電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ドヴォルザークの交響曲第6番を聞く

2006年12月14日 21時02分02秒 | -オーケストラ
ふた昔ほど前の話ですが、遠距離通勤をしていた頃、ドヴォルザークの伝説曲とともに、交響曲第6番、ニ長調、作品60 をカセットテープでよく聞いておりました。早朝に自宅を出発すると、途中でぱぁっと明るくなって来る。その時の気分がこの音楽によくマッチして、比較的よく手が伸びるテープでした。
当時はディーゼル・セダンに乗っており、時折信号で止められる以外は、道路がまだ混雑する前なので、快適な通勤ドライブです。オートリバースでエンドレスに再生される音楽に、7番の交響曲とはずいぶん違った楽しさ、幸福感を感じました。

第1楽章、アレグロ・ノン・タント。いかにも晴れやかな気分で、これが通勤の音楽として愛聴した最大の理由です。
第2楽章、木管楽器の導入から弦が入って来る、ゆっくりした出だしのところがたいへん印象的なアダージョ。ここも、ノンストップ郊外ドライブにはたいへん適した、気持ちの良いところ。
第3楽章、スケルツォ(フリアント)、プレスト。うきうきとはずむようなメロディとリズム。親しみやすさから、うっかりするとスラブ舞曲集の中の一曲と間違えそうです。
第4楽章、フィナーレ、アレグロ・コン・スピリト。ドヴォルザーク節がはじける晴れやかなフィナーレは、作曲家が最初に発表した交響曲として話題になるのに充分な音楽でしょう。

演奏は、ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコフィルハーモニック管弦楽団。1982年にプラハの芸術家の家でデジタル録音されたもの(DENON 33C37-7705)です。ノイマンの表現は、全体としてあまり低弦を強調することなく、弦楽セクションの中音域をやわらかく響かせ、ほどよいバランスで管楽器を浮かびあがらせているように聞こえます。フィナーレなど、意外なほど力強い強奏を聞かせるところもありますが、どちらかといえばすっきりと端整で、地味で品の良いドヴォルザークでしょうか。添付のリーフレットの解説は高橋昭氏です。
当時、CDがようやく主流になりつつある時期でしたので、CDの単価も高かったものでした。でも、安い軽油でガソリン代金を節約した分を、ほとんどCDやLDにつぎこんでおりましたので、このようなレギュラー盤を購入するゆとりがあったのだろうと思います。

手元にはもう一枚、ラファエル・クーベリックがベルリン・フィルを指揮した輸入盤の演奏もあります。グラモフォンの紙箱入り6枚組の全集(463 158-2)で、こちらは音楽の表情がよりうねりの大きいものになっており、迫力や情熱的な面が感じれます。ベルリン・フィルの低弦セクションは、少し音の入りを意図的にずらしているのでしょうか、ときどきズザーという感じで聞こえます。豊麗な響きのスケール感は、個々の奏者のゆたかな響きだけでは説明できないもののようです。録音は、1972年の秋にベルリンのイエス・キリスト教会で行われたもので、たいへんに豊かなアナログ録音です。

■ノイマン指揮チェコフィル盤
I=13'40" II=10'31" III=8'22" IV=10'46" total=43'31"
■ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィル盤
I=13'15" II=11'27" III=8'34" IV=11'56" total=45'12"
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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ごぶさたしています (親父りゅう)
2006-12-16 00:46:58
毎日、拝読させていただいてるのですが、コメントは久しぶりかと・・・。

ノイマンのドボルザーク6番、私も持ってます。
曲自体、そんなに前から知っていたわけではなく最近になって聴き出した曲ですが、これはいいですよね。

また、narkejpさんお住まいの地域の美しい風景と、とても調和しているように思えました。

車での鑑賞、その今昔についても私の追想と重なるものがありました。
クーベリック盤は未入手(8番、9番のみレコードで持ってます)ですが、たぶん、いずれ購入するでしょう。
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親父りゅう さん、 (narkejp)
2006-12-16 09:22:21
コメントありがとうございます。ドヴォルザークの6番の交響曲は、晴れやかでなかなかいい曲ですね。私も大好きです。写真は、11月中旬ごろの鳥海山で、酒田市からみたところです。今はすっかり雪化粧。音楽を聞きながら県内をドライブすると、美しい四季の風景を毎日タダで見られる(?!)ことの幸せを感じます(^_^)/
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