編(13)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(21)
訪ねた当時、美術館自身が史上最大と称する改装工事の真っ只中、オランダが誇る17世紀の最高傑作マスターピースは、本館に併設されたフィリップス棟で展示されていた。
と、いうことでライクスミュージアム編、オランダ絵画黄金期を築いたレンブラント・ファン・レイン(1606-1669)とヨハネス・フェルメール(1632-1675)のみを採り上げた。
世界三大集団肖像画のひとつともされているレンブラントの「夜警」(1642年/363×437cm)が、小編最後の作品。
ちなみに「夜警」という題は、後に呼ばれ始めたもので、白昼の情景を構想したフランス・バニング・コック隊長率いる市警団中隊を描いた集団肖像画として、アムステルダムの市警団集会所の壁を飾ったという。
描かれたのは、彼自身の黄金時代(1632‐42年)とされる最終年のこと。
本作への賞賛、多くの弟子、増える一方の注文という充実した日々の中で、愛息ティトウスを出産した後、床についていたサスキアの帰天という彼にとって最大の喪失が襲い、いわば、栄光からの転落の序章となる年でもあった。
ところで彼、登場人物を平等に描くという既成概念に捉われず、物語性の高い集団肖像画を描き、17世紀オランダでもてはやされたこの分野に、決定的なモニュメントを確立したとされている。
とは言え依頼者の多くは、顔が腕と重なっている等の不満を漏らしたとされ、それは当然とも言えることだっただろう。
面白いのは画家への報酬1600グルデンの支払い、16人のモデルそれぞれの目立ち具合に応じて分担したらしいが、額を決める場を想像するだに笑いがこみあげてくる。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1518