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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山手樹一郎『素浪人日和』を読む

2008年04月10日 20時26分32秒 | 読書
本日、単身赴任のアパートにもようやく電話が開通し、1.5MのADSL回線から、インターネット接続が可能になりました。いやー、不便だった!

山手樹一郎の作品というと、昔の東映チャンバラ映画の世界を思い出します。若くてかっこよくて強い素浪人剣客、実はさる由緒正しき大名のご落胤、美しく気丈なヒロインに、頭が切れて冷酷な悪党一味の御家騒動がからみ、手に汗握る痛快な立ち回りの連続、涙の犠牲を乗り越えて、大団円のハッピーエンドです。

本作品も基本的にはまったく同じです。罪作りな先代藩主・京極大和守があっちこっちに産ませた、母親の違う息子が三人。家来の家に産まれた長兄・中津川要が悪役で権力の座を狙います。正室から産まれたちょいと性格の弱い次兄・京極高忠が当代の藩主、そして無敵の素浪人の末弟・阿蘇猪太郎が主人公です。ヒロインは踊りの師匠の久、こちらも実は江戸家老・京極主馬の孫だそうです。なんだかこの藩は、風紀が乱れておりますなぁ(^o^)/
あらすじは省略いたしますが、国元での対決までは、どうも悪役・中津川要の采配が上回っているようです。まぁ、そうでなくては面白くないのですが。

中年オジン的せんさくを一言。藤沢周平の『用心棒日月抄』シリーズでは、米櫃の底が見え、手にすくえるほどの米しか残っていない時の浪人生活の心細さが描かれます。ところが、山手樹一郎作品の主人公は何をして食べているのか、浪人なのに、生活に困っている風にはぜんぜん見えないのですね。山手作品は、なんとも生活感がないという点が特徴なのだろうと思ったら、実は違うことに気づきました。逆に、藤沢周平こそが、時代小説にリアルな生活感を持ち込んだのだろうと思います。

まだ生活環境が十分に整わない単身赴任先では、当面、こういう気楽な娯楽作品のほうがありがたい。文庫本の数章を読んだら照明を落とし、静かな睡眠の音楽に切替えて眠りたいところです。希望の「睡眠の音楽」は、クラウディオ・アラウ翁のピアノで、シューマンの「子どもの情景」などでしょうか。小さくボリュームを絞り、オート・パワー・オフで自動終了できるようになるといいなぁ。

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眠る時の道具 (安倍禮爾)
2008-04-11 00:00:35
narkejpさん

>文庫本の数章を読んだら照明を落とし、静かな睡眠の音楽に切替えて眠りたいところです。希望の「睡眠の音楽」は、クラウディオ・アラウ翁のピアノで、シューマンの「子どもの情景」などでしょうか。小さくボリュームを絞り、オート・パワー・オフで自動終了できるようになるといいなぁ。

良いですねえ。私は布団に入ると、歴代のレコード藝術1月号付録、CD年鑑を見ることにしています。あの時このCDが出たのか、これは持ってるな、などと思いながら寝てしまいます。アラウの子供の情景を聴きながら眠りにつき、オートパワーオフ、というのは、良く考えれば一人暮らしだからできるんですね。これは贅沢な生活ですよ!
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安倍禮爾 さん、 (narkejp)
2008-04-11 06:27:03
コメントありがとうございます。考えてみれば、巨匠の至芸を聴きながら寝てしまうなんて、なんとも贅沢な話です。昔の王侯貴族もできなかったことかもしれません。歴代のレコード芸術のCD年鑑ですか。懐かしいですね。80年代の前半には、たしか数冊持っていたような気がしますが、今はどこへ行ってしまったのでしょうか、見当たりません。昔のレコードやCDのカタログを見ると、むしょうにほしくなる録音がありますね(^o^;)>poripori
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