電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

野口悠紀雄『「超」手帳術』を読む

2010年03月18日 06時11分51秒 | 手帳文具書斎
講談社の単行本で、野口悠紀雄著『「超」手帳術』を読みました。著者の「超」シリーズはずいぶん出ていますので、もうどれが出発点かわからなくなるくらいですが、当方は1990年代に月刊アスキーに連載された雑誌記事を愛読しておりました。著者と遠藤諭氏のやりとりが面白く、一太郎に閉じた世界からテキストファイルによる検索・処理などの一連の考察が、『「超」知的生産とパソコン』というという本にまとめられた過程が、たいへん興味深いものでした。

例の、押し出しファイリングや「整理するな・検索せよ」などの手法が、実は DOS のファイル管理の考え方の現実世界への適用であったり、『「超」整理手帳』が文書のA判化の帰結として開発されたものであると見ることができるなど、工学的スタンダードを現実に適用することによる意外性や新規性が本質なのではないかと感じているところです。

本書でも、手帳の本質を「スケジュール、ToDo、メモ」にあるとする点は、先の和田氏の本(*)と共通です。ただし、最後の章で「超」整理手帳の特徴を紹介するという構成は、いかにも著者らしいです(^o^)/

本文中にある、「超」整理手帳は追随者が出なかった、というのは理解できる気がします。外形が、大きすぎるからです。当方、A4判の印刷物を常に持ち歩く必要があるのは、職場の緊急連絡網や、当座のイベント等の予定の開催場所を示す地図くらいなものでしょう。A4判でコンピュータ出力したものをそのまま持ち歩く必要はあまりなく、むしろ持ち出すべきでないとされている方も少なくないのでは。例にあげられている「外国旅行のフライト情報やホテル住所」「会議やイベントを主催する」関係書類、あるいは「引越しの際の作業手順」などは、当方にはあまり縁がありません。

デジタルカメラによるメモは、参考になります。とくに、「ふだん見ている平凡な風景(部屋の状況、近所の風景)の撮影をお勧めする」(p.233) というのは本当です。後で一番見たいのは、観光名所の写真ではなく、昔の「ふだんの生活の情景」だからです。

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