バスケットボール部コーチ・カーターの仕置き

「コーチ・カーター」は、１ヶ月くらい前にテレビのロードショウで見た２００５年のアメリカ映画で、カリフォルニアのリッチモンドの高校を舞台としたバスケットボール部のコーチの物語である。落ちこぼれ生徒たちの集まりで、ほとんど試合に勝ったことがないチームに、その高校のOBであるカーターが新しいコーチとして赴任してくる。カーターは高校生のとき第一人者の選手であった。

コーチ・カーターが部員に課した課題は三つ。学業で求められるレベルよりワンランク高いレベルの成績を残すこと、授業は最前列に座り前出席すること、試合ではネクタイを着用してくることである。紳士であることに通じる。

指導は体作りのランニングと腕立て伏せから始める。いやで辞めるのは辞めさせる。練習はきついが，技術を少しずつ覚えて、部員のやる気と技術が向上し、勝利の味を味わう。結局は、地区大会で優勝して州大会に出るわけだが、勝ったことのないチームを勝たせて、やる気を起こさせるという典型を見せてくれる。彼の指導に対して文句を言う生徒には、罰を加える。いわゆる体罰ではない。腕立て伏せ５００回とか往復の走りを１０００回とか、かなりきつい仕置きである。部員の信頼がじわじわと得られてくる。

アメリカには体罰はない。人を殴る教師はいない。PTAがうるさいこともさることながら、教師は軍人ではないから手をあげないことにしているのだろう。下手に手をあげると銃の復讐があるのかもしれないが。体育関係の学科に限らないが、教授連は海外研修の機会があるのだから各国の現場における教育メソッドを研究して教師教育に反映したらどうか。

熱血教育は，きつい練習で行うという基本に徹すれば、体罰は不要である。きつい練習とはいえ、科学性を持たせなければ、やみくも教育になる。吠える犬は弱いというように、体罰に頼る教師は、結局破滅する。大阪の高校ではずいぶんと年数がかかったが、しかも死者まで出してまったくひどいの一語であるが、破滅した。体罰にアフターケアをしなかったのも落ち度であり、体罰を加えたという認識のなかったというのぼせあがりと、何故優勝したのかを科学的に考える訓練がなかったのが、体育顧問のお粗末さの元になる。

再発防止はどうするか。校長も教育委員会もウオッチ機関にならない。橋下のように正義の独裁者が出て来れる場をルールとしてもつ、そんなことをしなければ、体育会系の幼さは続くのだろう。現在の教育委員会は無用である。委員のあり方、選出の仕方は見直して出直さなければならない。