そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

SBS米にみる、所詮商社儲けの温床でしかない農業政策

2016-10-27 | TPP
SBS(Simultaneous Buy and Sellの略)は、「売買同時入札」と訳される契約方式である。SBS方式は国の指定を受けた輸入業者と、国内の買い手がペアで国の入札に参加する形式とされている。両者間の実質的な直接取引になるため、一般輸入に比べてより輸入米の適正な市場評価を得られる方式になると悦明されている。
従って、SBS米はTPPの影響を受けることがない、と政府は説明している。ミニマムアクセス77万トンの枠(上限10万トン)で輸入されているコメ輸入に対して適用されている。
国は輸入されたSBS米を事実上の関税を上乗せし、卸売業者に売却します。輸入業社は裏で国から受け取った金額を「調整金」に充てて卸売業者に渡していた。
簡単な図式で言うならば、輸入業者がキロ145円で輸入し、市場には200円ほどで出すことになる。市場のコメ価格に混乱は生じさせることがないというのである。
ところが、実際には輸入価格は報告よりかなり安く輸入していて(ゲタ履きと言われている)、国内販売業者はそれを受けて、輸入業社からの調整金を引き上げさせた価格を市場に出していたのである。関税は、調整金として輸入業者と国内販売業者の双方に、甘い汁を与えていたことになる。
日本農業新聞は指定を受けた24の商社への調査を行い、11社から回答を得たとしている。輸入米を扱うのは「国産米より安いから」という理由回答した全社が掲げた。
SBS米で不透明な取引が横行していた問題で、輸入資格を持つ商社24社のうち、少なくとも6社が農林水産省の調査に対し、落札価格を高く見せかけるために必要な「調整金」の存在を認めた。一般常識では公金による裏金か、ほとんど詐欺まがいのシステムである。

下の記事は、輸入業者が不正に安く輸入したように見せかけているとの記事である。(クリックすると大きくなります)
TPPはいよいよ、自民党が今国会で強硬可決をすると決めた。佳境に入ろうとしている。TPP交渉の60%を超えるアメリカの次期大統領はどちらの候補者も、TPP参入を否定している。安倍晋三が前のめりになって、アメリカ大統領選挙前になぜ駆け込むように行う理由づけもない。SBS米に見られるように、価格調整すれば業者に甘い汁を吸われるだけである。
日本農業が衰退したのは、特にコメに関しては大きな政策的な瑕疵がある。猫の目政策で翻弄させておきながら、農家に後継者がいないとか高齢者ばかりというのは、全く無責任である。目先の対策しかしてこなかった日本の農村は、徐々に崩壊への道をたどり、限界集落ばかりになっている。猫の目行政は、SBS米でも見られるように、農家や食料のことを考えた政策などではないのである。業者のための農政は農村に厚化粧して降り、農民に騙し討ちを繰り返してきた。TPP参入はさらにその傷を大きくさせるだけである。



コメント (1)
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