電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第177回定期演奏会を聞く~ドヴォルザーク6番ほか

2006年12月17日 10時27分01秒 | -オーケストラ
師走の土曜日、妻と二人で買い物がてら午後から外出。ジャスコで子ども推奨の無印良品コーナーをのぞき、書店で藤沢周平の未刊行初期作品集の単行本の初版初刷を見つけて購入したあと、山形テルサホールに向かいました。

恒例のコンサート前に指揮者がおしゃべりするプレトーク、今日は小松長生さんが登場です。アクションの大きい身振りをまじえて話す内容もさることながら、一生懸命さに好感を持ちました。

第1曲、ストラヴィンスキーの協奏曲変ホ調「ダンバートン・オークス」は、作曲者の新古典主義時代の作品。編成は、フルート、クラリネット、ファゴットが各1、ホルン2、ヴァイオリンとヴィオラが各3、コントラバスが2、という15人編成です。プレトークでは、バッハのブランデンブルグ協奏曲の3番と同じ編成(効果?)を狙った、とのことでした。演奏は難しそうでしたが、不思議な雰囲気を持った曲です。演奏者の緊張感が伝わる中で聞くほうも集中しつつ、第1楽章の印象的なフルート、第2楽章のファゴットの低音を生かしたところや、第3楽章の途中に出てくるヴァイオリンのアラビア風のところなど、けっこう楽しんだひとときでした。

第2曲目は、イリーナ・メジューエワさんが登場、ショパンのピアノ協奏曲第1番です。イリーナさんは、栗色の髪を後ろにたばね、黒っぽいドレスでシックな装いです。小柄でほっそりした印象ですが、アレグロ・マエストーソの指示通り、オーケストラの堂々たる序奏に負けず、ティンパニを従えながら入ってくるピアノの音が力強く激しいことに驚きます。第2楽章はロマンツェ、ラルゲットという指示。弦楽合奏にホルンが入り、ピアノが静かに歌いはじめます。なんともロマンティックな旋律。ファゴットが低音を支えますが、金管奏者はなんとも手持ち無沙汰な感じ。この音楽は、ひたすらピアノが主役です。第3楽章はロンド・ヴィヴァーチェ、はつらつとした舞曲のリズム。出番の少なかった金管楽器も待ってましたとばかりに参加して、最後は全奏で盛り上がって終わります。拍手がなかなか鳴り止まず、独奏者のイリーナさんが何度もステージに呼び出され、黒いドレスで右手を胸にあてながら、聴衆の拍手に感謝するようにこたえていました。

休憩のあとは、期待のドヴォルザークの交響曲第6番。同曲を先日取り上げたばかり(*1)ですので重複は避けますが、個人的には「待ってました!」という感じです。
第1楽章、熱演です。思わず指揮棒を取り落とした小松さんに、ヴィオラのトップの成田さんが演奏の合間に拾ってさりげなく手渡します。それでも指揮も音楽も途切れないのですから、これは相当に高度なテクニック(*2)を要するかも(^_^)/
全体として、ドヴォルザークの「田園」と言ってよいほどの晴れやかな気分の音楽の始まりです。途中には一時不安げな曲想に転じるところもありますが、すぐに小鳥の鳴き交わすような木管の音色に、気分が戻ります。チューバ奏者のお名前、団員名簿(稲増優己さん)からは男性だとばかり思っていたのですが、今日気づいたらショートヘアのお嬢さんなのでした。また、ティンパニの活躍がよくわかりました。
第2楽章、素晴らしいバランスの木管の入り。弦に続くホルンソロも決まりました。先日のモーツァルトの時とは異なり、弦はヴィヴラートがかけられ、雰囲気を盛り上げる中でフルートが透明に響きます。全体に弦楽器と木管楽器を主体とした柔らかい響きが特徴的。クラリネットからティンパニと弦に受け渡されて、最後も木管で静かに終わります。
第3楽章、ほんとにスラブ舞曲集みたいな音楽。ピッコロとフルートが小鳥のように鳴き交わします。フルートのソフトな高音とピッコロの強い高音の違いに、初めて気づきました。ノスタルジックな旋律ですが、やっぱりティンパニが活躍します。
第4楽章、なぜこの音から始まるの?という気はしますが、響きのバランス、迫力ある集中力を感じます。チューバを含め、オーケストラの機能が全開になって盛り上がり、高らかな全奏の中で終わります。ブラボー!です。

この演奏会では、カーステレオではわからない(?)ことも発見しました。この曲では、ティンパニがかなり活躍するのですね。自宅のステレオ装置で聞いていても、ヘンな言い方ですが、ナマで聞くティンパニの過渡特性のよさ(?)は再現不可能です。あたりまえな話ですが、あらためて感じました。

さて、次の山響の演奏会、12月21日には「第九」があるのですが、スケジュール的にこの日はどうも行けそうにない模様。残念ですが、1月定期のブルックナー4番を楽しみに待つことにいたします。

(*1):ドヴォルザークの交響曲第6番を聞く~電網郊外散歩道の記事
(*2):これは、終演後のファン交流会での、小松さん自身による表現です。
コメント    この記事についてブログを書く
« 今晩は山形交響楽団第177回定... | トップ | 白菜を使った、あたたかくて... »

コメントを投稿

-オーケストラ」カテゴリの最新記事