そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

日欧EPA交渉への反感と期待

2017-07-08 | TPP
2013年4月に交渉を開始した日欧(EU)・EPA交渉は6日、安倍晋三とEUのユンカー欧州委員会委員長が首脳協議で大枠合意に至ったと発表した。交渉開始から4年も水面下であるとはいえ、経過があるにもかかわらず情報開示はほとんどなされず、今年に入ってからアメリカのTPP離脱により急速に交渉が進展したものと思われる。
日欧・EPAはTPPと似て非なるものである。まず何といっても交渉内容の経過公表が義務付けられている。EUでは交渉開始前から膨大な分析資料、EU議会や市民への情報提供が行われている。日本では、直後のG20を背景にした、政治的臭いがかなり強い。EUは投資保護と紛争解決に対して今後締結する全ての協定で、投資法廷という新しい方法を統合するつもりとのことで、投資家の保護の積極的である。
農業分野で日欧EPAを見るならば、アメリカのように遺伝子組み換え作物や、アメリカのでは恒常的な家畜へのホルモン投与が禁止されている。更には家畜福祉の配慮した飼養管理を、様々な組織が積極的に評価し、市民に定着している。家畜への飼養管理への提言が、非経済的側面からも提案されている。
このことは日本に対して、経過交渉の過程で家畜の飼養管理に対する平準性を求められる可能性があり、大型化一辺倒の現自民党の政策に待ったをかけてくれる可能性がある。
交渉の内容はこれから詰められようが、「自動車を売りたい日本の生贄に日本の農業がなるのだけはごめんだ」という農民の声は悲鳴に近い。EUでも小農を中心とした農業団体が、EPA交渉に反対している。
新自由主義理論を叩き込まれ、一次産業と同列に扱われ、工業化しつつある日本農業、巨大化させようとする非農業サイドからの論理が見直される機会になるなら、日欧EPA交渉は価値があるかもしれない。
コメント (22)
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