箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

パーキンソン病と闘う教学の森クリーン登山! 

2007-09-01 | *編集・その他

パーキンソン病と闘う教学の森クリーン登山!  

 

 

丁度、箕面の教学の森を散策して帰宅し、書斎でコーヒーを飲みながら

何気なく数年前の新聞スクラップブックをめくっていました。

すると同じ教学の森で難病と闘いながらクリーン登山をされている63歳

の男性の手記が目にとまりました。

 

よく覚えていませんでしたが、改めて読んで見ると、先ほど私が歩いて

きた同じ場所で、全く別の世界で教学の森を散策され、まさに命の糧と

しておられる方がいる事に思わず心惹かれました。

そして、そのひたむきな生き方に感動すると共に涙が零れ落ちました。

 

是非、ここでご紹介させてください。 

 

 

「 私は今年一月、パーキンソン病を理由に、40年間勤めた会社を解雇

された 63歳の男性です。

 

ご存知のように、この病は手足が震え、筋肉が硬くなり、歩行も困難に

なって、このまま放置すれば寝たきりになりやすいといる、未だに治療法

がの確立されてない難病の一種です。

このような生死にかかわる重大な十字架を背負わされた私は、もう

後戻りは出来ない、家族には絶対迷惑はかけられない、前進あるのみ、

と不退転の重大な決意をし、衰え始めた足腰を鍛えなおすには、

登山しかないと、退職の翌日から生活の全てを登山に切り替えました。

 

退職して朝、出かける所を失った私は箕面・教学の森の六箇山(395m)

を第二の人生ステージ(舞台)と定め、この山に毎日登る事に決めま

した。

 

落ち葉が積もる山の階段を、小石や小枝を拾いながら一歩一歩登って

行くと、心臓はより多くの酸素を求め、激しく鼓動し、全身にじっとりと

汗がにじんでまいります。

至福のひとときです。

この山は、キャンプ場や散策路が整備されていて、低い山の割には起伏

に富み、風光明媚な山です。

 

・・・明日から毎日通る道だから・・・と、倒木の撤去、空き缶や小石拾い、

両側に堆積した枯れ枝を払いのけてゆくうちに、道はだんだんと美しさを

取り戻してまいります。

来る日も、来る日も、このような作業を続けながら歩き10キロの全行程

を気持ち良く歩けるようにする為にはほぼ6ケ月を要しました。

 

落ち葉の積もった山の小径を一人歩く時、キーンと静寂な空気が張り

つめ、霊気をを感じ、時が止まったような錯覚さえ覚えます。

 

一周10キロを毎日、歩行の障害になるゴミを取り除きながら歩く

クリーン登山を続けているのですが、これがまた健康にいいのです。

小石や小枝を拾うとき、前屈運動になり腰痛の予防にもなります。

坂道は心臓を激しく鼓動し、心肺機能の強化につながります。

山は無料のトレーニング場です。

 

樹木の生い茂る山間のベンチに一人座し、来し方、行く末に想いを至す

時、心は洗われストレスが消えていくような気がします。

山は大好き、いいことずくめです。

空気はおいしいし、小鳥のさえずり、四季折々の草花、野山を染める

紅葉、枯れ枝に身を寄せる小雪、こんな美しい箕面・教学の森が大好き

です。

 

10ケ月に亘り、手塩にかけ、公園以上に光る道に育て上げたこの山で

、しばし都会の喧騒を忘れ、健康で歩けるしあわせを、毎日、しみじみと

噛みしめています。

流れゆく大自然の中にあって、世は移り、山も変ってゆきますが、私の

意思だけは、移ろうことなく精進を続けてまいりたいと思っています。

 

私は、いつ、何処で、どうなるか分からないパーキンソ病患者ですが、

決してこの病気に負けようとは思いませんし、悔やもうとも思っていま

せん。

むしろ、これと同化し、この病気のお陰で生命の偉大さ、運動の大切さを

教えてもらったなあと思っています。

放置すれば身体は、日に日に固くなり、動きづらくなってゆくのですが、

持ち前の気力でカバー、この10キロクリーン登山を2月より毎日続けて

います。

その効果はどうですかって?

精気が出て、顔色がよくなったね・・と言われていますが、足元のふら

つきだけはよくなりません。

 

雨だから今日は止め、疲れたから明日にしよう・・・は私には一切通用

しません。

雨であろうと、嵐であろうと、病魔は確実に私を狙っています。

症状の軽い元気な今こそ、身体を動かし、この病気と闘う事が、私の

仕事、使命なのです。

 

その為にも、あせらず、無理せず、未来を信じて、健康の為、この

10キロ登山を、末永く続けていこうと思っています。」  (伊藤 和博)

 

 

 

この教学の森、六箇山をまさに自分の生命をかけて病魔と闘いながら、

10キロの山道を、毎日丁寧に清掃しながら歩かれている姿を想像して

、私は涙がでる思いで再読しました。

 

でも、山が大好きになられて、その感じる自然の情景はまさに私がいつも

感激し、感動している場面と同じ視線にさらに驚かされました。

 

日々、じっとしていたら固まる自分の肉体と心の不安を感じながら・・・

また家族に想いを馳せながら、なくならないストレスと闘いながら・・・

そして毎日散策路を清掃しながら・・・山や森、大自然の霊気を感じて・・・

こんな美しい箕面の森が大好きです・・・などと言わしめる精神力にただ

私は感服いたしました。

 

どうかいつまでもお元気で・・・!

いつか教学の森で、六箇山でお会いできる事を心待ちしております。

その時は、お互いに体験した箕面の森の自然と感動を語り合いま

しょう・・・!

 

 

07-9 (完)


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