そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

中国の抗生物質使用が国境を越える日

2016-02-29 | 中国
安倍政権とその取り巻きのマスコミは、中国の軍事的脅威を徒に煽っているが、いずれもっと深刻になる抗生物質の異常ともいえる大量消費の脅威がある。
私たち畜産関係者に、恒常的に農水省からの警告がある。中国や韓国では口蹄疫が間断なく発生しているからである。韓国はそれでも、実体は公表されているが、中国の口蹄疫の発生の実態は不明である。日本とは密度や使用形態などが異なるとはいえ、感染の危険に国境など存在しない。
そうした中、経済成長の著しい中国の医療実情は、日本など先進国の陥ったジレンマの穴の比ではない。抗生物質の多用が比較にならないほど恐ろしいのである。中国の抗生物質の2014年の使用量は、16万3千トンと推察されるが、12~20万トンという報告もある。いずれにしても世界の抗生物質の使用量のほぼ半量である。
2011年の中華医学会行為医学分解の報告によれば、中国の入院患者の70%は抗生物質を使用し、その80%は不用なものであるというのである。中国国民の一人当たりの年間使用量は、138グラムとなっている。これはアメリカのほぼ10倍である。
また、復旦大学の上海などの近縁の8~10才の505名の子供の尿検査をしたところによれば、8割の子供から一種類以上の抗生物質が検出され、6割の尿から複数の抗生物質が検出されたというのである。
また、華東理科大の報告では、地下水から68種類の抗生物質が検出されたというのである。また5万トンの抗生物質が廃棄され、環境に放棄されているというのである。
これは未確認であるが(それほど的外れではないが)、中国では家畜や魚介類への抗生物質が使用料の7割に達しているというのである。人の使用量がアメリカの10倍でありながら、その三倍量が食用肉に与えられ、人投与とほぼ同量が環境に垂れ流されているのである。多分世界で最も抗生物質投与に神経質に管理されている日本では考えられないことである。アイスランドでは、保険で抗生物質の点数を上げられなくなった。そのおかげで、耐性菌が世界で最も少ない国家になっているのである。
中国の脅威を武力に限定する報道は偏狭である。

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