のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1243

2017-08-25 00:41:08 | 新しい子猫たち 

神一は一族の銀行では もはや神に近い存在と云えた。元々は窮地に陥った銀行をジブが資本介入して、その成り行きを見届けるために香奈が派遣した。香奈の真意は明らかではないが、神一にジブ以外の環境で、一度勉強してねと云う軽いものだったかもしれない


 


神一の天才ぶりは、一族の銀行で遺憾な発揮されて、一族の銀行は蘇った、いや元々吸収合併を繰り返して大きくなって、日本では二大銀行の一つになった巨大銀行だった


 


その過程で神一はついに神となってしまった


 


しかも神一の記憶能力は抜群であった


 


神一の意向とは違い、一族の銀行ではセカンドチャンスはないという信仰が出来た。神一には忘れるという言葉はないのだった。一度した失敗を神一は忘れるという事はなかった


 


ただ神一は、内心はそうではないと言いたかった。失敗はしない方がいいのには決まっているが、反省してやり直せばそれを問題にする事はない積りだった


 


ただ神一は、表面的な失敗をした事もなかった。そして一族の銀行には有能な人が一杯いた。敢て一度失敗した人を再び、重要なポストに就けようという稟議自体が神一の所に上がってこない。神一自身もする仕事が多い。神一はアホに任せるという選択肢がそもそもとれない。神一からみれば、周囲は程度の違いはあるが、アホばかりだった。


 


そういう時代が長すぎた。神一ができるだけ人に任せようと思っても周囲は、以前の神一を思ってしまうのだった。