Mars&Jupiter

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ドビュッシーの「叙情的な散文」と歌曲の魅力

2008-01-25 09:24:11 | 古典~現代音楽フランス編
昨日はウォーキングを休みました。
昨日聴いた歌曲はドビュッシーの手によるもの。
「シャルル・ボードレールの五篇の詩」、
グレゴワール・ル・ロワの詩による「お告げの鐘」、
ポール・ヴェルレーヌの詩による「三つの詩」と、
「艶なる宴-第一集-」、そして最後にドビュッシーが
自分自身の詩に曲を付けた「叙情的な散文」である。

これらの作品は1880年代から1890年代に作曲された。
有名な詩人に曲をつけたこれら作品は、
フランス語の流れるようなことばを
そのままリズムのように読みあげていくような歌と、
細やかな音で情景を作り出す繊細なピアノ伴奏により、
ドイツ・リートとは違うフランス歌曲の
独自のスタイルを作り出している。

他人が書いた詩に曲を付けるという作業は、
簡単なようでいて、実に難しい。
へたに詩の内容を変えることはできないから、
その制約の中で作るしかないのに比べると、
ドビュッシー自身が書いた詩による「叙情的な散文」の、
のびのびとした音楽の世界は何だろう。
歌も伴奏も結構自由な感じで、
この時期の他の歌曲とは違う。

その曲を境に彼はしばらく歌曲の分野から離れ、
弦楽四重奏曲や代表的なピアノ作品、
そして管弦楽曲と歌劇にとりかかるようになるが、
実は、そこで忘れてはいけないのは、
このような歌曲を作曲していく中で、
彼の作曲のスタイルが確立していったことではないか。
そんなことを思わせるようなところが、
これらの歌曲を聴いていると感じられる。
「叙情的な散文」はそれらの分野に取り組んでいく彼の
転換点になった曲のように思えてならない。
意外にもドビュッシーの歌曲という分野は
重要な意味を持っていたのかもしれない。
コメント
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