ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ルソーとピカソ ‐ ナショナル・ギャラリー(39)

2014年09月18日 |  ∟イギリスの美術館

 ひとりの無名の軍楽隊員がパリ市税関局の門番を退職する。
 その男、曲を作り楽器を演奏、詩と戯曲を書くなど今風に言えばマルチ・タレント、取り分け絵を描くことに真剣だったという。

 その男とは、印象派時代に活躍した素朴派を代表するフランス人画家アンリ・ルソー(1844-1910)。
 ちなみに、後年、語られる税関吏のポストには就いたことがないともされる。

 そのルソーの、「虎のいる熱帯の嵐(驚いた!)」が今回の絵。

 A彼の描く外国の風景は、当時の大衆的な版画から模写されたものらしく、この密林をモチーフにする作品は20点も描いているとか。
 その第一作とされている本作、公的なサロンに対抗して毎年開催された無審査のアンデパンダン展に、「驚いた!」の題で出品された。

 彼は後に、“ 探検家を追っている虎を描いた ” と説明したが、もともとは “ 虎の頭上で嵐が突然起こり驚いた ” という風に考えていたとか。

 ストライプが全体を支配、雨は白と灰色の透明な絵具を細やかに塗ることで表し、緑と黄褐色で表した草叢の背後と虎の口の緋色がアクセントを付ける。

 夢想的な密林の情景を想像力溢れる力で表現、幾筋かの長く光る稲妻が空を裂き、雷鳴が聞こえるようだ。

 ルソー、アマチュア然とした彼の絵は大方の人に嘲笑されたが、ごく僅な者からは熱狂的に支持された。
 なかでもピカソ(1881-1973/スペイン/キュビズム)は、敬意を表してアトリエで晩餐会を開いたという。

 その彼のこと、カタリナ が、<ルソーの秘密>(12/08/17 )で投稿しているのでご参考に。(この稿、続く)
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.866

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(38)へは(コチラ)から入れます。

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