普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

福田内閣の課題

2007-09-24 12:33:07 | 福田内閣

 予想された通り福田さんが自民党総裁になった。

 これを受けて昨夜のNHKで、経済評論家の内橋さん、北海道大学の山口さん、名古屋外国語大学の高瀬さん、ノンフィクション作家の吉永さんの出席で、[NHKスペシャル「自民党総裁選を問う」]で、新しいリーダーは、政治の信頼回復や年金・格差など、山積みの課題にどう取り組むのかが問われている。これからの政治に何を望むのか? 視聴者からの意見を紹介しながら、スタジオで徹底討論(番組紹介による)された。

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  討論会の中の主な意見
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 その内容は、日常報道され、ブログなどで議論されているもので特に改めて紹介するほどの物ではなかった。

 ただ気がついたのは発言の中で、中国の急激な台頭で企業競争力の減少→企業経費の切り詰め→人件費削減→国全体の貧困化と言う、ある意味では避けられない流れについての言及の無いままの政府批判だ。

 これを抜きにしては、本質的な問題の解決に繋がらないのは当然だ。

 その中で印象に残ったのは、小泉改革の初期に植草さんとともにその路線に反対していたが、竹中さんの大活躍と改革路線賛成の世論の声でなりを潜めていた経済評論家の内橋さんの発言だった。
・改革と言う政策の元で生じたワーキングプアの発生の一方、富裕層への所得税と住民税の最高税率の引き下げ、株配当への減税、株式を売った場合の譲渡所得への減税という不公平な取り扱いへの批判
米国型の市場原理主義への批判
・今後「改革」のスローガンを無批判で使うべきでないと言う主張
・法人税減税、労働者派遣法制定等の政治と財界の癒着への批判

 放送の中で、わが意を得たのは、一般からの投書の中で、贅沢品への消費税アップの提案だ。
 
これに反対する国民は余程の特別の立場の人達を除いてはいない。

 ブログでは福田総裁に対する批判の記事が多いが、ここでは福田内閣の無益な批判は避けて、その抱えている問題について考えてみる。

 自民党は参院選惨敗の原因として、「年金記録漏れ」、「政治とカネ」、「閣僚の失言」と、構造改革路線が、結果として都市と地方の格差を生んだのに気がつかなかった「民意とのずれ」と総括しているそうだ。

 年金、カネ、失言の三つの問題は原因も対策ははっきりしている。
 後は次期内閣のやる気の問題だけだし、この解決無しでは自民党の将来はないので必ず実行するだろう。
 残るのは都市と地方の格差の問題だ。

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 小泉さんの仕残したもの
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 問題は私が小泉改革とは何だったか
で書いたように小泉改革のやり残したこと、その負の遺産の処理の問題だ。

 米国からの年次改革要望書の指示とは言わないがその要望を日本の国情に合わせる努力もせずに忠実に実行したことのつけが溜まってきているのだ。

 小泉さんと竹中さんは米国の要望と市場経済原理一本槍で政策を進めてきた。
 内橋さん指摘の富裕層の優遇も法人税の減税も、派遣労働者法も、これで海外か投資を呼び込み、企業が競争力を取り戻せば、日本も豊かになると考えで進めてきた。

 それでバブルの崩壊も何とか乗り切ったまでは良いが、日本とって(それに自民党にとっても)不幸なことに中国の急激まな台頭→日本企業の競争力の低下に直面した。

 その為に小泉さんの日本の実情に合わない市場経済原理主義に基づく
改革が富裕層と貧困層の格差の拡大を生み、かって世界第1位を誇っていたGDPが14位に落ちたように日本全体の貧困化の一因となってしまった。

 それでもなお小泉さんは原理主義に拘った。
 詰まり地方分権原理主義だ。
 三位一体政策を政府が実施した。
 後は
地方のことは地方で始末しろと言う訳だ。

 当然に首都圏など大都市など経済力のある所は栄え、経済力のない地方は疲弊した
 唯一の例外はトヨタを抱える愛知県と自動車産業の集積が進む福岡県だけだ。

 
一口に言えば今の日本の状態は小泉さんとその指示を受けた竹中さんが、日本の国情に合わない政策を進めるあまりに、細かな配慮に欠けていた政策を遮二無二進めてきたことだ。

 その成果が前記の、小泉改革とは何だったか 
に書いたように、僅かな成功例非常に多くの失敗例または手つかずの例に現れている。

 僅かな成功例の一つは自民党の解体だ。
 今回の総裁選で、党内9派閥のうち8派が「福田支持」を表明していたのに、麻生さんが国会議員の3分の1以上、地方票の半数近くの票を獲得したことが示す派閥の力の減退だだ。

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  地方の活性化にみる福田内閣の課題
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 今後の課題として処理すべき多くの改革の負の遺産のなかで、地方の活性化について言えば、昨日の農村の再生のために
で書いたように、改革案で農業の大規模化の為に企業の参入を許しても、
・従来型の農業に慣れた人達の意識
・小型農業と最新型の大規模農業の混在
・小型農家と企業従業員の所得格差
・企業の参入がコミュニティーの崩壊に繋がらないか
・企業の地域への貢献の意識
・大型農業に適さない棚田などの僻地をどうするか
・改革について行けない老人農家への対応

などなど多くの問題を含んでいる。

 今までの農村ばら蒔き政策から、農業規模拡大に重点を移すだけの大まかな政策の転換だけでは、問題解決や改革が進まないこと、逆に地方格差が進むことが、問題点を並べてみるだけでも明らかだ。

 小泉さんが恐らく考えているように、政府が基本方針を出しているのに、農村や地方都市の改革が進まないのは地域と人の熱意不足と片づけてしまってよいのか。
 後はこのような困難な問題を地方分権としてそのまま放置してよいのか。
 この問題で地方から支援要請があったとき政府が無視して良いのか。

 いずれにしても小泉さん時代の荒っぽいやり方から、細かな配慮が必要になってくると思われる。

 幸い福田さんは報道によると調整が得意な人のようだ。

 小泉さんの仕残しや負の遺産の処理など、抵抗感もあると思うが、日本のために是非何とか解決して貰いたいものだ。

参照:
   カテゴリー → 地方分権と再生

 
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