Velo-city

"It never gets easier, you just go faster."

・・・壊れゆくまで~伊豆半島一蹴記:後篇~

2009年07月06日 | 長距離
前編からの続き

第1章 豪雨を衝いて:Cursing in the Rain
第2章 廃隧道を逝く:Bicicletta Caveman
第3章 びっくり自転車大集合:Bicicletta Eccentrico
第4章 無功徳の功徳:It’s Zen Time!
第5章 二つの頂:Twin Peaks
第6章 壊れゆく体:Coming Apart at Joints

第4章 無功徳の功徳:It’s Zen Time!


無功徳の功徳、とは・・・
参考文献:
臨済の教え
ウィキ
仏教談義

自転車版達磨大師のおことば
煮屋問うて曰く「自分自転車始めて已来、坂を登り、雑誌をむさぼり読み、数多の自転車遊具を買い、自転車商店(僧伽、教団)に貢ぐこと、勝(あげ)て紀す可からず(数え切れないほどである)。何の功徳有りや」
師曰く「並びに功徳無し(あなたのやっていることに意味はない)」
煮屋曰く「何を以て功徳無しや」
師曰く「此れ但だ輪天(自転車界)の小果にして有漏の因なり(煩悩の因を作っているだけだ)。影の形に随うが如く有と雖も実には非ず(そんなものは形に寄り添う影のごときもので、有なりといえども、実にあらず)」
煮屋曰く「如何が是れ真の功徳なるや」
答曰く「浄智は妙円にして、体自ずから空寂なり(練習をしたり、機材に投資したり、1をすれば1の見返りを求むは有限の行為であって空虚なことである)。是の如き功徳は世を以て(この世界では)求まらず」

自分なりに、まとめますと
何かを達成しよう、認められよう、という見返りをもとめて行動しても永遠に達人の境地には達せない。悟りを開くには、一見無意味な行為にこそ意味がある、ということではないでしょうか。

伊豆はそんな所です。修行をはじめます。ちなみに修行の際は「下田迄魚無亜腑、下田迄魚無亜腑」と念仏を唱えます。


稲取近くの第29山岳ポイントです。ここまでずっと一人で逃げているので、山岳ポイント独占状態。
ガーンと登り、ガーンと下ります。ご利益:乳酸



明け方の海に釣り糸を垂らす海上自衛隊のみなさま


かつてさくぞうとA味氏がバトルを繰り広げた山岳ポイント。無駄に登り降り。


縄地という処でした。

下田に到着しました。到着は8時半。ここでBチームのみなさんに「今浦賀です」という詐欺メールを出します。全員騙されています。


浦賀には黒船はありません。春にこの地を踏んださくぞう氏とA味さんはすぐ気付くと思ったのですが、結局みなさん私が三浦半島にいてると思い込んでいたようで。クックック。
雨で一度濡れ鼠になったので、全身クサーイクサーイ
ここまで160 km。今日の予想走行距離は350~400キロ。まだ半分も行っていない・・・
道中ずっと「下田までウォームアップ。下田までウォームアップ。」と呪文のようにペソっていたのですが、もう足を使い果たしました。


というわけで、足湯を使いサラ足を入手します。
一度リセットボタンを押し、次の区間に向けシャッキリンコ!



石廊崎に向かいます。ここ、いいコースです。ヤシの木が植えられていて、海岸沿いの熱帯雨林の中を走り抜けます。


とうとう伊豆半島の先端まで来ました。フゥ。踵を返し、横浜へ帰るぞー!!


無駄に登り、無駄に下る。
今日はエロ大王で来たので、やはり軽量バイク、こいつは最高のクライミング・マシーンだ!!って最初はひょいひょい登っていたのですが、200 kmを超えるとそんなことはすべてうやむやになります。エンジンが重いのぅ。前回と同じく、ハンドルの上で腕立てしながらゆ~っくりダンシングで登ります。



静謐なる沿岸、西伊豆極楽エリアにやってまいりました。
妻良~波勝崎~雲見の極楽バミューダ・トライアングルへ
景色は最高ですが、登りの厳しさについついアスファルトを見つめてしまいます。


妻良の漁港はよォ~
作詞 今年もさくぞう


そして走行距離は200 kmを越えます。
さてもうすぐ無駄な漁港昇降を終え、登りぱなしコースに移ります。その前に、もう一度リセットを。

第5章 二つの頂:Twin Peaks

妻良のなんでも屋(西伊豆だと下田~松崎間はコンビニなんてありませんから)で、雲見の露天風呂の場所を聞きます。去年は見落としてしまったんです。
確かに入口は小さくてわかりにくいですね。獣道を海岸にむけて降りていくと、プライベート露天風呂が!!!


すごく気持ちよい海辺の露天風呂(町営ですので無料)
これだけでも、ここまで来た価値があります。ブクブクブク。

乳酸もしっかり血液中から洗い流し、再びサラ足を入手。いよいよ山岳地帯に足を踏み入れます。


宇久須から登った時は、たしか10 kmで900m登るというえげつない斜度でしたが、松崎から登るとヤビツくらいの斜度で登って行きます。ただし海抜0mから900m登りますので、やっぱりきついです。


仁科峠にかかる橋げたのない橋上にて。
風がふいたら川にドボンだよ。


両脇から山塊が押し出してきます。山が深いです。上にいくと蝉が鳴き始めていました。


奔流に
釣り糸たらす
太公望


本格的な登りは、残り15 kmくらいから始まります。深い森の中をじりじりと高度をあげていくと…


頂上は霞がかっていました。絶景はたのしめず。

標高900mの仁科峠に到着!200 km超えてからですので、かなり脚にきてます。もうダンシングを多用できません。立ち上がるのは、お尻が痛いときだけ(笑)

この後は絶景の西伊豆スカイライン、天上の稜線を極楽サイクリング・・・のはずだったのですが、霧で何も見えません。というわけで修善寺まで思いっきり端折ります。(船越峠から達磨山までの登り返しに敵前逃亡したとも言う)
この頃になると、残り120 km、箱根越えを残し、修善寺でリタイアするか(去年と同じ)、小田原まで伊豆半島一周を完遂してよしとするか(輪行袋ないし)、どこからから電車でゴミ袋輪行で帰るか(いや、俺すごく臭いから)、自分の中でリタイアする言い訳を探し始めます。自分チキンレースの開始。
眠気も襲ってきました。大仁の道の駅で10分ほど仮眠をとります。デカビタで元気も戻ったので、山伏峠コースはやめて、箱根ルートで帰ることに。山伏峠の方が高度は低いんだけど、そのあとの無駄な登り返しを嫌い、どうせ登るなら一気に登れる箱根ルートをとりました。


狩野川サイクリングロードで三島を目指し・・・


うおー懐かしい!
このルートから箱根を登るのは、記念すべきBチーム大阪キャノンボール第一回以来だ!
http://blog.goo.ne.jp/osamuel/e/6f1f950c5809dc88ba4b2e610488b1aa

しかし、なんで箱根峠三島ルートは、いつも240キロ走ってから走らなきゃならんのだ!
残りキロ数の表示だけを励みに、屁をしてもその匂いがかげるような速度で登って行きます。
早く終わってくれ・・・登りきったら横浜までもう登りはない・・・立ちごけしそうな、時速10 km以下でじりじり上がります。



6時半 箱根峠到着。かなり達成感あり。あとは惰性で横浜まで行きます。今日中に帰れるのでしょうか。


箱根旧道を降りひと風呂あびてから、残りの道程に気をひきしめる。残りは50 kmちょい。今日の総走行距離は390 kmくらいか…

第6章 壊れゆく体:Coming Apart at Joints
小田原から横浜まで、残り50~60 kmくらい。時刻は8時半。あとは平地だけ、事故だけに気をつければ無事に日付が変わる前に帰宅できるはず。ここまでくればもう着いたも同然、とはいきませんでした。
ここにきて体が悲鳴をあげはじめたからです。
① サドル:強烈な股ズレ
2分ほどこぎ続けるとおまたがじ~~~んと痺れてくる。ときどきダンシングをして散らす>座る>しびれる>散らす
の繰り返し。そういえばこのサン・マルコー リーガルで今まで200 km以上一回しか走っていない。さすがにここまでの長距離だとクリームが必要になりますね。日本海には持っていこう。
② 膝
基本的に今回は下りでもしっかりペダルを回して、休まないようにしてました。しかし300 kmを超えた箱根あたりから、膝に痛みが。
残り30 kmを切った茅ヶ崎あたりからは、かなり重症になってきます。
下りで膝をとめる、どころか、平地でも膝を止めなくてはならないほど膝が痛い。
骨ではなく、膝を外側から支える靱帯が痛んでいるようです。

後日ニャロメ父に診断をお願いしましたが
腸脛靱帯炎
でした。
『腰骨から太股の外側を通り膝関節の外側下部(スネの骨の上端)付着しているITバンド(腸脛靱帯)』の必要以上の膝関節との摩擦による炎症、「腸脛靱帯炎」
腸脛靱帯炎とは
膝の痛みに悩む人必見

けっこう激痛である。だましだまし進んでいくが、最後は自宅までの1 kmですら恨めしかった。
信号スタート>我慢してダンシング、加速>スピードにのったら脚をとめ、休む>ときどきペダルを踏む、基本はこがない・・・

最後はママチャリと並走できるほどのスピード。平均速度も22 km/hを切りそうだ。


こんな非常になさけない状態でみなとみらいにたどり着き、ビールをぷしゅー。ここで380 km。なんとか出発から23時間後、自宅に帰着したのであった。

久しぶりの特盛ロング。しかも単独行。一人もいいね。
みなさんもいかがですか?伊豆一周。
絶対後悔す・・・しませんよ。

C-to-Cへの宿題
・サドルクリーム(絶対)
・補給代が多すぎて出費がかさむ。粉末飲料をもっていくこと。
・前日からしっかり食いだめすること。300 kmは燃料満タンでのぞまないと。
・200 km走ってから超級山岳に挑むので、なるべく軽いギアで
・休憩時に、しっかりストレッチすること。特に体側(たいそく)
・必ずポッケに非常食。大福など。

最新の画像もっと見る

15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (fj沢)
2009-07-06 23:47:36
すげー!
てっきり三浦に行ってると思ってました~
その生命力には感服いたします
返信する
Unknown (fuka)
2009-07-07 00:28:10
すごすぎ、鍛え方が半端じゃないですね!
渋峠、行ってみたいと思いましたが…
ちなみにみなさん現地集合でしょうか?
返信する
Unknown ()
2009-07-07 00:53:25
アリエナイヨ
返信する
Unknown (さくぞう)
2009-07-07 07:37:11
一泊二日で行けばきっともっと楽しいのに、何故そのような苦行を選ばれるのか。

変態の鑑ですね。
返信する
Unknown (☆の)
2009-07-07 10:04:01
ニャロ氏談
悟りを開くには、一見無意味な行為にこそ意味がある

ん~~~小生のように煩悩の固まりには
奥が深い自転車行ですな~~~!  凄すぎ!!
返信する
Unknown (A味)
2009-07-07 10:57:53
雨の佐渡一周が修行だと思った自分が恥ずかしい気持ちになりますね。そういや黒船を下田で観てきたのにてっきり忘れてました。まさかあの時間に下田に居るとは…。
返信する
Unknown (waki)
2009-07-07 11:34:38
良い子はマネをしないように・・・

が抜けてますよ!!
返信する
お疲れさまです (のぶぞう)
2009-07-07 17:20:09
なぜだか、ニャロさまのブログでなくて
「あぁ、湘南の~」みたいです。

修行系走りには脱帽。
怪我や事故なく御帰還、なによりです。

私なら一泊で行きますね。
返信する
Unknown (GTRオヤジ)
2009-07-07 18:46:31
長編小説を一気読み、堪能させて頂きました。

なかなか良く出来たお話ですね???
返信する
Unknown (かわうち)
2009-07-07 21:13:51
これはもう・・・

ツーリングでなくて家出ですねwww

チルトシフトはやっぱり素材だな~っと。
温泉の写真はどうやって撮ったんだろう???
返信する

コメントを投稿