近代絵画の父と呼ばれ20世紀絵画の扉を開いたポール・セザンヌ(1839-1906/フランス/後期印象派)。
教科書で習った彼のイメージは、静物や生まれ故郷プロヴァンスの風景を描いた規律的で理性的な画家ではないだろうか?
ところが、このような見方ほど真実から遠いものはなく、若い頃の作品は力強く激情的で、彼が憧れたドラクロワ(1798-1863/フランス/ロマン主義)にも引けを取らないほど暴力的で官能的な主題を扱ったという。
セザンヌの父親は裕福な銀行家で、彼の芸術への傾倒振りに猛烈に反対していたとされる。
そのため、法律家になる勉強の傍ら地元のアカデミーでデッサンを学んでいた彼は、少年時代からの友人エミール・ゾラ(1840-1902/フランス/自然主義文学)を追ってパリに出る。
彼は通っていた美術館でピサロ(1830-1903/フランス/印象派)と出会い、戸外で描くことを勧められる。
その彼の作品は、「女性大水浴図‐水浴の女たち」。
彼は人物デッサンにおいて、ある種の不器用さから生涯抜け出せなかったらしい。
だが、ほぼ10年の間に “ 水浴する人々 ” をモチーフに3点描き(本作/フィラデルフィア美術館及びバーンズ・コレクション蔵)、若い頃の野心、恐らくは思い出までも円熟した経験と統合することに成功したという。
本作は、特定の物語を表現したものではなく、想像で描かれたらしい。
南仏の豊かな陽光の下で描いた風景画、その中の岩や植物や建物と同じように、自然の中にしっかりと組み込まれたひとつの素材として、裸体を描いたとされていて面白い。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.863
※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(37)へは(コチラ)から入れます。
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