鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<752> またお袋が入院してしまったので

2020-11-16 18:20:48 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 施設から戻って3週間経つか経たない間に、お袋さんが家の中で転倒、再骨折をしてしまった。介助の方が来てくれる少し前だったらしく家のカギを開けて入ってくるとトイレの横でうずくまっている母を発見してくれた。
 不思議な事に、仕事中に変な胸騒ぎがして「見守りカメラ」を覗いた際のことだった。こういうのを虫の知らせというのだろう。

 電話が鳴ったので「カメラで見ていました。救急車を呼んでください。」と要請し、仕事を切り上げいったん家に戻る。必要なものをカバンに突っ込み車で実家に向かった。
 たまたま妻が実家の近くにいたので、タクシーで実家に向かってもらい、兄にメールで知らせる。

 タクシーの中で救急車の看護婦さんから電話が入り、家の近くの病院が満床で受け入れられないとの事。それならば以前入院していた病院はどうかと話したところ、どうもそちらは大丈夫だったらしく、実家から車で30分程のところにある、2月に入院していた病院に再びお世話になる事に。
 ベッドに横たわるお袋さんは私の顔を見るなり「ごめんなさい。」を繰り返す。恥骨骨折だったためあまり長い間の入院は必要ないとの説明を受ける。床や廊下には緩衝材を敷き詰めていたのに、選りによって緩衝材が無いトイレの中で転んだらしい。打ちどころが悪かったのかもしれない。まあ頭を打たなかったのが不幸中の幸いと思うしかない。まあ老婆は特に骨がもろくなるようだ。

 病院である程度まで治療を完了してから、今度は別のリハビリ病院に移すことになった。合計4か月かかるらしい。また痴呆が進んでしまうのが怖かったが車いすでの生活ができない以上、リハビリで伝い歩きができるまで回復を待つ事に。今度は退院しても私を憶えているかどうかも怪しい。
 病院での打ち合わせを終えて家に戻る頃になって、兄からようやくメールが。まああてにしていないので腹も立たない。

 週末お袋を見舞った後(個室だったため特別に短い時間面会を許された。)、実家のトイレの敷居に滑り止めを施しながら、なんでこんな事になってしまったのか、トイレの中にも緩衝材を敷き詰めれば良かったか、と自分を責めてみる。また兄からメールが来る。「今日スイーツを持って行ったよ。」あまりにも呑気なメールにしばし脱力。

 じゃ、また。

<751> 母が実家に戻っては来たのだが・・・。

2020-11-04 18:55:37 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 少し前に母親がリハビリ施設から戻ってきた。本来ここは喜ぶべきなのであろうが、すっかり別人になって戻ってきた事もあって諸手を挙げて喜べる状況ではない。

 今年の初めに父親が亡くなり、一か月もたたない内に母親が庭仕事中に圧迫骨折で入院。3月にリハビリ施設に入ったものの、8か月以上も病院とリハビリ施設で暮らしていたせいか、食べることと寝ることと以外、ほとんど何もできなくなっていた。手すりや歩行器を使ってなんとか移動はできるが、排泄も周りの介助を受けてなんとかできる程度。
 介助施設の方に朝昼晩と来てもらって食事の用意をしてもらい、トイレに一緒に行ってもらって介助してもらい。そうしてなんとか一日を過ごしている。週に一度実家で在宅勤務を行い、土日は顔をだすような生活が始まった。見守りカメラで頻繁に様子を見て声をかけたりしているのだが、どうやら寝ぼけて次男(私)が実家から会社に行っていると錯覚しているのか、カメラ越しに声をかけたところ「玄関の鍵を開けておくね。」と起き上って玄関のカギを開けてしまった。

 一日のうち何時間かは少ししっかりしているのだが、誰かが食事をテーブルに並べてくれないと食事がとれなくなっている。当然食べたものを片づけることもなく、ただぼんやり座っている。手元のマスクを延々といじっており、「頭を使って文章を読んだりしないとますますボーっとしてしまうよ。」と本を手渡しても3分と続かず、「戻ってきたばかりだからそんなに色々言われても無理よ。」と繰り返すばかり。
 以前の母は70過ぎて百人一首を全部憶えたり、英会話に挑戦したり、と向上心を持っていた。親父の面倒を見ながらてきぱきと家事をこなす、それはもう働き者の母だった。
 それが8か月病院や施設で過ごしていただけで、抜け殻のようになってしまった。寝てばかりいるせいか、昼と夜の区別がつかなくなり夜中に起き上って介助施設のエマージェンシーコールを押してしまったり。
 カギを開けるとスマホに通知が来るような仕掛けにしているのだが、夜何度かカギを開けてしまい、仕事を切り上げ実家に向かったこともある。その時は隣の方に電話連絡をして見に行ってもらい、事なきを得た。

 何よりもショックだったのが、税理士への提出書類に自分の名前を漢字で書かせようとしたところ、途中でボールペンが止まってしまった事だ。数か月前まで達筆だった母が自分の名前を書けなくなってしまっている。どうやら緊張して一時的に字を書くことができなくなったようなのだが、私にとってはかなりのショックだった。

 年老いた親を見ている世の中の多くの方が、かれ少なかれ体験することなのかもしれないが、いざ実際に自分がその立場に立つことになると、おろおろしてどうすればよいか判断がつかない。家じゅうの家電のスイッチを自分のスマホとアマゾンエコーで操作できるようにして、なんとか一安心している。温度・湿度によって、エアコン・ヒーター・加湿器を自動運転できるようにして見守りカメラで頻繁に様子を伺うことで、なんとか自分を納得させて日々を過ごしているのが現状。
 おふくろの前にこっちが心労で倒れてしまいそうだ。

 じゃ、また。