映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No161「空中庭園」豊田利晃監督
2005-11-27 / 映画
最初のタイトルが出てくるまで、
キッチンの真上の蛍光灯の傘ごしに、俯瞰で食卓をうつしていく、
カメラのゆるやかな動きに吸い込まれた。
家族が順に現れ、朝食をとり、何気ない会話をかわす。
皆が出かけると、今度は、ふりこが揺れるように、ゆっくりと
バスに乗っている夫(板尾創路)、娘(鈴木杏)、息子(広田雅裕)をうつしだし、
走っていくバスの天井をうつす。
明るい朝の光の中、何を考えているのかわからない家族の姿が示される。
「家族の間では秘密をつくらない」という絵里子(小泉今日子)が決めたルールを守る京橋家。
分譲マンションのベランダには絵里子の世話する花々が咲き乱れ、
幸せで平和に見える家族。
しかし、夫には、愛人がいて・・・と、それぞれの秘密の存在が明らかになっていく。
人の心の中に、光と闇があるとすれば、
絵里子が、光の部分を信じて、大切につくりあげた家族が、
ちょうど毛糸玉がほどけていくように、
それぞれが持つ闇の力、得体の知れなさでもって、ばらばらになっていく。
この闇の部分を、「秘密」の力と言い換えることもできる。
夫や子どもたちは、家族がばらばらなことなど、とうにわかっていて、
絵里子に期待された役割を演じているにすぎない。
そんなどこか冷めた感じがいい。
絵里子と、同じ街に住んでいる絵里子の母(大楠道代)の
パワフルな存在感が映画をひっぱっていく。
かなりシュールな世界だ。
誕生日のケーキを前に、
小泉と大楠が向かい合い、本音をぶつけあう姿を
カメラが二人のまわりを回りながら、長回しで撮り続けるシーンの迫力はすごかった。
絵里子の抱えている感情のもやもやが、はちきれそうになって、
とうとうはじけてしまうのが伝わる。
クライマックスの血の雨のシーンのあと、
窓からほろっと風に乗って入ってくる花びらに心ひかれた。
呪縛からの解放。
小泉がそんなに叫ばなくても、十分伝わる、という気はしたが、
女優、小泉今日子の魅力をたっぷり堪能できる作品。
満足度 ★★★★★★★(星10個で満点)
キッチンの真上の蛍光灯の傘ごしに、俯瞰で食卓をうつしていく、
カメラのゆるやかな動きに吸い込まれた。
家族が順に現れ、朝食をとり、何気ない会話をかわす。
皆が出かけると、今度は、ふりこが揺れるように、ゆっくりと
バスに乗っている夫(板尾創路)、娘(鈴木杏)、息子(広田雅裕)をうつしだし、
走っていくバスの天井をうつす。
明るい朝の光の中、何を考えているのかわからない家族の姿が示される。
「家族の間では秘密をつくらない」という絵里子(小泉今日子)が決めたルールを守る京橋家。
分譲マンションのベランダには絵里子の世話する花々が咲き乱れ、
幸せで平和に見える家族。
しかし、夫には、愛人がいて・・・と、それぞれの秘密の存在が明らかになっていく。
人の心の中に、光と闇があるとすれば、
絵里子が、光の部分を信じて、大切につくりあげた家族が、
ちょうど毛糸玉がほどけていくように、
それぞれが持つ闇の力、得体の知れなさでもって、ばらばらになっていく。
この闇の部分を、「秘密」の力と言い換えることもできる。
夫や子どもたちは、家族がばらばらなことなど、とうにわかっていて、
絵里子に期待された役割を演じているにすぎない。
そんなどこか冷めた感じがいい。
絵里子と、同じ街に住んでいる絵里子の母(大楠道代)の
パワフルな存在感が映画をひっぱっていく。
かなりシュールな世界だ。
誕生日のケーキを前に、
小泉と大楠が向かい合い、本音をぶつけあう姿を
カメラが二人のまわりを回りながら、長回しで撮り続けるシーンの迫力はすごかった。
絵里子の抱えている感情のもやもやが、はちきれそうになって、
とうとうはじけてしまうのが伝わる。
クライマックスの血の雨のシーンのあと、
窓からほろっと風に乗って入ってくる花びらに心ひかれた。
呪縛からの解放。
小泉がそんなに叫ばなくても、十分伝わる、という気はしたが、
女優、小泉今日子の魅力をたっぷり堪能できる作品。
満足度 ★★★★★★★(星10個で満点)
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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満点ですか。いいと思いますね。
最初のシーン。バビロンの塔の図像のアップなんだけど、ずーとカメラでなめていって、ああランプシェードで食卓の上かとわかる、あの入り方とてもよかったですね。
冒頭のカメラといい、
キョンキョンと大楠がケーキをはさんで向かい合うバトルといい、忘れがたいです。
なんだか、日常の垢というか、
普段、決して表には出さない、負の部分を
上手に映像化していたような気がして、
やはりみごとな作品でした。
>そんなに叫ばなくても、十分伝わる、という気はしたが
ちょっとチカラが入ってたシーンでしたね。
失った何十年かの自分に向けた、
赤子に戻った叫びのようでした。
TBさせて下さいね♪