「せんに」は「以前に」の意。
例文
子供 「とうちゃん 鎌で ゆび きっちまったで
ちょっと みとくれや。」
父親 「どれ みしてみろ。
こんくらいの 傷だったら カットバン
はっときゃ いいわ。
せんに いっつろぅ
鎌 つかうときゃー きーつけろって。」
例文の標準語(?)訳
子供 「お父さん、鎌で指を切ってしまいましたので
ちょっと見て下さい。」
父親 「どれ 見せてごらん。
この程度の傷ならカットバンを
貼っておけば良いでしょう。
以前にも言ったでしょう
鎌を使うときには気を付けなさいと。」
おかしなもんですね。
「先に」は辞書にも載っていて以前にとか前にと言う意味で使用すると書いてあるところを見るとこれも標準語と考えてよさそうですよ。
話していても、標準語で話されると、親近感がわかないような気がしますから不思議です。
私はてっきり「せんに」は「前に(ぜんに)」が変化して「せんに」になったと思っていて「先に」からきているものだと全く想像もできませんでした。
松本市・塩尻市・東筑摩郡誌と朝日村誌の一覧には掲載されていませんでした。
標準語なのだと思います。
今年の3月に「長野県方言辞典」を発刊される馬瀬良雄先生の著した方言に関する本を昨日図書館で一冊借りて来ました。
私の頭ではなかなか理解することが難しいような気もしますが、もう少し勉強してみたいと思っています。
前を使います。
時系列的には少し違いますが、似たような言葉で
”さいぜん”と言う言葉があり、それは親の影響か
私も使います。
意味的には”ちょっと前”から的な使い方です。
「さいぜんからゆうてるやろ」
「前から言ってるでしょう」
長野県は山がありますので、越えれば言葉も若干違いますし、イントネーションも異なります。
我が家は百姓家ですが、昔の百姓家の人は松本で生まれれば、松本平の外に出る事は殆ど無かったのではないかと思います。
我が家以外も然りで、その為独特の方言という言葉の文化が生まれてきたのだと思います。
私の住んでいる地区では「さいぜん」は聞いた事がありません。
「さいぜん」と聞くと「最善」をイメージしてしまいます。