鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<804> 240403 春はさなえの季節です なので

2024-04-03 19:18:02 | 日記
 毎度!ねずみだ

 子供の頃、春になると、は~るはさなえの季節ですぅ、というCMがこれでもか、というローテーションでテレビで流れていた。
 1975年から1982年の間に流れていた井関農機(ヰセキ)のCMである。うら若き桜田淳子が太もももあらわに稲を植えている姿にドキドキしたものである。いんや~ねずみも歳をとりました。
 
 それはそれとして、春は出会いと別れ、そして旅立ちの季節である。かく言う私も20221に異動願いを出し、まだ設立して間がない事業部へと移った。人生いたるところに青山あり、である。
 異動願いを出すのにはそれなりに決意が必要であるが、歳を経てからだとさらに気合と根性が必要である。通常誰もが「現状維持と安定」を望みがちで、事なかれ的に日々が過ごせれば良いと考える。経験者なら分かると思うが歳をとってから異部署でゼロから始めるのは、希望よりも不安の方が多い。
 
 それでも。金銭面やしがらみやら仕事の実績、家庭事情など数えきれない程のファクターを精査して、その結果たとえ僅差でも異動を選んだのであれば異動した方が良いのだ。

 同僚の女性、定年までもう少し、という方がこの4月から全く畑違いの部署に異動した。本人の希望なのでウェルカムな異動である。
 私のところに挨拶にきたので、「上手い所に飛び込んだね。」というと彼女はびっくりした様子を見せた。前の部署ではバリバリに仕事をしていた方なので、移動先を聞いて周囲からは「なんでまたそんなところに?」と驚かれたそうだ。ネガティブな周囲からの意見の中で「うまい所に飛び込んだね。」というポジティブな感想をしたのが私一人だけだったらしい。

 彼女が異動を決めたのにはこんな背景がある。

 今までの部署では出張のために家を空ける事が多く、娘さんが(相談したい時に相談したい母親がほとんど家にいなかったという理由で)不満が募ってとうとう不登校になってしまったそうだ。もちろん娘さんが不登校になった経緯はもっと複雑だったろう。それでも相変わらず忙しすぎて、そんな娘と向き合えなかったらしい。
 それでこれを機に出張の無い職種への移動を願い出たそうだ。これからは毎日定時に帰り娘と向き合う時間を確保したい、という。

 今までの実績が勿体ないというのが周囲の認識だったらしいが、私からすれば、娘さんと向き合う時間を最優先にしたいのであれば、その他のファクターなんぞ、クソみたいなものだと思う。彼女がそう判断したのであれば、周囲はそれを評価してあげるべき。

 長い間会社で人生をすり減らしていると、価値観は変わってきてくる。若い頃どうしても手に入れたかったものが歳をとってからは全く意味のないものになったり、逆に若い頃意味を持たなかったものが歳を経てからは大切にしたいものに変わったり。
 私自身、こうして定年まであと数年を残すだけになってみると、両手に乗るだけの、自分にとって純粋に価値あるものだけを少しずつ手に入れれば充実した余生を過ごせる、そんな気がする。

 だから、年相応に変わって来た「自分にとって価値あるもの」を手に入れるためには、全く畑違いの部署へは、気合を入れてえいっ!とばかりにジャンプして飛び移ってしまえば良い。 

 今回の結論。は~るはさなえの季節ですぅ、と同時に出会いと別れ、そして旅立ちの季節でもある。 

 じゃ、また。


コメントを投稿